英国が抱えることになるEUとの貿易協定と英米FTA

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     英国はEU離脱となった後、貿易協定はどうなるのでしょうか?今日はこのことについて述べたく、「英国が抱えることになるEUとの貿易協定と英米FTA」と題して論説します。

     

     英国はEU離脱後、2つの貿易協定の問題を抱えます。具体的にはEUとの貿易協定と英米FTAです。

     

     EUに加盟していた英国がEUから離脱することで、英国にとってEUは貿易協定を締結しなければならない相手となります。2020年1月30日にEUを離脱した後、2020年12月31日までに、EU間で貿易協定を締結することになっていて、それまでの11カ月間は移行期間と呼ばれています。

     

     移行期間中は、今まで通り、EUとの貿易は自由貿易で関税はかかりませんが、2020年末までにEUとの貿易協定締結が間に合わない場合、WTOのルールが適用され、関税が発生することになります。

     

     実際のところ、英国もEUも双方ともに、関税回復は望んでいないと思われます。

     

    <2017年度 英国→EUへの輸出額・輸入額・純輸出額(単位「100万ポンド」)>

    (出典:ジェトロ)

     

    <2018年度 英国→EUへの輸出額・輸入額・純輸出額(単位「100万ポンド」)>

    (出典:ジェトロ)

     

    (出典:ジェトロ)

     

     上記グラフ・表のとおり、英国は、EU、ドイツ、オランダで、貿易赤字となっています。つまり、EU、ドイツ、オランダにとって、英国はお得意様なのです。

     

     仮に双方で関税をかけあうことになれば、EU、ドイツ、オランダの貿易赤字が減るため、EUは関税協定を締結しようとすることになるでしょう。

     

     とはいえ、通常、自由貿易協定は複雑な協定であるため、1年で締結するのは難しいのでは?と私は思います。そのため、結果的にWTOルールの適用になる可能性が高いのではと思うのです。

     

     一方で米国との貿易協定では、米国のトランプ政権は、英国の医療制度であるNHSを狙ってくる可能性が極めて高いでしょう。

     

     また農産物についても参入を狙っているものとみられます。

     

     米国は、英国に農産物を買って欲しく、英国に農産物を輸出したいのですが、そのとき、1つ問題があります。

     

     英国はEUから離脱するものの、今後EUのルールに縛られずに自由になれるのか?といえば、そうならないといわれています。

     

     例えば英米FTAでいえば、米国は農産物を英国に売りたいわけですが、米国の農産物の農薬基準は、EUの農薬基準よりも低く、小麦などは米国では大量に余っていて米国国内だけでは消費しきれず、海外に売るというのが米国の戦略です。

     

     日本も小麦のほとんどは米国から買わされています。その米国の農薬基準は非常に緩く、EUでは2018年度からそのことが問題視されています。EUではそれまで米国から小麦を輸入していたのですが、農薬基準が低く、緩いという理由で輸入が禁止になっているのです。

     

     EUが受け入れられない基準で作っているのが米国産の農産物なのですが、英国がEUから離脱したからといって、英国が果たしてそのまま米国の農産物を輸入できるのでしょうか?

     

     EUから離脱することで、英国は自国の主権で輸入の可否を決めることができるのですが、EUは英国経由で米国産の農産物が入ってくることを懸念しています。EUは英国との貿易交渉で、英国からEUに入ってくる農産物のチェックを厳しくしなければならないという項目が入ってきてしまうという非常に複雑な問題が発生することになるでしょう。

     

     英国は、EUと良好な関係を保ちつつ早く自由貿易協定をまとめたいと思われますが、そこに英米FTAを同時並行で考えなければならないものの、農産物の農薬基準の問題が顕在化することで、EUや米国との貿易協定を締結するのは容易ではないでしょう。

     

     結局、英国としてはEUの厳しい農産物の農薬基準を、米国に対して要求することになると思われるのですが、そうすると米国は英国に農産物を売ることができなくなります。

     

     英国はEU側につくのか?米国側につくのか?ジョンソン首相は難しい判断を迫られることになるでしょう。

     

     

     というわけで今日は「英国が抱えることになるEUとの貿易協定と英米FTA」と題して論説しました。

     ブレグジットが方付いた後も、ジョンソン首相には問題が山積しています。それでも英国は再び繁栄の道を歩むものと私は思います。

     貿易協定で悩む英国に手を差し伸べる形で、かつての日英同盟と同様に、日本も日英FTAを検討してもよいのかもしれないとも私は思うのです。


    EU離脱後、英国は香港支援でマグニツキー法の適用を検討か?

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       今月は、2020年度の予算編成の作業のため、本業が激務につき、記事の投稿ができずにおりました。また、本日日本を出国してレバノンのベイルートへ出発の予定です。

       そんな状況ではありますが、今日は前回のEU離脱関連で、「EU離脱後、英国は香港支援でマグニツキー法の適用を検討か?」と題して論説します。

       

       今年2019/12/11に、英国の総選挙で、ボリス・ジョンソン首相が率いる保守党が予想以上の大勝をしまして、保守党1党で単独過半数を確保しました。

       

       英国の下院議会でこれまで何度も決まらなかったEU離脱法案は、今回の選挙結果で、可決が決まったと言ってもよく、ブレグジットはほぼ決定的といえるでしょう。

       

       ボリス・ジョンソン氏は今年の7月に首相になりました。最初の議会のスピーチで、新たなゴールデンエイジを迎えると述べていまして、かつては英国は覇権国として謳歌してきた時代がありましたが、その後、英国病と呼ばれて衰退し、経済規模は、米国、中国、日本、ドイツの次に甘んじています。

       

       ジョンソン首相は、「英国は、改めてこれから”ゴールデンエイジを謳歌した”と未来の歴史が語ることになるだろう!」と述べました。ゴールデンエイジの始まりとなるのか否か?は、ブレグジットの成否がカギでしたが、今回の選挙でブレグジットのめどがようやくつきました。

       

       私は、英国の今後の課題は、「香港支援」と「英米FTA」ではないか?と思っています。

       

       その「香港支援」について考えてみれば、香港はかつて英国が宗主国でした。その英国は、人権問題を抱える香港問題に対して、香港支援を集中していくことになるでしょう。担当は、ドミニク・ラーブ氏という外務大臣が担当します。

       

       ドミニク・ラーブ外務大臣は、既に香港支援に熱心に取り組んでいます。香港では区議会選挙が11/24に行われ、民主派が圧倒的な勝利をおさめる形で選挙を終えました。ところが、この選挙、当初から中国共産党の妨害などが予想され、選挙そのものが正しく実施されるか微妙であるという言説もありました。

       

       実際に、香港の行政庁長官のキャリー・ラム氏は、この区議会選挙をやりたくなかったはずです。デモが収束せず、民主化運動が継続している以上、選挙をやれば親中派が負けることは容易に想像できたことでしょう。

       

       ところがこのドミニク・ラーブ氏は、キャリー・ラム氏に対して、この選挙は必ず実施すべきであると強く推してました。

       

      下記は大紀元時報というサイトの記事で、マグニツキー法について取り上げたものです。

      『EPOCH TIMES 2019/10/02 19:10 法輪功学習者、米英など4カ国政府に迫害関与者リストを追加提出

       米、加、英、豪に在住する法輪功学習者はこのほど、中国国内の学習者への迫害に加担した中国当局者のリストを作成し、4カ国の政府に提出した。学習者は各政府に対して、加担者への入国拒否と海外資産の凍結などの制裁を強化するよう呼び掛けた。

       法輪功の迫害情報を伝える「明慧網」によると、昨年12月、カナダの学習者は、カナダ版「マグニツキー法」に基づき、各国の中で初めて迫害関与者リストを提出し、制裁を求めた。米の学習者も今年7月に、米政府の「グローバル・マグニツキー法」の基でリストを提示した。今回、英と豪州の学習者は同国政府に初めて提出した。

       米国務省担当者は、現在28カ国の政府がグローバル・マグニツキー法に類似する法律を制定した、または制定する予定だと法輪功学習者に明かした。明慧網は、今後、米英4カ国のほかに、世界各国の法輪功学習者もそれぞれの政府に迫害関与者リストを提供していくと報じた。

