文在寅大統領が”コンクリートから人へ!”をやって疲弊した韓国経済
JUGEMテーマ:韓国
今日は「文在寅大統領が”コンクリートから人へ!”をやって疲弊した韓国経済」と題し、韓国経済について論じます。
下記はロイター通信のニュースです。
『ロイター通信 2018/11/28 16:00 木枯らし吹く韓国建設業、文政権の公共事業削減が直撃
[ソウル 28日 ロイター] - 韓国のチョン・ミョンインさん(56)は、トラック代金を返済するために、仕事を探して毎日800キロも自分のダンプトラックで移動し、睡眠時間は3時間ほどだ。
それでも、燃料代も払えない他のドライバーに比べて、自分はラッキーな方だと言う。
アジア第4位の韓国経済で国内総生産(GDP)の5分の1近くを占める建設業にとっては、冬は閑散期にあたる。だがチョンさんやドライバー仲間は、今年はいつもより長引くのではないかと懸念している。
建設業の投資額(季節調整後)は第3・四半期に8.6%低下しており、1990年代の金融危機以来で最大の下落ペースとなっている。
投資額はさらに減少すると、エコノミストは予想する。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権がインフラ支出を削減し、社会のセーフティーネット強化に資源を振り向ける政策を推進しているためだ。
一部には、このような政策シフト自体が、何千人に上るチョンさんのような労働者をセーフティーネットを必要とする立場に追い込んでいるとの批判もある。
文大統領は2017年5月に就任して以来、より広い範囲の人々に共有され、投機に依存しない「良質」な成長をもたらすよう、議論を呼ぶさまざまな経済改革策を導入してきた。
だが改革の柱となる政策の一部は、逆効果を生みつつある。最低賃金の記録的な上昇によって中小事業者が打撃を受けた。これにより労働市場が過去9年間で最低の水準にまで落ち込んだと批判されている。
<賃金減少で失業も増加>
チョンさんの月収は、トラックの返済とメンテナンス費用、保険料や燃料代を差し引くと、約230万ウォン(約23万円)程度だ。建設業が好況だった1年前と比べ、半分程度にまで下がったという。
今年1月以降、チョンさんが住む仁川の町では新たな公共事業は始まっておらず、より小規模な住宅建設プロジェクトも近く完了する。
「もし100万ウォンの利息を払えなかったら、トラックが競売にかけられてしまう」。チョンさんはそう言うと、2時間ほど離れた金浦にある建設現場での夜勤に出かけていった。
韓国建設産業研究院のLee Hong-il研究員は、建設業の減速により、9万2000人の雇用が失われ、2019年の韓国全体の経済成長を0.4ポイント下押しすると見込んでいる。
朴槿恵(パク・クネ)前政権による公共事業の大半が、需要を過剰に見積もったプロジェクトだったため、韓国の建設ブームは長続きするものではなかった、と多くのエコノミストは指摘する。
韓国道路公社のデータによると、2008─17年に開通した高速道13路線の平均利用率は58.1%にとどまっている。(後略)』
上記はロイター通信の記事ですが、韓国は生活するには大変な国だということがよく理解できます。トラックの賃金の稼ぎだけではどうにもならず、建設現場で夜勤に出かけるなど、EUではドイツなどとインフラ格差で稼げないギリシャと同じです。
日本も「副業元年」などとアホなことをいっている輩が多いです。副業すれば視野が広がるとか、それっぽいこといっていますが、普通にデフレ脱却すれば本業で十分に稼げるようになるため、副業なんてしなくてよくなります。デフレ脱却が一にも二にも大切であるという認識を持つ有識者らが少ないために、日本も発展途上国化して韓国などのように副業しなければ食べていけなくなるという状態になっていく可能性があるわけです。
その韓国は、GDPが1兆4000億ドル(日本円で約150兆円)のうち、5分の1近くを建設業が占めているとのこと。およそ30兆円程度が建設業と思われるのですが、記事に記載の通り、建設業の投資額は第3四半期に8.6%も低下し、1990年代の金融危機以来の最大下落ペースといわれています。
この理由は、文在寅大統領が経済を全く理解しないまま思い付きの対策をずっとやっていることが原因です。
特にインフラ支出を大きく削減し、社会のセーフティネットの強化に資源を振り向けたからです。これ、かつての日本の民主党政権の「コンクリートから人へ」と同じで、日本では公共事業を削減して「子ども手当」などとやっていました。文在寅大統領は、この「コンクリートから人へ」を過激にやっています。
「コンクリートから人へ」というスローガンは、本当におぞましいスローガン。公共事業を削減して、人への給付を手厚くするという発想は、そもそも税収がGDPと相関関係にあるということを全く理解していない発想です。
税収=名目GDP×税率×税収弾性値
GDP=政府支出+個人消費+設備投資+純輸出
※純輸出=輸出−輸入
GDPが減れば、税収は減ります。人への給付を手厚くしたとして、その給付分がすべて個人消費されるとは限りません。1兆円の公共事業は、1兆円GDPとしてカウントされますし、年度内で使い切るため、1年以内に必ずGDPが増えます。
それに比べて1兆円を人に給付した場合、1兆円すべて個人消費されるとは限らず、デフレの状況では限界消費性向(もっとお金を使いたいという気持ちを表す数値)は低く、誰の所得にもならない(経済成長に資さない)貯蓄やローン返済に回ってしまうものが必ず出てくるでしょう。つまり1兆円1年以内にGDPが増えるとは限らないということです。
韓国は文在寅大統領就任以降、公共投資予算を14%も削減しているのですが、普通にやっていた公共投資をいきなり削減すれば、建設労働者を中心に失業者が増加し、賃金は下がり、会社が倒産するのは当たり前な話です。
その文在寅大統領は、大統領就任前から「国民生活が第一」を公約に掲げ、雇用の拡大、賃上げ、格差解消を国民に約束してきました。バラマキや大衆迎合といった批判の中、文在寅は公約を実行し、今年の夏には最低賃金を昨年より引き上げることを決めました。ところが逆にその賃上げによって中小企業や個人事業主の経営を圧迫しているのです。
失業者増加に加えて、物価上昇、輸出の伸び悩み、不動産価格高騰、個人負債・破産の増加、格差拡大といった問題が解消されていないところに、間違った政策で過去9年間で労働市場が過去最低水準にまで落ち込んだと指摘され、韓国経済は崩壊している状況にあります。
よく日本においても、「最低賃金を引き上げればいいだろう!」という言説があります。最低賃金を上げられれば上げるのですが、そもそもデフレで物・サービスを価格を下げなければ売れない、価格が消費増税で値上がりして個数が売れなくなるといった状況では、売上高を増やすことができず、最低賃金を上げられないのです。韓国の場合、公約だからということで文在寅が最低賃金を引き上げた結果、いろんな会社が倒産したというのは当然の帰結です。
景気が良ければ公共投資削減を選択肢とすることはあり得ます。しかしながら景気がよくないのに、公共投資を削減すれば、マクロ経済が冷え込み、景気をさらに悪化させたところに強制的に最低賃金を引き上げれば、それは倒産が増えるに決まっているということは、理解できるのではないでしょうか?
