種子法廃止で、食料安全保障は崩壊か?

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    JUGEMテーマ:安全保障

     

     以前、「主要農作物種子法」廃止法案可決について意見をしました。今日は、改めて食料安全保障について私見を述べたく、「種子法廃止」の問題点を意見します。

     

     よく私は、国家運営を家計や企業と同じように考えてはいけないという主張をします。企業経営で株式会社組織であれば、利益追求が第一ですので、選択と集中という経営方針を取ることはあり得ます。

     一方で、例えば京セラ(証券コード:6971)のアメーバ経営のように、シナジーがある事業領域を複数持ち、育てていくことで事業の分散を図っていくというように、選択と集中というベクトルとは別の経営方針を取っている会社もあります。

     企業の戦略ですので、どっちが優れていてどっちが悪いか?ということではないと思いますが、私があえて株式投資をする対象としてどちらを選ぶか?といわれれば、シナジー効果が期待できる類似事業に分散している会社を選びたいと思っております。

     京セラは、セラミック技術から始まり、電子部品や携帯電話やコピー機や太陽光パネルなど、様々な事業を展開しています。それはそれで、リスクの分散になっているのです。

     もちろん、一番利益率のいい事業に集中して経営資源を投入した方が、もっと利益は出るかもしれません。とはいえ、歴史のある会社であればあるほど、集中と選択でなく、コア事業を第一に、コア事業に付随するシナジー効果が見込める事業に進出して、リスク分散を図っている会社が多いと思うのです。

     

     もし、食料安全保障について、選択と集中すべきという考えを持った方がおられた場合、私は激しく反対したいと思います。仮に「利益が出るのが何よりも正しい!」となれば、選択と集中という発想になります。

     

     日本では都道府県に地方交付税を出して、各都道府県で圃場を管理しています。圃場とは種を作る場所で、各都道府県が管理していました。”管理していました!”と過去形で書いたのは、2017/3/24に種子法廃止法案が可決されてしまったからです。

     

     もともとあった種子法は、都道府県が地域の気候に応じて多種多様な種子を管理していく。その管理については、国と地方自治体が責任をもって費用をかけてやるということでした。

     

     ところが、種子法廃止法案では、都道府県が種苗の生産の支援をできないようにして、これまで培った種苗の知見を民間事業者に提供することが盛り込まれています。ここでいう民間事業者とは、一般農家ではありません。国内外のアグリバイオビジネス企業を指します。

     

     しかし、選択と集中が正しいという考え方からすれば、そもそも各都道府県で種を管理するなんて無駄だと思われる方がいるかもしれません。国が地方交付税を地方自治体に払ってまでしてやるくらいだったら、全国均一の種にして、東京でもどこでもいいので、同じ種を作った方が、効率がイイのでは?地方がそれぞれ管理するなんて無駄だから、選択と集中でどこか一か所で同じ種を作った方が無駄な地方交付税を削減できるのでは?みたいな考えを持つ人が多いと思います。

     

     そうした人々に聞きますが、もし、その種に致命的な欠陥があった場合、どうなるでしょうか?もし都道府県で、各地の気候にあった圃場で種苗管理をしていれば、その種が全滅したとしても、多種多様な種があれば同様の作物を作ることが可能です。とはいえ、各地で圃場管理しないとなって、選択と集中で種の管理が一種類となれば、全滅してしまうことになります。

     

     多種多様な種苗を各地域で維持・管理するということは、食料安全保障にとって非常に重要なことなのです。ですが「選択と集中で利益を出すべき!」とか「地方交付税を少しでも少なくして政府支出を削減すべき!」とお考えの人、沢山いると思いますが、そうした人々からすれば、無駄自体を許容できず、安全保障とは無駄が必要であることを理解していないため、平気で種子法廃止に賛成してしまうのでしょう。

     

     農林水産省では、種子法廃止について、全国で業務用の均一の種を提供するためとしていますが、それは勝手にやればいいだけの話であり、種子法を廃止する理由にはなりません。食料安全保障を弱体化させない、強化させるべきという考え方があれば、地方交付税交付金を各自治体に払って、法律で管理を義務付け、多種多様な種苗を日本で供給できる体制にしておくことが、一番いいわけです。

     

     種子法廃止は、米国の遺伝子組み換え作物製造大手のモンサントらが、働きかけたのでは?ともいわれています。モンサントはグローバル企業であり、日本でビジネスを拡大したい。具体的にいえば、遺伝子組み換え作物を、日本市場で拡販したいと考えているわけです。

     そうなったとき、日本の種苗の価格が極めて安く、モンサントのバクテリアが注入された種苗は価格競争力で劣り、拡販の障害になります。なぜ、日本の種苗の価格は安いのか?といえば、税金で補助しているからです。

     遺伝子組み換え作物は、1990年代後半から出てきたビジネスで、人体への影響の知見も浅く、健康への影響が不明です。そもそもモンサントの社員食堂では、遺伝子組み換え作物がメニューで使われないとされています。

     奴隷やお金がない貧乏人が食べるのが遺伝子組み換え作物。そうでない作物はお金を払わないと買えない。即ち、金持ちだけが遺伝子組み換え作物を口にしないことができるというような社会になる可能性もあるわけです。

     

     食とは、人類が何千年にもかけて品種改良などを経て知見を蓄積してきたものです。安全安心な食べ物を口にすることができるのは、そうした法律に守られて、地方自治体が圃場で種苗を管理しているからという事実を知っている国民は、ほとんどいないのではないでしょうか?

     

     

     というわけで、今日は食料安全保障について述べ、種苗は公共財であって、”選択と集中”の利益追求で考えることは間違いである旨を意見させていただきました。

     食料安全保障強化のため、議員立法でも何でもよいので、種子を守るための法案を新たに制定することを、私は望みます。

     

    <関連ブログ>

    ”「主要農作物種子法」廃止法案可決”食料安全保障問題として報道しないマスコミに怒り!

    私たちの税金で培った種苗の知見・ノウハウは国民の財産です!


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