       法輪功は中国伝統気功で、1992年、李洪志氏によって公に伝えられた。健康促進と道徳心の向上に大きな効果をもたらしたため、中国市民の間で人気が高まった。中国当局の統計では、1998年時点で国内で約7000万人の市民が法輪功を修煉していた。しかし、1999年、江沢民政権は法輪功の学習者が共産党員より多いとの理由で弾圧政策を始めた。これ以降、国内では多くの学習者が投獄、拷問、性的虐待、薬物注射だけではなく、中国当局が主導する強制臓器摘出の主要対象になっている。明慧網によると、当局の迫害で4362人が死亡したと確認された。

       

       中国共産党政府による法輪功学習者の人権弾圧は、皆さんもお聞きになったことがあるのでは?と思います。何しろ、人権弾圧という言葉では生ぬるいくらいのひどいことが行われています。記事には、投獄、拷問、性的虐待、薬物注射、強制臓器摘出とありますが、この中の強制臓器摘出とは、麻酔をかけず、臓器のドナーにするというおぞましいものです。こうした非道を米国は把握しており、人権弾圧で非道であると非難しています。

       

       また台湾では2015年6月25日に、臓器移植のビジネス化防止のため、人体臓器移植条例の修正案を可決しました。この法律は、台湾で身元不明の臓器移植を受けた場合、最高5年の懲役刑と150万元の罰金の対象とし、これに違反した医師は医師免許を剥奪するというもので、中国の臓器狩りに対して、厳しい態度で法を整備しています。(因みに日本でもこうした臓器移植を中止する運動がありますが、国会議員らの動きは鈍く、法案のめどが立ったなどの情報はありません。)

       

       英国のドミニク・ラーブ外相は、香港支援の一つとして、マグニツキー法の適用を上げています。それ以外には、香港からの亡命者を受け入れたり、香港デモにおける逮捕者についての調査など、香港を支援する意向を表明しています。

       

       香港の事態が最悪の事態になった場合、元宗主国の英国が亡命者を受け入れることになりますが、既にその準備をやっています。

       

       米国では既にトランプ大統領が香港人権民主主義法案に署名しており、香港の民主化運動をして逮捕された人々に対して、米国へのビザを発給することを決めているのですが、英国でも同じことをやろうとしているのです。

       

       また逮捕者の捜査では、個別の調査を英国政府が香港政府に対して強力に要請することになるでしょう。

       

       その調査の過程で、ひどい人権弾圧が行われていることが判明した場合、マグニツキー法の適用を検討することになるでしょう。

       

       マグニツキー法とは、米国議会が人権を守る法律として作った法律です。人権侵害を行う政府に対して、その政府の担当者、人権侵害を行った責任者に対して経済制裁を行うというのが特徴で、米国の議会が成立させた香港人権法と、ほぼ同じ趣旨の法律です。

       

       このマグニツキー法は、米国だけではなく、上記記事の通り、カナダ政府なども中国に対して適用しようとしています。

       

       英国はブレグジット問題を抱えていたため、中国の人権問題や香港支援に注力ができなかったと思われますが、ブレグジットが片付くメドがついたことで、ドミニク・ラーブ外務大臣を中心に、英国政府は今後、香港の民主化運動をしている人々への支援を強めていくことができるようになることでしょう。

       

       

       というわけで今日は「EU離脱後、英国は香港支援でマグニツキー法の適用を検討か?」と題して論説しました。

       生きたまま臓器を摘出するなど、たとえ死刑囚だったとしても許すべきことではありません。そうした中国の真実について報道しない日本のマスメディア、口を噤む国会議員ら、すべて中国の犯罪を幇助していると言っても過言ではないのではないでしょうか?

       私はボリス・ジョンソン首相が、トランプ大統領と同様に、香港や台湾を守ろうとする動きを加速させることを真に期待しているのと同時に、日本でも同様の動きが出てくることを期待します。

       

       

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         英国の議会選挙では、ボリス・ジョンソン首相が率いる与党保守党が圧勝しました。

         

         私は今年5月のGWに英国とフランスを往訪し、ロンドンとパリを訪れています。ロンドンは1694年に世界で初となる中央銀行のイングランド中央銀行が設立された場所であり、そのロンドンを都市に持つ英国の特徴の一つといえる国営の医療保険制度NHS(National Health Service)というのをご存知でしょうか?日本も国民皆保険が存在しますが、実は世界で初めて国民皆保険制度を発明したのが英国なのです。

         そこで今日は「ブレグジットのきっかけとなった英国の医療保険制度NHSについて」と題して論説します。

         

         英国人は自国の国民皆保険制度のNHSについて誇りを持ち、重要視していました。そのNHSの制度がある英国に、EUから外国人移民が大量に入ってきました。

         

         外国人移民が英国に住み着くとなれば、当然病気をすることもあるでしょう。病気をすれば、その外国人移民はNHSを使うことができ、タダで治療を受けることができます。

         

         では、その治療費は誰が払っているのでしょうか?

         

         それは英国人の税金です。

         

         英国人の税金が、昨日今日、海外から入ってきたばかりの外国人にどんどん使われているというのがEUに加盟している英国の現在の状況。と同時に、外国人移民を英国に送り込んできたのがEUという制度といえます。

         

         そのEU本部に対して、英国はEU負担金として多額のお金を払い続けなければなりません。

         

        <2014年度のEU予算への国別純拠出額>

        (出典:みずほ総合研究所)

         

         

         上記は2014年度のEU予算への国別純拠出額ですが、2014年度の数字で英国はドイツ、フランスに次いで3番目に多く拠出しています。

         

         EUのせいで外国人が入ってくることを、英国政府は止めることができず、EUに従わざるを得ず、外国人が入ってきて英国国民のために積み立てられてきたNHSの財源がどんどん蝕まれ、しかも多額のEU負担金を支払わなければならない。

         

         しかもそれが全部、英国国民の税金で負担しているということで、そんなバカなことがあるのか?ということ。これがブレグジットが始まった要因の一つで、グローバリズムの問題点を露わにしたものといえます。

         

         EUというグローバリズムによって自分たちの主権がなくなる象徴といえるでしょう。そもそも英国国内で、なぜブレグジットという話が出てきたのか?といえば、国民皆保険のNHSを守るためであったといえるでしょう。

         

         今回の英国議会選挙は、ブレグジットが決まるか否か?を問う選挙だったか?といえば、EU離脱を問う選挙になっていませんでした。

         

         その理由は、与党保守党はEU離脱賛成、野党第二党の自由民主党はEU離脱反対で、野党第一党の労働党がEU離脱賛成を明言しなかったからです。

         

         選挙の公約をマニフェストというのは英国が起源なのですが、マニフェストで労働党はEU離脱賛成を明確に言いませんでした。

         

         なぜならば本来は労働党はEU離脱に反対の立場です。ところが反対を明確にしすぎてしまうと、労働党支持者の中に、EU離脱賛成の人がたくさんいて、そうした人の票を失うことを恐れ、コービン党首はEU離脱反対を明確にしなかったのです。

         

         いずれにしても、与党保守党が勝ったことでEU離脱は明確に決まり、英国はついにEU離脱となります。

         

         今後英国政府は、EU本部と貿易協定の交渉に入ることになるでしょう。

         

         自由貿易協定を結ぶことになろうかと思われますが、最低1年はかかると言われています。しかもその交渉をしている間に他国とも自由貿易協定の交渉に入らなければなりません。

         

         これまではEUが代表して他国と貿易交渉をしていましたが、今度は英国が単独で他国と貿易協定を締結しなければならなくなります。

         

         その中でも特に重要なのが米国との貿易自由協定で、米国が狙っているのは、英国の医療保険制度であるNHSです。

         

         国民皆保険は英国政府が拠出する無料の医療保険制度で、関連するマーケットは、医薬品、医療機器、保険などありとあらゆる医療関係のマーケットが存在するため、米国は参入したがっているのです。

         

