不正統計で修正された毎月勤労統計の実質賃金指数からみる消費増税議論

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     今日は「不正統計で修正された毎月勤労統計の実質賃金指数からみる消費増税議論」と題して論説します。

     

     下記は産経新聞の記事です。

    『産経新聞 2019/01/24 11:17 3〜6月に追加支給 雇用保険など現受給者に 衆院厚労委で根本厚労相

     賃金や労働時間の動向を把握する厚生労働省の「毎月勤労統計」の調査が不適切だった問題で、衆院厚生労働委員会は24日午前、閉会中審査を開いた。問題発覚後初の国会論戦となる。

     根本匠(たくみ)厚労相は、過少支給が発生した雇用保険などに関し、現在支給を受けている人に対し「3月から順次6月までに、再計算した金額での支給を開始する」と表明した。雇用保険は3月中、労災保険、船員保険は4月中に追加支給を始める。

    支給が終わっている人に関しては、根本氏は現住所の把握などの作業が必要なことを挙げ「スケジュールの検討にしばらく時間をいただきたい」と述べた。

     根本氏は同委の冒頭「極めて遺憾であり、国民に迷惑をかけたことを深くおわび申し上げる」と述べた。自身の責任については「先頭に立って信頼回復に取り組んでいきたい」と述べた。

     この問題では厚労省による「組織的隠蔽(いんぺい)」の有無が論点になっている。厚労省の特別監察委員会の報告書によると、平成29年度に同省の政策統括官(当時)は担当室長(同)から従業員500人以上の事業所の東京都内分について「全数調査を行っていない」との報告を受けた際に「しかるべき手続きを踏んで修正すべきだ」と指示した。

     根本氏は「しかるべき手続き」の内容について「抽出調査として修正して(総務省の)統計委員会に届けて公表する、ということだと理解する」と述べた。』

     

     

     上記の通り、厚労省が公表する毎月勤労統計の不正調査問題に関連し、過少給付が発生している現在の受給者およそ80万人について、3月から再集計値を反映させた追加支給を開始する方針を決めたというニュースです。

     

     また、データ補正が可能な2012年〜2018年分を発表し、現金の給与総額は全ての月で修正される予定とのこと。そして2019/01/23に修正データが公表されました。

     

     下記は平成27年度の現金給与総額を100とした場合の、実質賃金指数を表にしたものです。

    <図 Ъ村祖其盪愎堯癖神27年平均を基準とした場合)>

    (出典:厚生労働省ホームページの実質賃金指数のCSVファイル)

     

     

     

     上記の資料は平成26年(2014年度)〜平成30年11月までの数値を公表しています。平成26年度は前年比▲2.8%とあるため、平成25年度、即ち2013年度の指数が逆算で算出できます。

     

     平成25年度(2013年度)の指数=100.9÷(1-0.028)≒103.8

     

     上記式により平成25年度(2013年度)の指数は103.8と算出できました。さらに2013年度平均を基準として、2013年から2017年度の期間の指数を並べて、グラフにしたものが下記の図△任后

     

    <図◆Ъ村祖其盪愎堯2013年度平均を基準とした場合)>

    (出典:厚生労働省ホームページの実質賃金指数のCSVファイル)

     

     

     図△離哀薀佞鮓てどう思われるでしょうか?消費増税8%以前の2013年を100とした場合、2014年度以降の実質賃金指数は2013年度水準を全く回復していません。というより、2013年から2014年にかけての落ち込みがひどいことが顕著です。

     

     なぜ2013年度から2014年度にかけての落ち込みがひどいのかといえば、もちろん理由は消費増税8%が原因です。

     

     どこの誰だったか?消費増税をしたとしても、増税実施した年度は消費が落ち込み、実質賃金も落ち込むが、翌年以降はV字回復するといったのは、どこの経済学者、アナリスト、エコノミスト、国会議員だ?と言いたい。

     

