信越化学工業(株) (証券コード:4063)について ”祝!上場来高値更新”

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     今日は信越化学工業(株)という企業を取り上げたいと思います。

     現在本社は東京ですが、もともとは「信越」という名前の通り、長野県の発症企業。長野県は私の亡き母親の生まれ故郷でもあります。そんなこともあり、母が生前の時、信越化学工業(株)の会社の技術力のすごさを私なりに母に話すことがあったのですが、信越化学といえば長野で有数の優良企業と、母もよく知っていました。

     私は2014年頃から100株だけ6,130円で保有しています。

     

     そんなわけで、信越化学工業(株)がどんな会社か?四季報を見てみましょう。

     

    1.信越化学工業(株)の概要(四季報)

     

     

     

     

     

    直近の株価動向ですが、2007年7月9日につけた高値9,580円から下落を続け、4,000円〜6,000円のボックスから、6,000円〜8,000円のボックスに切りあがり、直近では9,000円を超えて推移していました。

    本日1/18(水)の値動きは下記の通り。

    始値 9,455円

    高値 9,587円

    安値 9,346円

    終値 9,572円

    そして、本日の高値9,587円は、2007年7月13日につけた9,580円以来の上場来高値を更新したことになります。

     

    信越化学工業(株)は、シリコンウエハーで世界首位であり、300ミリウエハー製造の世界トップです。

    扱う品目はシリコンウエハー以外にも、塩化ビニール、シリコーン樹脂、エチレン、レアアースマグネット等、機能性化学品や電子部品材料等があります。

     

     

     

    2.アナリストらが指摘するROEを改善すべきに対する反論

     

    (1)アナリストらの指摘について新聞記事を見てみましょう。

     下記は昨年7月27日の日経新聞の記事です。

     

    2016年7月27日 日本経済新聞の投資情報面「決算 深読み 信越化、市場に募る不満 好業績なのに還元には慎重 低いROEの改善期待」

    『信越化学工業が株主還元に慎重姿勢を続けている。26日、2017年3月期の配当予想を110円と前期実績から据え置くと発表したが、この水準に市場は物足りなさを感じている。余剰資金が積み上がっているため、自己資本利益率(ROE)は7%前後で停滞している。業績の安定感は抜群だが、市場はもろ手を挙げて評価できずにいる。

     「中長期の成長投資の道筋を示すか、それができなければ株主還元に資金を振り向けるべきだ」。みずほ証券の山田幹也シニアアナリストはこう指摘する。

     信越化学は15年3月期まで7年連続で100円の年間配当を実施し、16年3月期は110円に引き上げた。配当を積み増す姿勢に転換したかと見えただけに、今回の4〜6月期決算で「大幅増配発表ならサプライズ」(国内証券)といわれていた。自社株買いはほとんど実施していない。

     財務体質は良好だ。6月末の現預金と短期有価証券を合わせた、手元流動性は8319億円。株主資本の4割にあたる。売上高純利益率が17年3月期予想で14%に上るにもかかわらず、ROEがさえない原因だ。設備投資は年間800億〜1300億円程度で、手元資金は増え続けている。

     業績は好調だ。4〜6月期決算は売上高が前年同期比4%減の3007億円、純利益が20%増の453億円だった。塩ビ事業は増産投資の効果により販売数量が増加。半導体ウエハー事業は高付加価値品を中心に需要が伸び、採算が改善した。

    26日は17年3月期通期見通しも公表した。売上高は前期比8%減の1兆1800億円、純利益は7%増の1600億円を見込む。7月以降の想定為替レートは1ドル=100円で設定した。円高が懸念材料だが、主力事業は順調に推移しそうだ。

     資金をためこむ裏には経済や市況が変動しても、成長の原動力となる大型投資を機動的に自己資金で実施したい、との意向や、減配回避への強い思いがある。ただ6月に就任した斉藤恭彦社長は26日のアナリストとの電話会議で「増益に向けてまず努力する。その中で配当についても考えていく」と話すなど、市場との距離を縮めようとしているようにも見える。

     アナリストらは「信越化学ならROEで2ケタはほしい」と口をそろえる。株価は14年12月の8,529円から3割安い水準だ。期待にどこまでこたえるのか、市場はここを注目している。』

     

     

    下記は今年1月11日の日経新聞証券欄に掲載の「会社研究」の抜粋です。

     

    「有利子負債を差し引いたベースでの手元資金は、前期末で8,200億円もある。これを株主への利益配分強化や自社株買いに使い、ROE(自己資本利益率)を10%台に乗せれば、高株価をテコにした機動的なエクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)がしやすくなる」

     

     

    (2)信越化学工業(株)のROEについて

     よく株式投資の分析で使われるROEとは、Return On Equity の略で、自己資本利益率といい、当期未処理分利益/自己資本で算出されます。自己資本を活用してどれだけ利益を上げたか?例えば国債金利が5%だったとして、自己資本利益率が3%だった場合、事業を辞めて国債を買った方が利益が出るという考え方をします。