         今まではEUの中に入っていたことで、英国の国営医療制度としてEUの中でも聖域となっていました。

         

         EU離脱後は、自由貿易となるため、米国としては英国から自由貿易でいろんなものを買う代わりに、その見返りとしてNHSの市場を開放しろ!と要求されることが予想されます。

         

         これは英国にとって大きな問題で、おそらく英国議会でも、この問題が大きく取り上げられて紆余曲折するでしょう。

         

         そこで時間をかけて交渉し、最終的には米英でFTAが締結されると予想されますが、EU離脱後に起きる最大のテーマともいえます。

         

         

         

         というわけで今日は「ブレグジットのきっかけとなった英国の医療保険制度NHS」と題して論説しました。

         私がジョンソン首相の立場だとするならば、EU離脱は賛成しますが、NHS参入については、何としても死守します。なぜならば英国の雇用にも影響しますし、米国の参入を許せば、米国のビジネスとして制度が運営されることとなって、英国政府国営とは異なり、利益追求の運営によって英国国民に不利益がもたらされることになるからです。

         トランプ大統領のことをポジティブに思う私であっても、自国民ファーストの観点からは、是々非々で賛成・反対の意見を持っているわけで、ジョンソン首相には、ぜひとも米国の圧力に負けることなく、英国の聖域である国民皆保険を守って欲しいと私は思います。

         

         

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        トランプ大統領の再選の切り札となる”減税2.0”について

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           今日は「トランプ大統領の再選の切り札となる”減税2.0”について」と題して論説します。

           

           下記は”DIAMOND online”の記事です。

          『DIAMOND online 2019/11/22 04:50 「減税2.0」は再選の切り札か、トランプが思い描く汚名返上の現実味

           トランプ大統領が「減税2.0」で目論むレーガン税制の再現

           米国のトランプ大統領が、2017年の大型減税に続く第2弾の減税への意欲を示している。2019年11月、12日にニューヨークで行った演説では、「米国経済復活の中心には、米国史上で最大の減税、税制改革がある」と指摘したうえで、さらなる減税の可能性に言及した。

           トランプ大統領が追加減税に言及するのは、これが初めてではない。中間選挙を控えた2018年10月には、中間層に10%の減税を行う方針を明らかにしていた。2019年8月には、公的年金等の財源である給与税の減税をほのめかしたこともある。いずれも具体的な提案には至っていないが、トランプ大統領が再度の減税を意識し続けているのは間違いない。

           「減税2.0」と呼ばれる現在検討中の追加減税は、来年の大統領選挙に向けた公約として提案される見込みである。財務省の高官は、減税2.0の具体案が明らかにされるのは、来年半ばになるとの見通しを示している。選挙前の減税実現を目指すのであれば、来年2月頃に発表される予算教書で具体案を示すのが普通だが、そうしたスケジュールが念頭に置かれているわけではないようだ。

           トランプ政権で減税2.0への道のりを率いるのは、クドロー国家経済会議(NEC)委員長である。クドロー委員長は、すでに9月の段階で追加減税の準備を始める方針を示していた。また、今回のトランプ大統領の演説に先立つ11月1日にも、減税2.0の実現に向けて共和党議員と接触していることを明らかにしている。(後略)』

           

           米国の下院議会では、トランプ大統領の弾劾追訴が決まりました。民主党としてはウクライナ疑惑でトランプ大統領を追い込みたい意向と思われますが、それに対してトランプ大統領は堂々と受けて立つのみならず、経済政策においてトランプ減税の第2弾を用意しているということで、上記記事は「減税2.0」として報じられています。

           

           ちょうど今から2年前に、トランプ政権発足後の1年目の2017年12月に、大減税法案が成立しました。

           

           その結果、どうなったか?といえば、米国経済は、ここ数年であり得ない大繁栄となり、雇用者数は600万人も増加し、失業率は過去50年ぶりの低さの3.5%にまで下がりました。

           

           米国のGDP成長率は一時3%以上となったのですが、その要因は減税です。

           

           ただ減税については法人税を恒久減税する一方、所得税は期限付きで、2020年で終わることになっていました。その個人の所得税についてさらなる減税を行うか、もしくは少なくても今の減税を継続する方針です。

           

           仮にトランプ大統領が減税しようとするならば、法律を作る必要があります。いくらトランプ大統領が減税したかったとしても、勝手に減税することはできません。あくまでも法律を新たに作るか?法律を変えるしかありません。

           

           では法律を作るのはどこか?といえば、トランプ大統領ではなく米国議会が作って決めなければなりません。米国議会が決めなければ大統領がいくら減税したくても実現しないのです。

           

           2017年度の大減税法案を成立させたときは、米国議会、特に減税や税率を決めるのは下院が中心に行われ、当時の下院は与党の共和党の議員が過半数を占めていました。当初共和党は、トランプ大統領の減税案に乗り気でなかったのですが、最終的にトランプ大統領に説得されて減税が実施されました。

           

           ところが2018年の中間選挙で、下院は民主党が過半数を取りました。今、トランプ大統領が減税をやりたかったとしても、下院で過半数を民主党議員が占めている現状では、ほぼ不可能といえるでしょう。

           

           対中国強硬策では、挙国一致で野党民主党も与党共和党も関係なく法律が通っている状況にありますが、減税法案については下院で法律が通る見込みは極めて低いものと考えます。

           

           ”DIAMOND online”の記事に記載の通り、トランプ大統領は、来年2020年の大統領選挙再選に向けて、トランプ陣営の公約として所得税減税、特に米国の中間層の所得税を一気10%に引き下げて、15%にするという法案を用意している模様です。

           

           米国における中間層といえば、年収が3万ドル〜10万ドルの間の人たちで、日本円で300万円〜1000万円程度となります。今は所得税が20%もしくは24%ということでかなり高いのですが、日本の中間層も大体同じくらいです。

           

           ただ米国と異なるのは社会保険料が高く、社会保険料が所得税よりも高いため、日本の中間層の方が重税感が高く感じられるものと思われます。

           

           米国のトランプ大統領は公式に発表していませんが、ワシントンポストの報道によれば、トランプ大統領は税率を15%に引き下げるのみならず、所得税の税体系全体をシンプルにする案を考察しているとのこと。

           

           また所得税だけでなく投資に関する減税も検討されているようで、具体的には投資家が株式を売却して売却益が出たとして、他の株式を購入すれば非課税にするというキャピタルゲイン減税を検討している模様です。

           

           これらを実施するためには財源が必要で数兆円の財源が必要であるものの、2017年のトランプ減税では、実際に経済効果が出たことは既に実証済みであるといえます。

           

           実際にトランプ大統領が、選挙の切り札とするならば、「減税2.0」の減税法案は、米国議会で成立する可能性が出てくるでしょう。

           

           そのためには来年2020年の大統領選挙で、トランプ大統領が再選されるだけでなく、下院で共和党が再び過半数を取る必要があります。

           

           上院議員は1/3ずつの入れ替えですが、下院議員は全員2年に1回入れ替わります。そのため、2020年の下院選挙で共和党は何として勝たなければなりません。そのためのカードとして、「減税2.0」は重要なカードといえるでしょう。

           

           

           というわけで今日は「トランプ大統領の再選の切り札となる”減税2.0”について」と題して論説しました。

           もし、トランプ大統領が再選し、下院選挙で共和党が過半数を取れば、「減税2.0」法案が通り、米国のみならず世界中が減税という潮流になるかもしれません。

           トランプ政権の行方によっては世界は減税による内需拡大こそが経済政策の王道となっていくことでしょうし、そうした時代が来ることは、日本にとっても良いことです。

           消費税減税、医療費負担引き上げをはじめとする緊縮財政に終止符を打つためにもプライマリーバランス黒字化目標を破棄し、世界の潮流に乗って再び日本が経済成長できるようになることを私は望みます。


          トランプ弾劾の強行は来年の大統領選挙と下院選挙の民主党敗北につながる!

