チェコ議会議長の訪台について
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今日は「チェコ議会議長の訪台について」と題して論説します。
下記は産経新聞の記事です。
『産経新聞 2020/09/05 20:49 中国外相、欧州取り込み難航 チェコ議長訪台で「恫喝」露呈
【北京=西見由章】中国の王毅国務委員兼外相は欧州5カ国への歴訪で、米国による対中包囲網形成に参加しないよう働きかけた。ただチェコのビストルチル上院議長の台湾訪問をめぐって中国側が“恫喝外交”の本性を露呈し、欧州諸国の反発を買う展開に。新型コロナウイルス発生時の中国当局の初動や高圧的なマスク外交をめぐって欧州の対中世論は厳しさを増しており、中国側の欧州取り込みは難航している。
8月25日〜9月1日にイタリア、オランダ、ノルウェー、フランス、ドイツを訪問した王氏は、同時期にスタートしたビストルチル氏の訪台に対して「高い代償を支払わせる」と恫喝した。ドイツのマース外相との共同会見でもビストルチル氏が台湾で演説したことについて「一線を越えた」と警告し、報復措置を示唆した。
一方、マース氏は会見で「脅迫はふさわしくない」と王氏を直接批判し、欧州の中でも比較的関係が良好なドイツとの蜜月演出は事実上失敗した。また香港メディアによると、王氏が訪問した5カ国のうちドイツを含む4カ国が香港問題について公式に懸念を表明した。
習近平指導部が各国との摩擦を強めているのは、外交の戦略性よりも自国民に対する当局のメンツを重視していることが背景にある。こうした強硬外交を主導してきたのが王氏自身だ。
北京の経済専門家は「欧州と米国の切り離しが欧州訪問の目的だったはずだが、(王氏の)厳しい発言によって相互理解まで困難になったのではないか」と指摘した。』
上記は、チョコ共和国の議員団らが、台湾を訪問し、ビストルチル上院議長が2020/09/01に台湾議会で演説を行い、2020/09/03には台湾の蔡英文総統と会談をしたことに対して、中国の王毅外相が”恫喝”したとされる記事です。
どこの国もそうですが、日本でいえば国会、米国や台湾やチェコでいえば議会というものは、法律を作るところです。
米国も台湾もチェコも共通しているのですが、法律という面で中国が香港に導入した国家安全法に対して批判しています。日本は中国とのビジネス、中国と一緒に仲良くお金儲けすることに配慮しているのか?立場を明確にしていません。
チェコのビストルチル上院議長は、台湾の立法院で演説を行い、法律とは民主主義と自由を求める人を守るものであり、そういう人々の考えや行動をコントロールするためのモノではないと述べ、国家安全法に対して明確に批判しました。
このときビストルチル上院議長は、ケネディ大統領が西ドイツの西ベルリンで行った時の演説を引用。ケネディのドイツ語で「私はベルリン市民である」との演説を引用し、チェコ語と中国語で「私は台湾市民だ!」と述べました。
ケネディの「私はベルリン市民だ!」、ビストルチル上院議長の「私は台湾市民だ!」に共通することは、共産主義と相対して戦っている国に対して支援するという意味が込められています。
ケネディ大統領の時は米ソ冷戦真っ只中であり、今は米中覇権戦争の真っ只中です。
ケネディ大統領は、次のように述べていました。
「2000年前、最も誇り高き言葉は、”私はローマ市民だ!”で、今日の自由な世界において最も誇り高き言葉は”私はベルリン市民だ!”」
ローマ帝国は2000年栄えましたが、長期にわたってローマ帝国が続いたのは、インフラを整備したり、戦った相手の国の人にローマ市民権を付与したなどが、よく言われる話です。
紀元前90年では、ローマ帝国はエトルリア人との戦いに勝ったものの、エトルリア人を奴隷にせず、ローマ市民権を付与して同化していった歴史があります。
当時最大のローマ帝国に敗れたエトルリア人は、ローマ市民権を付与されてローマ市民となり、ルーマニアの首長や王様の家庭教師など、ローマ市民と同じように扱われました。
それだけローマ帝国は誇り高かったといえるでしょうし、ケネディ大統領が誇り高い言葉として「私はローマ市民だ!」を重ねてドイツ語で「私はベルリン市民だ!」と演説したことは、当時の人々に感動を与えたことでしょう。
今回のチェコのビストルチル上院議長が、台湾の立法院において、チェコ語と中国語で「私は台湾市民だ!」と述べたことも、立法院の台湾人の議員ら全員が満場一致でスタンディングオーベーションとなりました。
これらのチェコの議員団の行為に対して、王毅外相は、重い代償を払うことになるだろうと述べたところ、この発言に対して欧州各国が激怒。まさに上述の産経新聞は、それを報じているのです。
実は欧州でも、中央欧州、東欧州の国々は、中国から提案された一帯一路の提案を受け入れ、お互いに強調する路線を歩んでいました。具体的には旧共産圏の16か国とイニシアチブを結び、一帯一路を進めていくとしていました。
欧州各国は、王毅外相のチェコに対する”恫喝”は受け入れられないとして、欧州は一枚岩になって中国から離れることになるかもしれません。
中国共産党政府は一帯一路を掲げながらも、むしろギリシャのピリウス港や、スリランカのハンバントタ港など、資金が返済できない国々が土地を取られている状況に加え、ウイグル人問題や2019年の香港弾圧で、中国に対する見方に変化が出ていました。
そんな中での今回の王毅外相によるチェコの訪台に対する”威嚇”は、まさに味方と思っていた中央欧州・東欧州各国の反発を買うことになるでしょう。
というわけで今日は「チェコ議会議長の訪台について」と題して論説しました。
ソロモン諸島では、人口最多のマライタ州において、中央政府が国民の声を聞かず中国と国交を結んだことに対して、独立の是非を問う住民投票が行われます。ソロモンは2019年9月に台湾と国交を断行し、中国と国交を樹立したばかりです。
しかしながら2020年に入って急速に反中国の動きは欧州中心に加速しており、日本も早い時期に、中国側につくのか?米国側につくのか?即ち国家安全法を支持するのか?香港自治法を支持するのか?立場を明確にするタイミングが来るだろうと私は思います。
仮にも日本が香港自治法の支持を明確にするならば、少なくても企業はバリューチェーンから中国を除く努力をしなければ余計なリスクを抱えるだけであり、思いもよらない損失を被るかもしれないと私は思うのです。
- 2020.09.13 Sunday
- 世界経済(中国・韓国など東アジア)
- 02:34
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- by 杉っ子