「株価の上昇が安倍政権の成果だ!」に対する反論

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    JUGEMテーマ:経済全般

     

     今日は株価の上昇下落が、通信簿であるとする考え方、例えば「日経平均株価の上昇が安倍政権の成果だ!」とか「経営者の成果だ!」という考え方について反論したいと思います。

     

     先週金曜日、東京証券取引所は、日経平均株価が14連騰と報じられ、21,457円64銭(9円12銭高)で取引を終えました。またTOPIXは1,730.64ポイント(0.6ポイント高)でした。

     

     私は本ブログで株式投資について記事を書くことがありまして、私自身も国内外45銘柄ほどを保有しております。ですが、率直に申し上げて、安倍政権誕生後の株価上昇は、円安による原因が大きいと考えております。金融緩和を行うことで自国通貨安に誘導して、その結果株価が上昇したと考えております。

     

     

     

    1.東証1部銘柄の売買代金の69%を外国人投資家が占めているという現状

     

     もともと日本の株式市場は外国人投資家が売買の50%以上を占めています。下記は、10/2〜10/13の期間における東京証券取引所第一部銘柄での売買代金の投資主体別シェアです。

     

    <東証1部銘柄における売買代金シェアの円グラフ>

    (出典:日本取引所のホームページ)

     

     

    <東証1部銘柄における委託売買の主体別売買シェアの一覧>

    (出典:日本取引所のホームページ)

     

     

     上記は、東証1部に限定されているため、69%と高い数値になっています。東証2部とマザーズ、ジャスダックの3市場が加わっても、売買シェアは50%を越えます。

     因みに日経平均株価は東証1部の銘柄から225種の銘柄を採用して構成されたものです。そのため、東証1部の銘柄が高く買われれば、日経平均株価は上昇するのです。

     何が言いたいかといえば、外国人投資家が売買の主体の69%を占めているということから、日経平均株価は外国人投資家の売買動向に左右されるといえるのです。

     

     

     

    2.海外投資家が日本株に買いを入れるタイミングはドル円相場が円安のとき!

     

     外国人投資家はどういう局面で日本株に買いを入れるでしょうか?下記は日経平均株価とドル円相場を指数化して比較したグラフです。

     

    <日経平均225とドル円相場について10年前の数値を起点にして現在までの価格変動を指数化したグラフ>

    青いグラフ:日経平均  赤いグラフ:ドル円相場

    (出典:ヤフーファイナンス)

     

     2012年末に安倍政権が誕生して、アベノミクス第一の矢の金融緩和によって、ドル円相場が円安になりました。通貨を発行することで自国通貨が切り下がり、日本国内の輸出産業の価格競争力が強くなったことで、輸出産業を中心に収益回復してきたというのがわかると思います。

     大まかではありますが、円高では日本株は売られ、円安では日本株は買われる、これが日本の株式市場のトレンドです。

     

     つまり円安に誘導すれば日本株は買われます。とはいえ、例えばドル円相場が110円→115円になったとして、決算が上方修正されたとします。この場合、翌年度の決算もまた115円→120円という円安にならなければ、実質の輸出量が増えない限り、翌年は増収しないということになります。

     

     では、為替を円安にしさえすれば株価は上昇を続けるのか?ということになりますが、2つあります。一つ目は円安を政府が誘導したとして米国などの他国から為替介入と認定され、関税引き上げなどのペナルティを設定することがあり得ます。トランプ大統領が、メキシコで製造した製品に高関税をかけるなどと言うように、日本は為替操作国とトランプ大統領が認定することで、日本製品に高関税をかけるということがあり得ます。

     高関税を米国がかける掛けないは、米国の主権にかかわる問題。私たち日本人がとやかく言うことではありません。内政干渉です。

     

     二つ目は、仮に円安誘導したとしても、輸出の実需即ち輸出数量が増えない場合、単にドル建ての売上債権を円転した際に為替差益が発生したというだけということになります。この場合は、先述の通り、次年度も輸出に頼って増収増益決算となるためには、数量が増えない状況では、ドル円相場についてもう1年上昇しない限り、増収増益にはなりません。例えば、2018年3月期決算が、ドル円相場115円で決算を迎え、想定為替レート105円で決算予測していたので、増収したとします。この場合、2019年3月期決算は、125円程度までドル円相場が上昇せず、かつ輸出数量が増えないとなれば、増収増益しないのです。

     

