「日銀の円建て国債購入が財政法第5条による財政ファイナンスに該当する」との指摘に対する反論
アベノミクス第一の矢である日銀による国債買取について意見いたします。
【1】財政法第5条に抵触するとの指摘に対する反論
日銀が買うことに問題があるでしょうか?もし、海外勢が保有している円建て国債を大量に売ってきたら、どうなるのでしょうか?
中央銀行の役割は、金融調整であるため、100兆円の国債を売ってきたら100兆円買えばいい、ただそれだけです。すでに黒田バズーカで、2013年12月時点との比較で、200兆円程度、日銀は市中から国債を買い、買い取った金融機関に対しては日銀当座預金という勘定科目を増やすことで資金供給しています。
アベノミクス第一の矢である日銀による国債買取について、財政法第5条を根拠に財政ファイナンスに該当するとの反論があります。かつて民主党(現民進党)の前原氏が、安倍首相に対してアベノミクス第一の矢が財政ファイナンスになる旨の批判をしていました。
財政法第5条は以下の通り。
「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」
この法律は国債を直接日銀に引き受けさせることを禁じるというもので、国会の承認を得れば直接引き受けも可能というものです。
しかしながら、黒田バズーカでやっている国債買取は、政府から直接引き受けているわけでなく、市中(MUFJ、SMBC、みずほメガバンク、地銀、信金信組)から買い取っており、財政法第5条と全く関係がありません。
【2】「国債所有シェア」と「日銀が国債を所有すること」の意味
海外所有シェアについて、2016年3月16日の日経新聞で10%超になった旨のニュースがありました。
データは少し古いですが、2015年12月のデータでみると、48.9兆円で5%です。
1000兆円の借金の正体は、日本銀行のホームページで、資金統計循環という統計資料に記載がされています。(CSVファイルが掲載されていまして、自分で誰でもグラフなどに加工することができます。)
概略ですが2015年12月時点で下記のシェアです。
日銀=32%=288.3兆円
(2013年12月時点と比べて200兆円増えています。理由はもちろん黒田バズーカによる国債の買い取りが原因です。)
銀行=25% 社会保険=25% 一般政府=6% その他金融=3% 家計=2% NPO法人=1% 海外=5%
5%シェアの海外含めて、すべて上記は円建てです。日銀保有分32%は、元金返済不要で利払いも不要です。理由は日銀は上場していて(証券コード:8301)、55%を日本政府が所有しているため、連結決算で親子会社の関係にあります。連結決算の上で、借金の元金は親子間相殺されるため、実質返済不要となります。
消費税増税を是とするマスコミは絶対報道しませんが、実は真に返済が必要な借金は、日銀シェア分の288兆円を差し引けば約700兆円程度になっているため、一人当たり貸付金は560万円程度になるのです。
「アベノミクスで実施されている金融緩和が財政法第5条に抵触する」との指摘は、”知ったかさん”による悪質なデマなのです。
- 2016.12.09 Friday
- 日本経済(いわゆる「国の借金」問題)
- 01:41
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- by 杉っ子