ショボすぎてデフレ脱却には程遠い2017年度の補正予算と、その根拠となる経済指標の分析について

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     今日は、「ショボすぎてデフレ脱却には程遠い2017年度の補正予算と、その根拠となる経済指標の分析について」と称し、2017年度の補正予算が2兆円台となったことについてのエコノミスト・アナリストらの論説について、意見したいと思います。

     

    下記は、2017/11/28に掲載されたブルームバーグの記事です。

    『2017年11月28日 10:40 JST 高橋舞子 景気回復で補正予算2兆円台に、現政権で最小規模−当初予算へ軸足

     2017年度補正予算は安倍晋三政権下で最小規模となる見通しだ。足元の経済情勢が好調な中、「人づくり革命」「生産性革命」の二枚看板の実現に向けて財政を投入するが、大型の経済対策を伴う補正とは一線を画す。有識者からは、単年度に限定される補正予算から、より長期的な計画を立てられる当初予算充実への転換を図るべきだとの声も高まっている。

     複数の政府関係者によると、今年度補正予算の規模は3兆円を下回る2兆円台に抑える方向で調整している。待機児童解消に向けた施設整備や、生産性向上関連施策、日欧経済連携協定(EPA)大筋合意を受けた農林水産業の強化策が中心となる。財源は2016年度の剰余金や国債費など義務的経費の使い残しのほか、建設国債の発行で確保する。12月22日に来年度予算と併せて閣議決定される見通しだ。
     安倍首相は21日の参院本会議で、「今年度補正予算は景気下振れへの対応ではない」と言明。10月26日の経済財政諮問会議では、高橋進日本総研理事長ら民間議員が「補正予算の編成は必要最小限にとどめ、必要な予算は、物価・賃金動向を踏まえつつメリハリをつけて当初予算に計上すべきだ」と提言していた
     足元の経済情勢は好調で、7−9月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は7期連続のプラス成長を記録した第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは24日の電話取材で、「短期的な景気の底上げの必要性は薄い」と指摘した上で、「安倍政権の財政政策は補正予算から当初予算へ、建設投資から人材投資へシフトした」と説明。当初予算は前年踏襲の慣行を改め、大胆な組み替えが必要だと述べた。
     12年末の第2次政権発足以降、安倍首相は4回の経済対策を実施し、財源を確保するための補正予算を編成。義務的経費の追加なども含めた各年度の一般会計の追加歳出は3.9兆円から8.2兆円規模に上った。うち16年度には第1次〜3次補正で計5.5兆円を計上。15年度は4.8兆円の補正を編成したが、経済対策は策定していない。
     自民党は10月の衆院選で大勝し、単独過半数の議席を獲得したばかり。野村証券の桑原真樹シニアエコノミストは大型の補正予算編成について、「実際に景気が良いことに加えて選挙も終わり、支持率も持ち直しているので、いろいろな意味で必要ない」と否定的な見解を示した。(後略)』
     上記記事の通り、2017年度の補正予算は2兆円台となりました。はっきり申し上げまして、これではデフレ脱却は不可能でしょう。
     記事では「足元の経済情勢は好調で、実質GDPは7期連続のプラス成長を記録した」と報じていますが、GDPデフレーターは、7-9月期でやっとプラスに転じ、しかも0.10とほぼゼロに近い状態です。
     景気がイイという状況は、数値的に申し上げますと、
    ●実質GDP、名目GDPがともにプラス2%以上で推移
    ●GDPデフレーターが2%以上で長期間推移
    ●コアコアCPI(エネルギーの価格変動を除く消費者物価指数)が2%以上で推移
    この3つの条件が出揃ったときです。
     この3条件が揃っている状態は、景気がいい状態です。何しろ、物価が2%上昇しており、物・サービスの個数・回数も多く買われ、しかも物価が緩やかな上昇をしているという状況。この状態であれば、給与も伸び、消費も増やしているので、多くの国民が豊かさを実感できるでしょう。
     景気が過熱しているとすれば、どのくらいのパーセントか?わかりませんが、借金をしてまで投資する、特に土地や株式への投資が借金をしてまでするような人が、周りで増えてきたらバブルといえます。
     ではブルームバーグ記事が伝える”景気がいい”というのは、実際はどうなのでしょうか?
     名目GDP(前期比)、実質GDP(前期比)、GDPデフレーター(前年同期比)で見てみましょう。
      名目GDP 実質GDP