     このように輸出に頼るというのは、為替相場の変動を受ける、外国の需要は自国の主権でコントロールできない、この2点で不安定といえるのです。

     

     

     

    3.バフェット指数でみた日本の株価の割高感と企業経営

     

     以前、本ブログでバフェット指数を取り上げたことがあります。バフェット指数のバフェットは、米国の著名投資家のウォーレン・バフェットという人物の名前に由来します。その国のGDPと株式時価総額総和を比率でみて、今のマーケットが割高か?割安か?を判断するという使い方をします。

     

     GDP<株式時価総額  ⇒  割高

     GDP>株式時価総額  ⇒  割安

     

     

     日経平均が上昇し、TOPIXが上昇していますので、株式時価総額が増加していることは間違いありません。とはいえ、GDPは増えていません。2016年12月にGDPの測定方法が変更され、日本のGDPは500兆円→530兆円になりました。ですが、これは研究開発費について、従来算入していなかったものを、算入するようにルールを変えただけの話です。前年比で30兆円増えたわけではありません。

     それもそのはず、緊縮財政で需要を政府自らが率先して削減をしています。プライマリーバランス黒字化というものが存在する以上、日本のGDPは前年比で増加することはないのです。

     

     企業経営についても同じです。一株当たり利益が上昇して株価が上昇したとしても、一株当たり利益の増加の主因が単に海外輸出分の為替差益だったとすれば、経営者の功績でも何でもないと私は思っています。むしろ、実需で輸出数量が増えたにもかかわらず、円高となって為替差損が発生して、減収減益となることもあり得ます。実需が伸びないで為替差益で増収した会社、実需が伸びたが為替差損で減収した会社、どっちの経営者が優秀か?といわれれば、私は甲乙つけがたいと思うのです。

     

     もちろん、為替相場のリスクヘッジで、オプション取引などを使って為替相場による決算への影響を小さくするというリスク管理は取られるべきですし、その拙劣の成果が増収増益、減収減益の結果につながったと考えれば、増収増益した会社の経営者が優秀だと考える見方もあります。

     

     とはいえ、本来の企業の実力は、為替や金融でのリスク管理がメインであるはずがなく、高品質で優れた製品を製造できる会社が、その会社の実力だと考えます。それは言わば、国力と直結します。高品質で優れた製品を製造できる会社を多く抱える日本は、国力が強いといえます。

     

     

     というわけで、私は直近の株価上昇は全くうれしくありません。単に為替が円安になっているというだけで、外国人投資家が日本株に買いを入れているだけという状況。いわば地に足が付いた株価上昇だと思っていないのです。加えて、日本の国債所有シェアについて、銀行の所有シェアが減少して日銀の所有シェアが大幅に上昇し、現在もシェアUPし続けているこの現状を見れば、やがて国債が尽きて金融緩和ができなくなる日が近づきます。そのとき、国債増刷やら政府支出増がなされなければ、金融緩和強制終了→超円高→外国人投資家らによる日本株の大量売却→日経平均大暴落 というこのシナリオの発生する確率が極めて高いのです。

     最近の日産自動車や神戸製鋼の偽装事件も、大変残念な話ですが、これもデフレを放置してきた結果と考えています。デフレを放置する中で、増収増益を果たそうとすると、品質は低下せざるを得ない。絶対に品質の低下は起きないと断言できません。何しろ派遣会社などの非正規雇用者らが、会社に忠誠心を持って働くことはできるでしょうか?不満を持たないまでも、高い条件がでれば、今の会社を辞めて、いい条件の会社に転職しようとする非正規雇用者は多い。というよりそれが普通の考えです。

     そうした派遣会社社員らに、会社の技術・ノウハウを継承するとしても、「どうせ仕事が無くなったり不景気になれば解雇される」と思っていたら、満足に技術・ノウハウの継承することはできないでしょう。

     人件費を安くするために人材派遣業の業種を拡大した規制緩和は、コスト削減を推進して、一時的に株価を上昇させた功績はあるかもしれません。ですが、その代わりに失ったものが製品・サービスの品質低下であり、日産自動車や神戸製鋼の事件であると思います。

     政府には、株価上昇のための株価対策ではなく、普通に政府支出を増やし、GDPが増えて国民が豊かになり、結果企業の一株当たり利益が上昇して株価が上がっていくという、そんな地に足が付いた株価上昇となることを私はただ望むばかりです。


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