認知的不協和に陥る人々(豊洲移転問題とTPP批准問題について)

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     最近、私がよく参考にしている藤井聡氏やら三橋貴明氏らの論説で、認知的不協和という語彙を頻繁に見かけるようになりました。心理学の一種のようなのですが、今日は、マスコミ報道の在り方の問題点として、心理学の認知的不協和について、前回の豊洲問題の報道と合わせ、意見したいと思います。

     

     

     

    1.藤井聡氏らが言う認知的不協和理論について

     

     認知的不協和というは心理学で出てくる理論の一つのようです。

     ケーススタディとして、喫煙者が陥りやすい認知的不協和を考えてみます。

     

    【認知1】私、喫煙者Aはタバコを吸う

    【認知2】煙草を吸うと肺がんになりやすい

    【認知3】私、喫煙者Aは禁煙する

    【認知4】喫煙者で長寿の人もいる

    【認知5】交通事故で死亡する確率の方が高い

     

     喫煙者が喫煙の肺がんの危険性【認知2】を知りますと、【認知1】と【認知2】は矛盾する「肺がんになりやすい」を知ってるのに、「タバコを吸う」という行為で矛盾を感じるようになります。

     そこで【認知1】を【認知3】「私、喫煙者Aは禁煙する」に変更します。ところが喫煙者の全員が禁煙者にならず、タバコを止められない人の中には、別の事象を必死に認知しようとします。例えば【認知4】【認知5】を探し出して認知することで、タバコを吸う行為を正当化しようとするのです。

     

     

     

    2.豊洲市場移転問題に置き換えるとどうなるか?

     

     この心理学の認知的不要和を、豊洲市場移転問題に置き換えて考えてみましょう。

     

    【認知A】東京都は悪いはずだ!

    【認知B】東京都が移転先に決めた豊洲は不衛生的だ!

    【認知B】「東京都が市場移転先に決定した豊洲は衛生的で安全だった」

    【認知C】「豊洲が衛生的か否か?は関係なく、問題は東京都が事前にそれを説明しなかったことであり、それはとんでもない悪いことなんだ!」

     

     【認知A】と【認知B】というこの2つの認知は協和します。結果、東京都はウソをついている、関係者は手抜きしていると、東京都のことを悪く言う行為は正当化されます。

    しかしながら【認知A】は、【認知B】と協和(整合)しません。

     

     もし【認知B】が正しい場合、「東京都が悪いはずだ!」と整合せず、東京都のことを悪く言う行為を正当化できなくなります。即ち【認知B】が正しければ、東京都は悪くなくなり、悪くない東京都を、悪く言い続ける自分たちこそが実は悪いのでは?と不安に駆られることになります。

     

    【事実1】たまり水に「ヒ素」が検出されたが、70年間毎日2リットル飲み続けた場合でも健康に影響がないとみなせる環境基準は下回っているものだった。

    【事実2】地下の「空洞」「空間」は万一の対策のためだった。

    【事実3】地下空間を設ける方が盛土構造より、コストがかかるものだった

    【事実4】「技術系職員は全て地下空間の存在を知っていて、通称モニタリング空間と呼んでいた。しかも技術系職員だけでなく、部局トップが空間の存在を知らないということはないはずのものだった。

     

     前回の記事で毎日・朝日新聞で後から報道された上述の【事実1】〜【事実4】は、【認知B】の「東京都が市場移転先に決定した豊洲は衛生的で安全だった」が正当である可能性が高いと考えて報道されたわけです。

     

     この時、認知的不協和理論では、人は下記のようなことを考えるようです。

     「現存する『不協和』を解消できるように、一生懸命工夫して、その『不協和を解消』しようとする」

     

     藤井聡氏によれば、【認知A】と【認知B】の『不協和解消の方法』には、いくつかパターンがあるとのこと。以下、代表的な方法を「ごまかし方(=対応)」として記載します。

     

    <対応1>

    【認知B】「東京都が市場移転先に決定した豊洲は衛生的で安全だった」がなかったことにして、「豊洲は危険!」という意見ばかり無理やり探して、繰り返し耳にして安心するというもの。端的に言えば、【事実1】〜【事実4】を無視し続けるというものです。

     

