堤防建設という公共工事の経済効果(物語「稲むらの火」の主人公、濱口梧陵の偉業)

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    JUGEMテーマ:公共工事の経済効果

     

     

    今日は「稲むらの火」という物語について述べます。

     

    私は5年前まで、訪れたことのない足を踏み入れたことがない都道府県が下記の通り7県ありました。

     

    福井県(2013928日訪問)

    和歌山県(2015131日訪問)

    高知県

    徳島県

    愛媛県

    大分県(2012414日訪問)

    宮崎県

     

    今日は2015131日に訪問した和歌山県有田郡広川町にある広村堤防について、「公共工事の経済効果」ということで意見させていただきます。

     

    広村堤防の場所は下記の通りです。

     

     

    広村堤防の図面と現地の写真です。

     

     

     

     

     

    1.物語「稲むらの火」の概要

     

     1854年 安政南海地震が発生し、現在の和歌山県や高知県や大阪府などに大津波が押し寄せ、数千人の死者が出たとされる実話を元にした物語で、1937年から10年間、国語の教科書に掲載され、防災教材として高く評価されました。物語の主人公で登場する濱口儀兵衛は、濱口梧陵(はまぐちごりょう)氏で、彼は福沢諭吉とも交流があり、初代和歌山県県議会議長や初代郵政大臣を務めた人です。

     

     物語の概要は次の通りです。

    『1854年、安政南海地震発生時、紀伊国広村(現在の和歌山県有田郡広川町)の庄屋であった濱口儀兵衛は、村の高台に住んでいたため、海が一斉に引いていくのが見えました。

     大津波が来ると判断した濱口儀兵衛が村を見ると、折り悪く「祭りの準備」に忙殺されていた村人は誰も津波来襲に気付いていません。このままでは村人が全滅することになります。

     濱口儀兵衛は積んであった脱穀後の稲の束(稲むら)に松明で火を付けました。高台で煙が上がるのを見た村人たちは、火事を消し止めるべく坂を上がってきました。そこに津波が押し寄せ、村人たちは命が助かりました。』

     

     当時の稲むらは、草履や畳の材料であり、高価なものでした。その高価な稲むらに火を付け、津波の直接的被害から村人を救ったのです。

     話はここで終わりません。津波で壊滅状態に陥った村を再建し、村人の流出を食い止めるため、濱口梧陵は私財を投じ、海岸に高さ5m、長さ約600mの堤防を築き、海側に松並木を植林します。これが「広村堤防」です。そして「広村堤防」は1946年の昭和南海地震で発生した4mの津波から村を守りました。

     濱口梧陵の堤防建設事業は、堤防建設の「雇用の場」を生み出し、離散してしまうはずの村人を雇用して村を存続させたことにとどまらず、広村堤防は1946年の昭和南海地震から、村を守ったのです。

     

     

     

    2.濱口梧陵の堤防建設事業の効果

     

     物語は、高価な稲むらに火を付けて直接的な津波の被害から人を救ったことを中心に描かれています。もちろんそれはそれで素晴らしい話なのですが、重要なのは、その後、村がどうなったか?です。

     普通であれば、津波が来るような場所で人々が農作物を安心して作ることなどできず、生活の基盤が脅かされるような環境の村に留まる人々は少ないでしょう。村人が離散することが確実な状況で、濱口梧陵が私財を投じて「堤防建設」という公共事業(私財を投じているので「公共」という言葉が適切かわかりません。)を興し、村を存続させたということも効果といえます。

     

     濱口梧陵の「堤防建設」の経済効果は、少なくても次の3つの効果があったと指摘できます。

    (1)村に雇用が創出されて、現在の村人に所得をもたらし離散を防ぎ、村というコミュニティを維持できた。

    (2)堤防を建設することで、将来の村人の生命を1946年の昭和南海地震から守った

    (3)村を存続させることで、他の地域の安全保障を強化した

     

    (3)は理解しにくいかもしれませんが、自然災害がオンパレードの我が国では、国民が分散して生活することが災害安全保障上きわめて重要です。堤防建設事業によって「他の地域が自然災害に遭った場合の助ける拠点」として村が存続したということです。

     また村が再建されれば、田畑が耕され、農産物の生産により村人に所得がもたらされます。堤防がない状況では、村人は安心して田畑を耕そうとはしないでしょう。

     濱口梧陵が「堤防建設」に私財を投じて建築したことで、村の農産物の生産量を増やすことにもつながりました。即ち生産性向上を果たすことができたのです。

     

     自然災害大国である日本において「需要」は途切れることはありません。日本国民にとって「安全という名の商品」の需要は、事実上無限に存在するのです。

     

    ・日本は人口が減少するから経済成長しない

    ・人口減少するからインフラは作っても無駄だ!

    こうした考え、発想は間違っています。

     

     いざという時でも「安心・安全」が継続されるために、津波から守る防波堤・防潮堤、川の氾濫から守るスーパー堤防、地震噴火を事前に予知するサービスのクオリティの向上など、需要は無限に存在します。

     そうした需要を満たすために、政府や民間企業が知恵を絞り、技術開発をすることで、我が国の供給能力(潜在GDP)が蓄積され、拡大していくのです。供給力(潜在GDP)の蓄積こそが、国の経済力です。

     

     

     

    3.政府が超長期プロジェクトを明言する必要性について

     

     橋本政権期に44兆円だった公共投資は、現在は20数兆円にまで絞られてしまっています。民主党の「コンクリートから人へ」というスローガンの悍ましさは論外ですが、安倍政権でさえ、一般会計と補正予算の合計額において2014年度から削減し、民主党政権よりも公共工事を少なくしています。

     

     東京オリンピックがあったとしても、土木建設企業の経営者からすれば、「突発的に巨額の予算を付けるより、少しずつでよいので、安定的に予算を増やして欲しい」ということではないでしょうか?当たり前と言えば当たり前なのですが、供給力の回復・維持のためには、長期という視点は極めて重要です。

     

     安倍政権は201683日、臨時閣議に挑む前に、事業規模281000億円の「未来への投資を実現する経済対策」を決め、2次補正予算を組みました。2016年の秋に第一弾として7兆円ということでしたが、これが次年度も真水で7兆円を維持するのか?例えば、初年度7兆円、2年目10兆円、3年目15兆円、4年目以降15兆円を維持するといった感じで、政府が長期的に公共投資を継続する旨を明示しなければ、土木・建築の経営者は本格的に「人材という供給能力」を拡大しようとはしないでしょう。

     

     そうなると、若い世代への技能・技術継承が進まず、20年後か30年後、現役世代が引退してしまった時点で、我が国は「自国企業で高層ビルを建てられない」「自国人材で大きな橋を架けられない」国、即ち発展途上国と化していることになります。

     そうならないためにも超長期プロジェクトを政府が明言し、土木・建築業者らが人材投資・設備投資をしやすい環境を作る必要があるのです。それは、即ち政府支出増を、金額と時間軸を明言することです。

     そして金額は、10兆円と言われているデフレギャップ以上の金額を明言する必要があります。さもなければ、デフレギャップ分がデフレ継続し、経済成長しなくなってしまうのです。

     

     最後に、濱口梧陵の偉業をたたえた動画のYoutubeを掲載しますので、ぜひご参照ください。

     

     『梧陵と稲むらの火』のYoutube→https://www.youtube.com/watch?v=ezpG1ulJaQ4

     

     

     

     

     


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