トランプ大統領の関税強化とEUの報復措置

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     トランプ大統領の関税強化について論説したいと思います。

     

    『毎日新聞

    【ロンドン三沢耕平、ブリュッセル八田浩輔】トランプ米大統領が「安全保障上の脅威」を理由に鉄鋼製品などの輸入制限を表明したのを受け、欧州連合(EU)が報復措置の準備を急いでいる。ハーレーダビッドソンやリーバイスなど米国を象徴する製品に高関税を検討。7日には改めて報復姿勢を鮮明にし、世界の2大経済圏による「貿易戦争」に発展する可能性が一段と強まってきた。

     「バイクを売ることができなくなってしまうのか」。ロンドン中心部のオートバイショップ。ハーレーを販売する男性店員(38)が困惑した様子で語った。報復関税の「標的」とされたハーレーは「販売や供給網、顧客に重大な影響を及ぼす」との声明を発表。リーバイスも声明で「我々は自由貿易を支持している」と表明した。

     EUは総額28億ユーロ(約3700億円)に上る米製品に関税をかけるよう検討中。マルムストローム欧州委員(通商担当)は7日、鉄鋼、工業品、農産品の3分野を柱に米製品に高関税を課す方針を示した。

     英BBCによると、EUはオートバイやジーンズ、靴、化粧品、バーボンなど計100点近い対象品目をリストアップ。28億ユーロのうち食料品や消費者向けの製品が約20億ユーロ(約2600億円)を占める。米与党・共和党が地盤とする地域の名産品を標的にすることで、トランプ氏の「自国第一」主義に徹底抗戦する意思を明確にする。さらに米国の輸入制限で欧州への輸入品が急増する事態を防ぐため、緊急輸入制限(セーフガード)の発動や、世界貿易機関(WTO)への提訴も準備している。

     トランプ氏は「貿易赤字に苦しむ国にとって貿易戦争は良いものだ。EUが報復に来るなら欧州車に関税を課す」と対決姿勢をにじませ、独BMWや独フォルクスワーゲン(VW)などの関税を引き上げる可能性を示唆。これに対し、トゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)は7日の記者会見で、「貿易戦争は悪いもので、容易に(双方が)負ける」と反論。「必要となれば相応の対応を取る」と明言し、米製品への報復課税に出る姿勢を改めて示した。

     トランプ氏が輸入制限を打ち出した背景には、中国による鉄鋼の過剰供給問題があるが、欧州も早くから同じ問題意識を持っていた。昨年5月にイタリアで開いた主要7カ国(G7)首脳会議や7月にドイツで開いた主要20カ国・地域(G20)首脳会議では、首脳宣言で「問題解消に向けた協力関係の強化」を明記している。このためマルムストローム氏は「貿易戦争に勝者はいない」とも指摘し、対立回避を模索する姿勢も示した。欧州鉄鋼協会のエッゲルト会長も地元メディアのインタビューに「我々(米国と欧州)は協力する必要がある」と述べた。』

     

     

     米国のトランプ大統領が安全保障上の脅威を理由に、鉄鋼製品など輸入制限を表明したのを受け、EUが報復措置の準備を急いでいるというニュースです。

     

     EUがアメリカの象徴であるハーレーダビットソン(バイク)、リーバイス(ジーンズ)などの製品に高い関税をかけることを検討し、2018/3/7(水)には改めて報復姿勢を鮮明にし、世界2大経済圏による貿易戦争に発展する可能性が一段を強まってきたと報じています。

     

     EUとしては、総額およそ3700億円にのぼる米国製品に関税をかけることを検討し、オートバイ、ジーンズ、靴、化粧品、バーボンなど、100点近い対象項目をリストアップしているとのこと。総額3700億円のうち食料品や消費者向けの製品が2600億円を占めるとも報じています。

     

     EUが米国の有名な製品を標的にすることで、トランプ大統領の米国民ファーストに徹底抗戦する意思を明確にしているわけですが、みなさんは、このニュースを聞いてどう思われるでしょうか?

     

     よくある論説としては、グローバリゼーションは、今や後戻りができない趨勢で、情報通信技術の発達により、企業の生産ネットワークは国境を越えて拡大する傾向であり、その現実に背を向けることは現実的ではなく、国境の壁を高くしても経済は悪くなると思っていませんでしょうか?

