日韓通貨スワップを継続せず全く役に立たない人民元スワップを締結した韓国経済の悲劇
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昨日は韓国の外貨準備高について、中身が空っぽの張りぼてなのでは?という趣旨の記事を書きましたが、今日も韓国経済について取り上げ、「日韓通貨スワップを継続せず全く役に立たない人民元スワップを締結した韓国経済の悲劇」と題して論説します。
デイリー新潮の記事をご紹介します。
『デイリー新潮 2020/07/17 通貨スワップ終了を嘆く韓国…政府・中銀の無策、外貨不足で財閥に泣きついた国策銀行
中央銀行に当たる韓国銀行は6月末の外貨準備高が過去最高の4107億5000万ドルになったと発表した。中央銀行は、為替介入や輸入代金の支払いが困難になったときなどに備えて外貨を準備する。韓国銀行は今年1月末、外貨準備高がそれまでで最高の4096億5000万ドルに達したと発表したが、3月末には4002億1000万ドルまで減少した。
その一方で、国策銀行の韓国輸出入銀行は流動性外貨がショートし、今年3月、サムスン電子に泣きついて借金を申し入れてもいる。韓国の金融界と財界はことあるごとに日韓スワップを口にして嘆くという。時の政権の人気取りと中銀の無策のツケを払い続ける悲劇である。
韓国銀行は、外貨準備高が減った理由として、ドル高が進行し、ドル以外の外貨建て資産のドル換算価額が目減りしたことを挙げた。6月末には過去最高を更新したというわけだが、これもドルが下がった影響で外貨資産のドル換算価額が上がったからだという可能性があり、実際に増えたとは限らない。
6月末の発表に際して政府は、大規模な外国為替平衡基金債券(外平債)を発行することも明らかにしている。
この外平債は、ドル高ウォン安が進行したときにドルを売ってウォンを買い支えるなど、為替介入の原資を確保する韓国特有の債権だ。日本はもちろん先進国にはない。政府や中央銀行が為替に介入するとき、通貨スワップ(中央銀行間の協定、後に詳述)を背景に準備している外貨を利用するからだ。
日本銀行は潤沢な外貨を保有しており、さらに日本は、米国、ユーロ圏、英国、カナダ、スイスと無期限かつ無制限の基軸通貨スワップのネットワークを形成している。市場は日銀が必要な外貨を必要なだけ引き出すことができることを知っており、日本政府が介入を口にするだけでアナウンス効果がある。実際、投機的な円買いで円高が進んだ2016年、麻生太郎財務相が為替介入を示唆すると為替は安定した。日本は2011年11月29日以降、為替介入を行っていない。
他方、韓国はアナウンス効果を得られるだけの信頼もスワップ協定もなく、外貨を自力で準備する必要がある。外国為替平衡基金債券(外平債)はその原資を得る手段だが、外貨準備に屋上屋を架すものであり、十分な外貨準備があるならそもそも必要ない。
韓国企画財政部は7-9月期に15億ドル規模の外平債の発行を計画し、国内外の証券会社に入札提案要請書(RFP)を発送した。韓国政府の外平債発行残高は約9兆8000億ウォン(81億5800万ドル)で、年3000億ウォンの利子を負担している。計画通りに15億ドルを調達すると発行残高は11兆6000億ウォンに膨れ上がる。
先に触れたように、日本の最後の為替介入は2011年10月28日から2011年11月28日までで、1か月間で9兆916億円を使うなど、2011年には年間約14兆円の為替介入費を使っている。韓国ウォンは日本円に比べてはるかに市場規模が小さいとはいえ、介入原資が一度の介入で枯渇する可能性は否定できない。
韓国の金融界と財界はことあるごとに日韓スワップを口にする。しかし、これはすでに終わってしまったものだ。(後略)』
上記デイリー新潮の記事に記載の通り、昨日ご紹介した外平債の発行について触れています。
外平債というのは、”外国為替平衡基金債券”と呼ばれるもので、債券(Bond)の一種で、韓国政府が発行する債券です。
