交際費減税を2年間延長へ!
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今日は、2017/8/23の産経新聞の記事「政府、交際費課税の特例措置2年延長へ 経済活性化のための消費拡大を狙う」と2017/8/22の日本経済新聞の記事「社員教育拡充で法人税減税 経産・財務省が調整」をご紹介します。
記事の概要は以下の通りです。
『産経新聞 2017.8.23 07:03 政府、交際費課税の特例措置2年延長へ 経済活性化のための消費拡大を狙う
政府は22日、取引先との接待や懇談などで使う交際費の一部を経費(損金)として認めて税負担を減らす特例措置について、平成29年度末までだった適用期限を、31年度末まで2年間延長する方向で検討に入った。引き続き企業に飲食店などでの接待を促し、消費の拡大を通じて経済活性化を図る方針だ。厚生労働省の30年度税制改正要望に盛り込む。(中略)
損金は法人税を計算する際に収益からコストとして差し引けるため、損金に算入できる範囲が広がると課税対象となる所得が減り、税負担が軽くなる。交際費に関する企業の税負担を減らすことで、飲食店での接待需要を促すことを狙っている。(後略)』
『日本経済新聞 2017/8/22 18:56 社員教育拡充で法人税減税 経産・財務省が調整
経済産業省と財務省は2018年度税制改正で、社員教育を拡充した企業の法人税を減税する仕組みを設ける調整に入る。社員の留学や資格取得にかかった費用の一部を、法人税額から控除できるようにする。政府は生産性の向上に向け、人材育成が必要と考えており、税制面で後押しする。
経産省は17年度で期限が切れる所得拡大促進税制を延長したうえで、社員教育の費用を税額控除の対象に加えることを、税制改正で要望する。(後略)』
産経新聞の記事は、取引先との接待における交際費についての税負担を減らすというものです。また日本経済新聞の記事は、社員教育を拡充して能力開発費などについての税負担を減らすというもの。
どちらも、方向性としては景気刺激策になりますので正しいです。とはいえ、交際費でいえばコンプライアンスを盾に接待を減らす傾向にある大企業もあるでしょう。公官庁の役職員と接待をすれば、確かに問題かもしれませんが、民間対民間でやる分には問題ありません。だから、無制限でもいいのでは?と思うくらいです。
もし、飲食店が潤えば、GDP拡大に寄与し、経済成長します。同様に、社員の留学や資格取得にかかった費用についても減税するとなれば、企業は積極的に社員の能力開発にお金をかけることでしょう。
少なくても、無条件の法人税減税に比べれば、方向性は正しいです。なぜならば、無条件の法人税減税では、内部留保しかしません。
ですが、景気浮揚させるのに一番効果がある政策、デフレ脱却するために一番いい政策は、消費税減税です。なぜならば個人消費という需要が増えるから。消費税減税で強制的に物価を下げれば、生産者は価格を下げることなく、消費者は物を買う数量、サービスを受ける回数が多く消費できます。生産者が価格を下げず、消費者が買ってくれれば、生産者が消費者に回ったときに、同じように物を買う数量、サービスを受ける回数を多くできます。
ついでに、政府が財政出動をして、長期プロジェクト(新幹線整備やリニア新幹線の早期開通や港湾整備などの仕事)をやることを発表すれば、企業は長期投資がしやすくなります。
生産年齢人口減少という環境があっても、投資しやすい環境となれば、サイバーダインなどの企業も最新の技術開発がやりやすくなり、ボトルネックを解消していくことになりましょう。
というわけで、2つの記事を取り上げ、方向性は正しい旨を述べましたが、はっきりと効果があるのは、消費税減税です。何しろ、需要が増えていけば、赤字企業は黒字にならざるを得なくなり、法人税を納め始めます。今、失業している人々も、就業しやすくなって、所得税を納め始めます。
そうした赤字企業が黒字になる、失業者が所得税を納め始める、という現象は、GDPの伸び率以上に税収増に貢献します。このことを税収弾性値といいますが、日本の税収弾性値は最低でも3程度はあるといわれています。
実際、2013年安倍政権が誕生して、国土強靭化で政府支出増を実施したことで、名目GDPは1.9%上昇し、税収は6.9%上昇しました。2013年度の税収弾性値は、3.63です。
2014年4月に消費増税をせず、政府支出増を継続していれば、普通にデフレ脱却して名目GDPの伸び以上に税収が増え、社会保障の増加分を払ってもなお、おつりがくるくらいの状態になっていたことでしょう。
政府の中枢におられる方は、早くこのことに気付いていただきたいと思うのであります。
- 2017.09.07 Thursday
- 日本経済(税制問題)
- 08:11
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- by 杉っ子