トランプ大統領の中国製品の関税25%引き上げの真の狙いは何か?

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     先週の株式市場は、米中貿易戦争について報じられて日本の株式市場も大きく下落しました。そこで今日は日本の株式市場下落のきっかけとなった5/5に発したトランプ大統領のツイッターについて取り上げ、「トランプ大統領の中国製品の関税25%引き上げの真の狙いは何か?」と題して論説します。

     

     下記は日本経済新聞の記事です。

    『日本経済新聞 2019/05/06 01:26 トランプ氏、対中関税25%に上げ表明 最終盤で威嚇か

    【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は5日、中国の知的財産権侵害などを理由に2000億ドル分の同国製品に課す関税を、10日から現在の10%から25%に引き上げると表明した。米中は2018年12月から貿易協議を開いて打開策を探ってきたが「交渉が遅すぎる」として制裁強化に転じる構えだ。最終協議を前にした威嚇との見方もあるが、米中の貿易戦争が一段と激化する懸念がある。

     トランプ氏はツイッターで「中国は2000億ドル分の製品に10%の関税を支払っているが、金曜日(10日)に25%に上がる。中国の協議は遅すぎる!」と表明した。関税を課していない3250億ドル分の中国製品にも「速やかに25%の関税を課す」と主張した。

     米中は18年12月以降、閣僚級協議を開いて関税引き下げなどの条件を交渉しており、8日から中国の劉鶴副首相がワシントン入りして再会談する予定になっている。トランプ氏が制裁強化を突如表明したのは、中国に一段の譲歩を求める「脅し」との見方がある。クドロー国家経済会議(NEC)委員長は5日のテレビ番組で、トランプ氏の表明を受けて「大統領は警告を発している」と述べた。ただ、中国が態度を硬化させて早期打開が遠のく可能性がある。

     トランプ氏はこれまで「対中交渉は順調に進展しており、素晴らしい合意ができる」と繰り返し主張してきた。そのため金融市場はダウ工業株30種平均が史上最高値に近づくなど、米中の貿易戦争が早期に打開に向かうとの期待を強めていた。トランプ氏の対中関税の引き上げ表明は、金融資本市場の世界的な失望を招く可能性がある。

     米中は18年12月の首脳会談で貿易協議の開始を決定し、19年3月1日を期限に打開策を探った。トランプ氏は2月末に「合意に近づいた」として関税引き上げの先延ばしを表明。両国は再び4月中の最終決着を目指して詰めの協議を続けてきた。

    中国は液化天然ガス(LNG)など米国製品の輸入拡大策をトランプ政権に示し、3月の全国人民代表大会(全人代)では外資の技術移転強要を禁じる「外商取引法」も成立させた。中国の産業政策の抜本転換を求めてきた米国も「大きな進展があった」(米通商代表部のライトハイザー代表)と評価してきた。

     ただ、トランプ氏は3月下旬に「関税をかなりの期間、据え置く」と述べ、計2500億ドル分の中国製品に課す制裁関税の全面解除を否定した。「中国は産業補助金の撤廃策を小出しにし始めた」(米経済団体幹部)ほか、中国が合意に違反したと判断すれば制裁関税を再発動する「罰則条項」などでも対立が残り、交渉は当初の期限から2カ月も延びていた。

     両国はトランプ氏と習近平(シー・ジンピン)国家主席との首脳会談を開いて最終決着を目指すとしてきた。早期打開のメドが立たなくなれば、国際的なサプライチェーン(供給網)や金融資本市場の混乱が強まり、世界景気の大きな下押し要因になる。』

     

     

     上記日本経済新聞の記事の通り、トランプ大統領が5/5にツイッターで「中国の関税を10%→25%に引き上げる」と表明しました。このニュースを受け、5/6のニューヨークダウが一時、最安値で前日終値比で470ドルほど暴落しました。

     

    【ニューヨークダウ】

    <2019/05/03(金)>

    終値:26,504.95ドル

     

    <2019/05/06(月)>

    始値:26,160.62ドル(▲344.33ドル)

    高値:26,476.27ドル(▲28.68ドル)

    安値:26,033.95ドル(▲471.00ドル)

    終値:26,438,48ドル(▲66.47ドル)

    ※カッコは前日の終値比

     

    【日経平均】

    <2019/04/26(金)>

    終値:22,258.73円

     

    <2019/05/07(火)>

    始値:22,184.40円(▲74.33円)

    高値:22,190.49円(▲68.24円)

    安値:21,875.11円(▲383.62円)

    終値:21,923.72円(▲335.01円)

    ※カッコは前日の終値比

     

     

     まず日本経済新聞の記事の見出しで違和感があるのは、”威嚇か?”という表現を使っていることです。確かに威嚇といえば威嚇かもしれませんが、一段の譲歩を求める脅しという見方があると報じており、明らかに日本経済新聞の記事は、トランプ大統領が中国を威嚇したり脅したりして、思い付きで突然関税の引き上げを表明した悪い奴!という印象操作にみえます。

     

     トランプ大統領こそが妥協しないから世界経済にとって大変な悪影響が出る!とか、トランプ大統領の関税引き上げは、今の不安定な世界経済にマイナス要因だ!とか、果たしてそれは本当に正しい見方なのでしょうか?

