レントシーキングについて!(格差を作る方法とは?)

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    JUGEMテーマ:レントシーキング

     

     皆さんは、「レントシーキング」という言葉をご存知でしょうか?今日は「レントシーキング」について触れ、格差の作り方をご説明したいと思います。

     

     私は2013年5月23日〜2013年5月27日にミャンマーのヤンゴン市に行きました。

     

    <ヤンゴン市内の様子 

    (写真:杉っ子が撮影)

     

    <ヤンゴン市内の様子◆

    (写真:杉っ子が撮影)

     

     ミャンマーといえばアウンサンスーチーさん(1991年ノーベル平和賞受賞)が有名です。そして親日国でイギリスの植民地でした。ヤンゴン市内ではアウンサンスーチーの父親のアウンサン将軍が、日本の軍服姿を着て馬に乗っている像をあちらこちらで見ることができます。

     

     ヤンゴン市内を車で移動すると、朽ち果てたマンションが密集する貧困地帯と、道路一つ挟んだところに「大豪邸」が建っているという景色を頻繁に見ることができます。日本ではあり得ない規模の大豪邸です。米国のビバリーヒルズの場合は、富豪やハイウッドスターなどの豪邸が集まっているのですが、ミャンマーのヤンゴン市内の場合は、貧困層と富裕層が隣り合わせで住んでいます。

     

     ミャンマーの極端な所得格差をもたらした原因、それは政商という存在です。米国ではロビーストといいます。日本でいえば、産業競争力会議のメンバーや規制改革推進委員らといったところでしょうか?政商とは、政治家と結びついた企業家や投資家のことをいいます。法律や認可で既得権益を新たに保有して、独占的・寡占的に巨額の所得を稼ぐ人々を意味します。

     

     ポイントは政治と結びついて既得権益を新たに保有するという部分です。例えばミャンマーでは、海外からの輸入は認可制でした。一般のミャンマー国民が勝手に海外から製品を輸入することはできず、政府(当時は軍政府)の許可が必要でした。軍政府の関係者に「賄賂」を使って取り入り、ミャンマーへ製品輸入の権利を獲得した一部の政商が、独占的に輸入業を営むことで、巨万の富を築き上げることができたのでした。何しろ、政府の認可がなければ輸入業ができないため、政商は軍政府の関係者とうまくやることで、過剰利潤を獲得し放題にできたのでした。もちろん認可を出した軍政府の関係者も大いに個人としての富を増やすことができました。

     

     例として中古車輸入ビジネスがあるのですが、私がヤンゴン市内でみたのは、多くの日本の中古車でした。ミャンマーの道路は右側通行なのですが、日本の中古バスのドアは左側です。左側のドアを壊して開けたままの状態で、中古バスがヤンゴン市内のあちこちで走っていたのを見かけました。もちろん新品の韓国の現代自動車製のバスも走っていますが、数としては圧倒的に日本の中古車の方が多かったです。

     

     日本製品は壊れにくい。現代自動車の乗用車は新車であっても雨漏れするという話があったりしますが、もともと日本製品は海外では中古でも欲しがられるほど需要があるようで、親日国のミャンマーも例外ではないと思いました。

     

     そして日本の中古車に対する需要が大きいミャンマーで、中古車輸入を独占することができれば、これはもう間違いなく巨万の富を築くことができます。

     

     例えば軍政府の関係者と結びついたミャンマーの政商が、1万円(1万JPY≒12万MMK(ミャンマーチャット))の中古車を輸入し、国内市場で3万円(36万チャット)で販売したとします。ミャンマーチャットで通貨を考えた場合、12万チャットで輸入した中古車を36万チャットで消費者に販売したとすれば、政商には24万チャットの利益が転がり込みます。ビジネスを独占して競争がなければ、輸入価格の2倍の租特を稼ぐことができるのです。

     

     ミャンマー国内に日本製の中古車の需要がある限り、ミャンマー国民は政商に暴利を献上し続けなければなりません。なぜならば、ミャンマー国民に別の販売者から日本製の中古車を購入する選択肢がないからです。

     

     この選択肢がないという状況こそ、政商側に圧倒的な利益をもたらすのです。もし、政商の過剰利益獲得を防止したい場合、政府が打つべき政策は「規制緩和」になります。

     日本製の中古車の輸入ビジネスを自由化して、市場競争を激化させることで、政商の過剰利益が減少し、国民が得することができるのです。

     

     表題のレントシーキングとは、正に上述の「企業が独占利益や超過利益を獲得するためのロビー活動」という定義になります。特に米国では公共サービスが民営化され、消費者側に選択肢がない状況でサービス価格引き上げを容易にし、一般消費者から公共サービスに投資した企業や投資家への所得移転が拡大しました。結果的に米国では所得格差が広がりました。

     

     厄介なのは、公共サービスの民営化によるレントシーキングを企てる投資家や企業家は、「市場競争」や「規制緩和」をお題目として掲げることです。「市場競争こそ重要だ!」という口車に乗って、政府が公共サービスの民営化を推進すると、一部の投資家や企業家が独占的に所得を稼ぐ「市場競争がない環境」が逆に作り上げられてしまうのです。

     

     公共サービスに対するレントシーキングは、日本でも既に推進されています。例として挙げれば、電力サービスにおける発送電分離、農協改革などです。この手の改革は、果たして誰のための改革なのか?市場競争が正しかったとしても、国家としては安全保障が崩壊して間違った政策になっているということが起こり得るのです。

     

     

     というわけで、今日はレントシーキングというものを取り上げました。発送電分離でいえば、ビジネス参入を狙っていた企業家らは得した半面、発電施設を保有する電力会社は損し、送電網などの設備にかける費用が抑制されたり、自然エネルギーを高価格で買い取る一方で安定稼働する火力発電所が低稼働になるという形で、電力供給が不安定になります。電力供給が不安定になるということは、今後、日本でも停電が頻繁に発生し得るという状況になります。エネルギー安全保障の弱体化=日本国民の損失です。

     イデオロギー的に規制緩和が悪と決めつけるつもりはありませんが、レントシーキングに対しては、デフレインフレという経済環境と、安全保障の弱体化につながらないか?をよく議論し、規制緩和を行うべきだと思うのです。国益が損なわれるとするならば、規制緩和ではなくむしろ規制を強化した方がいい場合もあるわけです。

     ところが、「自由競争が常に正しい」という考え方でいきますと、こうした発想にならず、規制緩和を進めた結果、むしろ国力は弱体化します。そこに気付いたのが、米国のトランプ大統領であり、イギリスのメイ首相であり、オーストラリアのターンブル首相であり、フランスのマリーヌルペンといった政治家です。

     日本の政治家の中で、彼らのような発想を持っている政治家の存在を私は知りません。そして、そうした政治家が不在である状況が、日本を発展途上国化させるという不幸な状況を作り上げていると、私は思うのであります。


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