カダフィー大佐死後のリビアと北朝鮮の核問題(北朝鮮の不可逆的な非核化は、本当に実現するのか?)

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     今日も引き続き、日米首脳会談について取り上げます。前回は通商問題に関連して論説しましたが、今日は「カダフィー大佐死後のリビアと北朝鮮の核問題(北朝鮮の不可逆的な非核化は、本当に実現するのか?)」と題し、そもそも不可逆的な非核化の可能性について論じたいと思います。

     

     下記は朝日新聞の記事です。

    『朝日新聞 2018/04/18 07:22 米朝会談で拉致問題提起 日米首脳、圧力維持で一致

    訪米中の安倍晋三首相は17日午後(日本時間18日未明)、米フロリダ州のパームビーチでトランプ米大統領と会談した。北朝鮮の核・ミサイルの検証可能で不可逆的な廃棄を目指す方針と最大限の圧力を維持していくことを改めて確認。日米間の貿易赤字問題についても議論した。

     6回目となる会談はトランプ大統領の別荘「マール・ア・ラーゴ」で行われた。

     首相はまず、通訳のみを入れ、大統領と2人だけで約55分間会談。安倍首相は冒頭、南北、米朝首脳会談が行われることを念頭に「日米が国際社会をリードして圧力を最大限に高めた結果、北朝鮮から話し合いを求めてきた。私たちのアプローチは成果を上げている。米朝首脳会談を決断した大統領の勇気に対して称賛したい」と述べた。

     これに対し、トランプ氏は「日本と米国は北朝鮮問題で、しっかりと手を携え、まったく意見は一致している。金正恩・朝鮮労働党委員長との会談が6月の初旬かその前にあるかもしれない。うまくいかない可能性もあるし、会談が開かれない可能性もある」とした上で、「これまで取ってきた非常に強い姿勢で臨みたい」と応じた

     両首脳はその後、少人数の両政府関係者らを加えてさらに約70分間会談。安倍首相は「史上初の米朝首脳会談で核の問題、ミサイルの問題、さらには日本にとって重要な拉致問題が解決に向かって進んでいく歴史的な会談となることを期待している」と述べた。

     これに対し、トランプ氏は、首相が米朝会談の議題にするよう求めた日本人拉致問題については「拉致問題を(米朝首脳会談で)取り上げることになる。いまこそ、対話の時であり、問題を解決する時だと思う。(拉致問題は)首相にとってとても重要な点であることを理解している」と応じた。

     また、トランプ氏は「米国は北朝鮮と直接、かなり高いレベルの政府高官が連絡を取り合っている」と述べ、首脳会談に向けて準備交渉を進めていることを明らかにした。米朝首脳会談が開かれる場所については、「まだ決めていないが、(米国以外の)5カ所の候補を選定している」と明らかにした。

     貿易問題についてトランプ氏は「日本は米国から膨大な防衛装備品を買っており、それはいいことだが、我々も車やその他のものをたくさん買っている。お互いに多くを買っているが、やはり貿易についても話さなければいけない」と述べた。

     トランプ氏は「時間が許せば、ゴルフをする」とも発言。両首脳は2日目となる18日の会談前に、ゴルフをプレーする方向で調整している。(パームビーチ〈米フロリダ州〉=小野甲太郎、園田耕司)』

     

     朝日新聞の記事では、貿易問題についても触れていますが、今日は朝鮮半島非核化の実現の可能性に絞って論じます。

     

     トランプ大統領は、米日関係は非常に強く、北朝鮮について意見はすべて一致しているとし、6月初旬にも金正恩と会談があるかもしれないとし、「うまくいかなかったら強い姿勢で臨みたい!」と応じたとしています。

     

     この「強い姿勢」とは何か?結局、米朝開戦になるのでは?と考えます。その理由は、国家安全保障問題担当の補佐官に就任したジョン・ボルトン氏の存在です。彼は「超タカ派」と言われており、核・ミサイル開発を辞めようとしない北朝鮮に対して「先制攻撃」と唱えています。

     

     先日、米英仏によるシリアへの軍事攻撃がありましたが、その決断には新たに国家安全保障問題担当の補佐官に就任したジョン・ボルトン氏が影響を与えたと言われておりました。

     

     日本のマスコミは、米朝首脳会談開催によって、北朝鮮が非核化して平和が来るという、頭の中がお花畑的な報道をしていますが、現実がそれほど甘いはずがありません。

     

     なぜならば、北朝鮮が核を「放棄」することなど、到底考えられないからです。金正恩体制の保障と引き換えに核開発を放棄するというのが、金正恩の狙いです。そう考えた場合、体制の保障なしに、核兵器の開発を簡単に放棄するとは思えません。

     

     北朝鮮の金正恩にとって核兵器は「大貧民」というカードゲームでいえば、”2”や”A”や”ジョーカー”であり、「UNO」というカードゲーム「Draw Three(3枚カードを引いて色を自分で選べる)」級のカード、即ちゲームで自分が有利に進められるスーパーカードです。

     

     では、トランプ大統領がなぜこのタイミングで、ボルトン氏を大統領補佐官に据えたか?