    GDPデフレータ

    (原系列前年同期比)

    94年1Q      
    94年2Q -0.1 -0.5 0.00
    94年3Q 0.9 1.3 0.00
    94年4Q -0.3 -0.5 0.00
    95年1Q 0.6 1 -0.40
    95年2Q 1 1.2 -0.80
    95年3Q 1.2 1.1 -0.50
    95年4Q 0.3 0.2 -0.50
    96年1Q 0.5 1 -0.70
    96年2Q 1.2 1.1 -0.20
    96年3Q -0.1 0 -0.50
    96年4Q 1 1.1 -0.70
    97年1Q 0.3 0.4 -0.30
    97年2Q 0.3 -0.8 0.80
    97年3Q 0.2 0.3 0.70
    97年4Q 0.2 0 0.90
    98年1Q -1.3 -1.2 1.00
    98年2Q -0.6 -0.4 -0.20
    98年3Q -0.2 0.2 -0.50
    98年4Q 1.1 0.9 -0.40
    99年1Q -2 -1.4 -0.90
    99年2Q 0.1 0.5 -1.10
    99年3Q -0.1 0.5 -1.40
    99年4Q -0.2 0 -1.80
    00年1Q 1.6 1.9 -1.50
    00年2Q -0.2 0.2 -1.60
    00年3Q -0.2 0.1 -1.20
    00年4Q 0.6 0.9 -1.30
    01年1Q 0.7 0.6 -0.80
    01年2Q -1.3 -0.5 -1.20
    01年3Q -1.4 -1.1 -1.30
    01年4Q -0.5 -0.3 -1.20
    02年1Q 0.2 0.1 -1.40
    02年2Q -0.3 0.8 -1.50
    02年3Q 0 0.4 -1.50
    02年4Q 0.1 0.3 -1.50
    03年1Q -0.8 -0.1 -2.40
    03年2Q 0.8 0.8 -1.20
    03年3Q 0 0.4 -1.20
    03年4Q 0.4 1.1 -1.70
    04年1Q 0.6 0.8 -1.30
    04年2Q -0.4 0 -1.60
    04年3Q 0.4 0.5 -1.20
    04年4Q -0.1 -0.3 -0.30
    05年1Q 0 0.5 -0.80
    05年2Q 0.3 0.8 -0.90
    05年3Q 0.6 1 -1.10
    05年4Q 0.1 0.2 -1.30
    06年1Q -0.1 0.1 -1.20
    06年2Q 0.1 0.4 -1.10
    06年3Q -0.3 -0.2 -0.70
    06年4Q 1.3 1.2 -0.50
    07年1Q 0.5 0.7 -0.60
    07年2Q 0.1 0.1 -0.50
    07年3Q -0.9 -0.4 -0.60
    07年4Q 0.1 0.5 -1.20
    08年1Q 0.1 0.3 -1.10
    08年2Q -0.7 -0.5 -1.40
    08年3Q -2 -1.3 -1.50
    08年4Q -1.1 -2.3 0.00
    09年1Q -4.8 -4.9 0.20
    09年2Q 1.2 2.1 -0.10
    09年3Q -0.8 0 -0.30
    09年4Q 0.7 1.4 -2.30
    13年4Q 0 0 0.00
    14年1Q 1 0.8 0.30
    14年2Q 0.2 -1.7 2.20
    14年3Q -0.1 0 2.10
    14年4Q 1 0.7 2.40
    15年1Q 2.4 1.2 3.40
    15年2Q 0.4 0.1 1.60
    15年3Q 0.3 0.1 1.90
    15年4Q -0.1 -0.2 1.70
    16年1Q 0.9 0.5 0.90
    16年2Q 0.1 0.4 0.50
    16年3Q -0.1 0.2 -0.10
    16年4Q 0.5 0.3 -0.10
    17年1Q 0.1 0.4 -0.90
    17年2Q 0.8 0.7 -0.40
    17年3Q 0.8 0.6 0.10
    (出典:内閣府ホームページ)
    この数値で注目していただきたいのは、次の部分です。
    1997年2Q(4−6月期)
    2008年4Q(10−12月期)
    2014年2Q(4−6月期)
    1997年2Q(4−6月期)
