”合わせ技”リーマンショック

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     長期間記事の掲載をお休みしてしまい、皆様にご心配おかけしました。今日からまた復活いたします。

     

     毎月勤労統計をめぐる不正調査問題は、最近の報道ではやや下火になっていますが、あえて毎月勤労統計の不正調査問題を取り上げながら、「”合わせ技”リーマンショック」と題して論説します。

     

     厚生労働省の不正統計問題により、アベノミクスの効果について疑いの目が向けられています。アベノミクスで賃金UPしたとされているのですが、数字が変わるとどうなるでしょうか?

     

     官僚の人らは、財務省による緊縮財政の足枷があるため、財政政策をやらずして「どうやってアベノミクスが成功したと報告しようか?」と考えていたものと思われます。

     

     普通に財政政策を一発かければ、賃金UP、コアコアCPI(生鮮食品・エネルギーの価格変動を除く消費者物価指数)、GDPデフレーターも上昇し、デフレギャップを埋めてすべての指標が上昇して経済成長に資することは誰でもわかっていることです。

     

     ところが、財務省の緊縮財政が原因で、財政政策は禁じ手とされています。

     

     首相官邸は、そうした中で安倍政権がアベノミクスを成功させたいということで、各省庁に忖度圧力がかかっていたのでしょう。何しろ、官邸は「ベースアップをやって欲しい!」「3%の賃金のベースアップを!」と官製春闘と呼ばれるものをやってきました。

     

     仮にもその意向に沿って3%の賃金が上昇すれば、アベノミクスの目標としては全くいいことではあるのです。

     

     しかしながら実際は、財務省の緊縮圧力がかかる中で、財政出動なしにプライマリーバランスを黒字化に改善する前提で、ベースアップ3%を達成するため、苦肉の策で「3%の賃金ベースアップをお願いします!」と頼んでいたというのが実態でしょう。

     

     政府は財政出動は一切やらず、それどころか支出削減の緊縮に励み、経団連に「賃金を上げて下さい!」とお願いする官邸に対し、経団連も「頑張ります!」とやってきたのですが、今年は、ついに経団連も「上げられません!」ということになってしまいました。

     

     3%賃金UPしたと報告したい人々らにしてみれば、3%上がったらいいなぁー!3%上げるためにはどうしたらいいだろう?と、しかも財政出動なしで・・・、と思っているときに不正に走るのでは?と私は思っています。

     

     彼もさすがにデータ操作までしようとまでは思わないでしょう。なぜならば明確な嘘つきになるという認識はあるでしょうから、そこまではしないでしょう。

     

     とはいえ、数値データを少しハンドリングしたら、具体的には賃金が上昇している事業所にサンプルを変更してみたら、「あれ?3%上がっている!」となり、「今までと同じ統計手法ではあるが、サンプルを少し変えただけで3%上がっている!」となったら、どうでしょうか?「このまま注釈でサンプル変更を示し、このデータをそのまま使い、黙っておこう!」と考えても不思議ではありません。

     

     心理的な話として、「忖度」には明確なウソを言わなくても、ウソであることを黙っておこうということで、都合がいいウソを放置するくらいの力はあります。

     

     実際に2018年7月に毎月勤労統計の調査が発表され、厚生労働省のホームページに掲載された賃金統計の推移は下記のとおりです。

     

    <厚労省が2018年8月に発表した7月の速報値>

    (出典:厚生労働省の毎月勤労統計調査の平成30年7月分結果速報から引用)

     

     上記グラフの通り、サンプル変更後(青色の折れ線グラフ)は毎月賃金がプラスになっている一方、サンプル変更前(灰色の折れ線グラフ)では6月にプラス0.5%となっている以外は、すべての月でマイナスです。

     

     そして当時2018年8月にマスコミはどう報じていたか?下記がその見出しです。

     

    ●『ロイター通信 2018/08/07 実質賃金、21年5か月ぶりの伸びに=6月の毎月勤労統計』

    ●『日本経済新聞 2018/08/22 6月の名目賃金確報値3.3%増、速報値から縮小 毎月勤労統計』

    ●『時事通信 2018/09/07 7月の実質賃金0.4%増=賃上げ広がる』

    ●『毎日新聞 2018/09/07 7月給与総額、前年比1.5%増 12か月連続プラス』

     

     このように新聞社各社は、アベノミクスによって賃金UPという成果が表れていると報じていました。

     

     これを消費増税を本当にやるのかやらないのか?という観点で考えた場合、どうでしょうか?

     

     具体的にいえば、2019年10月に予定されている消費増税UPに影響が出るでしょうか?出ないでしょうか?

     

     出るに決まっています。菅官房長官はリーマンショック級の事件が発生すれば、消費増税は延期すると言っており、よほどの事件がなく賃金UPが明確になっているとするならば、消費増税は予定通り実施するということです。

     

     ところが実際は賃金が伸び悩んでいるとなれば、判断に迷いが出るでしょう。

     

     また、そもそも菅官房長官がいうリーマンショック級の解釈には幅があります。

     

     一つは本当にリーマンショック的なものが発生するということなのですが、これは2019年9月までに発生する確率はゼロではなく100%発生するとも言えません。そのため、リーマンショック級の事件が一発というのではなく、「”合わせ技”リーマン」というのが、リーマンショック級という「級」の重要な概念になるものと考えられます。

     

     例えば「オリンピック特需の落ち込みで○○兆円マイナス」「年収1000万以上の残業代規制で○○兆円マイナス」「世界貿易のスロートレードで○○兆円マイナス」となり、「全部合わせると状況はリーマンショック級ですよ!」というのが、消費増税延期シナリオとして、一番確率の高いシナリオではないでしょうか?

     

     その時に重要なのは足元の賃金がどれだけUPしているか?GDPがどれだけの状況か?コアコアCPI、GDPデフレーターは?・・・と統計的に明らかにしたうえで、まだ○○兆円下がりそうだから・・・というシナリオを描くのが「リーマンショック級」という概念において一番あり得る話ではないかと思うのです。

     

     そこに思いっきり影響するのは統計の修正。毎月勤労統計の不正調査問題が発覚して以降、2019年1月23日付で厚労省はデータを修正しました。下記がその修正後の数値をグラフ化したものです。

     

    <図 Ъ村祖其盪愎堯癖神27年平均を基準とした場合)>

    (出典:厚生労働省ホームページの実質賃金指数のCSVファイル)

     

    <図◆Ъ村祖其盪愎堯2013年度平均を基準とした場合)>

    (出典:厚生労働省ホームページの実質賃金指数のCSVファイル)

     

     

     2014年の消費増税5%→8%実施以降、実質賃金は2013年度水準を回復していないのです。

     この状況で消費増税というのは、私から見れば論外中の論外としか言いようがありません。

     

     様々な直近の統計をみてみますと、日本はリーマンショックが発生せずとも、すでに”合わせ技”リーマンを喰らっていると認識するべきであると私は思います。

     

     

     というわけで今日は「”合わせ技”リーマンショック」と題して論説しました。

     

     

    〜関連記事〜

    不正統計で修正された毎月勤労統計の実質賃金指数からみる消費増税議論

    デフレ脳の象徴か?雇用保険追加給付の際の事務費も削減するという緊縮思考について!

     

     

     


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