国土強靭化・地方創生どころか、国土脆弱化・地方衰弱化が進む日本

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     今日は「国土強靭化・地方創生どころか、国土脆弱化・地方衰弱化が進む日本」と題して論説します。

     

     首都直下型地震や東京湾巨大洪水など、被害を大きくさせないためにも、東京一極集中の緩和の必要性が叫ばれています。しかしながら現状は一極集中の緩和どころか、むしろ悪化しているといえます。

     

    1.人口増減率の分析から見えてくること

    2.地方創生がうまくいかない理由とは?

    3.大地震に備えるためのインフラ耐震化への投資効果は大きい!

     

     今日は上記の順に論説し、日本の国土脆弱化・地方衰退化が進む現状認識と、政府の取り組みについて取り上げ、課題・問題点と解決策をお話ししたいと思います。

     

     

     

    1.人口増減率の分析から見えてくること

     

     下記は総務省のホームページに掲載されている2016年度の都道府県別の対前年人口増減率の一覧です。

     

    <表1:2016年度 推計人口>

    (出典:総務省ホームページの人口推計資料)

     

     

     

     表1のうち、全国平均と白抜き数字を拾ってみました。

     

    <表2:全国と3大都市圏など主な都府県の2016年度対前年人口増減率>

    都府県2016年総人口
    (千人)
    2016年度対前年
    人口増減率(%)
    全国126,933▲1.3
    埼玉7,289△3.2
    千葉6,236△2.1
    東京13,624△8.0
    神奈川9,145△2.0
    愛知7,507△3.2
    大阪8,833▲0.8
    福岡5,104△0.6
    沖縄1,439△4.0

     

     表2の通り、東京への人口増減率は8.0%増加で、圧倒的に人口流入しているということがわかります。

     

     

     

     一応、日本政府は地方創生行政をやり、国土強靭化政策をやっています。目的はいずれも東京一極集中の緩和解消と思われます。ところが、実態は一極集中解消どころか、緩和すらされていないというのが、総務省の人口推計から読み取れるのではないでしょうか。

     

     一極集中緩和というのであれば、少なくても東京への人口流入がゼロもしくはマイナスになっていなければならないでしょう。

     

     また表2で取り上げた都府県以外は、すべて人口は流出です。3大都市圏以外の流出量を、まずゼロにするという取り組みも必要であると考えます。

     

     東京は、13,624千人×8%≒11万人 で約11万人が人口流入しています。11万人の人口が流入する一方、表2で取り上げた都府県以外の道県は、すべてマイナスです。

     

     下表の表3は2010年〜2015年の数値ですが、この東京の人口流入増のトレンドは、ここ数年続いています。

     

    <表3:全国と3大都市圏など主な都府県の2010年〜2015年の人口増減率>

    都府県2010年総人口
    (千人)
    2010年〜2015年の
    人口増減率(%)
    全国128,057▲0.8
    埼玉7,195△1.0
    千葉6,216△0.1
    東京13,159△2.7
    神奈川9,048△0.9
    愛知7,411△1.0
    大阪8,865▲0.3
    福岡5,072△0.6
    沖縄1,393△2.9

     

     3大都市のうちの大阪圏、名古屋圏が、ほぼ人口がプラスマイナスゼロで、11万人超の人口が東京圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)に流入しているということがわかります。これは、11万人が東京圏に流入する一方、地方から11万人が流出しているともいえます。

     そしてこれは、首都直下型地震の想定被害者数が増加することを意味し、その増加の対象者が毎年11万人ずつ増えているともいえます。

     

     国土強靭化どころか国土脆弱化が進み、地方創生どころか地方衰弱化が進んでいるという実態が、総務省の人口総計から読み取れます。データをみる限り、国土弱体化・地方衰弱化が進んでいるとしかいえません。

     

     政府は地方創生の政策を進めてきたといっていますが、どのような政策を進めていたのでしょうか?

     

     「ふるさと納税」などの政策は、クソの役にも立ちません。インフラ整備という政府支出を行わず、ふるさと納税と称して地方自治体に税収確保を競争させている点で、むしろ「ふるさと納税」は地方衰弱化を促進している可能性もあります。インフレならまだしも、デフレで競争激化させれば普通に経済は停滞するからです。

     

     また地方創生行政の中で、政府は東京への流入人口をゼロにするという目標を立て、本社を東京都以外に移転した場合の補助、税制優遇などの政策メニューを出していました。

     

     今から3〜4年前は東京への人口流入は10万人程度だったので、これをゼロにするという目標だったわけですが、ゼロになるどころか11万人に増えているわけですから、政府が用意した政策メニューは何の成果も出ていないと言われても仕方がありません。

     

     

     

    2.地方創生がうまくいかない理由とは?