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             今日は「トランプ弾劾の強行は来年の大統領選挙のみならず下院選挙の民主党敗北につながる!」と題して論説します。

             

             トランプ大統領の弾劾について、日本のメディアを見ていると、あまりにも偏向的な報道が目に付くため、今日はこの内容をお伝えしたく思います。

             

             まずトランプ大統領の弾劾追訴を大きく報じている日本のマスメディアのNHKニュースWEBと時事通信の記事をご紹介します。

             

            『NHKNEWSWEB 2019/12/14 04:11 トランプ大統領の弾劾追訴議案を可決 米下院司法委

             アメリカのウクライナ疑惑でトランプ大統領を弾劾追訴する決議案が、議会下院の司法委員会で野党民主党の賛成多数で可決しました。

             (中略)

             ウクライナ疑惑で議会下院の司法委員会は13日、民主党がまとめたトランプ大統領の弾劾追訴の決議案を採決し、賛成多数で可決しました。

             決議案は一般の刑事事件の起訴状にあたるもので、トランプ大統領がみずからの政治的利益のためにウクライナに圧力をかけた「権力乱用」と、議会による疑惑の調査を妨害した「議会妨害」を根拠に、「トランプ大統領は憲法への脅威だ」として、大統領罷免とあらゆる公的地位からの追放を求めています。

             11日から行われた審議では、トランプ大統領の不正は弾劾に値すると主張する民主党議員に対し、与党共和党の議員は不正の証拠が示されていないと反発していましたが、「権力乱用」と「議会妨害」のいずれの条項も賛成23票、反対17票の賛成多数で可決されました。

             決議案は来週にも下院の本会議で採決にかけられ、多数を占める民主党の議員の賛成で可決されるとみられ、これによりトランプ大統領は弾劾追訴される見通しです。

             司法委員会で弾劾追訴の決議案が可決されるのは、1860年代のジョンソン大統領、1970年代のニクソン大統領、1990年代のクリントン大統領に次いで4人目で、このうち可決後に辞任したニクソン大統領を除く2人は本会議を経て弾劾追訴されています。弾劾追訴の決議案は一般の刑事事件の起訴状に当たります。今回の決議案はトランプ大統領の「権力乱用」と「議会妨害」の2つを大きな柱としています。(後略)』

             

             

             

            『時事通信 2019/12/14 06:42 米下院、トランプ大統領を弾劾追訴へ 史上3人目、18日にも−ウクライナ疑惑

            【ワシントン時事】米下院司法委員会は13日、トランプ大統領のウクライナ疑惑をめぐる弾劾追訴状案を可決した。野党民主党が多数派の下院は18日にも本会議を開き、弾劾案を採決に付す方針。米史上3人目となる大統領弾劾追訴は確実な情勢だ。

             委員会で可決されたのは、政敵捜査をウクライナに求めた「権力乱用」と、疑惑調査を全面拒否した「議会妨害」。いずれの条項も民主党議員23人全員が賛成し、共和党議員17人全員が反対した。ナドラー委員長(民主)は可決後、「厳かで悲しい日だ」と語った。

             ロイター通信によると、下院は18日に本会議で弾劾案を討論し、同日中に採決される可能性がある。民主党の下院議席は233で過半数(216)を17上回っている。

             委員会での弾劾案可決は、近年では「ウォーターゲート事件」のニクソン氏、「不倫もみ消し疑惑」のクリントン氏の例がある。ニクソン氏は本会議を待たずに辞任。クリントン氏は謝罪している。』

             

             

             続いて、ブルームバーグの記事をご紹介します。

            『ブルームバーグ 2019/12/12 12:31 米上院共和党、トランプ大統領弾劾裁判を早期決着する方向に傾斜

             米共和党上院議員らによると、トランプ大統領の弾劾裁判を短期間で終わらせる方向で同党では早くも合意が形成されつつあり、証人からの聴取なしで同大統領を無罪放免にすることについて採決される可能性がある。
             ジョンソン上院議員(共和、ウィスコンシン州)は、民主党が過半数を握る下院での弾劾訴追が決まった後、トランプ大統領側の反論を聞いた上で速やかに弾劾条項について採決を行いたいという考えが上院共和党議員53人の中で増していると述べた。

             下院本会議は来週、トランプ大統領の罷免に向けて「権力乱用」と「議会妨害」の2つの弾劾条項について採決を行う見込みで、弾劾訴追が決まれば上院で来年1月上旬から中旬に弾劾裁判の審理が始まる

             ただ、コーニン上院議員(テキサス州)は、「票を確保できているなら採決しよう」というのがホワイトハウスへの助言だとコメント。トランプ氏に近いグラム上院司法委員長(サウスカロライナ州)も、多くの証人を召喚することには慎重姿勢で、「彼らが弾劾条項の可決に使ったものは何であれ、裁判の記録であるべきだ。そうすれば一からやり直す必要はない」と語った。

             共和党のマコネル上院院内総務は弾劾裁判を早期に決着させたいかどうか手の内を明かしていなかったが10日には、双方の主張を聞いて十分に聴取した場合は証人からの証言なしで、上院の過半数で裁判を決着させることができると述べた。

             

             

             以上、トランプ大統領の弾劾追訴について、記事を3つご紹介しました。

             

             このニュースについて過去に記事を書いたことがありますが、ウクライナ疑惑と呼ばれるトランプ氏がやってきたこと、それはそもそも弾劾に値するものなのでしょうか?

             

             いずれの記事も、トランプ大統領の弾劾の根拠は、「(大統領の)職権乱用」と「議会妨害」の2つをあげています。

             

             まず「職権乱用」についていえば、トランプ大統領はウクライナに対して米国が行う3億9000万ドル相当の軍事支援について、米国の議会が既に承認したにもかかわらず、トランプ大統領が勝手に停止したという立て付けになっています。そして「軍事支援を停止する」というカードを使って、ウクライナ政府を脅迫したとし、それも来年の大統領選挙で自分の都合のいいように職権を乱用したというものです。

             

             軍事支援を停止したことについては、トランプ大統領は確かに3億9000万ドルの軍事支援を一時的に止めました。しかしながらそれはあくまでもトランプ政権内部の話であって外部に公表されたものではありません。そのため、ウクライナ政府、ゼレンスキー大統領は、そもそも3億9000万ドルの米国の軍事支援について知らないですし、トランプ大統領はゼレンスキー大統領に対して軍事支援を停止するなどとは、ひとことも言っていません。

             

             ゼレンスキー大統領が、米国の軍事支援停止の事実を知らない以上、ゼレンスキー大統領を脅迫したというのは、どう考えても無理な立て付けで、理論がよくわからないあり得ない話であるといえます。

             

             これに対して民主党側は、何もしなければトランプ大統領の罪に加担することになるため、弾劾すると主張していますが、疑惑が存在しない以上、全く筋が通らない主張であると私は思います。

             

             次に「議会妨害」ですが、これはトランプ大統領が下院議会の議事を妨害しているという罪です。

             

             具体的には、米国の会員議会によって、トランプ大統領の弾劾調査が2カ月にわたって行われました。その下院の情報委員会がトランプ大統領に対して、文書の提出を命じる召喚状を出して証言して欲しい旨の要請をしたのですが、トランプ大統領はその要請に従いませんでした。トランプ大統領側からすれば、特段その要請に従う義務はありません。ところが、この従わなかったことが、トランプ大統領弾劾の議事進行を妨害したと民主党幹部は主張しています。

             

             またトランプ大統領は、他の証人に対して、具体的には欧州を担当している国務省の外務官のケント氏、ウクライナの代理で臨時に大使をしているテイラー氏らに対して脅迫したとし、これも議会の妨害であると主張しています。

             

             こうした主張をしている民主党に対して、私は本当に大丈夫だろうか?と思います。当然ながらトランプ大統領は12/10にツイッターで反論。トランプ大統領はウクライナのゼレンスキー大統領に圧力をかけたという主張はばかげていると主張。ウクライナのゼレンスキー大統領側も、ウクライナの外務省も圧力をかけられていないと何度も主張しています。

             

             民主党幹部は、それを承知しながら認めないということなのでしょうか?

