「法人税」と「所得税の累進課税」が高く、「消費税」と「社会保険料負担」が低い国家とは?

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     今日は、「法人税が高く、消費税がない社会」という表題にしておりますが、「法人税・所得税が高く、消費税がない社会」と「法人税・所得税が低く、消費税が高い社会」を比較して、税制について意見したいと思います。

     

     よくあるスローガンに、「直間比率是正」というキーワード、お聞きになったことありますでしょうか?

     この「直間比率是正」とは、直接税よりも間接税の方が安定税収なので、直接税による収入の税率を低くし、間接税による収入の税率を高くすれば、国家の税収は安定するという主張で、よく使われます。

     

     実際に、直間比率是正というコンセプトの下、消費税は導入されました。高齢化社会に備えて、安定的な税収を確保することこそ、高齢者向けサービスを安定的に供給できるという考え方です。

     

     この発想そのものが、支出は税収で賄わなければならないものとする家計簿の発想で誤りです。「直接税よりも間接税の方が安定税収なので、直接税による収入の税率を低くし、間接税による収入の税率を高くすれば、国家の税収は安定する」というフレーズもまた、もっともらしいですが、間違っているのです。

     

     

     

    1.消費増税はインフレ対策(消費減税はデフレ対策)

     

     消費税が日本で導入されたのは、1989年で竹下内閣のときです。

     何しろ、消費税増税はインフレ対策の経済政策です。人間だれしも、将来不安を抱えた状態、具体的には毎月の月給が消費増税率以上に増えるという確信がない状況で、消費を増やすという人は、ほとんどいません。とはいえ、1989年はバブル真っ最中で、日経平均は3万8,915円の市場最高値を付けた年です。

     

     バブルとは、物価上昇率が高い状況が継続して、借金をして実需を伴う投資(設備投資・在庫投資)をする以外に、投機目的で土地や株式が買われる状況です。このことを投資の過熱化というわけです。

     土地も株価も上昇するという確信がある以上、借金をしてでも土地や株を買って取得価額以上に売却できれば、売却益を手に入れられます。

     ですが、この状況健全ではありません。投資の過熱を放置すれば、中国のように鉄鋼生産の供給力が需要の4倍以上という、供給力過剰となって、その後の経済に悪影響を及ぼします。例えば、過剰供給力を削減するということになれば、事業所閉鎖、人員解雇という、いわゆるリストラということですので、雇用や経済に悪影響を与えるのです。

     

     物価上昇率が高い状況とは、需要>供給というインフレギャップが生じている状況で、かつ需要過多の大きさがより大きいということですから、この需要を冷やすという意味において言えば、1989年に竹下内閣が消費税導入をしたというのは、直間比率是正というコンセプトに関係なく、正しい政策だったとする見方はあるかもしれません。

     

     そして1992年、宮沢内閣は土地の総量規制を行い、これもまた土地の価格上昇というインフレギャップを解消するためのインフレ対策を行いました。このころからGDPの伸び率は低くなりましたが、1998年まではGDPは上昇していました。私は1998年までのGDP上昇は、適度な上昇率だったと思います。

     

     GDP上昇率がほどよい上昇率になったにもかかわらず、1997年11月、橋本内閣が財政構造改革法を施行し、1998年4月に消費税3%→5%というインフレ対策を行いました。

     

     バブル崩壊後は、家計分野も企業も借金返済という需要創出(消費創出=分配創出)ではない行動が盛んでした。バブル崩壊後の家計分野や企業によるこうした行動は合理的です。

     何しろ土地や株式やゴルフ会員券を、値上がりの投機目的で購入していたとすれば、値下がりは借金返済に窮するリスクがあるため、放置すれば致命的になるからです。

     その結果、需要とりわけ個人消費、設備投資は縮小するというトレンドが続きます。

     

     もし、そうした需要が縮小に向かう中において、高齢者の介護・医療サービスという需要拡大を迎え、それを費用削減ではなく国債発行により費用を拡充して、政府支出増で対応していれば、日本は1998年の消費増税後も、GDPが成長していた可能性はあります。

