欧州域内で広がるシェンゲン協定(=人の移動の自由)への批判

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    JUGEMテーマ:移民

     

    今日も引き続き、移民受入をテーマに意見します。

    2016年12月24日報道のロイター通信の記事を取り上げます。今回取り上げる記事は、ドイツでテロ事件を起こした容疑者が、フランス経由でイタリアに入り、身分証明書の提示を求めた警察官に発砲して、警察官が死亡したという痛ましい事件です。この事件の発生により、シェンゲン協定への批判が広がり始めました。

     

    下記が2016年12月24日報道のロイター通信の記事の詳細です。

    『[ミラノ 23日 ロイター] - ドイツの首都ベルリンで19日発生したクリスマスマーケットへのトラック突入事件の容疑者とみられる男が23日、イタリアのミラノ郊外で銃撃戦の末、殺害された。

     射殺されたのは独当局が行方を追っていたチュニジア人のアニス・アムリ容疑者(24)。過激派「イスラム国(IS)」系メディアのアマク通信に投稿された動画では、同容疑者がISのリーダーに忠誠を誓い、欧州のイスラム教徒に攻撃を呼びかけていた。

    ミラノ警察当局の説明によると、容疑者は身分証の提示を求められ、警官に発砲した。その後、近くの車両後方に隠れたが、警官に撃たれ死亡したとしている。

     容疑者はドイツからフランスを経由しイタリアに入った。容疑者の足取りから、移動の自由を認めた欧州連合(EU)の「シェンゲン協定」が悪用された実態が明らかとなり、仏極右政党・国民戦線のルペン党首や伊野党・五つ星運動の創設者ベッペ・グリッロ氏などのユーロ懐疑派は攻勢を強めている。

     メルケル独首相はベルリンの事件は様々な問題を提起したとし、治安強化に努める考えを示した。大量の難民を受け入れたメルケル氏に対しては、より厳しい対応を取るよう圧力が強まっている。(後略)』

     

    <資料:シェンゲン協定締結国とEU加盟国>

     

     シェンゲン協定とは、欧州諸国の中でシュンゲン協定締結国間で人の移動の自由を認めるというものです。具体的にはシェンゲン協定締結国に属する国民は、パスポートなしで国境を超えることが可能です。現在はイギリスなどの除くEU加盟国22か国と非EU加盟国であるアイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインの4か国(資料の黄緑色のシュンゲン協定に加盟している非EU加盟国が該当)で合計26か国に及びます。

     

     日本では当たり前のごとく、東京→山梨→長野、東京→神奈川→静岡、東京→埼玉・・・・縦横無尽に都府県を超えることが可能ですが、シェンゲン協定締結国間でも日本国内と同じようにパスポートのチェックなしで国境を越えられます。

     例えば日本人が欧州を旅行する場合、日本→イタリア→フランス→ドイツ→日本の順に旅行するとしますと、イミグレーションはイタリアで入国審査を行い、ドイツで出国審査を行います。イタリア→フランス→ドイツ間はイミグレーション実施はなく、パスポートの提示すらありません。シェンゲン協定締結国間ではパスポートチェックなどの出入国管理が廃止されているのです。

     

     記事にあるテロ容疑者のアニス・アムリ容疑者は、ドイツ国内でテロ事件を引き起こした後、普通に鉄道に乗ってドイツ→フランス→イタリアと国境を越えてミラノに辿り着いた可能性が高いです。

     では、シェンゲン協定に加盟していなければ、外国人の移動を規制できるか?となれば、実はEU加盟国間では制限できません。例えばイギリスはシェンゲン協定に加盟していませんが、EUに加盟しています。シェンゲン協定に加盟していないのでパスポートチェックすることは可能ですが、EUからの外国人労働者の受入を制限することはできないのです。

     

     シェンゲン協定締結国は、ギリシャなどの南欧諸国が受け入れたシリア難民・移民やら、メルケル首相が積極的に受け入れ表明したドイツで受け入れた難民・移民やら、国籍に関係なく「人の移動の自由」を認めています。まさにシェンゲン協定締結国間でテロなどの犯罪から身を守る安全保障について無防備な状態になっているということが理解できるのではないでしょうか?

