10%程度の自動車関税撤廃と引き換えにチーズ業者がつぶれて本当に良いのか?

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    JUGEMテーマ:通商政策

     

     今日は、「10%程度の自動車関税撤廃と引き換えにチーズ業者がつぶれて本当に良いのか?」と題し、日本政府がEUと協議している経済連携協定で、自動車関税を7年で撤廃するという動きが出ていることについて触れたいと思います。

     

     日本経済新聞の次の記事を見ておきましょう。

    『日本経済新聞 電子版2017/7/5 1:31 EU、自動車関税7年で撤廃 EPAあす首脳協議  

    日本政府と欧州連合(EU)は経済連携協定(EPA)交渉を巡り、欧州側が日本車にかける関税(最高10%)を協定発効後7年かけて撤廃する方針を固めた。日本は5年、欧州は10年超を主張したが、ほぼ中間点で折り合う方向。日本側はEU産チーズで低税率の輸入枠を数万トン分新設し、欧州の理解を得る考えだ。日欧は6日に首脳協議を開く予定で、残る懸案の決着をめざす。(後略)』

     

     上記記事の通り、欧州側が日本に課する自動車関税について、経済連携協定発効後、7年間かけて撤廃する方針を固めたとあります。欧州における日本に課する自動車関税は、どのくらいだと思われますでしょうか?

     正直、自動車で輸出を伸ばそうとした場合、為替の影響の方が圧倒的に大きいのです。

     なぜならば、欧州が日本に課している自動車関税は10%です。(米国の参考:自動車の関税2.5% 家電製品の関税5%)

    10%程度の為替相場のブレって普通にあること。例えば為替でいえば、今1ユーロ=130円程度ですが、これば120円とか円高ユーロ安になれば、10%程度の優位性は吹っ飛んでしまうのです。

     

     下方はユーロ円の10年チャートです。

     

     

     上記の通り、為替相場において10%程度の価格変動は普通にあります。

     

     私がこのニュースで気になること、それはチーズの輸入で日本側が譲歩していることです。そもそも、私の記憶では、TPPを国会で批准したのは、「そこから”譲らない”という宣言!」だったのではないでしょうか?

     TPPを批准に肯定的な論説をしていた政治家は、「最低限そこから譲らない!」なんて言っていましたが、その話ってどうなったのでしょう?

     

     案の定ですが、TPPがスタートラインで「そこからどう譲歩するの?」という交渉になることを懸念していましたが、「やっぱりね!」という感じです。

     この様子だと、きっと日米FTAも同じことになるでしょう。即ちTPPがスタートラインとなり、「日本の通商政策の代表者さん!そこからどこまで譲歩してくれるの?」という交渉になるに決まっています。

     日米FTAにしろ欧州とのEPAにしろ、TPPがスタートラインとなってそこからどう譲歩するのか?という交渉になってしまっているのです。

     

     今回のチーズに関して言えば、一部の品目について関税を下げていくとのこと。これ、チーズを作っている日本の酪農家の皆さんは、どう思われるでしょうか?せっかく、酪農業に若者が就業するという動きも出てきているですが、そういう人々は、このニュースをどう受け止めるでしょうか?どういう気持ちでしょうか?

     

     はっきり申し上げれば、普通に廃業です。安いチーズがガンガン日本に輸入されれば、日本の酪農家は太刀打ちできません。ましてや今デフレです。人々は少しでも安いものを買おうとする。

     「イイものを安く売る!」とは聞こえがいいですが、儲けを削って安く売っているに過ぎません。消費者はそれでいいかもしれませんが、生産者から見れば儲けが少なくなるだけの話。関税が無くなって安いチーズが入ってくるとなれば、酪農家自らも生き残るためにチーズを安売りするか?それでも資金力がなく(要はお金が続かず)耐えられなければ普通に廃業です。

     本来は自国のチーズ産業を国家が守らなければならないのに、こうした売国的な譲歩によって、日本のチーズ産業における供給力は破壊されるということになります。

     

     自由貿易協定は、そもそも何のためにやっているのか?私はメリットを全く感じません。もともとTPPも反対の立場です。自由貿易協定のメリットって何なんでしょうか?

     お互いに高関税がかかっているような状態、例えば自動車関税が200%とかだったら、まだ理解します。10%程度の関税を撤廃してもらうために、自国のチーズ産業がつぶれてもいいんですか?と問いたい。

     もし、このままチーズの関税を撤廃するとして、日本のチーズ産業という供給力を維持する、即ち酪農家を潰さないようにするためには、所得補償しか方法はないと思います。

     

     もともと関税というのは自国の産業を育成するため、保護するためにある制度です。自由貿易協定を推進すると、結果的にその国の産業が壊されていきます。「品質がよければ、安いチーズは売れず、高いままでも買う人が居るのでは?」という人もいるかもしれません。

     とはいえ、デフレで「いいものを安く買いたい!」という考えに洗脳された日本国民が、欧州のチーズがガンガン輸入されてスーパーの店頭で並べられるようになった状態で、果たして本当に日本産の高いチーズを買い続けるでしょうか?

     そもそも私たちは、今まで高い日本産の和牛を買ってきましたでしょうか?日本産の高い小麦のパスタを買ってきたでしょうか?ほとんどの人は、スーパーでオーストラリア産の牛肉を買い、安売りスーパーなどでパスタを買ったりしているのではないでしょうか?

     もちろん高いものを買い続けることができる人、ぜひそれを継続して欲しいですが、すべての人がそのような消費行動を取れるわけでもないですし、すべての日本国民に消費行動を強制することもできません。

     

     本来、自動車関税撤廃と引き換えにチーズ関税引き下げであれば、酪農家の所得をどう補てんしていくか?という議論も始める必要があるのですが、そうした声が出ないことに私は大変な懸念をしているのです。結局、関税という武器無しで丸裸で酪農家が放り出され、普通に廃業していく酪農家が増えるということを、大変懸念します。

     

     

     というわけで、今日は欧州とのEPAで自動車関税撤廃の動きと合わせ、チーズ業者に対する保護を検討する必要があるという私見を述べさせていただきました。

     

     


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