     

     米国は北朝鮮に対して、リビアでやってきた核放棄を要求すると考えられてます。もともとジョン・ボルトン氏は、従来から北朝鮮に対して「リビア方式」の非核化を訴えてきました。

      ボルトン氏が推奨している「リビア方式」の非核化とは、2年間で米国本土に解体のために核兵器を検証と解体のために送ったという方法です。

     

     2003年、リビアのカダフィ大佐は、米国や英国との秘密交渉を経て、核を含む大量破壊兵器の放棄を宣言した後、IAEAの核査察を受け入れ、核開発関連のすべての情報を公開し、弾道ミサイルも廃棄しました。

     

     まさに「後戻り不可能な非核化」「不可逆的な非核化」であるといえるのですが、アラブの春を経て、カダフィ大佐は、2011年10月20日に69歳で、反カダフィ勢力の連合体(国民評議会)の兵士らに銃撃にあって殺害されました。

     

     リビアはカダフィ政権の時代に、大量破壊兵器を製造しており、化学・生物兵器に加え、核兵器も製造していました。カダフィ大佐は1970年代に中国から核技術を密輸しようとして失敗し、その後1974年にはアルゼンチンとウラン濃縮で連携協定を締結。1977年にはパキスタンと、1978年にはインドと、それぞれ各協定を締結します。その後、ついに1979年にチュニジアの近くのトリポリの南西にあるタジュラという場所で、研究炉を建設しました。

     

     ところが1988年にパンナム機爆破テロ、1989年にはニジェール上空のフランス民間機爆破テロにより、原油輸出停止などの経済制裁をかけられます。リビアにとって原油輸出を唯一の財源にしてきたため、原油輸出停止によってリビアは困窮しました。

     

     北朝鮮の場合は、輸出品目は、石炭や若干の鉱物に加え、海産物程度ですので、いわば北朝鮮の国民生活の水準は最貧国といってよく、リビアと比べて庶民から奪うものがないため、原油で高い生活水準を保証してきた国ではないため、ある意味で強靭です。

     

     2018/04/09の日本経済新聞の記事でも、この「リビア方式」について取り上げられています。下記がその記事の抜粋です。

    『日本経済新聞 2018/04/09 20:10 非核化の手法が焦点に 米「リビア式」視野 北朝鮮は反発必至

    【ワシントン=永沢毅、ソウル=恩地洋介】トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長による初の首脳会談で、北朝鮮側が非核化を話し合う意向を伝達したことが分かった。協議への前向きな姿勢と見る向きもあるが、焦点となる非核化の手法では米国は圧力でリビアに核放棄を決断させた成功例を念頭に置く。北朝鮮は「段階的な非核化」を主張し、米朝間の隔たりは依然大きい。

     「金委員長は朝鮮半島の非核化について議論する意向がある」。米政府高官は8日、水面下の米朝協議で北朝鮮側の意向を確認したと明らかにした。首脳会談に関して米朝間での協議が明らかになるのは初めてで、非核化の意思を米側に伝えたのも初めてだ。

     とはいえ米国内では楽観視する向きは少ない。現地時間の9日には対外強硬派のボルトン元国連大使が安全保障担当の大統領補佐官に就任する。ボルトン氏はかねて北朝鮮に関し「リビア方式」による非核化を唱えてきた。完全で検証可能かつ不可逆的な核放棄(CVID)を先行し、核放棄を確認して初めて経済制裁を緩和し国交正常化に至る手法だ。

     リビアのカダフィ大佐は2003年、米英両国との秘密交渉を経て、核を含む大量破壊兵器の放棄を宣言した。国際原子力機関(IAEA)の核査察を受け入れ、核開発に関するすべての活動の公開や、射程300キロメートル以上の弾道ミサイル廃棄に応じた。米などの経済・軍事的圧力による国際的孤立を回避しようという力学が働いた。

     しかし北朝鮮はリビアの事例を「失敗の教訓」と見る。カダフィ氏は11年、米欧が支援する反政府勢力によって殺害された。朝鮮労働党機関紙、労働新聞は昨年10月に「米国の誘惑と軍事的恐喝によって銃床を下ろすことが、どれほど残酷な結果を招くかはイラクとリビアの悲劇的現実が物語る」と指摘した。

     金正恩氏は3月下旬の中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との会談で、中国が議長を務める非核化の議論の枠組みである6カ国協議に復帰する意向を伝えた。米主導による「リビア方式」を警戒し、中国を巻き込んで段階的な核放棄を探る意向との見方が多い。(後略)』

     

     北朝鮮の労働新聞では、「米国の誘惑と軍事的恐喝によって銃床を下ろすことが、どれほど残酷な結果を招くかはイラクとリビアの悲劇的な現実が物語る」と報じています。即ち、米国からの誘いで非核化に踏み切ったら、いずれ金正恩体制は、反体制派に転覆されたり、それを支援する欧米諸国によって体制が崩壊するということを予想しているわけです。

     

     金正恩が核開発をする目的は何か?それは米国と戦争をするためではありません。米国から金正恩ファミリー体制について安全を保障してもらうことが目的です。そのために外交カードの価値を高めるため、核兵器の開発をやっているのです。

     

     イラクのフセイン大統領の最後、リビアのカダフィ大佐の最後を知る金正恩が簡単に非核化に応じるとは思えないと私が思うのは、こうした背景があるからです。

     

     

     というわけで、今日は日米首脳会談を取り上げ、非核化の可能性について論説しました。トランプ(ゲームのトランプでトランプ大統領ではない)ゲームの大貧民や、UNOというカードゲームをやったことがある人ならば、理解できると思うのですが、外交とはどれだけ強いカードを持っているか?です。

     国力が強い国、人・物・カネといった自国の供給力に加え、需要を含めて自国ですべて賄える状態であれば、その国家は強いカードをたくさん持っていることになります。

     一方で、人・物・金に加え、需要を海外に頼るということは、それだけ相手に強いカードを持たれているので、交渉では不利になりやすくなります。

     そう考えると、金正恩にとって国力が弱い北朝鮮が核兵器開発という強いカードを捨てる、即ち簡単に「不可逆的な非核羽化」に応じるとは思えません。事態の推移をしっかり見守り、日本は日本の国益を考えて対応していく必要があるものと思うのであります。


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