何のために外平債を発行するか?といえば、韓国政府が自国通貨ウォンの下落を買い支えるため、ウォン買いドル売りをする際のドルを調達するために発行します。
記事にもありますが、日本のような先進国では、為替介入資金のドルを調達する為に政府が発行する債券はありませんが、韓国政府には存在します。
それどころか、韓国の国策銀行の韓国輸出入銀行は、民間企業のサムスン電子にドルを借りると報じられています。
日本政府の場合、外貨準備高は世界第2位で、韓国の3倍強にあたる1兆3000億ドルも貯め込むのみならず、いざという時に備えてハードカレンシー通貨の米ドル、ユーロ、英国ポンド、スイスフランなど、期限なしで無制限の通貨スワップを締結しており、韓国ウォンと比べれば、”月と鼈(すっぽん)”、”クジラとイワシ”レベルで、日本円は最強通貨です。
もちろん韓国にも通貨スワップネットワークはあります。ただし、通貨スワップネットワークがどのような通貨で構築されているか?が問題です。
ウィキペディアによれば、韓国は現在、中国、オーストラリア、インドネシア、マレーシア、スイス、カナダと通貨スワップを締結。カナダと米国とは為替スワップを締結しているとのこと。
ここで、通貨スワップと為替スワップという言葉がありますので、少しだけ違いをお話ししますと、下記の通りです。
【通貨スワップ】
<民間のデリバティブ取引>
金融商品取引法上のデリバティブ取引の一種で、元本交換によって金利交換をするスワップ取引をいいます。Cross Currency Swapと呼ばれ、通称”CCS”といいます。
<国家間のスワップネットワーク>
デリバティブ取引とは別で、自国通貨が暴落するときに外貨を調達して暴落を買い支えるために事前に二国間で取り交わす協定をいいます。"Bilateral Swap Agreement"と呼ばれ、通称”BSA”といいます。
【為替スワップ】
<民間の先物外国為替売買取引>
為替取引の一種で、為替時価物取引と為替先渡取引を逆方向で同時に行う取引をいいます。
<国家間の取引>
デリバティブ取引とは別で、自国通貨が暴落するときに外貨を調達して暴落を買い支えるために短期的に二国間で同意のうえ、外貨を融通する協定をいいます。"Bilateral Liquidity Swap Agreement"と呼ばれ、通称”BLA”といいます。
通貨スワップと為替スワップの違いについては、民間取引は別にして、国家間の取引のおいては、いざという時に外貨を供給できるように事前に協定しておくのが通貨スワップ、短期的な資金融通をするのが為替スワップであると、お考え下さい。
韓国は米国と為替スワップによって米ドルを調達していますが、為替スワップは短期取引であり返済期日が早いです。特に暴落しやすい韓国ウォンの場合は、米ドルや日本円などの通貨スワップ協定があればいいのですが、かつて協定していた日韓通貨スワップは、朴槿恵政権のときに韓国側から日本円の通貨スワップは不要であるとして、一時期総額700億ドル枠があった日韓通貨スワップ協定は2015年に終了しました。
その代わりといっては何ですが、人民元スワップを締結。朴槿恵政権は、中国と通貨スワップ協定を締結したので、日韓通貨スワップは不要であるとして日本と協定せず、あろうことか?中国にすり寄りました。
その結果、中国、オーストラリア、インドネシア、マレーシア、スイス、カナダなど通貨スワップネットワークを構築していて、1,932億ドルの枠を持つものの、その50%以上、大半が人民元スワップとなっています。
しかしながら中国と通貨スワップ協定をしても、借りられるのは人民元です。
人民元はハードカレンシーではなく、ローカルカレンシーで信用が低いため、人民元をどれだけ借り入れることができたとしても、人民元で韓国ウォンを買い支えることなどできるわけがありません。
人民元スワップは、自国通貨韓国ウォンの買い支えとして何の役にも立たないのです。
