学芸員と地方創生(ビジネスにしていい分野といけない分野)

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    JUGEMテーマ:伝統文化

     

    今日は、ビジネスにしていい分野といけない分野と題し、学芸員と地方創生というテーマで意見いたします。きっかけは、日本経済新聞の『「ガンは学芸員」発言撤回 山本地方創生相が謝罪』という記事です。

     

    記事の概要は以下の通り。

    2017/4/17 9:49 日本経済新聞社

    山本幸三地方創生相は17日、外国人観光客らへの文化財などの説明、案内が不十分として「一番のガンは文化学芸員」などとした発言について「適切ではなかった。反省しており、撤回しておわびしたい」と述べた。東京都内で記者団に語った。

     菅義偉官房長官に同日朝、発言を撤回する考えを伝え、菅氏は「そうしてもらえれば結構だ」と応じたと説明した。

     山本氏は16日、大津市で開かれた地方創生に関するセミナーで、学芸員について「自分たちだけが分かっていればいい、分からないなら来なくていいよ、というのが学芸員の連中だ。この連中を一掃しないと駄目」な

    どと批判した。

     山本氏はこの発言について、記者団に「学芸員の方々に観光マインドを持ってもらう必要があるという趣旨だった」と釈明。進退については「全力を挙げて地方創生などを頑張っていきたい」と述べ、引き続き職責を果たす意向を示した。

     学芸員は、博物館法に定められた専門職員。資料の保管や展示、調査研究などを行う。』

     

     

     記事の通り、山本地方創生大臣が、観光を生かした地方創生に関する質疑の中で「一番のガンは文化学芸員と言われる人たちだ!観光マインドが全くない!一掃しなければダメだ!」と述べ、博物館等で働く専門職員である学芸員を批判したのです。

     

     その後、山本大臣は発言について批判を受けて謝罪しています。とはいえ、私は発言の裏にあるもの、それが非常に気になるのです。

     

     本当にガンが日本にあるとすれば、それが学芸員にあるのではなく、山本大臣に代表されるような文化・学問・技術の貴重さ、これを理解しないで「利益にならないから不要です!」という発想で切り捨てる愚かな政治家がガンであり、そうした政治家が蔓延していることこそ、日本の真のガンではないかと思うのです。

     

     博物館の専門職員の学芸員の皆さんの中には、観光マインドが全くないかもしれないという方も居られるでしょうが、全員ではないでしょう。

     

      この木を見せて森を見せないプロパガンダ、中には観光マインドを持たない人がいる、だから全員を切り捨てるという発想。例えば高速道路で言えば、鹿しか通らない道路もある、だから高速道路は不要という発想。それって本当なのでしょうか?そういうプロパガンダ的な言い方をしたことが非常に問題であると思います。

     

     たとえお金にならない、観光ビジネスにならないとしても、日本は世界で一番歴史がある国家であるため、風土・風俗・風物・伝統・芸術・芸能・遺跡・出土品など、残さなければならないものがたくさんあります。

     

     山本大臣には、それを短期で利益にならない、観光ビジネスにならない、観光マインドがないなら切り捨てるという発想がありませんでしょうか?ポイントは2つあります。

     

     まず一つ目は、とにかくお金を使うことは悪ですという発想。博物館の職員、学芸員の専門職員、学芸員の皆さんに対しては、予算を使ってお金を使っており、いわば出費なので役に立たなければ、お金を使うべきではないという発想。

     二つ目は、お金にならない、ビジネスにならない、稼げないのなら悪ですよ!という利益・金儲けの発想。ビジネスであれば理解しますが、国家としてはあってはいけない考え方。なぜならば国家は利益追求する必要のないNPO法人だから。稼げなかったとしても守らなければならない物があるにもかかわらず、稼げないから無駄という発想。

     

     山本大臣は、この二つの発想を持っていなかったか?と思うのであります。

     

     これまでの日本の成り立ちと歩み、それも全国各地にありますが、それがどれだけ貴重か?他国からの侵略を受けたことがない日本は、それを脈々と受け継いできているのです。

     

     学芸員の中には、「私は文化のことが好きなだけなので観光客は二の次です!」という人も居られるでしょう。そういう人が居ても仕方ないです。

     

      とはいえ、文化・伝統・芸術は大切です。本当だったら山本大臣は学芸員の方に対して、「学芸員の皆さんは日本の文化を守る先頭に立っていただいている立派な方々です!」と言わなければいけないのに、「ガンだ!」「一掃しなければ!」と言っている。これは鹿しか通らない道路があるのだから公共事業は無駄なのでやりません!という発想と同じです。

     

      そうすると、地方創生大臣っていったい何なの?と言わざるを得ません。本来地方創生って何をすべきでしょうか?

     

      まずやらなければならないのは、地方の交通インフラの整備です。観光資源云々言っても、インフラがないところに誰も行きません。

     

      京都にみんなが行くのは新幹線があるから。出雲大社にみんなが行かないのは、新幹線などの高速鉄道がなく、飛行機の便が少ないから。まずこうしたインフラ整備をやる必要があるのに、全くやっていない。

     

      次にやるべきことは、その地域が経済成長するわけなので、基本はその地域のGDP拡大を念頭に置くべきですが、政策のメインは外国人観光客様に来ていただくことがメイン。日本は発展途上国でしょうか?

     

      山本大臣の発言は本人は謝罪して撤回するのはよしとしても、その裏にある考え方、それはグローバリズムの発想であり、文明を壊しているのです。緊縮を求める、利益を求める、そういう発想の政治家が増え、そういう発想が蔓延していることに、私は大変危惧しています。

     

      例えば、大学とか悲惨な状況です。長期的な基盤技術を研究する教授に、短期の成果を求める。

     

      10年では短く、30年〜40年でやるものを短期の成果が出せなければ予算カットする。

    このやり方では日本はやがて亡びると思うのです。

     

      電子と電子を高速で衝突させる国際リニアコライダー。岩手県北上市が有力地として候補しているにもかかわらず、政府が公共事業として財政出動することを決断しない。そりゃ電子を高速で衝突させるという実験が、すぐに実用化して利益が出るとは限りません。

     

      こうした未来の発展につながるしかし長期に研究が必要と思われる分野、スーパーコンピュータなど、将来の経済成長につながる分野について、緊縮財政の延長でいつまで経ってもお金を投じないということが、日本を衰退させて経済成長できなくしているのです。

     

      そんなわけで、今日はビジネスにしていい分野、ビジネスにしてはいけない分野と、長期にわたって研究が必要な分野を含め、文化伝統芸術を保護することにかけるお金は無駄ではないという意見を述べさせていただきました。


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