「国債増刷」「政府支出増」が必要な理由

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    倍政権に必要なのは、「8%への消費増税」「補正予算減額などの緊縮財政」が誤っていたことを認め、政策転換をすることが必要です。

     具体的には、「国債の増刷」「政府支出増」の2つです。

    【1】「国債の増刷」が必要な理由

     市中(メガバンク、地銀、信金信組等保有)の国債が尽きようとしており、このまま金融緩和(年間100兆円規模の国債を買い続ける)を継続しても、コアコアCPI(生鮮食品・エネルギーの価格変動除く消費者物価指数)で物価上昇しない場合、日銀が市中から買う国債がなくなる日銀が国債を買えない金融緩和ができなくなる金融緩和後退大幅な円高株式大暴落というシナリオが見えてきます。
     このシナリオは、2015年1月15日に起きたスイスフランショックと似ています。

     スイスは1ユーロ=1.2スイスフラン為替防衛ラインを為替介入(ユーロ買いスイスフラン売り)で実施し、アベノミクスと同様に金融緩和で、スイスのマネタリーベースは5倍にまで増加しました。
     日本(アベノミクス)とスイスの金融緩和は、目的こそ物価上昇(デフレ脱却)で同じですが、手法が異なります。
     アベノミクスの金融緩和の第一の矢は、日銀に市中の国債を買わせる金融緩和、即ち日銀当座預金を増やすこと(日銀の負債の増加、銀行の資産の増加)による国債買取です。
     スイスの金融緩和は非不胎化介入で、具体的にはスイスフランを通貨発行し、ユーロ買いスイスフラン売りの為替介入により、スイスフランを1スイスフラン=1.2ユーロ以上のスイスフラン高を認めない(日本円でいえば、1ドル=120円以上の円高を認めない)という金融政策です。

     スイスは貿易総額がスイスのGDPを超え、純輸出(輸出輸入)はGDPの50%を占める貿易大国(日本は純輸出のGDPに占める割合は13%程度の内需国)であり、スイスフラン高では経済成長ができないために非不胎化型の金融緩和(スイスフランを通貨発行、ユーロ買いスイスフラン売りで1スイスフラン=1.2ユーロ以上のスイスフラン高を認めない為替防衛ラインの設定)を実施しました。
     
     その結果、マネタリーベースは実施前比で5倍にまでなりましたが、物価上昇率はプラスマイナスゼロ。そこにECB(ヨーロッパ中央銀行)が大幅な金融緩和をするという意思表示。スイス中央銀行はマネタリーベースを5倍に拡大しても物価上昇しないところに、さらなる追加金融緩和をすることができず、非不胎化型金融緩和(スイスフランを通貨発行、ユーロ買いスイスフラン売り)を辞めたところ、一気に1スイスフラン=0.8ユーロにまで急上昇(日本円で言えば1ドル=80円まで急上昇)したというのが、スイスフランショックという事件であります。
     
     アベノミクスの金融緩和は市中の国債を買い取ることで日銀当座預金を増やす方法なので、非不胎化型ではありませんが、物価上昇が目的であることはスイスと同じ。物価上昇すれば自国通貨は他通貨に対して切り下がります。(自国通貨安になります。)

     しかしながら日本はコアコアCPI(生鮮食品・エネルギーの価格変動を除く消費者物価指数)で2%達成できていないどころか、スイスと同様ほぼプラスマイナスゼロ。この状況で、さらなる金融緩和(国債の買取ペースを早める)をしても、政府支出増加の需要拡大政策が行われない状況かつ物・サービスを値下げしないと売れない環境では、企業の設備投資意欲は抑制されてデフレ脱却を果たせません。
     理由は国債をどれだけ買い取っても、物価は変動しないからです。物価は物・サービスが買われて初めて変動するため、国債をどれだけ買っても物価には影響を与えないのです。

     マスコミや3流以下アナリストエコノミストなど、追加金融緩和に期待という意見を述べる人もいますが、「国債の増刷」をせず、追加金融緩和をすれば市中の国債が早く尽きてしまうわけで自殺行為に等しいわけです。

     

     

     

