地方創生と逆行し、日本の「地方を消滅」させる”農協つぶし”

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    JUGEMテーマ:農協

     

    今日は、改めて農協の役割について意見したく、長野県のJAをケーススタディとして、掲題のテーマを取り上げたいと思います。

     

     本ブログの読者の皆様に問います。日本の「地域を消滅」させるには、どうしたらよいでしょうか?

     答えは簡単です。農協を潰せばいいんです。利益を追求する株式会社とは異なる理念に基づく協同組合という組織で成り立つ農協は、地元のコミュニティにサービスを提供することで地域社会を維持させる存在です。この地元コミュニティにサービスを提供する農協の存在なしに、日本の地域社会を維持することは困難です。逆に農協を潰せば「地域を消滅」させることができます。

     

     

     

    1.「地域社会の維持」のためにサービスの供給を継続することこそ、協同組合のコンセプト!

     

    (1)JAみなみ信州が設立した(株)生活活性化センター生田が運営する生活店舗と居酒屋「重喜屋」

     

     ケーススタディとして、長野県下伊那郡松川町の生田地区では、JAみなみ信州が、地元住民により設立された会社である株式会社活性化センター生田という会社があります。この会社は、地方自治体と連携し、生活店舗、ガソリンスタンド、居酒屋「重喜屋」、福祉バス停留所、行政業務といったサービスを提供しています。

     写真の建物は古く見えますが、中でコンビニのように日常生活に必要な商品が購入できるようになっています。

     

    <写真 В複舛澆覆濘州生田支所(住所:下伊那郡松川町生田5958)>

     

    <写真◆С式会社生活活性センターが運営する居酒屋「重喜屋」と店内の様子>

    (出典:JAグループの農業協同組合新聞のホームページから抜粋)

     

     

    (2)JA上伊那がファミリーマートのフランチャイジーとなってAコープを転換させた事例

     

     次の写真は、JA上伊那が設立する(株)グレースがファミリーマートのフランチャイジーとなり、Aコープをファミリーマートに転換させて成功しているという事例の写真です。

     

    <写真:JA上伊那において、Aコープをファミリーマートに転換>

     

    (出典:未来開墾ビジネスファームから抜粋)

     

     

     

    2.上述の(1)JAみなみ信州、(2)JA上伊那、どちらの事例も農協だからこそできる事業

     

     JAみなみ信州の生田支所の生活店舗では、住民票発行などの行政手続きや農林中金や共済など、農協系金融サービスの手続き代行も、支所に来るだけで用が済みます。特に生田地域では、このJAみなみ信州生田支所以外では、生活用品を購入できる店舗はありません。

     いわば、地元で暮らす人々にとって、JAみなみ信州生田支所は、コンビニエンスストアの役割を果たしています。

     JAみなみ信州が生田支所を閉鎖してしまった場合、ほぼすべての住民が地域を離れることになるでしょう。何しろ現実問題として暮らしていくことができないからです。結果、生田地域は集落としては「消滅」します。

     

     本ブログ読者には、「JA上伊那の事例のようにコンビニに出店してもられば、よいのでは?」と思われる方がいるかもしれません。もしファミリーマートが直営店を生田地域に出店したとしても、利益は上がらず間違いなく赤字店舗になります。

     

     株式会社が利益を目的としている以上、儲からないと判断した時点で、生田地域から撤退するという結末になるだけです。利益最大化を目的に事業を行う株式会社にとって、「赤字店舗撤退」は、むしろ当然の経営判断になります。

     

     JA上伊那のファミリーマートの事例は、ファミリーマート直営店ではなく、JA上伊那が設立する(株)グレースがフランチャイジー契約をしている点がポイントです。ファミリーマートのフランチャイジー事業の損益は(株)グレースに帰属します。そして(株)グレースは、JA上伊那が設立する子会社です。

     (株)グレースは、利益追求が目的だったとしても、上伊那地域の維持のためにサービスを供給することが目的で、そのための手段としてJA上伊那が(株)グレースを設立してファミリーマートのフランチャイジーになったというわけであり、仮に赤字だったとしても、JA上伊那が別の事業の黒字で補てんすることでファミリーマートのフランチャイズを継続することになるでしょう。