     消費増税しても翌年V字回復するなどとは全くのデタラメであることが、ご理解できるのではないでしょうか?図△寮泙貔グラフの通り、V字回復どころかL字のままであることが誰の目で見ても明らかです。

     

     これは偶然L字になったわけではありません。デフレ下で消費増税すれば、賃金が増えていないために消費を削減し、それがまた賃金下落を生じさせるということ自体、当然の帰結なのです。なぜならば誰だって毎月の給料が増えないのに、消費増税で強制的に物価が引き上がったモノ・サービスをより多く消費する人はほとんどいないからです。何が言いたいかといえば、消費増税8%に引き上げれば、必ず翌年消費は落ち込み、その後もずっと8%が続くのでL字で回復しないのは当然の帰結であるということです。

     

     図,任2014年度から2017年度に加え、2018年度についても1月〜11月の11か月の数値が並んでいます。現金給与総額、きまって支給する給与で、平均93.9、平均99.8となります。消費増税の影響で大きく前年よりも落ち込んだ2014年度からさらに割り込み、その数値ですら2018年度は及ばないというひどい有様です。

     

     この状況でも消費増税10%をやるなどとは正気の沙汰とは思えず論外ですし、消費増税10%をやるかやらないか?という議論があること自体、眠い話としか言いようがありません。

     

     いずれにしても安倍政権は毎月勤労統計を含む賃金統計の動向も含め、経済政策の有効性をこれまで主張してきましたが、その根拠の信頼性が揺らぐ結果となったことに間違いありません。

     

     私はそもそも他のマクロ統計をみていて、辻褄が合わないと思っていました。GDPデフレータがマイナス、コアコアCPIがマイナスが物価下落基調であるにもかかわらず、実質賃金が上昇するというのはどうもオカシイと感じていたのです。なぜならばGDP3面等価の原則で、消費=生産=所得だからです。物価が下落すれば売り上げが落ち込むため、賃金が上昇する原資が生み出せないのです。

     

     だからアベノミクスという経済政策は成功しているわけでも何でもありません。雇用についても正社員の雇用が増えているわけではありません。規制緩和で派遣社員が増えているだけの話。

     

     さらにいえば、GDPギャップ統計というのもあるのですが、こちらもプラスになっていました。インフレギャップというのは私もよく取り上げますが、インフレギャップは概念的に説明することができても、実際に算出することはできません。が、竹中平蔵氏が潜在GDPの定義を変更したため、インフレギャップが計算できるというおかしな状況があったのです。

     

     インチキ統計のGDPインフレギャップもマイナスに修正されます。GDPデフレーターがマイナス、GDPギャップもマイナスとなれば、2018年に実質賃金が上昇するのは、あり得ないと思うわけであり、今回の下方修正は納得できます。

     

     世の中の景気を見ても、2019/01/23の日銀の金融政策決定会合で、2019年度の物価上昇率の見通しを従来の1.4%→0.9%に引き下げたばかりです。日銀の物価目標2%を大幅に下回る0.9%です。今後も景気は良くないということが普通に想像できます。

     

     

     というわけで今日は「不正統計で修正された毎月勤労統計の実質賃金指数からみる消費増税議論」と題して論説しました。

     改めてですが、本当にこの状況で消費増税をやるのでしょうか?菅官房長官はリーマンショック級が起きれば消費増税は延期もあり得るなどと発言しています。

     これだけ状況が悪ければ、リーマンショック級の経済ショックがなかったとしても、ひどい状況であることが十分に理解できるはず。それが理解できないというのであれば、国会議員の職を辞していただきたいと思うのは私だけでしょうか?

     菅官房長官に限らず、こうしたマクロ経済を理解できない国会議員は、多くの日本国民に迷惑をかけるため、職を辞していただきたいと思うくらいの話です。

     消費増税凍結は言うまでもなく、消費減税5%を検討するか否か?が争点になるほどの経済状況であることを、改めて多くの日本国民が認識する必要があるものと私は思うのです。

     

     

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