    <対応2>

    【認知B】「東京都が市場移転先に決定した豊洲は衛生的で安全だった」を主張している人は、邪悪なやつだと決めつけるというもの。端的に言えば、「豊洲は安全だ」と言っている奴は「どうせ、土建屋の回し者だ!」「東京都と裏で手を組んでいる」「この問題について専門でも何でもないのに勝手なことを言っているだけだ!」と決めつけるというものです。

     

    <対応3>

    【認知B】「東京都が市場移転先に決定した豊洲は衛生的で安全だった」を認めるとしても、別の【認知C】「豊洲が衛生的か否か?は関係なく、問題は東京都が事前にそれを説明しなかったことであり、それはとんでもない悪いことだ!」を認知したり、実際の安全性にほとんど関係ないデータを無理やり持ち出して、「やっぱり危険だったじゃないか!」とするものです。

     

     もし、豊洲が危ないという決定的な証拠が出れば別ですが、安全であるという【認知B】の説得力が高く<対策1>を取りずらくなればなるほど、<対策2>をしたくなり、それすらできない場合は<対策3>を取るようになるとのこと。

     そこで最近では豊洲の問題は「手続きに問題があった」ことに重点が置かれているのです。

     

     ところで、なぜ今回のような「豊洲が危ない」というデタラメ

    【認知A】東京都は悪いはずだ!

    【認知B】東京都が移転先に決めた豊洲は、不衛生だ!

     ということが一般人に認識されていったのでしょうか?

     

     藤井聡氏によれば、このこと自体も認知的不協和で解説できるとのことでした。それは以下のプロセスとなります。

    1.東京都民は都知事選挙で小池知事を選んだ

    2.自分たちが選んだ小池知事は東京都と対立している

      だから東京都民は小池知事を選んだ自分たちを正当化するために「東京都は悪いはずだ!」と思いたい欲求を潜在的に持っている

    3.自分たちが選んだ小池知事は豊洲移転を「延期」と言った

      だから小池知事を選んだ自分たちを正当化するために「豊洲は不衛生的だ」と思いたい欲求を潜在的に持っている

     

     要するに東京都民は、良いか悪いかわからないうちに選んでしまった小池知事をイイ人にし、それを選んだ自分たちもイイ人にするために、小池知事の判断をサポートする認知を形成するようになってしまっていると藤井聡氏は指摘しています。

     

     

     

    3.TPP批准における自民党議員の認知的不協和

     

     トランプ大統領はTPP離脱を決意いたしました。かねてより私はデフレ環境において、TPP締結を急ぐ必然性はないと主張を続けておりました。ところが安倍政権はTPP批准を国会で決議してしまったのです。自民党議員によれば、TPP批准は「これ以上妥協しない」という決意表明のために、TPPを批准したとのこと。そう思う自民党議員の皆さんは、認知的不協和に陥っているのではないでしょうか?

     

    【認知➊】安倍政権はイイ政権だ

    【認知❷】安倍政権はTPPを批准した

    【認知❷】米国を除いた11か国でTPPを批准するとすれば、条件を変える必要があるのに批准してしまい、なんて安倍政権は悪い政権なんだ

    【認知】安倍政権が悪い政権であるはずがないから、最低限の譲歩ラインを示すために批准したんだ

     

     お分かりいただけますでしょうか?安倍政権はイイ政権であるということを盲目的にしか考えていない輩が、認知的不協和に陥り、最低限の譲歩ラインを示すために批准したとしているのです。

     

     もし、最低限の譲歩ラインを批准したとするのであれば、安倍政権は今後、日米通商交渉を行う前に、具体的には米国に行く前にTPP以上の譲歩はしない旨「二か国間競技には応じるがTPP以上の譲歩は決してしない」と宣言すべきです。それをしなければ、TPPが最低譲歩ラインとなり、プラスαをトランプに突き付けられることが目に見えており、プラスαの追加譲歩を迫られて国益を損ねる可能性が高くなります。

     

     というわけで、今日は認知的不協和理論という心理学の理論について取り上げ、豊洲問題とTPP批准問題について、陥っている思考回路プロセスというものを記載させていただきました。

     私はブログでよく著名人を批判します。とはいえ、人格否定まではしておりません。その方の考え方が変わっていただけるのであれば、普通に称賛いたします。

     私自身も認知的不協和に陥ることなく、言論については是々非々で自らが問題を考えて判断することを心がけていきたいと改めて考えされられました。

     

     


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