             

             トランプ大統領の弾劾は、下院の司法委員会で採決され、弾劾追訴は決定となりましたが、現実的には最終的にトランプ大統領は弾劾されません。

             

             ロイター通信の記事で報じられている通りなのですが、仮に下院がトランプ大統領の弾劾を賛成多数で可決しても、2020年1月に上院で否決されることが目に見えているからです。

             

             上院が弾劾裁判をやるとするならば、上院で2/3以上の上院議員が弾劾に賛成しなければ、トランプ大統領を弾劾することはできません。

             

             そして上院議員は、過半数をトランプ大統領の与党の共和党議員が占めています。トランプ大統領を裏切って共和党の議員の中から造反して賛成する人がいない限り、トランプ大統領の弾劾はできないのです。

             

             トランプ大統領弾劾はさておき、民主党のナンシー・ペロシ氏は、トランプ大統領がNAFTAの改訂版であるUSMCAに合意したことを12/10(火)に発表しました。

             

             このUSMCA合意は、トランプ大統領に勝利を与えるものといえ、いわば敵に塩を送るようなものです。このNAFTAに代わる新USMCAは、アメリカ労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO=American Federation of Labor and Congress of Industrial Organizations)が支持を発表しています。

             

             通常、労働組合は自由貿易協定に反対することが多いのですが、USMCAは非常に内容が良いということで、労働組合が支持しているのです。

             

             そのため、民主党としては労働組合の票を失うことを恐れ、このタイミングでUSMCAに合意したことを言及したのでしょう。

             

             実際、USMCAは米国政府、メキシコ政府、カナダ政府の3か国が合意したNAFTAに代わる新たな自由貿易協定で、2018年10月に合意していました。

             

             ところが、ナンシー・ペロシ下院議長が1年以上引き延ばし、議会で批准しませんでした。本来、中身がいいというならば、すぐに批准すべきだったと思いますが、民主党は1年以上も引き延ばしていたのです。

             

             米国メディアでは、トランプ大統領の弾劾について、米国国民が民主党を非難していることを取り上げていますが、日本のメディアではあまり報じられていません。東洋経済社など、マイナーなメディアでは民主党を非難する論調もありますが、大手メディアはトランプ大統領の弾劾で、民主党のバイデンの方が疑惑があり、何の疑いもないトランプ大統領を弾劾することに対する非難の論調の記事は、少なくても私は見つけることができませんでした。

             

             今回、USMCA合意も、ウクライナ疑惑で民主党があまりにも不利な状況であり、かつUSMCAでは票の母体の労働組合が支持に回っていることから、民主党は是々非々で政治をやっているという印象を米国国民に与えたくて、USMCAの批准を決めたのかもしれません。

             

             

             というわけで今日は「トランプ弾劾の強行は来年の大統領選挙と下院選挙の民主党敗北につながる!」と題して論説しました。

             現実的にはトランプ大統領が弾劾を受けることはあり得ません。にもかかわらず民主党は弾劾をしようとしているので、私には理解ができないのですが、民主党は下院でトランプ大統領の弾劾追訴を実行に移しました。

             このことで米国国民は民主党に対して怒り、逆にトランプ政権にとって追い風となるでしょうし、USMCA合意にしてもトランプ政権の手柄ですので、来年迎える大統領選挙のトランプ再選、下院議会の選挙の共和党の勝利、この2つが見えてきたように思えます。
             トランプ大統領は、再選すれば所得税の減税をすることも視野に入れているため、米国国民ファーストでさらに米国国民が豊かになるでしょう。その一方で、相変わらず消費増税や医療費引き上げといった緊縮財政をやっている日本は、経済成長できず、日本の国際的地位はさらに低くなるでしょう。
             日本の政治家は、マスメディアの報道に惑わされないようにトランプ大統領の爪の垢でも煎じて飲んでいただきたいと私は思います。

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               今日は「安倍総理の”切れ目のない機動的かつ万全”の”万全”とは何に対する”万全”なのか?」と題して論説します。

               

               下記は時事通信の記事です。

              『時事通信 2019/11/27 21:03 安倍首相、景気下支えに「万全の運営」 建設国債の使途拡大論―諮問会議

               政府は27日、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)を開き、2020年度予算編成の基本方針の取りまとめに向けて議論した。米中貿易摩擦による海外経済の不透明感や消費税増税の影響で経済の下振れリスクが高まる中、首相は「切れ目のない、機動的かつ万全の経済財政運営を行う」と述べ、景気の下支えに全力を挙げる方針を確認した。
               会議では民間議員から、道路や港湾といった公共インフラ整備に使途が限られている建設国債について、「企業の生産性向上や人材投資」の財源に広げるよう求める意見が出た。終了後の会見で、西村康稔経済財政担当相は、「(発行ルールの見直しを議論する予定は)ない」と述べた。歳入を補う建設国債発行額は増加基調にあり、野放図な使途拡大は財政規律を一段と脅かす恐れがある。

               同日示した基本方針の原案には、長引く米中摩擦や10月の消費税率10%への引き上げ後の下振れリスクに備える必要性を明記。来月策定する新たな経済対策では、景気の下支えに加えて、東日本を中心に襲った台風や記録的豪雨の被災状況を踏まえた防災機能の強化に対応。来年の東京五輪・パラリンピック後を見据えた景気維持策も柱に19年度補正と20年度当初を「15カ月予算」として一体的に編成する考えで、原案にこれらが盛り込まれた。』

               

               上記の通り、政府は経済財政諮問会議において、2020年度の予算編成の基本方針の原案を示しました。2019年度の補正予算と一体的に編成する15カ月予算で、自然災害からの復旧、景気減速リスクなどに対応するとのこと。安倍総理は「切れ目のない機動的かつ万全の経済・財政運営を行う」と強調しました、

               

               安倍総理は”万全”という言葉を使っていますが、いったい何に対する”万全”なのでしょうか?

               

               万全とは何か懸念するリスクに対して使う言葉であり、消費増税による悪影響を懸念していることなのでしょうか?

               

               もしそうであれば、消費増税の悪影響に対する対策を”万全”にやるということでしょう。”万全”というのは”完璧”という意味でもあるため、景気の下振れゼロということを意味します。だから”万全”が何に対する”万全”か?といえば、経済対策を”万全”にやるということに他なりません。

               

               とはいえ、どうせ”万全”ではないでしょう。なぜならば既に景気は下振れしています。安倍総理の”万全”には、”万全を目指して”ということなのか?いい加減で軽々しい発言で空虚です。

               

               なぜならば2020年度予算の最大の焦点は、予算総額の3分の1を占める社会保障関係費とされ、概算要求の段階で高齢化による自然増5,300億円を見込んでいるのに、4,000億円余りにまで抑えられるか?が目安になっていると報じられている時点で、”万全”になっていません。

               

               1,300億円も削減すると言っている時点で、”万全”ではないのです。

               

               例えば、高齢者に対して、”政府にはお金がない”から社会保障関係費は削減するなど、万全ではありません。国家の予算は歳出規模約100兆円であり、1,300億円程度なら出せばいいのにと私は思います。

               

               ”政府にお金はない”という発想は、スペンディング・ファーストを理解していない愚者の発想。基本方針では社会保障全般にわたる持続可能な改革を進めると報じられていますが、改革とは何なのでしょうか?支出を削減することなのでしょうか?支出削減=生産削減=所得削減となって経済縮小になることを理解しているのでしょうか?

               

               政府支出削減=生産削減=所得削減は、GDP3面等価の原則上、必ずそうなります。高齢者への給付は、一部貯金に回るものもあるでしょうが、消費に使ってくれれば内需拡大します。

               

               相次ぐ台風や記録的豪雨の被害受けて、防災減災対策の強化に向けた公共事業費の増額を求める声が与党内で強まっているともいわれていますが、こうした声が強まって何が悪いのでしょうか?

               

               借金が増えるから悪いのでしょうか?歯止めが利かないインフレになるからダメなのでしょうか?財政を膨張させると通貨が暴落するからダメなのでしょうか?