こうした状況下、今年に入って新型コロナウイルスのパンデミックが発生し、世界経済が大混乱になる中、米国の中央銀行のFRBがドルを必要とする発展途上国向けに、緊急の為替スワップを締結して、ドルを供給しています。
韓国もそのおかげで、緊急為替スワップを締結することができたため、短期的な米ドル資金を調達することができました。
ところが通貨スワップと異なり、為替スワップは期間が短く、すぐに返済期日を迎えます。その上、枠を目いっぱい使っていて米ドルをさらに調達しなければならない環境に置かれています。
そこで韓国政府は外平債を発行して、民間企業のサムスン電子から米ドルを調達するに至っているのです。
韓国政府が外平債を発行するというのは、為替介入に必要な米ドルが不足をしていることに他なりません。外貨準備高4000億円が、すぐに換金できる米国国債や日本円、金地金などではなく、すぐに換金できないジャンク債で保有しているとなれば、流動性が不足しているために、外平債の発行が必要になっていると考えることもできます。
ただし、外平債を発行すればするほど、外貨建て債務を抱えることなり、韓国政府・韓国経済は、さらに苦しくなります。
具体的には今回外平債を15億ドル発行して、既に発行している81億5000ドルと合わせて約96億ドルの外貨建て債務となれば、その利息だけでも数千万ドルとなり、利子負担が半端なくなっていくのです。
先述した日韓通貨スワップがあれば、ここまで韓国経済は苦しむことはありませんでした。
2015年までは総額700億ドルの枠の日韓通貨スワップがありました。
実際に通貨スワップを国家間で締結する場合、通常は対等な立場で締結しますが、日韓通貨スワップは、日本が韓国から韓国ウォンを借りる必要性は全くなく、日本が韓国を金融支援するために締結しているようなものです。
この日韓通貨スワップがあったとき、韓国の李明博が竹島に上陸するという事件が発生し、日韓関係は悪化。ちょうどそのタイミングで、日韓通貨スワップの満期が到来しました。
韓国は絶対に日韓通貨スワップを継続する必要があったのですが、当時朴槿恵政権は、強がって延長せず、中国と通貨スワップがあるからとして、日韓通貨スワップを継続しませんでした。
先ほども述べた通り、中国と通貨スワップ協定を結んでも、借りられるのは人民元であり、韓国ウォンの買い支えに全く役に立ちません。
朴槿恵政権は、日本が望むなら日韓通貨スワップを延長してもいいという態度だったのですが、これは明らかに間違いで、今、そのツケを払わされているといえるでしょう。
今後、韓国経済はどうなるか?といえば、外貨準備高の米ドルがどんどん減少し、為替介入ができなくなります。
一方で、日韓貿易で日本企業への支払いは円建てです。そのため、韓国経済にとっては日本円も必要なのですが、日韓通貨スワップがないので日本円も手に入りません。
となれば米ドルを売って円を調達する必要があり、その円で日本企業への決済をする必要があることになります。
米ドル売り日本円買いをしたくても、そもそも米ドルがないとなれば、そのドルを他から調達しなければならず、どんどん悪循環に嵌っていきます。ましてや円高になれば、韓国経済にとっては大打撃になることでしょう。
というわけで今日は「日韓通貨スワップを継続せず全く役に立たない人民元スワップを締結した韓国経済の悲劇」と題して論説しました。
1997年のアジア通貨危機のとき、韓国経済は破綻しましたが、この時もドルがありませんでした。当時、外貨準備高が十分にあると言っていたにもかかわらず、実際はドルを持っていなかったのです。
まさに、当時と同じ状況が今の韓国経済であり、韓国企業との取引は、大変リスキーであると私は思います。
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- 2020.08.03 Monday
- 世界経済(中国・韓国など東アジア)
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- by 杉っ子