米財務省が中国の為替操作国認定見送り!日本の監視は継続!

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    JUGEMテーマ:経済全般

     

    今日は4月15日のブルームバーグの記事、「米財務省:中国の為替操作国認定見送り、日本の監視継続−為替報告書」という記事について意見いたします。記事の概要は以下の通りです。

     

    『ブルームバーグ 2017年4月15日 10:07 JST

    米財務省は14日公表した半期に一度の外国為替報告書で、中国を為替操作国として認定することを見送ったが、同国に対して人民元が市場原理に従って上昇することを容認するよう求めたほか、貿易のさらなる開放も要請した。

     為替操作国として認定した主要貿易相手国・地域はなかったが、同省は「監視リスト」に前回と同じく中国と韓国、日本、台湾、ドイツ、スイスの6カ国・地域を指定した。為替報告書の発表はトランプ政権下で初めて。

     報告書は「中国の現在の対米貿易黒字は極めて多額かつ持続的」であるとし、これは中国が米国の財・サービスに対して経済を一段と開放し、家計消費押し上げのため改革を加速する必要があることを浮き彫りにしていると指摘した。

     トランプ米大統領は12日、中国を為替操作国に認定しないことを明らかにし、選挙公約の一つを後退させていた。トランプ大統領は米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、中国がここ何カ月は人民元を操作していないと発言する一方で、他国が自国通貨を切り下げていると非難し、ドルが強過ぎると述べた。

     昨年10月公表のオバマ政権最後の報告書と同様、中国は為替操作の判断のために財務省が使う3項目の基準のうち、多額の対米貿易黒字という1項目のみに抵触した。報告書によると、中国の昨年の米国に対する貿易黒字は3470億ドル(約37兆7700億円)と、主要貿易相手国で最大だった。台湾も1項目に抵触したが、それ以外の4カ国は2項目に抵触した。

     財務省は台湾と日本、韓国に対しては、介入を最小限にとどめ、柔軟で透明性のある為替政策を目指すよう求めた。

     米国は1994年以降、どの国も為替操作国として認定していない。財務省は為替操作の判断基準について、対米貿易黒字が200億ドル超、経常黒字が自国国内総生産(GDP)の3%超、GDPの2%規模の海外資産購入による継続的な通貨安誘導という3項目を維持した。(後略)』

     

     トランプ大統領が中国に為替操作国認定しなかったのは賢明です。2015年8月までは人民元売りドル買いをやっていましたが、2015年8月からは人民元買いドル売りで、むしろドル安になる為替介入を行っています。つまり中国の状況、環境が変わったのです。

     

     

     

    1.トランプ大統領は、中国が人民元安になっていることに困っていることを知らなかったのでは?

     

     ウォールストリート・ジャーナルのインタビューで、トランプ大統領が中国がこの数か月は人民元を為替操作していないと発言しているとの記載がありますが、トランプ大統領は2015年8月の人民元を下げるための為替介入に至った経緯を、よく理解していないのかもしれません。

     

     2015年8月の人民元急落までは、確かに為替介入をしていました。その証拠は外貨準備高の増加に表れています。人民元高ドル安となると輸出が伸び悩む一方、世界の投資家らが人口が圧倒的に増加する中国の需要は無限であるとして中国への投資を深めたいという意向とが、ぶつかり合っている状況でした。

     

    ●2015年8月までの中国人民中央銀行の動き(人民元売りドル買いのトレンド)

    輸出を伸ばすために「人民元↓ドル↑」とするために「人民元売りドル買い」を行った結果、ドル資産が増えて外貨準備高残高が増加していった

    ●2015年8月までの世界の投資家の動き(人民元買いドル売りのトレンド)

    中国への投資をするために「ドル売り人民元買い」をすすめて「ドル↓人民元↑」となった

     

     世界の投資家の動きである後者のトレンドが衰えないため、中国人民中央銀行は前者のトレンドを維持するため、「人民元売りドル買い」をしていたのです。なぜ世界の投資家の人民元高のトレンドに対し、中国人民中央銀行が人民元売りで立ち向かったか?その理由は、中国の経済構造に問題があります。中国は日米と異なる外需依存国です。日本は内需国であり、輸出依存度はGDP500兆円のうち14%程度で70兆円です。中国は純輸出はGDPの50%を超えます。そのため、中国共産党政府は輸出を伸ばして経済成長させるため、人民元を下げる政策を取っていたのです。