     

     JAみなみ信州、JA上伊那、どちらも「地域の維持サービス」が目的でですが、手段が異なるというわけです。

     

    ●JAみなみ信州:(株)生活活性センターを設立して、「生活店舗」という独自の小売・卸売店を経営

    ●JA上伊那:(株)グレースを設立して、ファミリーマートのフランチャイジーとなって6店舗(2017年5月時点)を地域内で運営

     

     JAみなみ信州にしてもJA上伊那にしても、JAという存在がなければ、利益追求の株式会社のコンビニ大手が、直営店を出すことは難しいでしょう。

     無論、農協だからといって赤字をどこまでも膨らませていいという話でもありません。とはいえ、協同組合の事業コンセプトは、各種事業あるいは各地区の事業をバランスさせて、全体で何とか収支の帳尻を合わせることで、組合員や住民へのサービス提供を継続するというものです。

     JAみなみ信州、JA上伊那は、「組合員と住民のサービス提供」と「組合の収支の帳尻を合わせる」の両方を考えた結果、異なる手段を選んだという話に過ぎません。大手コンビニが直営店を出すにあたり、農協や地域住民へのサービス提供というコンセプトは、利益追求や利益最大化のコンセプトと、同じベクトルではないのです。

     

     

     

    3.協同組合のコンセプトを理解しよう!

     

     私は「協同組合が良くて株式会社が悪い」ということを言いたいわけではありません。株式会社には株式会社の目的があり、協同組合には協同組合の社会的な目的があります。

     協同組合の事業目的は利益最大化ではなく、組合員や地域住民の「生活」のために、多少の赤字が出たとしてもサービス提供を継続することができます。その分、他の事業や地域における黒字で赤字を補填するという考え方になっているのです。

     

     例えば、JAみなみ信州でいえば、生田地域に限らず、飯田市などで「訪問歯科診療」のサービスを提供しています。即ち、通院が困難な地域住民や介護施設向けに、歯科医や歯科衛生士を派遣する事業を展開しているのです。

     また、中山間地域などに住む「買い物難民」に対しては、農協が運営するAコープへの送迎サービスを実施しています。

     

     都会の住民には想像できないと思いますが、買い物ができない地域、医療サービスが提供されない地域に暮らすことは、極めて困難です。因みにJAみなみ信州の訪問歯科診療や買い物送迎サービスは、単体で見ればもちろん赤字です。

     

     JAみなみ信州に限らず、日本の農協は利益率が高い金融事業(農林中金、JA共済)や、黒字支所などの収益を合算し、全体としてサービスを継続することで、地域インフラとしての役割を果たし続けているのです。

     

     農協以外の組織で、「地方を消滅」=「地域の消滅」から守る組織は、ほとんど存在しません。したがって日本の地域を「消滅」させたいのならば、農協という協同組合を失くしてしまえばよいということになります。農協が無くなれば、農業という地域経済の中心が瓦解するだけでなく、買い物や医療のインフラが消滅し、地域は瞬く間に消滅することになるでしょう。

     

     

     というわけで、今日は長野県内のJAについて、ケーススタディとしてJAみなみ信州とJA上伊那がそれぞれ子会社を設立して独自に小売・卸売店やコンビニのフランチャイジーを運営していることを取り上げさせていただき、協同組合のコンセプトを述べさせていただきました。

     本ブログを読まれた方の中に、もし「そんな買い物や医療が不便な地域に住むことが間違いなのでは?」と思われる方は、安全保障の「あ」の字も理解していない人です。安全保障の「基本」を理解していれば、一極集中ではなく、地域に人々が分散して住んでいた方が、災害時に助け合うことが可能です。

     買い物や医療が不便な地域である中山間地域を見捨てるのではなく、そこに国民が住み続けることがどれだけ重要か?そして協同組合という組織の農協が、どれだけ日本の食料安全保障にも大きな役割を果たしているか?について、今後も論じていきたいと思います。


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