     

     ですが、橋本内閣は財政構造改革法を1997年11月に施行して、医療介護費削減、公共事業を削減、しかもこれらは長期的に削減する。そして消費税を3%→5%へ増税する。インフレ対策のオンパレードの結果、日本がデフレに本格的に突入し始めたのです。

     その後、小渕内閣がかろうじて公共工事増額にしたものの、その後の内閣は、すべて公共事業削減。小渕内閣以外は、需要削減のインフレ対策だけが行われてきているのですから、経済成長するはずがなく、GDPが成長するわけがありません。

     

     

     

    2.消費税が安定税収であるという欺瞞

     

     よく「消費税は安定税収です!」というフレーズ、皆さんは耳にしたことあるでしょうか?

     これ、まったくのデタラメです。

     

     消費税が上がった結果、消費行動が次のように変わるということは普通に想像できる話ではないでしょうか?

     

    (1)実需の減少(実質GDPの減少につながる)

    ●今までパンを100個買っていたものを90個にする(購入個数の実需減少)

    ●美容院に行く回数を毎月1回行っていたものを、2か月1回にする(サービス回数の実需減少)

    ●床屋に行く回数を毎月1回行っていたものを、2か月1回にする(サービス回数の実需減少)

    ●風邪をひいたら、すぐ病院に行っていたのを改め、風位の症状だったら病院に行くのを控える(サービス回数の実需減少)

    ●乗用車の買い替えサイクルを3年1回程度にしていたものを5年1回程度に控える(消費の先延ばしによる実需減少)

    ●家電(冷蔵庫や洗濯機)の買い替えサイクルを3年1回程度にしていたものを5年1回程度に控える(消費の先延ばしによる実需減少)

     

    (2)名目需要の減少(名目GDPの減少につながる)

    ●パンを特売のときに買う(製造単価、販売単価の減少)

    ●パンを今までの高いスーパーではなくディスカウント店で買う(製造単価、販売単価の減少)

    ●床屋でシャンプーセットの総髪サービスを受けていたが、1000円カットに行くようになる

    (シャンプーサービスを辞める=シャンプー販売量の減少、1000円カットに行く=サービス単価の減少)

    ●会社の労働組合で1泊2日温泉旅行を行っていたが、単価の安い1日のオリエンテーションに変える(サービス単価の減少)

     

    (3)実需と名目需要の双方減少(実質GDP、名目GDPの双方減少につながる)

    ●風邪をひいたら、医者から処方箋をもらって調剤薬をもらっていたが、病院に行かず、市販薬を買うようにする

    (病院に行かない=医療サービスの回数の減少、調剤薬よりも安い薬を購入する=製造単価・販売単価の減少)

     

     ざっとこんなイメージです。そして、こうした行動により、消費税率を引き上げたとしても、税収が増えるとは限りません。

     なぜならば、消費税の税収は、下記の算出式だからです。

     

    製品製造販売の場合:消費税の税収=販売価格(もしくは製造単価)×販売数量×税率

    サービス業の場合:消費税の税収=サービス提供価格×サービス稼働回数×税率

     

     名目需要の減少は価格下落ですし、実需減少は、販売数量・サービス稼働回数の減少です。

     

     例えば、消費税を5%→10%へと5%増税するとして、毎月もらえる給料が5%以上、例えば10%以上毎月もらえる給料が増え、かつ将来にわたってそれが見込まれるとなれば、消費税を5%増税しても、実需も名目需要も落ち込まないかもしれず、この場合は、消費税による税収は増えます。

     

     ところが、健康保険料の自己負担増、年金保険料の自己負担増、岩盤規制を壊すなどして雇用規制を緩和して社員を解雇しやすくするということになれば、毎月消費に使える額が減少し、高価な消費財購入を先送りし、食品はディスカウント店で購入したり、購入数量を減らしてみたりする。さらに、雇用不安定で将来収入が途絶える可能性があるともなれば、誰もが家計分野は貯金をしますし、住宅ローン返済など、借金返済に励みます。これは非難できませんし、デフレ下においては、極めて合理的な経済行動です。

