ナチスドイツと高橋是清の経済政策

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    JUGEMテーマ:デフレ・インフレ

    JUGEMテーマ:公共事業の経済効果

     

     今日は「ナチスドイツと高橋是清の経済政策」と題し、1929年の米国発の世界大恐慌から速やかに経済が復活できたドイツ経済と日本経済についてお話しします。

     

     皆さんは、ナチスドイツというと全体主義でアウシュビッツやユダヤ人迫害といったネガティブなイメージをお持ちかと思います。

     

     ナチスは経済政策については、実にまともな政策をやっていました。

     

     1914年に第一次世界大戦が勃発し、1919年にベルサイユ条約を締結して、第一次世界大戦は終結しました。

     

     第一次世界大戦後の1929年に世界恐慌が発生したのですが、1933年にドイツではヒトラー政権が誕生し、ヒャルマル・シャハトを財務責任者に就けて、たったの5年で完全雇用にまで経済を立ち直らせました。

     

     安倍総理にヒトラーの爪の垢を煎じて飲んでいただきたいと思うほど、ナチスの経済政策はすばらしかったのですが、それよりもすごいのは、日本でありまして、高橋是清の経済政策で、日本はドイツよりもいち早く世界恐慌からの不況から脱することができました。

     

     よく経営資源の3要素として、ヒト・モノ・カネを3要素として経営について語ることはあるのですが、国家の経済成長に必要なのは何か?経済評論家の三橋貴明氏によれば、「資本」「労働」「技術」「需要」「資源」の5つの要素をあげています。

     

     上記5要素のうち、一つでも欠けていれば、経済成長できず、給与が生まれないということになります。例えば「市場」が崩壊したとなれば、「資本」「労働」「技術」「資源」があっても所得は発生しません。「市場」とは海外でなくても国内で政府支出によって市場が形成されるものもありますので、「人口が減少するから国内ではダメだ!海外に打って出なければ・・・」ではなく、例えばコメの生産でいえば、政府が高い価格で買い取るので、コメ農家に人にたくさん作ってもらうよう政策をやれば、市場が形成されるという話になります。

     

     日本は明治維新後、工業化が急速に発展しましたが、資源制約がありました。具体的にいえば資源と鉄がありませんでした。「資源」は経済成長に必要な5要素の1つになります。

     

     世界恐慌の話に戻りますが、1929年10月にニューヨークの株式バブルが崩壊し、世界大恐慌に突入します。

     

     米国ではフーバー大統領が、「神の見えざる手」でダイナミックな市場に任せれば、やがて景気は回復するとして、何の政策も打たなかったのです。これをレッセフェール(=自由放任主義)と呼んでいますが、フーバー大統領のレッセフェールによって、米国はとんでもないデフレになりました。当時の日本もデフレになりましたが、その速度は米国と比べて緩やかなデフレだったのですが、それでも10%の物価下落。米国は日本の10%の物価下落よりもさらにひどい状況で、ドイツもひどいデフレに陥り、失業率は一番高くなりました。

     

    <ドイツの経済指標>

     

    (出典:「1933-38年におけるナチス期の経済構造」から引用)

     

     

     上記のドイツ経済の指標をご覧いただきますと、下記の事実が理解できるのではないでしょうか。

    ●1933年の公共投資2,430ライヒスマルクが、1938年には2.27倍の5,530ライヒスマルクまで倍以上に増額している

    ●1933年の軍事支出720ライヒスマルクが、1938年に20倍以上の1550ライヒスマルクまで激増している

    ●結果、1932年の失業率43.4%だったのが、1938年には2.0%にまで減少して完全雇用になった

     

     1932年の失業率43%と高かったのは、第一次世界大戦で1919年に締結したベルサイユ条約で多額の賠償金の義務を負わされたからとか、全く関係ありません。多額の賠償金の義務を負わされても、失業率が高くなることはありません。

     

     失業率が高くなるということは、所得を生み出せないということであり、「資本」「労働」「技術」「需要」「資源」のうち、稼働できる生産能力は存在していたわけで、「資本」「労働」「技術」「資源」は、あったのですが「需要」が不足していたのです。

     

     世界大恐慌では日米の物価下落率が10%と超デフレだった以上にドイツはひどい状況だったのですが、理由は総需要が不足して巨大なデフレギャップが発生していたと考えられます。

     

     この場合、生産者の所得は日に日に減少します。何しろ生産能力があっても買う人がいない状況です。値下げして売らざるを得ず貧困化が進み、デフレスパイラルに陥ったのです。日本ですら失業率10%となり、農村では女子が売られるという状況でした。