               

               こうした危惧は、すべて杞憂です。なぜならば、内国建て債務が増えることは何ら問題がなく、インフレ率抑制は支出のスピードを減速するとか消費増税などの選択肢はいくらでも存在し、対外純資産大国が300兆円超かつ収支黒字国の日本にとっては外貨を円に換える圧力が常にあるわけであって、恐れるに足らずというわけです。

               

               安倍総理が”万全”に対策するといっても、改革だの削減だの言われると空虚な軽々しい発言にしか聞こえず、私はそうした発言に対して本当に腹立たしく思うのです。

               

               

               というわけで今日は「安倍総理の”切れ目のない機動的かつ万全”の”万全”とは何に対する”万全”なのか?」と題して論説しました。

               

               

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                 今日は人民元の戦略に絡めて中国経済について論じたいと思います。

                 

                 中国人民元は、ずっと下落基調でした。下落していた理由として、1ドル=7元死守ということで、7元のラインを切って7元以上となると、大暴落につながる可能性があるかもしれません。

                 

                 中国の人民中央銀行は、人民元の下落を怖れており、為替介入で人民元の下落を抑制しています。今年1月に一旦、1ドル=7元のラインを切った場面がありましたが、これは米中貿易交渉がまとまらなかったという局面でした。そこを底に1ドル=6元台に上昇しています。(下記チャートを参照)

                 

                <対ドル人民元為替レートチャート>

                (出典:サーチナから引用)

                 

                 

                 上記のチャートを見ますと、暴落とまでは言いませんが、下落基調の人民元が7元を切るところまで回復しているのが、わかります。

                 

                 人民元の相場は、米中貿易交渉の協議とリンクしているといえます。貿易交渉がまとまらない方向に行けば人民元は弱くなり、貿易交渉がいい方向に行けば人民元は強くなるという相場になっているようにみえます。

                 

                 今年2019年8月のチャートを見ていただきたいのですが、2019年6月下旬に大阪でG20が開催され、トランプ大統領は習近平主席と貿易交渉で合意をしたのですが、中国側に合意を破棄されて決裂しました。

                 

                 決裂後、8/1にトランプ大統領は関税引き上げをツイッターで発表。人民元は一気に下落しました。

                 

                 ところが2019年10月の人民元相場は、米中貿易交渉がいい方向に向かっているとの思惑で、人民元が上昇し始めました。

                 

                 それでも11/05に中国の人民中央銀行は、主要金利を引き下げました。ずっと弱かった人民元が上昇し始めても利下げをしているのは、人民元高は中国経済にとって良くないことと判断したからではないかと考えられます。

                 

                 中国経済がものすごい悪いため、外需に依存する構造上、人民元高は景気を失速させるという判断があったものと私は思っています。

                 

                 人民元は上がりすぎて困る状態もさることながら、下がりすぎても困る状態にあります。資産逃避(キャピタルフライト)が加速するからです。

                 

                 ゴールドマンサックス証券の推計によれば、2019年6月〜8月、香港からシンガポールのシティバンク、HSBCホールディングス、スタンダードチャータード銀行などの外貨預金口座に、40億ドルの資金が流入しているとのこと。

                 

                 これは香港からシンガポールへ資金が逃避しているということをを意味します。香港からシンガポールへと言えども、この資金の動きは香港人だけではなく、中国共産党幹部の資金も香港を通じてシンガポールに預け替えているものと推察できます。

                 

                 今、中国で起きていることとして、本当に経済がヤバい状態にあるということかもしれません。それを一番よく知っている中国共産党幹部の人らが、人民元のまま国内で持っていたら危ないということで、先を見越してシンガポールに資金を移しているのではないでしょうか?

                 

                 第2のリーマンショックが発生するとすれば、中国発ではないか?という声も多いですが、世界が懸念している中国経済の崩壊は、金融破綻から始まるのでは?ということで、今後も中国の動向には注視したいと思います。

                 

                 

                 というわけで今日は「人民元の行方と中国経済の崩壊について」と題して論説しました。


                設備投資を促そうとするならば研究開発費減税の厳格化ではなく法人税率の引き上げをやればいい!

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                  JUGEMテーマ:年金/財政

                   

                   

                   今日は「設備投資を促そうとするならば研究開発費減税の厳格化ではなく法人税率の引き上げをやればいい!」と題して論説します。

                   

                   与党の税制調査会で、令和2年の税制改正で、研究開発費減税を厳格化する運営とする方向にする旨が協議されたことが報じられました。

                   

                   下記は産経新聞の記事です。

                  『産経新聞 2019/11/26 20:39 法人税優遇の適用厳格化 政府検討 企業に投資促す

                   研究開発費に応じて企業の法人税の納税額を軽くする「研究開発税制」について、政府・与党が、適用条件を厳しくすることを検討していることが26日、分かった。設備投資額を減価償却費の1割超としている基準を引き上げ、投資に消極的な企業には実質的な増税とする。令和2年度の税制改正では、企業のM&A(合併・買収)を促す減税措置が焦点となっており、「アメ」と「ムチ」を組み合わせて、企業の積極的な投資を引き出す。

                   与党の税制調査会で協議し、2年度の与党税制改正大綱に反映させる方針だが、与党税調の幹部の中には、業績が悪化している企業が増えていることなどから「生産性の低下につながりかねない」との声もあり、今後、詳細を詰める。

                   研究開発税制の優遇を受けるには、従業員の賃上げや国内への設備投資額で一定の条件を満たす必要がある。だが設備投資の基準は低く、大半の企業がクリアできることから、見直しの必要性を指摘する声が上がっていた。一方、多額の投資をすることで恩恵を受けている企業も多く、設備投資額の基準を大幅に引き上げた場合、経済界の反発も強まりそうだ。』

                   

                   上記産経新聞の記事の通り、研究開発費減税の適用を厳格化するとのこと。政府の目的は企業に投資を促すこととしています。

                   

                   具体的には、現行の設備投資額を減価償却費の1割超としている基準を引き上げ、投資に消極的な企業に実質的な増税をしようということなのですが・・・。

                   

                   はっきり言います。企業に設備投資を促すのであれば、法人税率を引き上げればいいのです。

                   

                   消費税が消費に対する罰則課税であり、消費すればするほど課税されるという消費を抑制することが目的であるのが消費税であり、高インフレなどでインフレ率を抑制したい場合などに有効です。

                   

                   それに対して法人税は、利益に対する罰則課税であり、利益を出すくらいならば、研究開発費などの投資は言うまでもなく、人件費やその他経費をたくさん使ってください!ということなので、投資と消費が増えます。

                   

                   企業すべてに法人税率の引き上げを行ったうえで、研究開発費減税を厳格化するならば、まだ理があります。本当に投資をしない内部留保ばかり貯め込む企業に対しては、たくさん増税をすればいいのです。

                   

                   儲かった利益を研究開発費に回さなかった企業は増税になるとなれば、例えば利益のうち1割でも投資すれば減税、2割投資すればさらに減税、3割投資すればさらに減税・・・となります。

                   

                   にもかかわらず、法人税率はそのままで、研究開発費減税を厳格化するとなれば、研究開発は進まなくなるだけではなく、投資が進まなくなるので、デフレ促進(経済成長を抑制)します。

                   

                   デフレ脱却を掲げている安倍政権ですが、どうもやっていることはデフレを本気で脱却させようとは思っていないのでは?と疑わざるを得ません。供給力強化、国力強化につながらず、ただカネカネカネとやって率先して政府が緊縮財政をやり、企業にも内部留保を高めて筋肉質な財務体質を・・・などというのは、資本主義の否定に他ならず、研究開発費が減少すれば、企業の競争力はむしろ低下するだけです。

                   

                   株式投資の自己資本比率を高めるなどという言説もまた資本主義を否定しているに他ならず、インフレになれば他人資本を入れて投資をして、成果が出ればROEが上昇するとなるわけですが、どうもこうした思考回路にならない日本人が多いと思われ、デフレ脱却を困難にしているのでしょう。

                   

                   

                   というわけで今日は「設備投資を促そうとするならば研究開発費減税の厳格化ではなく法人税率の引き上げをやればいい!」と題して論説しました。

                   表題とはテーマが異なりますが、資本金が1億超の大企業の交際費減税措置は、2019年度末に廃止にする方向であることも報じられています。これは例えば銀座の繁華街や、祇園の繁華街など、困る人がたくさんいるはずです。

                   研究開発費減税の厳格化も、交際費減税措置廃止にしても、内需拡大どころか内需を縮小させるデフレ促進策ばかりであり、日本の未来は暗いものとなっていくことでしょう。

                   残念ながら安倍政権が長く続けば続くほど、少しずつ日本がダメになっていく、そう思わざるを得ないのですが、だからといって、他の人が総理大臣をやっても同じことでしょう。

                   多くの人々が経済についての正しい知見を持つこと、これ以外に政策転換することは難しいと私は思っています。


                  消費税15%を提唱するIMFよ!お前はIMFではない!IMFの名を借りた財務省職員だ!

