カタールの独自外交を警戒するアラブ諸国と日本が考えるべきこと
JUGEMテーマ:中東
今日は、複数のアラブ諸国がカタールと国交を断絶する措置を取っている中東情勢について意見します。
私がこのゴールデンウィークに往訪した際のトランジットでカタールを往訪し、航空機の発着遅延のトラブルで、カタール入国も経験しました。(参照ブログ:「 ヨルダン訪問記(カタールのドーハ訪問のオマケ付き) 」)
そのカタールがイスラム原理主義への支援、具体的にはイランへの傾斜をしているということで、これに反発する形でサウジアラビアを中心にエジプトやモーリシャスなど中東の7か国が国交を断絶したのです。
イランへの傾斜で独自路線を進むカタールに対して、サウジアラビアの不満が限界に達し、エジプトなどと包囲網を形成したとの見方が有力との声があります。
この対立が長引けば、対テロ戦やIS対応や市民生活に影響が出る可能性があります。
同じスンニ派ですが、カタール政府はイランと手を結ぼうとしています。一方でイランとサウジアラビアは国交を断行したままです。
そういう状況の中で、今回はインド洋の島国のモーリシャスも加わることになりました。
<中東など7か国がカタールと国交断絶>
今回のモーリシャスの国交断絶への参加は、モーリシャスからみて、サウジアラビアからの経済支援拡大を狙った決定ともみられています。サウジアラビアは中東の兄貴分ですので、サウジに従ったのでは?という見方もあります。
ただ、サウジアラビア自体、原油安のためにそれほどかつてほど影響力が大きいわけではなく、焦っている様子も伺えます。経済成長で言えば、イランの方が経済成長しているのです。
ところで、こうしたニュースについて、日本人は他人事のように思っていませんでしょうか?
下記の表の通り、カタールからは相当の天然ガスや原油を買っているという現実を知っているでしょうか?
<2016年度の日本のLNG(天然ガス)と原油の輸入元シェア>
(出典:財務省の貿易統計)
最終的にペルシャ湾で戦争となれば、天然ガスや原油の輸入がストップします。南シナ海や東シナ海が中国の手に落ちなくても、ペルシャ湾が戦争状態になるだけで、天然ガスと原油がストップしてしまう現実を、自分事として考えていかなければならないと思うのです。
そんな中で原油価格が再び下落しています。サウジアラビアなどのOPEC加盟国がカタールとの国交断絶に踏み切ったことも懸念材料として影響があると言われています。原油価格の下落だけを見れば、日本経済にとっては福音です。
とはいえ、このままサウジとイラン・カタールが対立する路線が続けば、最終的にペルシャ湾で戦争になる可能性があることを私たち日本人は意識し、その時にどうするか?ということを考えておかなければなりません。
ちょっと前にトランプ大統領が中東を訪問しましたが、トランプ大統領は中東をまとめようとしたと思われます。にもかかわらず、こうした状況を見ていると、米国の影響力が本当に弱くなったと言えます。
この問題、今後どう解決するかと言えば、イランとサウジアラビアのおおもとの問題が解決しない限り、解決の見込みはないでしょう。
日本経済にとって目先の今、原油が安くなるのは好影響です。
とはいえ、中東へのLNGガスや原油の輸入の依存度をもっと下げる必要があります。今までは米国が中東を抑えることができましたが、もう無理ということが今回の件で分かったことではないでしょうか?
米国は自国でシェールガスを売りたいということもありますので、中東の状態がそのような状況になっても問題ないかもしれませんが、日本にとっては大変な問題です。
というわけで、今日はサウジアラビアがカタールとの国交断絶していることについて、新たにモーリシャスがサウジアラビア側に加わったことを取り上げ、日本がどうすべきか?私見を述べさせていただきました。
先日、房総半島でレアメタルが見つかったという報道がありましたが、残念なことに原油はありません。
日本がすべき具体策としては、原発再稼働やプルサーマルの研究を急ぐ必要もあるかと思います。尖閣や日本海で原油があるという噂もありますので、尖閣のボーリング調査を始めるべきだと思うのです。安定電源として、原子力発電所と火力発電所の稼働ができるように、上述の具体策を進めていって欲しいと思います。
- 2017.06.14 Wednesday
- 日本経済(エネルギー安全保障)
- 01:18
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- by 杉っ子