最低賃金を法的に引き上げたとしても、それに見合うだけの景気浮揚政策をやらなければ、韓国のような最悪の状況になってしまうということなのですが、とどのつまりマクロ経済の状況がどうなっているのか?を理解せず経済政策をやっているとしか思えません。
これは他人事でも何でもないことで、日本にも当てはまります。
一番わかりやすいのは「コンクリートから人へ!」と民主党政権に似ていることをやっているということですが、緊縮財政を続けるのは、民主党政権だけではありません。
いつだったか、かつて蓮舫議員が新橋駅前の演説で、「私たちは事業仕分けで7000億円無駄を削減した!」と主張されていました。
大変申し訳ないのですが、小泉純一郎政権も公共事業削減を継続し、毎年7000億円削減してきたのです。だからといって小泉純一郎政権が正しかったか?といえば、公共事業を削減しなければいけないほど、高インフレ、高成長をしていたか?ということ。つまり、小泉政権が7000億円削減したためにデフレが促進したといえますし、その証拠が1997年以降、GDPが500兆円で止まっているということの証左であるともいえるのです。
何がいいたいかといえば、小泉純一郎氏はマクロ経済を理解していない政治家、そして蓮舫議員はマクロ経済をもっと理解していない政治家、ということです。いわばわかっていない奴ともっとわかっていない奴の議論。これは聞いていて疲れます。
そして安倍政権ですら、2014年に消費増税8%を実行し、政府支出削減をやっています。安倍政権は2013年度に限り、アベノミクス第二の矢で、国土強靭化計画で政府支出を増やしました。その結果、名目GDPは△1.9%増加し、税収は△6.9%増加しました。
ところが2014年度以降、消費増税に加え、政府支出削減をしており、デフレから脱却できない状態が続いているのです。
かつて1929年に発生した世界大恐慌のときに、1931年に高橋是清が「金本位制破棄で管理通貨制度移行して国債増刷」「金の保有残高の制約に関係なく政府支出増」という組み合わせ政策を実行したことによって、日本は世界でいち早く不況から脱することができました。ドイツでは1933年にヒトラー政権がヒャルマル・シャハトを閣僚につけ、アウトバーン(高速道路)や住宅建設や軍事拡大をしたことで、1932年に失業率が43%だったドイツは、ヒトラー政権誕生後の5年後には完全雇用にまで失業率が低下しました。
一方で米国はフーバー大統領がレッセフェール(自由放任主義)で、ダイナミックな市場に委ねれば、”神の見えざる手”によってやがて景気はよくなるということで何も政策を打たなかったため、とんでもないデフレになりました。1933年にルーズベルト政権が誕生し、ニューディール政策で政府支出を増やしましたが、大不況から抜け出したということで、その後に緊縮財政に経済政策を転換してしまったため、1936年以降ルーズベルト恐慌が始まりました。
安倍政権も2013年こそ政府支出増によって景気浮揚させたにもかかわらず、2014年以降消費増税をはじめとする緊縮財政によって、デフレに逆戻りしてしまっているのです。GDP500兆円とかろうじて横ばいにキープできているのは、高齢化で医療・介護の費用が政府支出増として景気を支えているからです。その医療・介護も財務省は報酬引き下げをしようとしています。
韓国の文在寅大統領の経済失策は性急である一方、日本は性急ではないもののやっていることは何ら変わりありません。韓国の失政は全く笑えない話ではないでしょうか?
というわけで今日は「文在寅大統領が”コンクリートから人へ!”をやって疲弊した韓国経済」と題して論説しました。
ぜひ日本政府も人のふり見て我が身を正せということで、公共投資を増やしていかなければならないということを理解し、実行に移してもらいたいものです。
仮にも公共投資が不要という場合は、日本にあるストック資産(道路、高速道路、高速鉄道、港湾、災害対策のための防波堤・防潮堤・砂防ダムなど)が諸外国よりも十二分以上にあるとか、十分すぎるほど存在するというならば、まだ理解しますが、地方はまだまだインフラが不足しています。
韓国を見てぜひ日本も反省をしていただきたいものと私は思います。
- 2018.12.29 Saturday
- 世界経済(中国・韓国など東アジア)
- 13:00
- comments(0)
- -
- by 杉っ子