     

     そのトレンドの潮目は、2015年8月でした。中国は株式バブル崩壊で景気が悪くなったために、人民元の為替水準を従来水準より引き下げるための為替介入を行いました。これまでは輸出が伸び悩まないようにということで人民元高を抑え込むためにトレンド維持することが目的で為替介入をしていたのですが、2015年8月は景気が悪いことを理由に、従来のトレンドよりも一段の人民元安に為替を誘導しようとして人民元売りドル買いの為替介入を行ったのです。

     

     結果、これまで人民元が逓増的に上昇していたトレンドが崩れ、「あ、人民元って下がることもあるんだ!」ということになって、外国人投資家らが一斉に人民元売りドル買いに転じたのです。即ちキャピタルフライト(資産逃避)が始まったのです。

     キャピタルフライトが始まった2015年8月以降、中国人民中央銀行は一転して、人民元安に苦しむようになりました。人民元安が止まらない状態を、400兆円もある外貨準備高を使って買い支えてきているのが今の中国です。

     そしてついに買い支えも空しく、400兆を超えて貯め込んでいた中国の外貨準備高は330兆円(3兆ドル)を割り込んでしまっているのです。(中国の外貨準備高3兆ドル割れ

     

     今、中国は人民元安に悩んでいるのであり、「輸出を増やすために自国通貨を切り下げる」との指摘は間違っています。とはいえ、人民元安ドル高誘導して米国を困らせていないだけであり、外貨準備高を使って為替操作をしていることには変わりません。

     

     

     

    2.日本の金融緩和は為替介入ではなく、為替操作をしていません!

     

     米国財務省は、中国の為替操作国認定を見送る一方、日本への監視は継続するとしています。日本は為替介入をしていません。日本がやっていることは、市中(預金取扱金融機関)から国債を買い上げ、日銀当座預金を増やす通貨発行をしている金融緩和政策であり、為替介入をしているわけではないのです。

     なぜ、日銀当座預金を増やす通貨発行をしているか?といえば、デフレ脱却のため、物価インフレ率の目標2%達成を果たすために通貨発行をしているのです。

     ですが、今の日本のスタンス、正確に言えば安倍政権の政策「金融緩和だけやって財政出動はしない」というスタンスですと、トランプ大統領から誤解を受ける可能性があります。なぜならば、財政出動をせず、緊縮財政ばかりやっていれば、「お前らジャップはアメリカに輸出を増やすつもりなんだろう?」とトランプ大統領に疑われても仕方がないわけです。

     積極財政に転じ、公共投資を増やせば、日本国内の供給力は、米国輸出でなく日本国内の需要に向かいます。結果、国内の景気が活況になれば、日本国内が米国からの輸入が増える可能性が出てきます。しかしながら現状は、安倍政権は公共投資を増やすどころか緊縮財政(消費税増税、補正予算+本予算での公共投資減少、医療介護費削減など)をやっていますので、「お前ら内需拡大するつもりないだろう!米国への輸出を増やそうという企みで、金融緩和をやっているんだろう!」と言われ、為替操作国認定されるリスクは極めて高いと私は考えております。

     デフレ・インフレについて正しい知識を持たず、金融緩和をすればデフレ脱却するなどと間違った考えを正さない限り、物価上昇率2%目標の達成は、何年経っても困難でしょう。

     

     

     

    3.トランプ大統領から為替操作国認定の指摘を受ける前にデフレ脱却が必要!

     

     解決策はとにかくデフレ脱却を果たすことです。そのために積極的な財政出動が必要です。第二次安倍政権発足後、アベノミクスの第一の矢の金融緩和、第二の矢の国土強靭化計画による財政出動で、名目GDPは1.9%増加し、税収も6.9%増加しました。

     金融政策と財政政策をパッケージにすることによって、デフレ脱却して経済成長するというシナリオは正しかったのです。ところが、2014年から消費税増税で緊縮財政に転じ、個人消費を3年連続で減少させ、公共投資も民主党政権時代よりも削減することで、デフレ脱却が遠のいてしまいました。

