B/Cの在り方を問う!(港湾整備の経済効果)

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    JUGEMテーマ:公共工事の経済効果

     

     

    今回も引き続き、公共工事のB/C(Benefit per Cost)について意見します。

     

     

     

    1.港湾事業のB/Cについて

     

     前回、日本のB/CのBが異常である。少なすぎるのでは?と指摘いたしました。日本の場合、道路でいえば「走行時間短縮」「走行費用減少」「交通事故減少」の3つだけがBenefitでした。宮城県釜石市の「釜石・山田道路(通称:命の道)」という道路をご紹介しましたが、B/Cがぎりぎり1.01でした。

     B/Cがあと0.02不足して0.99だった場合、今のやり方ならば「作らない」ということになっていたでしょう。もしB/Cが0.99で「釜石・山田道路」が作られないで3.11を迎えていたら・・・・。これは、誰も想像したくないですよね。

     

     改めて日本の事業評価手法のB/Cについては、以下の2つの問題点があると言えます。

     【問題点1】B/CのBが日本の場合は少なすぎる

     【問題点2】B/Cは公共工事を実施するか否かではなく、どの公共工事から優先してやりますか?を判断するものである

     

     日本は災害大国ですので、本来は防災が入っていてもおかしくありません。また経済成長、例えば道路が引かれて工場ができて経済が成長したなど、そういうのがBenefitに全く入っていないというのは、おかしいと思うのです。

     そして我が国のB/Cは前回取り上げた道路のみならず、港湾など他のインフラについても疑問を持たざるを得ません。

     

     以下は国交省の資料の抜粋です。

     

    道路は「走行時間短縮」「走行費用減少」「交通事故減少」の3つ

    河川・ダムは「想定年平均被害軽減期待額」「水質改善効果等」の2つ

    港湾は「輸送コスト」「移動コスト」の2つ。終わり。

     

     例えば港湾事業は本当に「輸送コスト」「移動コスト」2つだけでよいのでしょうか?

     

     港湾事業でいえば、日本の港湾は浅いため、大きなコンテナ船が直接着岸できません。そのため大きなコンテナ船は、韓国の釜山で小さなコンテナ船に分散させて積み替えてから日本の港に来ます。もし、港を深くして大型コンテナ線が直接着岸できるようにすれば、大きな経済効果があります。

     

     ところがBenefitを見ますと「輸送コスト」「移動コスト」となれば、「港を深く掘ってGDPが〇〇増えます!」というのが入らないのです。たとえ港を深く掘れば1000億円が儲かるとしても、Benefitにそもそも入っていません。そのため、「作られない」「作れない」となってしまうのです。

     

     公共工事を話すときにB/Cを持ち出す人には、BのBenefitはこれで正しいと思っているのでしょうか?

     そもそもB/Cはやるやらないの指標でなく、これは世界的にグローバルに、B/Cは優先順序の判断指標として利用されています。また、Benefitについては、日本国民の安全とか経済の成長とかを入れる必要があると思います。

     

     

     

    2.日本の港湾設備の現状と港湾整備の経済効果

     

     日本の港湾設備は、1997年の橋本内閣の緊縮財政に始まり、長期にわたって公共工事を削減した結果、先進国としては異例なまでに惨めな状態になっています。何しろ、世界の海運の主流である1TEUコンテナ船が入れる港は東京港、横浜港、名古屋港しかないのです。しかも2年半前までは横浜港も名古屋港も着岸できず東京港のみでした。

     20165月末にパナマ運河の拡張工事が完了し、従来5000TEU程度のコンテナ船しか通過できなかったのが、13000TEUのコンテナ船がパナマ運河を通過することができるようになりました。

     また、現在世界は2TEUの港湾が主流となっていますが、日本国内で2TEUのコンテナ船が着岸できる港は現時点でありません。

     

    <資料1>パナマ運河とスエズ運河

     

     

    <資料2>コンテナ取扱個数の港湾ランキング

     

     取扱量の単位のTEUは、「Twenty-foot Equivalent Unit」即ち“20フィートコンテナ換算”という意味で、1TEU積載できるコンテナ船とは、20フィートコンテナを1万個積載できるコンテナ船ということになります。

     1993年では、40位以内に、神戸港(6位)、横浜港(9位)、東京港(17位)、名古屋港(22位)、大阪港(37位)と5つの港がランキング入りしていますが、2013年では、40位以内に入るのは東京港(28位)しかありません。50位以内でも、やっと横浜港(48位)がランキング入りするという状況です。

      日本の経済対策は「プライマリーバランスの黒字化」「財政破綻論」「公共工事否定論」が蔓延し続け、海上ロジスティクスにおける生産性向上の投資をしてこなかったツケが来ているのです。パナマ運河の拡張工事を終えて13000TEUのコンテナ船が通過できる環境となれば、一刻も早く世界の主流の2TEUのコンテナ船が、直接日本の港に着岸できるよう港湾整備を急ぐ必要があります。

     

     

     

    3.災害防災安全保障の観点から見た港湾整備の必要性

     

     政令指定都市とは、人口50万人以上いる都市で、地方自治法第252条の19以下に定められた我が国の都市制度の一つで大都市に該当します。権限は東京の23区よりも上に位置します。

     日本海側では新潟市と福岡市ぐらいしか政令指定都市はありません。普通に考えればインフラの整備が遅れている日本海側エリアは生産性が低く、人口が集積することはないのです。例えば日本海側の港の港湾整備などインフラ投資を進めていけば、それらのエリアに人口が分散しやすくなります。太平洋側への人口集中が減少し、日本海側の都市に人口が分散されれば、インフラが整った日本海側の都市は、南海トラフ地震や首都直下型地震が発生した場合のバックアップ機能を果たすことになります。分散した人々が太平洋側で被害にあった人々を助けやすくできるのです。

     このように港湾整備は災害安全保障の観点でも大変重要であり、通貨発行権を持ち国土全体を考える立場にある政府こそが積極的に推進していく必要があるものと私は思うのであります。

     

    <資料3>我が国の政令指定都市

     

     

     

     

     

     


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