     この四半期は、1997年4月という消費増税3%→5%となった四半期です。名目GDP、実質GDP共に2%未満でマイナスとプラスを往来しています。GDPデフレーターはプラスに転じています。
     これは消費増税という強制的に名目の物価上昇させる政策のため、名目GDP前期比増減>実質GDP前期比増減 となることからプラスに転じたものです。何しろGDPデフレーター=名目GDP÷実質GDPで算出されます。
     名目GDPの減少幅が、実質GDPの減少幅より小さい、即ち、名目GDP減少幅の絶対値<実質GDP減少幅の絶対値 となるため、必ずそうなります。
    2008年4Q(10−12月期)
     この四半期は、2008年9月15日にリーマンショックが発生し、世界的に景気が悪くなり始めた10月からの数値です。世界的に景気が悪くなると輸入物価が下がり、交易条件が良化します。輸入物価が下がると、名目GDPは上昇します。なぜならば、輸入はGDP算出の際、控除される項目だからです。
    GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出(※)
    ※純輸出=輸出−輸入
    控除されるものが減少するということは、GDPが増えるということになります。即ち名目GDPが増えるということ。GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDPですので、GDPデフレーターはプラスに押し上げられたというわけです。
    2014年2Q(4−6月期)
     この四半期は、2014年4月という消費増税5%→8%となった四半期です。GDPデフレーターは4半期連続で前年同期比で2%台と高い数値を継続しています。
     これは景気が良くなって2%台を推移しているのではなく、,汎瑛佑法¬礁棕韮庁仭梓比増減>実質GDP前期比増減 かつ 名目GDP減少幅の絶対値<実質GDP減少幅の絶対値 となるため、GDPデフレーターがプラスするのです。
     確かに、実質GDPは7期連続でプラスではありますが、GDPデフレーターはプラス0.10と小幅なプラスです。物価上昇率は、コアCPI△0.7%、コアコアCPI±0%です。ブルームバーグの記事が伝えるような、とても”景気がいい”という数値ではありません。
     ところが、野村證券のアナリストは景気がイイとコメントしています。第一生命研究所のエコノミストも景気の短期的な底上げは不要とコメントしています。民間議員で日本総研の高橋進氏は、補正予算は必要最小限にとどめるべきと、財政支出増となる補正予算は少なくてよいという旨をコメントしています。
     どうでしょうか?このようにエコノミストもアナリストも民間議員とやら識者と呼ばれる人も、この程度の認識です。実質GDP7期連続プラスが2%台で達成し、コアコアCPIで2%を達成し、しかもGDPデフレーターがプラスだったら、上述のコメントも理解できます。とはいえ、そうではない。だからほとんどの人が”景気がいい”という実感が乏しいものと思うわけです。
     というわけで、今日は補正予算2兆円台についてのエコノミスト・アナリストらのコメントについて触れ、私見を述べさせていただきました。エコノミストやアナリストらは、内閣府が公表する数値を見ていても、その数字がイメージするものが理解できていないのでは?と思います。
     そのため、権威のある彼らの論説がマスコミ報道を賑わせ、結果的に日本国民が「景気がイイんだ!」と誤認すると思うのです。確かに株価は上昇し、景気がイイと思わせるような報道も多い。とはいえ、株価がどれだけ上昇しても、円安で外国人投資家が日本株に買いを入れているという現状ですので、もともと今の日本において株価上昇とGDP成長には相関関係がないといえます。
     もちろん、コアコアCPIで2%以上、名目GDP・実質GDPがともにプラス、GDPデフレーターで2%以上プラスという状況で、実質賃金が増えて、実質消費が増えることで、企業の一人当たり利益が上昇し、株価が上昇しているということであれば、株価上昇についても誇れます。現実はそうではありません。
     政府が長期プロジェクトを制定して政府支出増をする、トランプ大統領のように大々的なインフラ投資をすると宣言する。そうすれば、政府支出自体がGDPを押し上げ、民間企業の投資を誘発することでGDPを押し上げます。結果、名目GDP・実質GDPがともにプラス、GDPデフレーターで2%以上プラス、コアコアCPIで2%以上、という状況になって、実質賃金も実質消費が増え、豊かさを実感できるでしょう。そうなって初めて”景気がイイ”といえるものと、私は思うのです。

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