     一方で、貯金と借金返済は、他の誰かの所得になりません。消費ではないため、需要増にまったく貢献せず、経済成長(GDP成長)を止めてしますのです。

     

     消費税が安定税収というフレーズは、こうした消費者の行動やGDP3面等価の原則を全く理解していない、ウソデタラメのフレーズといえます。

     

     

     

    3.「法人税」と「所得税の累進課税」が高く、「消費税」と「社会保険料負担」が低い国家とは?

     

     法人税が高いと、日本企業が海外に出ていくというフレーズも耳にしたことあるかと思います。また、所得税の累進課税が高い場合は、富裕層が日本から海外に出ていくというフレーズも耳にしたことあるかと思います。

     これらのフレーズ、まったくウソ・デタラメです。日本は、中間所得の分厚い層が大多数を占めているからこそ、需要(名目需要・実需)が多いのです。

     

     アメリカのトランプ大統領は法人税減税をしようとしていますが、この政策は私は反対の立場です。何しろ、法人税をどれだけ減税したとしても、需要がなければ企業は投資しません。

     ここでいう需要は、物・サービスの価格を安くしなくても売れるという名目需要も十分にあるということも含みます。

     何しろ、デフレ環境のために、物・サービスの価格を安くしないと売れないという名目需要が減少している状況では、働けども働けども稼げないという状況になってしまいます。いくら、実需が見込まれて個数が多く売れるとしても、値段を下げないと売れないという状況では、働く割には稼ぎが少ないということになります。即ちブラック企業的な事業(稼働率は高いが、売上が伸びず給料は高く払えない)になる可能性が高くなるのです。

     

     所得税の累進課税が高いと富裕層が逃げていくということについては、”「所得税を減税しないと富裕層が逃げていく!」は本当か?”をご参照いただきたく思います。

     

     そもそも「法人税」と「所得税の累進課税」が高いということは、決して悪いことではありません。一番のメリットは投資の過熱を抑制するという機能です。一方で、「消費税」と「社会保険料負担」が低ければ、「赤字企業は黒字になるまで頑張って!」ということですし、「失業者は次の仕事が見つかるまで頑張って!」ということですので、虎の子の供給力を維持することができるのです。

     苦しい環境からやがて好景気となれば、赤字企業は黒字にならざるを得ず、失業者は就業者として所得税を納める側に回ります。その時は、GDPの伸び率以上に、税収が増えることになります。

     需要がさらに拡大して、物価上昇率が高く5%程度が継続しますと、投資が過熱化して、借金をして株や不動産を購入するというバブルを発生させてしまう可能性があります。もちろん、法人税が高く、所得税の累進課税が高ければ、投資抑制効果が働きます。その投資抑制効果以上に需要が拡大して、バブルが発生する危険がある場合、初めてインフレ対策として消費増税は効果があるといえるのです。

     

     逆に、デフレ期やバブル崩壊直後のように需要が縮小している中で、消費増税や医療介護費削減等公共事業削減の需要削減政策を続けますと、黒字企業は赤字に転落し、所得税を納めていた就業者は失業者となって所得税が納められなくなり、所得がないことで消費を減らしますので、税収全体としては、減収になります。

     しかも、GDPの縮小率以上に、税収は減少します。なぜならば、黒字企業が赤字企業にならなければ、税収の減少率は、GDPの減少率とほぼ一致するのですが、赤字になれば法人税が納められなくなるから。結果、GDPの縮小以上に税収は減少するのです。

     

     こうした一連のプロセスを、スタビライザー機能といいます。このスタビライザー機能を持つことで、景気が過熱を防いで景気を自動的に安定させるという働きを持つことになるのです。

     

     

     というわけで、今日は”「法人税」と「所得税の累進課税」が高く、「消費税」と「社会保険料負担」が低い国家とは?”と題し、私見を述べさせていただきました。


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