財務省の緊縮財政発想が日本の医療介護サービスを崩壊させる!

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     今日は「財務省の緊縮財政発想が日本の医療介護サービスを崩壊させる!」と称し、医療介護費削減について反対の意見をします。

     

     財務省が、2018年度に診療報酬と介護報酬の引き下げを企んでいます。特に医師の給料が高いとして、医師の人件費を中心として引き下げ、結果診療報酬を引き下げようとしています。介護の方は、普通の中小企業が利益率が低いのに、介護事業者の利益率は高いということで、サービス単価を引き下げようとしています。

     

     こうした動き、どちらも日本の医療・介護サービスを崩壊させます。

     

     デフレで実質賃金、実質消費が下がり、給料が増えにくい、もしくは給料が下がっている人が多いという状況です。そうなると、給料が下がっていない高いところに目を付け、「その人たちの給料を下げろ!」という発想になってしまっているのです。

     本来は低いところを上げていかなければならないのにそういう発想がありません。

     

     医療のサービスでいえば、デフレ下の環境で医師の賃金が高止まりが続いたと財務省が主張しています。有効求人倍率をみたとき、その言い分は正しいのでしょうか?本当に給料が高いのであれば、医師不足は起きません。看護師で有効求人倍率は2.5倍程度。医師の場合は5倍超です。

     

    <平成27年度、平成28年度の職業別有効求人倍率>

    (出典:厚生労働省の平成29年5月30日付資料「労働市場分析レポート 第77号」から抜粋)

     

     

     上記は厚労省の「労働市場分析レポート」という資料の抜粋です。医師の有効求人倍率は、平成27年で6.15倍、平成28年で5.97倍と、5倍を超えています。これは、求職者1人に対して、求人する医療機関が5人以上いるという状況です。

     

     医療機関で働く医師や看護師はサービス残業をひたすら拡大し、何とか現場を回しています。まともに残業代を請求すると、医療機関が倒産してしまうからです。

     

     そうした医師や看護師らが、現場で頑張って耐えているにもかかわらず、「デフレで他産業の賃金が下がったのだから、お前たちも下がるべきだ!」と言いがかりをつけ、診療報酬の本体部分を削減しようとしているのです。

     

     こうしたことを続けると、医師になる人がいなくなり、病院が倒産して看護師の成り手もいなくなって、ものすごい人手不足となり、医療サービス全体の供給能力が落ちていくことになるでしょう。

     

     そもそも医療費が増大して財政破綻するという話自体、あり得ない話です。なぜならば、赤字国債を発行して今も補填しています。赤字国債が発行されても、円建国債なので何ら問題がない。いざとなれば日銀が通貨発行して返済できるため、財政破綻すること自体が、”極めて確率が低い”ではなく、物理的にも論理的にも会計的も”確率ゼロ”です。

     

     にもかかわらず、財政破綻、医療崩壊を煽って、医療費の削減を推進すると最終的にどうなるでしょうか?

     

     私たち日本国民は、医者にかかりたい、医療サービスを受けたいと思っても、医療サービスを受けられなくなります。どれだけお金を積んでも医療サービスを受けられなくなります。

     なぜならば、医師がいない、病院がないから。こういう状態のことなんて呼ぶか?発展途上国です。これこそが医療亡国です。

     

     介護も同じです。介護にしても、有効求人倍率は3倍超です。産業としては「介護」は有効求人倍率トップで、最悪の人手不足といえます。その状況でさらに介護報酬を引き下げようとしている財務省職員は、アホか?と言いたい。

     

     もともと介護の平均給与は産業平均と比較して、女性で▲3万円、男性で▲10万円です。正直、給料が安すぎて介護の仕事に携わろうとする人がいるわけがありません。

     

     人がどんどん流出していき、人手不足になって残った人が死に物狂いで頑張っているところに「介護報酬を引き下げる」と財務省は言っているわけで、医療・介護の現場のブラック化がますます進みます。

     

     この状況を打破するためには、プライマリーバランス黒字化目標の破棄、これしかありません。

     

     このような緊縮財政が始まったのはいつからでしょうか?それは、1997年の橋本内閣のときからです。当時は介護報酬・医療年金といった政府が支出する社会保障費が増えるのは明らかでした。なぜならば高齢化社会が始まったからです。

     

     そのときに「財政構造改革法」という法律が制定され、緊縮財政が始まりました。その法律の精神とは、

    ●増える社会保障支出に対して増税で賄う:消費増税3%→5%につながった

    ●社会保障費以外の支出を削減する:公共投資は半分にされ、防衛費や科学技術予算も削減されるというのが今もなお継続している

    ●社会保障自体を抑制する:診療報酬・介護報酬の引き下げにつながる

    ということです。

     

     その後、竹中平蔵が小泉政権に入閣して、財政の骨太方針としてプライマリーバランス黒字化目標というのが始まりました。このプライマリーバランス黒字化目標がある限り、医療サービス、介護サービスの単価は引き下げ続けるでしょう。

     

     なんでデフレの国で、医療・介護サービスの単価を引き下げるのでしょうか?デフレ脱却どころか、さらにひどいデフレになるということになんで気づかないのでしょうか?なぜか、そういう方針になってしまっているのです。

     

     介護の成り手がいないとして、日本は介護の担い手として海外から技能実習生を呼んでいます。今年11/1に介護分野に技能実習生が解禁されました。ところが、聞いてみますと外国人でさえも、職場環境がひどすぎて低賃金で働かせるため、介護の仕事は敬遠されていると言われています。中国人もベトナム人でさえもやりたがらないとのこと。

     

     最終的には日本では介護になっても、介護サービスを受けられない状況になるでしょう。民間の介護保険に加入してお金をもらったとして、どれだけたくさんのお金を積んでも、介護サービスは受けられない。これは本当の意味での亡国です。

     

     こういう状況で診療報酬、介護報酬を引き下げることを企む財務省職員こそ、医療・介護サービスを崩壊させている犯人といえるのです。

     

     

     というわけで、今日は「財務省の緊縮財政発想が日本の医療介護サービスを崩壊させる!」と称し、財務省の緊縮財政の発想に対して批判しました。既に日本の発展途上国化は始まっています。医療介護に限らず、公共事業削減でインフラはボロボロになり、教育は荒廃し、論文の引用数でも世界ランキングでダウンしています。

     高速道路を無料にしても、教育を無料にしても、そもそもインフラにお金をかけ、教育の設備や教員にお金を掛けなければ、安心して質の高いサービスを受けることは不可能です。これは医療も介護も同じ。デフレであるがゆえに、その環境下でも医療と介護は、「需要>供給」というインフレギャップでかつギャップ幅も大きいがゆえに、医療・介護にはお金をもっと投じるべきですし、2018年での改定では、むしろ報酬引上げをすべきなのです。

     「緊縮財政は日本のすべてを亡ぼす!」ということを、皆さんにぜひともご理解いただきたいと思うのであります。


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