     日本は財政破綻するはずがないのに、プライマリーバランス目標という呪縛により、緊縮財政に傾いてしまったのです。2016年度も、補正予算を組みましたが、4兆円強しか組んでいません。本来デフレギャップは10兆円以上と言われているのに、4兆円程度ではデフレ脱却するはずがありません。

     

     私はプライマリーバランス目標という意味のない目標を廃棄すべきだと思います。以前にこのブログでもプライマリーバランス目標を廃棄すべきとする記事を掲載いたしました。(「プライマリーバランスの黒字化」を破棄せよ!(アイスランドのデフォルトについて))アイルランド、アイスランドの事例を見れば、プライマリーバランス黒字化なんて全く意味なし。この両国のケーススタディは、プライマリーバランス黒字化でも国家が破たんするという事例として、プライマリーバランス目標がいかに意味がないか?理解できるケーススタディです。

     

     そもそもこのプライマリーバランス目標、いつから導入されたか?小泉政権の時の竹中平蔵氏が導入したものです。そして竹中平蔵は、安倍内閣で規制改革推進会議のメンバーであり、外国人労働者受入など、国家特別戦略特区と設置して、アリの一穴を開けて、少しずつ日本を壊しているメンバーの一人であります。

     

     規制緩和をイデオロギー的に反対するつもりはありません。デフレ脱却に必要な規制緩和もあります。例えば、トラックの隊列走行が認められれば、運送業界で一人当たり生産性の向上が見込まれます。ドローン使用のための規制緩和を行えば、宅配業や警備業や測量業界などで、一人当たり生産性の向上が図られます。いずれも生産年齢人口減少に悩む日本では有効な規制緩和です。

     

     とはいえ、外国人労働者増加や電力・ガス自由化、輸入を増やすための規制緩和はデフレ促進策のインフレ対策です。

     また、新たな付加価値が増えるわけではないしかも国家の安全保障上利益追求の必要がない国や地方自治体が行うべき事業の民営化(コンセッション方式やPFI事業の活用)は、基本的に国がコスト高く行っている事業なわけですが、利益追求が不要な国がやっているからこそ、安全保障という利益が出ない分野にお金をかけてコストが高くつくわけです。無論、GDP上、このコスト高は、政府最終消費支出ですので、コスト高=悪ではなく、安全保障強化維持のために必要な費用であり、経済成長に資するというのがマクロ経済での見方になるわけです。

     

     さらに言えば、高いコストの公務員と、民間企業に雇われ安いコストの従業員、どちらが個人消費を増やしてくれるかと言えば前者になるでしょう。雇用が安定している前者が個人消費額が多いというのは、GDP3面等価の原則(「GDP3面等価の原則」を完全攻略しよう!)(GDP3面等価の原則について(「スマートフォン製造」のシミュレーション))(トランプ誕生の経緯とトランプリスクに備えて日本がすべきことは?)を理解する本ブログの読者だったら容易に想像ができるでしょう。

     

     PFIコンセッション方式の推進を主張する連中は、結局は国家運営を家計・企業経営と同様に考え、コスト削減はインフレの時には有効ですが、マクロ経済的に言えば経済成長と逆行してデフレを促進するという事実を知らないのです。

     

     こうしたことを知らずしてか、金融緩和だけで日銀に丸投げし、あとは緊縮財政ということをやっている限り、トランプ大統領から為替操作国認定を受けるリスクは続くことでしょう。

     

     ですが、この金融緩和策も日銀の国債所有シェアが増え続け、結果市中の国債が尽きようとしています。あと2年も経てば市中の銀行が保有する国債が無くなってしまいます。国債増刷を刷れば解決するのに、借金が増えるのは嫌だ!とこれまた間違った認識により、国債増刷をしないという状況が続いています。

     

     こうしてみますと、デフレインフレについての正しい知識を持たない人々、財政破綻は起こりえない日本において家計や企業経営と同様に信用創造による経済のパイの拡大=資本主義であることを知らない人々、こうした人々が意味もないプライマリーバランスの黒字化が必要と唱え、デフレ脱却に必要な財政出動に反対して、日本をダメにしているとつくづく思わざるを得ません。

     

     

     そんなわけで、今日は4月15日のブルームバーグの記事「米財務省:中国の為替操作国認定見送り、日本の監視継続−為替報告書」という記事を取り上げ、我が国の解決策を述べさせていただきました。


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