     例えば、自国で法を規制したくても加盟国間で協議しなければパスポートによる入出国管理を再開することはできません。例えばイタリア政府がイタリア国民の安全保障を強化するために出入国を規制したいとなれば、シェンゲン協定から脱退し、EUを離脱するしか方法がないのです。念願かなって脱退・離脱しても、既にイタリア国内に入った移民を排斥することは、極めて困難だと思われます。

     

     各国の警察組織間の連携は、欧州ユーロポール(欧州刑事警察機構)というのがありますが、「捜査」を行うわけでなく、ユーロ加盟国間で情報を共有化するというだけの組織であり、欧州全域で捜査権を持つ”ユーロ警察”やら”欧州警察”とやらは存在しないのです。100歩譲り、”ユーロ警察”があったとしても、言語が統一化されていないため、米国のFBIのような役割を果たせるか?疑問が残ります。欧州国内で言語が統一化され、ユーロポールに捜査権を与えれば、米国のFBIと同じ役割を果たせるようになるかもしれませんが、欧州は何か国もそれぞれが言語を持つため、現実的ではないでしょう。

     

     もし欧州諸国が言語を統一化してなくても、例えばドイツに入国したシリア難民に「ドイツ語を覚えさせることを必須とし、ドイツ国歌を覚えさせる」などすれば、シリア難民は無事ドイツ国内で就労できます。米国メキシコ間の不法入国移民問題についても、「英語を必須とし、米国国旗を掲揚して国歌を覚えさせなければメキシコに強制送還させる」などすれば、メキシコ人が米国で就労して自力で生活することが可能です。私は移民・難民を受け入れた国家は、最低でも自国の言語を強制的に教育し、国歌斉唱させ、国旗掲揚して、愛国心を育成させることは必須であると思うのです。

     

     こうした考え方について、価値観の自由・多様化だの、例えば日本国旗国歌斉唱なんてグローバル化が進んでいるのに古臭いだの、という意見を読者の皆さんの中にお持ちの方が居られたら、私は「お花畑な頭の中ですね!」と批判せざるを得ません。愛国心がないまま就労できない移民・難民を放置すれば、言葉の問題で社会から疎外され、テロリストを生み出す温床になるものと思うのです。「価値観の多様化」などという抽象的なスローガンを掲げる人々の頭の中には、沢山のお花が咲いているとしか思えません。

     

     例えば米国だったら英語を強制して言語を統一できるでしょう。ですが欧州諸国は各国で言葉がドイツ語、フランス語、イタリア語などがあります。そうした欧州諸国が地政学的にシリアや北アフリカの難民を積極的に受け入れ、その上パスポートチェック無しで人の自由の受け入れを認めるとなれば、”ユーロ警察”があったとしても言葉の壁の問題で、安全保障を確立しようにもハードルが高いのです。

     

     日本は地政学的に深い海に囲まれているため、人の移動の自由というのが陸路では物理的にできない国家です。とはいえ、安倍政権が中国人を中心に移民を推進しているということをこれまでお伝えし続けてきました。私は移民受入は後戻りできないお花畑な愚策であると思います。

     こうしてみますと、欧州諸国における「人の移動の自由」を認めるシェンゲン協定や「難民受入」のダブリン協定など、欧州諸国とは矛盾が多い制度で覆われた国家です。EUから離脱するという表明したイギリスのメイ首相やイギリス国民の気持ち、米国とメキシコ間に壁を作ると発言したトランプ大統領や米国国民の気持ちが、私には理解できるのです。

     

     そんなわけで、今日は昨年年末2016年12月23日に発生した欧州でのテロ容疑者射殺事件を取り上げ、シュンゲン協定の問題点を改めて指摘しました。


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