外貨準備高9位の韓国だが、外貨準備高の中身はジャンク債か?

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     今日は「外貨準備高9位の韓国だが、外貨準備高の中身はジャンク債か?」と題して論説します。

     

     日本経済新聞の記事をご紹介します。

    『日本経済新聞 2020/07/23 10:12 韓国GDP3.3%減 4〜6月、通貨危機以来の下げ幅

     【ソウル=細川幸太郎】韓国銀行(中央銀行)が23日発表した2020年4〜6月期の国内総生産(GDP、速報値)は物価の変動を除いた実質ベースで前期比3.3%減となった。新型コロナウイルスの感染拡大で輸出が大きく落ち込んだ。マイナス幅は1998年のアジア通貨危機以降で最大となった。

     項目別では、輸出が16.6%減と1963年以降で過去最大の落ち込みを記録した。自動車や石化製品の落ち込みが激しかった。米国など主要市場の都市封鎖で自動車販売がストップしたほか、海外の自動車工場の生産停止の余波で自動車部品の輸出も落ち込んだ。主要品目の中では、比較的好調な半導体以外は総崩れの様相だ。

     半導体や自動車、造船、鉄鋼などを主要産業に持つ韓国はGDPに占める輸出の割合が4割程度と大きい。輸出の大幅な減少がGDP成長率を押し下げた。設備投資は2.9%減、建設投資は1.3%減となった。

     一方で消費は1.4%増と回復に転じた。全国民対象の政府の「緊急災難支援金」(4人世帯で約9万円)の支給が5月中旬から始まり、民間消費を押し上げた。支援金は8月末までの有効期限があるため貯金に回りにくく、外食需要のほか家電、高級食材の売れ行きが堅調だった。

     4〜6月期の3.3%減は、1〜3月期の1.3%減からさらに悪化した。韓国政府の事前予想(2%台半ばの減少)を下回った。

     23日の新型コロナ対策の経済閣僚会議で、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相は「前例ない世界経済のシャットダウンによる景気後退の影響を避けることができなかった」と言及。「感染症が落ち着く第3四半期には、中国のような景気反発も可能になる」とやや楽観的な見通しを示した。』

     

     上記記事の通り、韓国の4〜6月期のGDPが発表され、実質GDPで前期比▲3.3%となりました。 韓国政府の事前予想では2%台半ばの減少であったため、▲3.3%は思った以上に相当悪い結果が出てきたということになります。

     

     いずれにしても、1〜3月期が▲1.3%と2期連続でマイナスとなったことから、韓国は景気後退入りしたということです。

     

     日本は1〜3月期のGDPは、2次速報ベースで▲2.2%、10〜12月期の▲7.1からさらに落ち込んでの▲2.2%なのでこれもひどい指標で、4〜6月期は緊急事態宣言の影響もあり、さらなるひどい落ち込みが予想されます。4〜6月期の数字が公表されるのは、8/17(月)に1次速報、9/8(火)に2次速報という予定ですが、韓国はいち早く4〜6月期の発表です。

     

     因みに韓国のGDPは約100兆円強と、日本のGDPの約1/5です。この規模で▲3.3%というのは非常に痛手です。

     

     一方で、韓国は外貨準備高が2020年6月末時点で、4,107億ドルとなり、過去最高となったことが報じられています。4,000億ドル以上の外貨準備高というのは、世界ランキングで10位に位置し、ある意味では優秀であるともいえます。

     

    <外貨準備高ランキング>

    (出典:グローバルノート)

     

     上記記事の通り、9位の香港に次いで韓国は10位です。参考までに日本は2位です。

     

     日本の1/3弱の外貨準備高を保有する韓国ですが、表題の通り、その中身が問題です。

     

     そもそも外貨準備高とは何なのか?