     

     あるいは、海外の安い製品が豊かな消費生活を支えている現実があって、輸入を制限すれば打撃を受けるのは貧困層の家計ではないか?などなど。

     

     こうした論説を正しいと思われる方からすれば、イギリスのメイ首相のEU離脱、トランプ大統領の関税強化といった政策は、全く理解できず、竹中平蔵氏が表現するように「危険なポピュリズム」「過激なナショナリズム」などと表現するでしょう。

     

     私は米国トランプ大統領の関税強化、EUの報復関税、いずれも完全に普通の話で、双方がとった行動は評価してよいことだと思っています。なぜならば、自由貿易化というのが第二次大戦後、ほぼ一貫して不可逆的に進んできて、そのトレンドの下、関税はどんどん下がってきました。

     

     1947年10月 GATT発足

     1948年 GATT発効

     1964年 ケネディ・ラウンド

     1973年 東京ラウンド

     1993年 ウルグアイラウンド

     1995年 WTO(World Trade Organaization)発足

     

     たとえ国内産業が犠牲になっても自由貿易が正しいということで、関税引き下げの通商政策が行われ続けました。そこで犠牲になった産業を担う人々らは、自己責任や時代の流れなどと片づけられ、貧困層に陥ったとしても、努力不足などといわれて、自由貿易を遵守することが正しいというのが趨勢でした。

     

     国家としては、当然ながら自由貿易と国内産業の保護育成(保護主義)というのは、バランスを取ってしかるべきです。自由貿易がすべて正しいということはありませんし、保護主義がすべて正しいということでもない。国家として、国民の幸福を願うのであれば、自由貿易と保護主義のバランスが取れたポジションがどこか?模索していくというのがあるべき姿だと思うのです。

     

     今までは自由貿易一本やりで、グローバリズムが称賛され、推進されてきましたが、ここにきて行き過ぎたグローバリズムへの反動として、イギリスのEU離脱やら、トランプ大統領の登場という事象が発生していると考えられるのです。

     

     自由貿易が完全に進んで、「保護なんてする必要ないんじゃない?」「保護なんてなくてもいいのでは?」ということで、グローバリズムが推し進められると、世界中で自国の産業が衰退していきます。自由貿易が過剰に行き過ぎると、理論的に必然性として確実に世界の生産性は低下していくのです。

     

     だから何かのタイミングで関税を引き上げるという局面があったり、関税を撤廃していくという局面があったり、保護主義と自由主義が上下してある種の均衡を取っていくというのは適切であるといえます。

     

    「保護主義は”がんじがらめ”だからダメ、自由化が正しい」というイデオロギーが強く、そういう状況で自由化が進んできてしまったという現実があるため、トランプ大統領の関税引き上げや、EUの報復関税というのは、極めて健全な状況といえます。

     

     今回のEUの措置は、元をただせば、米国のトランプ大統領が安全保障上の問題だとして、鉄鋼製品、アルミニウム製品に対して25%とか10%の関税を課すことに対する報復措置です。

     

     一方のトランプ大統領は、貿易赤字に苦しむ国家としては貿易戦争は悪くないとメッセージを発した通り、自国の国内産業育成、国力強化、実質賃金UPに繋がっていくことで、米国の経済成長を強力に後押ししていくことになるでしょう。

     

     経済政策の司令塔を務めてきたコーン氏の辞任が発表され、米国株式市場が不安定になっていますが、コーン氏は今回のトランプ大統領の鉄鋼製品に高い関税を課すことに反対したそうです。意見が合わないので辞めますということで辞任劇につながった模様。

     

     トランプ大統領の保護主義志向を抑える歯止め役のコーン氏が去ってしまったということで、株価が不安定になって、輸入制限に突き進む可能性も高まったということなのですが、米国の企業業績は時間の経過とともにトランプ大統領の政策効果が現れ、地に足が着いた成長の結果が出てくるでしょう。そうして時間の経過とともに米国株式市場は次第に安定化していくものと思われます。

     

     トランプ大統領の米国民ファーストの公約を考えれば、EU製品に高関税をかけるのは必然的な政策であり、防衛と輸入制限を合わせて考えるというのも米国の国益を考えれば当たり前の話です。

     

     

     というわけで、今日はトランプ大統領のEU製品への関税引き上げに対抗して、EUが報復関税をかける意向であるニュースをご紹介し、私見を述べさせていただきました。こうしたニュースをみますと、行き過ぎたグローバリズムが修正されつつあると思いまして、これはイイことだと思います。自国で需要を創出することで、戦争などしなくても経済的に豊かになれるからです。

     必要なのは国民の幸福、人類の幸福であり、自由がすべて正しいというイデオロギー染みた論説は不要です。適切な自由と保護のバランスこそ、いま世界に求められているのではないか?と私は思っております。


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