     

     事実として確かに5/6(火)の株式市場では、ニューヨークダウ、日経ダウの先物が大きく値下がりました。その後、引けにかけて戻し、終値では66.47ドル安で取引を終えています。

     一方で日本の5/7(火)の大型連休明けの株式市場は?といえば、日本株もかなり下げまして戻したものの、戻り幅は少ないです。

     

     米国の株式市場では、トランプの関税引き上げは交渉テクニックということで、日本のマスコミが報じるような思い付きのやり方でめちゃくちゃをやっているというのではなく、評価する方向に変わってきているのではないか?と考えられます。

     

     なぜトランプ大統領は関税引き上げをツイッターで言い始めたのでしょうか?

     

     米中貿易交渉は、長期間にわたっているものの秘密交渉で中がどうなっているのか?あまり報じられていません。しかしながら、5/6付の日本経済新聞の記事にも報じられていますが、トランプ大統領自身は、中国との交渉が非常にうまくいっていると言っていたようです。

     

     ところがそれを中国側が米国と合意した内容を突然ひっくり返したとされています。特に米国が問題視している「中国が知的財産権を盗んでいる」ことです。

     

     中国に進出する企業は、強制的に自国の技術、自社の技術や知的財産を中国に開示しなければならないという法律があります。その法律に従わなければならないため、米国企業は強制的に自ら技術を開示しなければならず、これが知的財産を盗むということに該当すると、トランプ大統領は主張しています。

     

     トランプ大統領は中国と長い交渉で、中国側が米国の言い分を受けて、強制的な技術移転(米国が技術を開示しなければならない義務)を辞めるため、法律改正をすることを合意していました。ところが中国は直前になって法改正を拒否し、法律改正はしないと言ってきたので問題になったのです。

     

     中国と交渉をしていた人は、米国のUSTR代表(通商代表)でライトハイザーという担当官でした。このライトハイザーが中国の法改正はしないという突然の変化をトランプ大統領に報告したところ、トランプ大統領が激怒して関税引き上げをツイートしたというのが真実でしょう。

     

     というのも5/7のブルームバーグの記事によれば、中国側の法改正約束の姿勢が変わったのは4/28〜5/4の週だったと、ライトハイザーUSTR代表とムニューシン長官が5/6に述べたと報じています。

     

     要は中国側が既に米国と合意した内容をひっくり返して再交渉を持ち込もうとしたので、米国側が切れたというのが事実だと考えられます。

     

     では、そもそもトランプ大統領が米中貿易戦争と呼ばれる関税引き上げをやる真の狙いは何なのでしょうか?

     

     もちろん米国の貿易赤字を削減したいという思いもあるかと思いますが、単にそれだけはないです。もともと米国は、中国を安全保障上の脅威ということで5G技術の最新技術を握られることを嫌い、中国勢を米国から駆逐しようとしています。2018年3月には、半導体メーカーのブロードコムが米国のクアルコムを買収しようとした際、大統領令で破談に追い込みました。そうしたことなどを踏まえますと、米国の明確な狙いは、主に2点あると考えられます。

     

    ●中国の軍事拡大を止めること

    ●中国に世界の技術覇権を取らせないこと

     

     中国は貿易で儲けた外貨を貯め込み、その外貨を使って軍事拡大をしてきました。中国の軍事的な脅威を止めようとするならば、「軍事拡大を辞めろ!」というだけでは強制的に辞めさせることはできません。

     

     そのため貿易黒字を貿易赤字にしようとするならば、関税を引き上げればいいということで、トランプ大統領が使ったカードは関税の引き上げです。

     

     この関税の引き上げは、当初から批判が多く、自由貿易の時代に保護貿易に戻るのか?という論説が大半を占めていました。トランプ大統領が関税を使う真の狙いは、こうした対中国対策で中国の軍事拡大を止めることにあるといえるでしょう。

     

     中国は一帯一路や中国製造2025などを通じて、技術覇権を取ろうとしてきたわけですが、すべてが軍事目的です。その糧となっている貿易黒字を関税引き上げによってぶっ飛ばすことができれば、年間20兆円ともいわれている膨大な軍事費を削減することができます。トランプ大統領はそれを狙っていると思われます。

     

     中国側としては、貿易黒字が吹っ飛ぶこともさることながら、米国の技術が盗めなくなるということを恐れています。そして米国が貿易交渉で中国を法改正させる方向で追い込んでいたわけですが、中国側がギリギリのところで拒否してきたのです。

     

     にもかかわらずマスコミの報道は、中国は話し合う姿勢があって、トランプ大統領が”威嚇”と”脅し”で中国を屈させようとしているというような言説を広めようとしています。果たしてこの言説は、正しいでしょうか?私は一連の動きをみていて、トランプ大統領の関税引き上げを”威嚇”とか”脅し”という言葉を使うのは、間違っていると思います。

     

     

     

     というわけで今日は「トランプ大統領の中国製品の関税25%引き上げの真の狙いは何か?」と題して論説しました。

     マスコミはトランプ大統領の関税引き上げについて、米中貿易戦争とか世界景気が冷え込むなど、経済分野を大きく取り上げて報じています。確かに経済の問題もあるのですが、より重要なのは世界の安全保障の問題です。

     世界の安全保障の問題で、世界的な脅威になっているのは中国の軍事拡大です。これを米国が止めようとしている、そのために関税という武器を使っている。この意味を私たち日本人も知る必要があるものと、私は思うのです。 

     

     

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