金利が下がれば設備投資が増えるは本当か?(魚の仲買人さんのビジネスモデル)

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    よく、「金利を下げれば、設備・在庫投資が増える・家を購入する人が増える」というフレーズを耳にする人が多いと思います。このフレーズは本当に正しいでしょうか?今回は銀行のビジネスモデルについて触れたく、魚の仲買人さんというビジネスについて考えます。

     

     

    1.魚の仲買人さんのビジネスモデル

     

    仲買人さんは、基本ルートセールスで、朝市場で買い付けた後、決まったお客様(すし店、料亭、スーパー、卸売りなど)に販売いたします。

     

     

    仲買人さんは、お客様と接触を重ねて、例えば

    ・高級すし店の冷蔵庫に大トロがないので、ここには大トロが売れそう?

    ・料亭でマグロの兜が在庫で減っているので、マグロの兜が売れそう?

    ・スーパーで特売をやるが、通常よりマグロの切り落としがたくさん売れそう?

    などと需要を調査いたします。

     

     

     

    2.ケーススタディ

     

    ●市場でマグロ1キロ=1万円、マグロ一匹=100キロ=100万円で売られている

    ●金利は、銀行=固定年率1%、ノンバンク=固定年率15%、闇金融=固定年率365%

    ●市場でマグロ一匹=100万円で買ったマグロは、150万円で売り捌ける

    ●仲買人は冷蔵庫を持たず、在庫を一切保有しない

    ●生鮮食品のため、「兜」「トロ」「中落ち」「赤身」「切り落とし」、すべて翌日に売れる(換金できる)

    ●1回仕入れをしてすべて売り捌くのにかかる費用(ガソリン代など)は1万円

     

      かつて、魚の仲買人で自宅不動産を担保にして、銀行から運転資金を借りていた仲買人がいました。しかし、バブル崩壊で自宅不動産の評価が下がって担保割れし、運転資金が借りられなくなってしまいました。

    銀行から借りられなくなったこの人は、どこから運転資金を借りたでしょうか?いわゆるノンバンクから借りるようになりました。ところが総量規制という規制のために、今度はノンバンクからも借りられなくなってしまったのです。こうした人々が次に借りるのはどこでしょうか?闇金融の類から借りても不思議ではないのです。

     

     100万円で市場から買ったマグロが翌日に150万円で売れれば、50万の粗利となります。

    仮に闇金から100万借りる場合に1日1万の利息、即ち年率365%という暴利を取ったとして、配達のガソリン代など費用を引いても、十分に儲かります。

     

    売上高150万円 仕入原価100万円 費用1万円 金利1万円

     

    売上総利益50万円 営業利益49万 経常利益48万 です。

     

     100万円で市場から買ったマグロが翌日に110万円くらいまで売れる状況であれば、最低でも粗利は10万円。このあたりがビジネスとして成立するか否かの分岐点でしょうか?

     

     例えば、デフレで名目需要が減るようなことがあれば、即ちマグロを値下げしなければ売れない環境では、100万円で買ったマグロが90万円でしか売れないかもしれず、ビジネスとして成立しない、金利も払えず、廃業するしかないでしょう。

     

     しかし、100万円で市場から買ったマグロに名目需要が十分あって150万円で売れるとなれば、即ち名目需要があれば、年率365%という暴利を貪る闇金から借金しても十分にペイできるのです。

     

     

    3.デフレ対策は金融政策(金利引き下げ)だけでは効果は限定的!

     

     上記のケーススタディの通り、需要があれば金利が高くても投資します。逆に需要がなければどれだけ金利が安くなっても投資しません。経営者とは、金利を見てビジネスしません。需要の有無が第一であり、需要がある前提で金利や税率を見て投資するか否か?の意思決定をします。

     

     冒頭のお題の「金利を下げれば、設備・在庫投資が増える・家を購入する人が増える」というフレーズは、間違っているとまでは言えませんが、正しくないのです。需要がなければ金利がどれだけ安くても経営者は設備投資しません。住宅投資は家計において利益を生みませんので、雇用が不安定で毎月きまってもらえる給料が増えにくいという環境の下では、家計ですらも住宅投資は控えるでしょう。

     

     私は金融政策(金利引き下げ)が不要というつもりはありません。金融政策と同時に、需要を創出する財政出動策が必要であると申し上げたいのです。ここでの需要は規制緩和による需要創出では意味がありません。需要<供給というデフレギャップの大きい今日の我が国で規制緩和をしたとしても、供給力が増加して、需要<供給のデフレギャップが拡大するだけです。即ち新規参入者のGDPを創出したところで、既存業者のGDPが減り、日本全体のGDPで見れば、行って来いで増えないのです。しかも既存業者は従業員を解雇するなどしなければ、1人当たりGDPは減少します。

     

     普通に「建設国債増設→公共工事増」「赤字国債発行→医療費・介護費増」を実行すれば、GDPは着実に増えます。発行したお金は無くなるわけでなく、日本国内にとどまり建設業者や医療介護関連業者らの人々が消費して、他の業種の人々が携わる物・サービスを購入することで、これまたGDPが増えていくのです。円建ての国債発行残高が増えることについては、このブログで何度も申し上げている通り、我が国には財政問題は存在しませんので、全く心配不要です。

     

     今こそ、デフレ脱却のために政府が仕事を作る!即ち、案件数も多く、値段も高く発注し、実質GDP・名目GDPの引上げを図るために政府支出増を速やかに実施していただきたいと思うのです。今回の魚の仲買人のケーススタディを通じ、需要がなければお金を借りてまでしてビジネスをしようとする人は少なく、需要が第一であるということをご理解いただければ幸いです。


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