    【2】「政府支出増加」が必要な理由

     税収=名目GDP×税率×税収弾性値
    GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出
     純輸出=輸出−輸入

     1996年比のデータで見ると、公共投資額は日本が一番減らしています。

    日本の公共投資額:1996年45兆円今20兆円で56%減の44%程度
    緊縮財政でケチケチのドイツ:1996年比30%増の1.3%
    米国イギリス:1996年比200%増の3倍
    中国:1996年比700%増の8倍

     1996年比でこれだけ公共投資を減らした国は、上記の通り世界にありません。無駄な公共工事と印象操作されて、政府支出を減らし続けてデフレを加速させ、日本国民の生命の危険にさらされるようになっているのです。

     「コンクリートから人へ」という民主党政権は論外ですが、安倍政権も緊縮財政で補正予算減額し、政府支出を減らしています。小泉政権ですら、毎年7000億円の公共工事削減で政府支出を減らしました。

     GDP500兆円のうち6割(300兆円)を占める個人消費が大きい内需国の我が国において、物価下落(デフレ)の中で、公共工事削減を継続すれば、設備投資が落ち込んで雇用や賃金に影響を与えて、個人消費が落ち込むのデフレスパイラルに陥ることは必然です。 

     GDPの算出項目の1つである政府支出を増やせば、税収は増えます。特にインフラに政府支出で投資することは、政府支出自体でGDPを着実に増加させ、民間需要を誘発して設備投資が増え、1粒で2つおいしいのです。安倍政権は発足して間もなく、国土強靭化で政府支出を増加させました。結果、2013年度名目GDP1.9%増で税収は6.9%増増えました。

     ところが、2014年度、消費増税(5%→8%)と補正予算減額等の緊縮財政で、GDPがマイナスとなり、デフレ脱却から後退してしまったのです。

     無駄削減といった緊縮財政では名目GDPを増やすことができません。むしろ低金利を活用して、高速インフラ(北陸新幹線大阪伸長、他の新幹線整備、リニア中央新幹線の関空伸長の早期実現)や将来の生産性向上につながる科学技術(国際リニアコライダーやスーパーコンピュータなど)への投資を政府支出増加によって積極的に後押しすれば、デフレ脱却を果たすことができ、税収増加も財政問題(GDP対政府債務比率低下)も解決できます。

     一刻も早く、緊縮財政を改め、政府支出増への政策転換をして欲しいと思います。

     

     


    【3】「今急ぐべきこと」の結論

     金融緩和をいくらやっても、金融緩和そのものは、自国通貨安を誘導するために他通貨を買う、マネタリーベースを拡大するために国債を買うなので、物・サービスが買われるわけではないため、物価上昇とは関係がありません。デフレインフレという物価変動現象について、貨幣の増減であるという貨幣過不足説と需要過不足説がありますが、貨幣過不足説が間違っていて、需要過不足説が正しいことは上述の事例でも理解できるのではと思います。

    (貨幣過不足説でいう貨幣がマネタリーベースを指すのか?マネーストックを指すのか?定義不明)

     多くの国民が、政治家を含め3流以下エコノミストアナリストらのウソを見抜き、デフレインフレに対する正しい知識・認識を持つ必要があります。さもなければ、「無駄削減しなければ財政破綻する」というウソにより、虎の子の供給力を毀損し、災害が起きても、直接被害から国民の生命を守れず、供給力を毀損することで復旧が遅れて間接被害(物資が届けられないなどの理由による被害)からも国民の生命を守れない、即ち日本が発展途上国化してしまうことこそ、将来世代にツケを残すということになりましょう。

     1000兆円の政府の負債は100%円建て負債であり、日本円の通貨発行権を持つ我が国において財政破綻する確率はゼロ。にもかかわらず、「膨大な借金」などと誤認した存在しない財政問題を不必要に煽り、消費増税が必要と家計簿と同じように例え、結果的にデフレ脱却に必要な財政支出ができず、虎の子の供給力が毀損されていくことこそが将来世代へのツケを残す、ということに気づかない国民が大多数であることも、問題解決を困難にしている理由の一つです。

     今安倍政権に必要なのは、「国債増刷」「政府支出増加」を急ぐことです。


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