     

     なぜ、政府が行う地方創生政策は、うまくいかないのでしょうか?

     

     こういう問いかけをすると、民間の活力を活かしていないからという人がいるかもしれません。「どんどん民営化させれば地方創生がうまくいく!」と。

     

     日本が好景気でインフレの状態であれば、無駄削減や民営化は、マクロ経済的に正しいですが、今はデフレ状態ですので民営化させれば普通に経済は悪化します。今いる公務員を非公務員にすることは、雇用が安定しているのに安定されなくなるとなれば、間違いなくその公務員だった人は消費を抑えるでしょう。民営化して利益追求となれば、消費や投資を厳選せざるを得ず、消費と投資を厳選するということは消費・投資の抑制に他なりません。GDP3面等価の原則で、消費=生産=分配 ですので消費が減れば分配(誰かの所得)が減るのは、誰でも理解できるかと思います。

     

     政府の地方創生行政が成果を出せずにいる理由は簡単でインフラ対策をやらないからです。本来は地方のインフラ整備をすべきところ、地方創生行政では議論すらされず、地方を競わせる「ふるさと納税」などをやっているわけです。

     

     ある会社がつぶれそうなときに、その会社は設備投資の議論をせず、工夫だけで会社を盛り上げると言っているのに等しい。ライバル社はITやAIなどの新しい設備を入れてガンガン新しい新設備を導入して、単位当たり労働コストの削減に取り組んでいるのに、その会社は工夫だけで乗り切ろうとしている。これではライバル社に勝てるはずがありません。

     

     インフラ整備をせずして、地方分散化など、絶対にできません。

     

     例えば、全国の新幹線整備でいえば、北陸新幹線ができて以来、金沢の周辺や富山では工場の立地が進み、オフィスができたりしています。インフラ整備をすれば、地方分散化が進むのは、明々白々です。

     

     ところが今の政府はインフラ整備をやらず、工夫だけで頑張ろうということであるため、地方分散化ができないのです。

     政府が地方分散化を謳っても、本気か?と疑われても仕方ないといえます。

     

     新幹線だけではありません。高速道路整備や都市開発など、政府が地方に投資をすることで民間の投資を誘発し、ようやく人口の流れが変わっていくのです。

     

     今の日本は何をやっているかといえば、地方にインフラを作るのはもったいない。人が多い東京に作ったほうが効果的だからとして、道路を立派にし、東京オリンピックを控えて地下鉄を作っています。

     

     国交省の関東運輸局が「運輸政策審議会答申第18号」ということで、東京圏における高速鉄道に関する基本計画というものを打ち立て、混雑緩和などを目的に、高速鉄道を中心に、地下鉄、モノレール、新交通システム、路面電車を含む鉄道の整備計画を立てています。

     

     この「運輸政策審議会答申第18号」は、2000年1月27日に打ち出された計画ですが、22路線の公共交通の鉄道を作ると計画して20路線着手する一方、関西では「運輸政策審議会答申第10号(1988年5月31日)」で13路線作ると計画したのに着工したのは1路線だけであり、関西という第二の都市圏ですら、東京圏とこれだけの格差がある状態。

     となれば、鳥取や島根や新潟などの山陰地方や東北、四国、九州などは、もっとやっていないということが明白です。

     

     当然、東京に人が集まるに決まっているのです。

     

     

     

    3.大地震に備えるためのインフラ耐震化への投資効果は大きい!