     

     日本は外貨準備高世界第2位ですが、日本の外貨準備高は、米ドル債やユーロ債などのハードカレンシー通貨の国債のほか、外国中央銀行への預金や金地金などで、ほぼ100%近くを占めています。

     

     外貨準備高というものは、自国の通貨を守るために、自国通貨の暴落を防ぐために為替介入したり、貿易で輸入代金の支払いができなくなることを回避する為に準備しておく外貨のことを指します。

     

     通常は国際貿易で、米ドル、日本円、欧州ユーロ、英国ポンド、スイスフランといったハードカレンシーと呼ばれる主要通貨が決済通貨として利用されます。

     

     特に韓国はGDPの5割以上が輸出で占める貿易立国です。

     

     よく日本も輸出で貿易が経済を支えているという言い方をしますが、それは間違いです。なぜならば日本のGDPは純輸出額では2019年度の数字で名目で1兆円程度(0.2%)で、輸出額、輸入額とも90兆円弱です。2018年で見た倍、輸出額だけとってみても、OECD加盟国中、輸出依存度は2番目に低い14.8%となっています。

     

     完全な内需国の日本と、外需国の韓国では、同じGDPがマイナスであっても、外需に依存できない分、厳しい状況といえるでしょう。

     

     しかしながら外貨準備高だけをみれば、韓国は4,000億ドル以上を貯め込み、立派といえます。にもかかわらず、韓国にデフォルトのうわさが消えないのはなぜか?

     

     それは韓国ウォンが国際金融市場の中で、弱い通貨であるためです。

     

     韓国ウォンが弱い通貨ということは、ドル高ウォン安になりやすいのです。

     

     端的にいえば、韓国ウォンは国際金融市場で信用がないため、売られやすく、暴落しやすい通貨です。

     

     韓国はドル建ての負債を抱えるため、ウォン建てで借金をしているならば、内国通貨建て債務で問題が無いものの、ドル建ての外貨建て債務を抱えるとなれば、ドル建て債務で財政破綻したアルゼンチンや、ユーロ建て債務で財政破綻したアイスランドと同じ道を辿る可能性が十分にあり得ます。

     

     外貨建て債務の問題は、例えば韓国のようにドル建て債務を抱えている場合、ドル高ウォン安になってしまえば、それだけで借金が膨れ上がることになるのです。

     

     内国通貨建て債務、即ち自国通貨建て債務ならば、中央銀行がお金を刷って返済したり、市場で買い取れば済みますが、外貨建て債務はそうはいきません。

     

     そのため、韓国政府の場合は、米ドルに対して韓国ウォンが下落するのを防ぐため、ウォン買い介入の為替介入をし続けなければならないという構図があります。

     

    <韓国ウォンと米ドルの為替相場チャート>

    (出典:インヴェスティングドットコム)

     

     上記チャートは、2020/07/31時点の韓国ウォンと米ドルの為替レートのチャートです。

     

     1米ドルに対して、韓国ウォンがいくらか?を示していまして、だいたい1,200ウォン前後を推移していました。

     

     チャート上で山になっている点が2か所ありますが、1つ目はリーマンショックの2008年の時で、1,500ウォンまで暴落しました。2つ目は、1998年アジア通貨危機で、韓国ウォンも通貨危機となり、1,700ウォンまで暴落して、韓国経済は崩壊。IMFが融資するに至りました。

     

     韓国政府は、ウォンの暴落を防ぐため、為替介入によってウォンを買い支えています。このウォンの買い支えには、外貨のドルが必要ですが、世界第10位の外貨準備高を貯め込んでいるため、韓国政府がデフォルトする可能性は低いのかもしれません。

     

     ところが気になるニュースがありまして、1つ記事をご紹介します。

    『中央日報 2020/06/25 08:11 韓経:韓国、外貨準備高4000億ドル超えるのに…外平債また発行

     韓国政府が今年も大規模な外国為替平衡基金債券(外平債)発行を推進する。これに伴い、外平債発行残高はこの13年で最大に増える見通しだ。市場では政府の頻繁な外平債発行が民間企業の海外債券発行環境を悪化させかねないという指摘が出ている。