     

     こうした状況で「私たちにお任せください!」といって出てきたのが、1933年1月に誕生したヒトラー政権です。ヒャルマル・シャハトを閣僚に就け、デフレ対策を行い、公共投資でアウトバーンを作り、住宅建設を増やし、軍事を拡大させた結果、わずか5年間で完全雇用にまで景気を回復させたのです。

     

     当時のドイツ国民にとってのナチス人気は、こうした指標と事実を見れば、想像に容易いかと思います。

     

     今の自民党、安倍政権は財政出動をやっていません。短期雇用(非正規雇用)が回復しただけで正規雇用は回復していません。しかもその理由は安倍政権のおかげでも、アベノミクス効果でも何でもなく、単に少子高齢化という人口構造上の問題であり、安倍政権の政策の成果でも何でもないのです。

     

     その点、公共投資を増やして完全雇用にまで景気を回復させたナチス政権の経済政策は、経世済民の観点から完全に正しく、ドイツ国民に支持されたのは十分に理解できます。

     

     それよりもすごいのが日本です。ナチスよりも正しい政策をやったのが日本で、「ダルマさん」の愛称で知られる高橋是清のデフレ対策です。

     

     日本は世界大恐慌後に、もっとも早くデフレから抜け出すことができました。日本は1931年大蔵大臣の高橋是清が、金輸出を禁止して管理通貨制度へ移行すると同時に、英国に次いで金本位制を破棄しました。金の保有に制約されずに通貨発行する環境を作ったのです。結果、金の保有高の制約を受けず積極的な財政政策を行い、大量の国公債を発行して公共事業と軍事へ投資しました。

     

     高橋是清がやったことは、ドイツのヒャルマル・シャハトと同じ政策ですが、ドイツのナチス政権の誕生の1933年よりも2年早く、正しいデフレ対策をやっていたのです。

     

     日本の場合は1936年にインフレ率が上昇したため、高橋是清は公共事業の削減すべく軍事費を抑制しようとしたのですが、海軍・陸軍と揉めて2・26事件で陸軍の青年将校に暗殺されてしまいました。

     

     問題はアメリカですが、1933年にフランクリン・ルーズベルト大統領がニューディール政策によって政府支出増をやったのですが、大恐慌不況から抜け出したすぐその後に、財政均衡を図って公共事業の削減を始めました。その結果、1936年以降、ルーズベルト恐慌となり、失業率は13%を下回ることができませんでした。ルーズベルト大統領の在任期間は1933年〜1937年ですが、下記の折れ線グラフで1933年〜1937年を見ていただきたいのですが、15%を下回ることなく推移しているのがお判りいただけるかと思います。

     

    <米国の経済指標>

    (出典:「アメリカ歴史統計”第挟」から引用)

     

    (出典:「米国経済統計年鑑2007」から引用)

     

     

     フランクリン・ルーズベルト大統領が、財政出動した後すぐに財政均衡でアクセルを踏むのをやめて、ルーズベルト恐慌になったというのは、今の安倍政権の政策と似ていると思うのです。第2次安倍政権発足時の2013年こそ、国土強靭化で政府支出増により、名目GDPで△1.9%、税収で△6.9%を果たしたにもかかわらず、2014年に消費増税を行い、景気が失速して、物価上昇目標2%は到達できず、実質賃金の上昇も果たせず、少子高齢化でアベノミクスとは関係なく非正規雇用の数が増えただけという状況です。

     

     ドイツのナチス政権、ダルマ大将こと高橋是清、フランクリン・ルーズベルト大統領、これらを比較した場合、ナチス政権と高橋是清のデフレ対策が優れているのは明確だと思いますが、安倍政権は残念ながらルーズベルト大統領に近いことをやってしまっています。

     

     安倍政権の成果と言われている失業率3%台は、確かに完全雇用の状態といえるわけですが、これは何もアベノミクスのおかげでも何でもありません。少子高齢化という環境でたまたまそうなっただけのこと。アベノミクスの成果でも何でもないのです。

     

     

     というわけで今日は「ナチスドイツと高橋是清の経済政策」と題して論説しました。

     ナチスというと過激なナショナリズムとかジェノサイドでユダヤ人を迫害したなど、確かにネガティブな史実があることは事実なのですが、純粋に経済政策だけをみていますと、ナチス政権の評価も変わってくるのではないでしょうか?

     ぜひ安倍政権にも見習って欲しいですし、国会議員の人々も、こうした史実を理解した上で、正しい政策を遂行できるようにしていただきたいものと、私は思うのです。


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