     

     少し古いですが、日本経済新聞の記事を紹介します。

    『日本経済新聞 2018/06/07 南海トラフ被害、20年間で最悪1410兆円 土木学会が推計 インフラ耐震化で3〜4割減

     土木学会は7日、南海トラフ巨大地震が発生した際に20年間の経済的な被害が最悪1410兆円に上るとの推計を発表した。建物の被害のほか、交通インフラが寸断されて工場が長期間止まる影響なども考慮した損害額1240兆円を盛り込んだ。首都直下地震は778兆円とした。インフラの耐震化などに南海トラフ地震は約40兆円、首都直下地震は約10兆円投じれば、被害額は3〜4割減るという。

     政府の地震調査委員会は南海トラフ地震の発生確率を今後30年で70〜80%、首都直下地震を70%程度と推定している。

     巨大地震の被害推計は内閣府も公表している。南海トラフ地震については地震や津波で受ける建物の被害を最大約170兆円、首都直下地震で同約47兆円と見積もった。だが、20年間という長期に及ぶ経済活動の被害額は盛り込んでいない。

     阪神大震災で神戸市が受けた経済活動の被害などを考慮し、20年という期間を定めた。交通インフラの寸断や生産活動の停止などに伴う経済的な被害額を新たに推計し、南海トラフ地震は1240兆円、首都直下地震は731兆円とした。地震や津波で壊れる建物や工場などの直接被害は内閣府の試算を活用した。

     道路や港湾、堤防といったインフラの耐震工事などの対策で、被害がどの程度減らせるかも試算した。南海トラフ地震では約40兆円の投資で509兆円、首都直下地震では約10兆円で247兆円減るという。

     土木学会はいずれの地震による被害を「国難」級だと指摘。特に首都直下地震については、道路や河川など公共インフラの対策投資だけでは不十分で、抜本的に東京一極集中を緩和し、地方への機能分散を進める必要があると強調した。首都圏の経済活動の3割を地方に分散できれば、首都直下地震による被害額は219兆円軽減できると試算している。

     地震のほかに、高潮や洪水による14カ月間累計の被害推計も公表した。東京湾で巨大高潮が起きれば最悪110兆円、東京荒川巨大洪水で62兆円と見積もった。』

     

     上記記事の通り、土木学会の試算で南海トラフ地震の被害は20年で1,410兆円、首都直下型地震でも778兆円と推定されています。

     

     その一方でインフラの耐震化工事などの対策を打てば、交通インフラが寸断されずに済み、工場が長期間止まるといった影響が緩和される旨を指摘しています。

     

     具体的には、南海トラフ地震のインフラ耐震化対策で40兆円投ずれば、被害額は3割〜4割(420兆円〜560兆円)程度減るということです。首都直下型地震に備えてインフラ耐震化対策で10兆円投ずれば、やはり被害額は3割〜4割(230兆円〜311兆円)程度減るのです。

     

     さらにいえば、東京一極集中を緩和して首都圏の経済活動の3割を地方に分散化すれば、首都直下型地震の被害額は219兆円軽減できるとも指摘しています。

     

     これ、人口減少のトレンドが続こうと続かなかろうと、地震などの自然災害は明日起きるかもしれないわけであり、インフラ耐震化対策は、間違いなく需要です。この需要は短期的に利益が出るものではありません。明日起きなければ、1年以内に地震が起きなければ、10年以内に起きなければ・・・というわけで、利益追求の株式会社組織では投資するのは困難です。

     

     こうした利益がすぐに出ない投資こそ、政府の出番でしょう。何しろ通貨発行権を持ちますので、財源はいくらでもあります。加えてマイナス金利でタダに近い金利で国債増刷ができますので、これはもうやるしかないと、マクロ経済を理解している人であれば、理解ができるでしょう。

     

     ところが、プライマリーバランス黒字化があると、お金を使ったらダメという家計簿の考え方となり、上述の発想は出てこないのです。

     

     ありもしない財政問題を気にして、とにかく今年の政府支出を削減する、これが政府の行政の一番重要な基準としてやってきました。その結果、日本は国土脆弱化、地方衰弱化が進んでしまっているのです。

     

     まさにプライマリーバランス黒字化が日本を壊し、今もなお壊し続けていると言っても過言ではありません。

     

     

     

     というわけで「国土強靭化・地方創生どころか、国土脆弱化・地方衰弱化が進む日本」と題して論説しました。私はマスコミなどが報じる悪質なウソの一つに「公共事業は無駄だ!インフラ整備は無駄だ!」というのがあるとよく主張します。インフラ整備こそが日本の将来繁栄につながり、「公共事業は無駄だ!」といった論説がウソ・デタラメであることを、皆様にご理解いただきたいと切に思うのです。

     

     

    〜関連記事〜

    堤防建設という公共工事の経済効果(物語「稲むらの火」の主人公、濱口梧陵の偉業)

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