     23日の投資銀行業界によると、企画財政部は7−9月期に15億ドル規模の外平債を発行する計画だ。最近内外の証券会社にこうした計画を盛り込んだ入札提案要請書(RFP)を発送し発行準備を始めた。外平債は政府が為替相場の安定を目的に運用する外国為替平衡基金の財源を調達するために発行する外貨建て債券だ。

     現在韓国政府の外平債発行残高は約9兆8000億ウォンだ。計画通りに15億ドルを調達すれば発行残高は11兆6000億ウォンに増える。外平債発行残高が10兆ウォンを超えるのは2006年の14兆7000億ウォンから13年ぶりだ。政府がこの7年間に6回にわたり8兆2000億ウォン相当を発行した結果だ。

     外平債発行残高が急増して利子負担はますます大きくなっている。現在の外平債の年間利子は約3000億ウォンだ。これに対し外平債を発行して作る外国為替平衡基金の運用収益率は下落すると予想される。政府が外国為替平衡基金の大部分を米国債など確定金利型安全資産に投資しているためだ。

     資本市場では政府が昨年末に国会から15億ドルを限度に外平債の発行承認を受けた時から「名分のない外貨負債拡大」という批判が出ていた。今年は満期を迎える外平債がなく借り換えする必要もない。その上先月末基準で外貨準備高は4073億ドルに達する。外国為替確保と為替相場安定という草創期の外平債発行の意味ももう大きく薄くなったと評価される。

     政府の外平債発行が民間企業の外貨調達に否定的影響を与えるという懸念も提起される。外平債発行時期に押されて最適な資金調達のタイミングを逃しかねないためだ。格付けが高い外平債が社債と投資需要確保競争を行う構図が繰り広げられることにある。ある証券会社の債券運用担当者は「大量の外平債が民間企業の債券需要を吸い込む『駆逐効果』が現れる可能性がある」と指摘した。

     これに対して企画財政部関係者は「国会で外平債発行承認を受けた状態なので準備をしておく次元で主幹事証券会社選定手続きに入ったもの。いまのところ今年外平債を発行する計画はない」と話した。続けて「外貨建て債券市場で政府の外平債が占める割合は5%前後のため外平債による駆逐効果があるとみるのは難しい」と付け加えた。』

     

     中央日報は、朝鮮日報などと並ぶ大手韓国メディアの一つですが、この記事の中に”外国為替平衡基金債券(外平債)”という語彙があります。

     

     これは韓国政府が発行する債券であり、韓国政府がウォン買い米ドル売りの為替介入をするための米ドルを調達する債券です。

     

     日本には、このような外平債というものは存在しませんが、韓国ではウォンが弱いため、外平債を普通に発行して、米ドルの調達をします。

     

     外貨準備高世界第10位で4000億ドル以上も貯め込んでいるはずなのに、なぜこのような債券を発行するのでしょうか?

     

     想像し得るに、1997年の韓国通貨危機の時もそうだったのですが、外貨準備高の中身が実はすぐに売却換金できる資産ではないのでは?ということが考えられます。

     

     例えば高金利を狙ってハイイールド債やジャンク債などの有価証券で外貨準備高を保有しているとなれば、簡単に売ることができず、ましてや含み損を抱えている状況では損することが確定しまいます。

     

     4000億ドルの外貨準備があるならば、少し取り崩してウォンを買い支えればいいだけなのに、外平債を発行してドルを調達するとなれば、そうせざるを得ない事情、即ち外貨準備の大部分が米ドル債券などではないジャンク債なのでは?という疑義が生じるのです。

     

     

     というわけで今日は「外貨準備高9位の韓国だが、外貨準備高の中身はジャンク債か?」と題して論説しました。

     韓国経済は、日本のマスメディアが報じている以上に深刻な状況になっている可能性があります。輸出しても輸出代金が回収できないなど、不測の事態が想定され、韓国とのビジネスは極めてリスキーであるといえるでしょう。

     ビジネスに限らず、資産運用においても、韓国の金融市場とは関わらない方がいいものと、改めて私は思います。

     

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