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                    JUGEMテーマ:年金/財政

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                    JUGEMテーマ:消費税

                     

                     今日は「消費税15%を提唱するIMFよ!お前はIMFではない!IMFの名を借りた財務省職員だ!」と題して論説します。

                     

                     IMF国際通貨基金は日本経済に対して、定期的に行っている分析を踏まえた報告書を公表しました。それによれば、医療や介護などで増える社会保障費を賄うため、2030年までに消費税率を15%引き上げる必要があるとしています。

                     

                     IMFは日本の財政に関して債務持続性を維持するための長期的な計画が欠けているとしている。その上で、増大する社会保障費を賄い、債務持続性のリスクを引き下げるためには、消費税率を少なくても15%まで段階的に引き上げるべきだ!とIMFは主張しています。

                     

                     このIMFの提唱に対して、インターネットなどで不満の声があがっています。下記はテレ朝Newsの記事です。

                    『テレ朝News 2019/11/26 IMF「消費税を15%に」提言 ネットに“違和感”も

                     増税したばかりということもあってか、不満の声が上がっています。
                     先月、消費税率を10%に引き上げた日本。家計の負担が気になるなか、来日していたIMF(国際通貨基金)専務理事のこの発言が波紋を広げています。
                     IMF・ゲオルギエワ専務理事:「IMFの見解としては徐々に消費税率を引き上げることが有効だと考えています」
                    IMFは消費税率を2030年までに15%、さらに2050年までには20%まで段階的に引き上げる必要があると提言したのです。これに対し、ネット上では反発の声が上がっています。

                     消費税率を引き上げたばかりのこの時期にIMFの増税の提言に違和感を持つ人も多いようです。そもそもIMFとは加盟する約190カ国の貿易の促進や国民所得の増大などを目指す機関で、国際通貨制度の番人として1944年に設立されました。消費税率を段階的に引き上げる理由としてIMFは、日本の高齢化を挙げ、働き手が減る一方で、年金や医療費などが増え続け、国の財政運営が厳しくなると指摘しています。それにしても、なぜ日本へここまで具体的に提言するのでしょうか。
                     第一生命経済研究所・永濱利廣首席エコノミスト:「IMFというのは、日本の財務省からも職員が出向しています。政策提言的な部分は各国の財務省の意向が色濃く反映されているのが特徴。ある意味、直接、自国の国民に言いにくい耳の痛い話をIMFという外的機関を使って発言することはよくあることです」

                     

                     上記の記事の通り、IMFのゲオルギエワ専務理事が「IMFの見解として徐々に消費税率を引き上げることが有効だ!」と述べていることを報じています。

                     

                     いかにも権威あるIMFの専務理事が発言しているのだから、「消費税率を引き上げることは正しい!」と思いきや、この発言はIMF専務理事の発言ではありません。

                     

                     IMFの名を借りた財務省の連中どもが「消費税率を引き上げることが有効だ!」と述べているのです。

                     

                     第一生命経済研究所の永濱氏も述べていますが、IMFは日本の財務省職員が出向して、政策提言的な部分は、各国の財務省の意向が色濃く反映されているのが特徴なのです。

                     

                     ある意味、直接自国の国民に発言しにくい耳の痛い話を、IMFという外的機関を使って発言するのです。いかにも権威ある国際機関がそう言っているとして、消費税率引き上げの正当性を主張するのが、彼ら財務省職員らの手口です。

                     

                     消費増税15%とか、今の日本経済をさらに崩壊させるだけの話であり、消費税率10%ですら、理がありません。デフレ脱却しない限り、消費税率の引き上げは無理な話。というより消費税率引き上げはインフレ対策であって、未だ日本はデフレであるということも忘れてはなりません。

                     

                     デフレさえ脱却して、インフレ率が10%とかにでもなれば、消費税率15%も選択肢としてあり得ます。

                     

                     消費税は景気を冷やすものであり、景気が過熱した場合は、加熱した景気を覚ます意味で消費増税も選択肢の一つとしてあり得るのですが、今はデフレであるため、あり得ないのです。

                     

                     IMFの名を借りているため、いかにも権威あるIMFが提言しているようにみえますが、実際は日本の財務省職員が勝手に消費税率15%などとほざいているだけです。

                     

                     

                     というわけで今日は「消費税15%を提唱するIMFよ!お前はIMFではない!IMFの名を借りた財務省職員だ!」と題して論説しました。

                     

                     

                    〜関連記事〜

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                    〜関連記事(財務省関連)〜

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                    財務省が正当化する緊縮財政とデフレの真因(自組織防衛のために偽装公文書作成する財務省)

                    森友学園問題!日本国を亡ぼす財務省の人事評価制度に鉄槌を!

                    財務省に電話して「”財政破綻の定義”って何ですか?」と聞いてみましょう!(財務省職員は絶対に財政破綻の定義について答えられません!)

                    財務省職員の人事評価制度について(増税できた人を評価するのではなく、GDPを増やした人を評価すべき)

                    いわゆる国の借金の返済のために、ただ取るだけ!財務省の緊縮財政の発想が日本を亡ぼす!

                    財務省の緊縮財政発想が日本の医療介護サービスを崩壊させる!

                    財務省が2018年度に医療・介護費削減する理由

                    日本人にとって、国内における真の敵は財務省の職員?


                    ”景気は底堅い”と嘘八百を言い続けて失政により貧困化している事実に目を背ける安倍政権

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                       今日は「”景気は底堅い”と嘘八百を言い続けて失政により貧困化している事実に目を背ける安倍政権」と題して論説します。

                       

                       私は数年前から、日本が貧困化しているのでは?と思った事象があるのですが、それは若者が車を乗らなくなったこと、電車の車中や街中でディスプレイが割れたスマートフォーンを使っている若者をよく見かけること、この2つです。これらを見るたびに、日本の貧困化が進んでいるのでは?と思うようになりました。

                       

                       皆さんはどう思われるでしょうか?

                       

                       よく有識者とか呼ばれている人ら、「最近の若者はゲームばかりで車に興味を持たない」と偉そうに発言をする人がいます。若者は車に興味を持たないのではなく、お金がないから車が買えないということを、彼らは微塵にも思ったことはないのではないでしょうか?