     もちろん自己資本利益率が3%と低くても、雇用を生むという社会的役割を果たしていれば、国家に貢献していることになりますので、国債投資と事業投資で比較して、事業を辞めて国債に投資することが正しいなどと、論ずるべきでないことは言うまでもありません。

     因みに、信越化学工業(株)の場合は、下記の算出です。(自己資本比率も記載しておきます。)

     

     /越化学工業(株)のROE

     148,840百万(2016年3月期利益)/1,967,998百万(自己資本)≒0.075≒7.5%

     ⊃越化学工業(株)の自己資本比率

     1,967,998百万(2016年3月期自己資本)/2,416,345百万(2016年3月期総資産)≒81.0%

     

     他業種で有名な会社のROEは以下の通りです。(すべて3月末決算企業で、利益は2016年3月期です。)

     

     トヨタ自動車(証券コード:7203) ROE13.8% 自己資本比率37.4%

     アステラス製薬(証券コード:4503) ROE15.0% 自己資本比率71.6%

     

     信越化学工業(証券コード:4063) ROE7.5% 自己資本比率81.0%

     

     こう見ると確かに7.5%の信越化学工業(株)は見劣りします。しかしながら、自己資本比率が81.0%と高いことの裏返しであると私は考えています。

     

     

    (3)低ROEを改善すべきとの指摘に対する反論

     アナリストらは、問題点としてROEが相対的に低いと指摘します。高収益企業として稼ぎ出した豊富なキャッシュ(8,200億円)を使って自社株買いと消却を行い、ROEを高めれば株価が上昇してエクイティファイナンス(公募増資や第三者割当増資などで新たに株を発行すること)がしやすくなり、資本市場を有効活用できるのに、それをしないのでもったいないと論じています。

     しかしながら、自社株買いをして消却をして株価を高くした後に公募増資をするなどしなくても、豊富なキャッシュで普通にM&Aなり設備投資するなりできるわけです。

     また、過去5年の投資キャッシュフローを見ますと、1000億〜2000億マイナスで推移しており、いわば次なる成長の種を育てるための投資を欠かさず行っているのです。即ち、自社株を買うほどの無駄な金はないと考えます。

     「ROEが高い企業こそが高収益企業」「自社株買いをする会社は株主還元に積極的」などという間違った考えを信じているからこそ、自社株買い→消却→株価上昇→公募増資という、なんとも摩訶不思議なソリューションを持ち出してくるのです。アナリストとは、こんなもんなのでしょうか?アホとしか言いようがありません。

     売上高営業利益率が高い企業こそが高収益企業という考え方からすれば、上述のプロセスがいかに無駄か?がお分かりいただけるのではないかと思うのです。

     

     

     

    3.ROEを絶対視することの愚かさ

     

     安倍政権下で、塩崎厚生労働相主導で、我々日本国民の年金の運用について、株式運用の比率の引き上げを始めました。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、ROEの高い会社は収益力が高いとして、ROEの高い企業を中心に保有比率を高める運用をしています。しかしながら、信越化学工業(株)のように、ROEが相対的に低かったとしても、営業キャッシュフローを高水準で稼ぎ出し、高財務内容で、しかも投資を高水準で続けている企業もあるのです。(高水準の投資は、我が国のGDP成長にも貢献します。)

     ROEを高めるために自社株買いをして消却をするなどというのは、短期的な株価上昇要因になるとはいえ、将来のための投資を怠っている会社として、私の投資対象からは外れます。ROEが万能だと考えて、投資銘柄を選定することが如何に愚かしいか?

     信越化学工業(株)は、ROEの分子部分である当期純利益を増やすために、投資キャッシュフローで毎年1000億〜2000億流出していますが、営業キャッシュフローは毎年2,500億以上を稼ぎ出しています。

     本邦初の米国でのエチレン設備建設、シリコン樹脂の拡充、レアアースマグネット等、将来の利益拡大のための設備投資の手を休めません。これは3年後、5年後、10年後の業績拡大を見据えた成長投資であり、この資金を全て自社のキャッシュで払うのですから、自社株を買うほどの無駄なお金はないものと考えます。

     機関投資家、証券アナリスト、外国人投資家の関心は、依然としてROEを注視することは事実です。とはいえ、ROEが万能でないことは、高収益企業の信越化学工業(株)を会社研究してみて、よく理解できると思うのです。

     信越化学工業(株)の経営陣の皆さんに一言「経営陣の皆さんがやっていることは正しいです!アナリストやら外国人投資家やGPIFのいうROEを高めよ!という声は無視しましょう。」と言いたい。高ROEこそ高収益企業と叫ぶ人々に信越化学工業(株)の株主になって欲しくない、下げる場面があれば、喜んで買い支えたい!これが私の率直な気持ちです。

     

     今日は、信越化学工業(株)の上場来高値更新を祝すとともに、エコノミスト・アナリスト、外国人投資家らに蔓延するROE重視の考え方に対して、反論させていただきました。


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