                       

                       特に都内に住む学生らからみれば、地下鉄や鉄道網のインフラが世界で比較してもずば抜けて整っていることもあり、別に車を必要と感じないと思う学生が多いということもあるかもしれません。

                       

                       しかしながら、そこにはお金の問題が絡んでいることは明白ではないでしょうか。

                       

                       免許証を取得するには20万円以上かかり、さらに車を持とうと思えば、駐車場代や税金や保険など、相当の出費が発生します。

                       

                       バブルを経験した世代や、バブル崩壊後も1997年の構造改革基本法制定による緊縮財政が始まるまで、日本が経済成長していた時代に社会人経験をし始めた人ら、貧困化した日本という事実を知らない人も多いのではと私は思います。

                       

                       下記の表とグラフは、平成13年度末と平成29年度末で、免許証の取得者数の推移を示したものです。

                       

                      <年齢区分別 運転免許証取得者数の推移>

                      (出典:警察庁の免許証取得者数と、総務省の人口統計から引用)

                       

                       

                       上記折れ線グラフを見ていただきたいのですが、若年層の人口減少という状況はあるものの、取得者数の割合が減少している点に注目していただきたく思います。

                       

                       20歳〜24歳 82.9%→75.8%

                       25歳〜29歳 92.1%→87.9%

                       

                       20代の数字を見てわかることは、人口減少のスピード以上に免許証取得者数減少のスピードの方が多いため、割合が減少しているのです。

                       

                       他にも実際に貧困化を示す指標は、いくつもあります。

                       

                       下記はカオナビというサイトから数字を引用したものです。

                       

                       企業が労働者に支払った給与総額

                       1999年:217兆円 → 2009年:192兆円(▲25兆円)

                       

                       労働者の平均年収

                       1999年:461万円 → 2009年:406万円(▲55万円)

                       

                       正社員採用数

                       2000年:74.0% → 2010年:65.6%(▲14.4%)

                       

                       

                       また国士舘大学の小浜逸郎教授によれば、2015年度のOECD加盟国34か国中、日本の相対的貧困率は29位であることに加え、1995年には世帯収入の中央値が550万円のところが、2017年には423万円にまで減少。金融資産ゼロの世帯は3割を超えています。

                       

                      <貯蓄ゼロ世帯割合(%)>

                      (出典:山本太郎事務所から引用)

                       

                       上記の通り、貯蓄ゼロ世帯の割合も2012年→2017年で、大幅に増加しています。

                       

                       決して安倍政権だけが悪いとはいいませんが、1997年の構造改革基本法以降、デフレを放置してきたのは事実であり、特に安倍政権になって以降は、2013年度を除いて、緊縮財政による実質賃金と実質消費の下落により、貯蓄ゼロ世帯の割合の増加したと言えるのではないでしょうか?

                       

                      <2015年の実質賃金を100として指数化した実質賃金指数の推移>

                      (出典:厚労省のホームページの毎月勤労統計の資料の数値を引用)

                       

                       

                       

                       少なくても安倍政権が目標に掲げる物価目標2%は達成されず、デフレが続いているということは、消費者物価指数の推移(下記グラフ)を見ても明らかです

                       

                      <消費者物価指数(コアCPI、コアコアCPI)の推移>

                      (出典:総務省のホームページ「e-slat」から引用)

                       

                       またデフレ放置に加え、労働市場の流動化と称して非正規雇用を増やすことができる、経営的には損益分岐点を左下にシフトできる規制緩和が、派遣業法改正以降ずっと続けられてきたこともあり、職を失う人、職に就けない日本人が続出。仮に職に就いたとしても低年収の人、あるいは非正規社員という雇用が不安定な人が増加していて、今もなお現在進行中の状況です。

                       

                       非正規雇用では、雇用期間が最長でも1年と不安定なうえに、社会保険が不十分であったりします。2018年4月に規制が強化されて、無期転換ルールが開始されたものの、無期転換ルール開始前に企業から労働契約を打ち切られる「雇い止め」が増加して、生活に困窮している労働者も増加しました。

                       

                      <年収200万円以下のワーキングプアと呼ばれる層の推移>

                       

                      (出典:国税庁の民間給与実態統計調査の1年を通じて勤務した給与所得者について集計したもの)

                       

                       

                       ワーキングプアと呼ばれる層は、安倍政権になってからも1,100万人超を推移し続けています。

                       

                       私は公務員を増やすべきだ!という立場で論説することも多いのですが、実は公務員にも非正規雇用が増えています。小浜逸郎氏(前述)によれば、地方公務員では11年間で非正規雇用の公務員が4割増加し、全体の3分の1を占めるとのこと。しかも正規雇用の地方公務員の平均年収が660万円のところ、非正規雇用の地方公務員は207万円程度ということで、ワーキングプアすれすれの状況で彼らにはボーナスもなければ昇給もないとのこと。それだけにとどまらず、産休や看護休暇や交通費すら認めないとする自治体もあるようです。

                       

                       これでは地方経済が疲弊するのは、もはや当然の帰結と言えるでしょう。その象徴として、今年10月1日の消費増税を目前の9/30までに閉店した百貨店は10店舗以上あります。

                       

                       こうした中、国内の子どもの6人〜7人に1人が貧困状態にあるとされ、2012年から子ども食堂というのが全国で開設されています。

                       

                       下記は日本経済新聞の記事です。

                      『日本経済新聞 2019/06/27 10:14 子ども食堂1.6倍に 3700カ所、6校に1つ     

                       子供に無料か低額で食事を提供する「子ども食堂」が全国で3700カ所を超え、昨年比で1.6倍に増えたとの調査結果を支援団体が26日、公表した。どれだけ普及しているかを表す指標として、小学校数に対する食堂数の割合(充足率)も算出。都道府県平均は17.3%で、小学校6校に食堂が1カ所ある計算となった。最も高い沖縄(60.5%)と最も低い秋田(5.5%)では大きな開きがあり、地域差も明らかになった。

                       子ども食堂は地域のボランティアらが運営。低所得や親の帰宅が遅い家庭の子供向けに2012年ごろ始まり、全国に広がったとされる。住民の交流拠点としての役割を果たすことも多い。

                       調査はNPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」(東京)と全国のこども食堂地域ネットワークが実施。都道府県ごとに今年5月までの状況を集計した。

                       食堂数は3718カ所を確認。秋田を除く46都道府県で、昨年の調査から計1400カ所以上増えた。最も多かったのは東京の488カ所で、大阪336カ所、神奈川253カ所が続いた。最も少なかったのは秋田の11カ所。全国の年間利用者数は推計で延べ約160万人。

                      全ての子供が利用しやすくするには、小学校区単位で食堂があることが望ましいとして、小学校数に対する充足率も算出。高い順に沖縄60.5%、滋賀52.5%、東京36.6%だった。低かったのは秋田5.5%、青森5.6%、長崎7.0%の順だった。

                       むすびえの湯浅誠理事長は「子ども食堂には貧困家庭の子供だけが食事する場所との誤解があるが、交流拠点としても機能している。地域の女性を中心に関心は高く、取り組みやすい雰囲気が出てきたことで、増えたと思う」としている。』

                       

                       

                       これだけ貧困化が進んでいる指標や記事が出回っているにもかかわらず、内閣府は「景気は底堅い」などと発表をしていて、マスコミも”いざなぎ越え”と好景気であることを報じています。

                       

                      <主要国のGDP伸び率>

                      (出典:世界経済のネタ帳から引用)

                       

                       1996年と2016年のGDP成長率でみれば、ケチケチのドイツですら1.4倍になっているにもかかわらず、日本だけが1.0倍と10年間足踏み状態。先進国の米国ですら2.3倍で、トランプ政権になってからは経済はさらに絶好調で、実質賃金は年率換算で2.8%増です。

                       

                       1995年には、世界のGDPに占める日本のシェアは17%に達していたのですが、現在は2018年には6%以下に落ち込んでいます。

                       

                       内閣府に限らず政府関係者や、経済学者やエコノミストやアナリストら、国会議員らも含め、これらの指標は誰でも見ることができます。

                       

                       にもかかわらず、そうした有識者と呼ばれる連中は、東京の場合は「銀座は人が大勢いる」とか「渋谷は活気がある」など、沖縄でいえば「国際通りは人が大勢溢れている」、大阪でいえば「インバウンドが絶好調」などといって「日本は景気が良い」という認識でいるので、あまりにもアホらしくなるのです。

                       

                       私は都内に住みますが、今年ゴールデンウィークに訪れた欧州視察で、ロンドンの物価、パリの物価が高かったことに驚きました。何しろ屋台で売っているホットドッグは、3.5英国ポンド(日本円で約500円)、500㎖ペットボトルのペプシコーラが3.4€(日本円で約419円)と物価が高く、私は日本が経済成長していないということを実感しました。

                       

                       日本国内の一部の都市だけをみて、あるいは都内に住む人は、日本の貧困化というのがピンと来ないかもしれませんが、恐るべきスピードで貧困化が進んでいるという実態は、誰もがいろんな指標を通じて知ることができるのです。

                       

                       

                       というわけで今日は「”景気は底堅い”と嘘八百を言い続けて失政により貧困化している事実に目を背ける安倍政権」と題して論説しました。

                       

                       

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