池上彰の”一律支給された10万円は国民が後で税金で返さなければならない”という説明のウソ

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     皆さんは、池上彰という人物をご存知かと思います。私は公人として池上彰氏は全く信用ができない嘘八百をメディアを通じて垂れ流している人物として、非常にネガティブに捉えています。

     その池上彰氏が、GWの5/2(土)20:00放送の「池上彰のニュース 新型コロナのお金問題 借金大国の日本の対策」という番組に出て、コロナ対応における経済対策の財源について論じていました。

     番組の中で、コロナの経済対策で第2次補正予算で決まった全国民への一律10万円支給について、後で国民が返さなければならないという発言があり、これは看過できないミスリードです。

     そこで今日は「池上彰の”一律支給された10万円は国民が後で税金で返さなければならない”という説明のウソ」と題して論説し、池上彰氏の問題がある3つの言説について論じたいと思います。

     

     5/2放送の池上彰氏の問題発言3つは次の通りです。

     

    1.コロナ対策のお金、例えば一律10万円給付はどこから出てきているのか?

    2.政府はどうやって借金をしているのか?

    3.政府の負債は私たちの子孫が返済しなければならないというウソ

     

     上記の3つについて問題点を指摘いたします。

     

     

     

    1.コロナ対策のお金、例えば一律10万円給付はどこから出てきているのか?

     

     みなさんは、一律10万円給付のお金は、どこから出ると思うでしょうか?

     

     国民全員に一律10万円給付することを盛り込んだ2020年度補正予算案は、4/27に法案が可決・成立し、新聞各紙は事業規模117兆円で新たな国債の発行は25.7兆円と報じました。

     

     池上彰氏は番組の中で、25.7兆円の借金を「家計に例えると・・・」として、収入が100万円で支出が100万円だった家計が、今回26万円急な用立てが必要になったなどと説明しています。

     

     そもそも国家の財政運営を家計に例えること自体が間違いであって、日本政府には通貨発行権があり、家計には通貨発行権はありません。

     

     

     

    2.政府はどうやって借金をしているのか?

     

     政府が負債を増やす仕組みは、財政法第4条による4条公債(建設国債)、財政法第7条による財務省証券(政府短期証券)、特例公債法による赤字国債の発行で、政府は負債を増やします。

     上記いずれの方法にせよ、政府が負債を増やした場合、反対側で必ず国民の預金が増えます。

     

     今回、一律10万円給付で、確かに政府の負債は増えましたが、その分、全国民の預金が増えます。

     

     また医療崩壊を防ぐためにコロナ対応の病床を増床させるために医療機関に600万円支給すれば、一時的に医療機関に従事する人が600万円預金が増え、その預金は医療機関は増床するための設備投資をしますので、設備投資業者に従事する国民の預金に変わります。

     

     学費に苦しむ学生に対して一律10万円給付するとすれば、一時的に学生の預金が10万円増え、受け取った10万円を学費に充当することで学校側、教育に従事する人らの預金に変わります。

     

     以上、負債を増やす財源は、集めた税金で支出しているわけではありませんし、後払いということで後で消費税率を引き上げるとか、コロナ税などの名目で増税するなどの必要もありません。

     

     ところが池上彰氏は、政府の負債=国債とし、その購入原資は私たち日本国民の銀行預金であると発言しています。銀行は国民の集めた預金で貸付金を増やしているわけではありません。銀行は記帳するだけでお金を生み出します。それこそがバンク機能、信用創造機能と呼ばれるもので、生命保険会社、損害保険会社、リース会社、消費者金融・商工ローンと呼ばれる金融機関は信用創造機能を持たないがゆえにノンバンクと呼ばれます。

     

     ノンバンクは各事業者が保険料や銀行からの借入や社債発行、株式を上場しているのであれば増資などでお金を集め、それらを原資に貸出しをします。新たにお金を生み出す信用創造機能はありません。

     

     バンク機能を持つ銀行とは、商業銀行のみならず、中央銀行の日銀もまた日銀当座預金というお金を創出することができます。

     

     

     

    3.政府の負債は私たちの子孫が返済しなければならないというウソ

     

     主流派経済学者らは、財政は税金で賄われていて、税金と予算の不足するものを赤字国債(特例公債)といい、借金だからあとで返さなければならないという発想で、表題の言説が出ているものと思っていますが、現実は異なります。

     

     1000兆円の国債残高をゼロにするというのは、国民の預金をゼロにするということで、お金を1000兆円吸い上げることになります。マネーストックをゼロにするということで、確実に国家が破綻します。

     

     1000兆円の国債をゼロにしなければならないと思っている人は、そもそもそこの認識が間違っています。政府の負債、即ち国債の残高とは何なのか?といえば、国家が通貨発行したお金の金額の控えでしかありません。

     

     過去累積で1000兆円通貨発行したとするならば、国民側に1000兆円の預貯金が渡ったということを意味し、それ以上でもなければそれ以下でもありません。

     

     

     以上3つ問題点を指摘しました。

     

     銀行が買う国債の購入原資は日銀当座預金なのですが、これは日銀が過去発行した国債を商業銀行から買い取っているものであって、国民の銀行預金で買っているのではないのです。

     池上彰氏が、これを知らずに銀行預金で国債を買っていると発言しているならば、完全な勉強不足・知識不足で、まるで白痴と言わざるをえませんし、知っていて発言しているならば、悪質なウソ吐きです。

     

     また26兆円もいずれ返済しなければならないと説明していましたが、過去、3.11東日本大震災の復興費用をまかなう復興費が約11兆円かかるということで、2011年〜2037年の25年間、所得税2.1%を徴収していることを例に出し、今回のコロナ対策では、消費税を1%UPすれば、2.5兆円の税収が増えるので、10年間1%UPを継続すれば、25兆円の返済が可能とし、あたかもコロナ増税が必要であるような言い回しをしていました。

     

     さらに、いずれ私たちの子孫が返さないといけない・・・という言説も全部デタラメです。

     

     池上彰氏の言う通り、増税してそのお金で国債残高を減らすとなれば、それは国民の試算の減少を意味します。国債の発行は貨幣の供給であって日本国民の資産なのです。

     

     ずっと返済しなくてもいいのか?といえば、返済する必要ないというのが正解です。

     

     ところが池上彰氏は、コロナ対策で新たに生まれた借金は返済する必要があるわけではなく、今後物価が大きく上昇した後に返済すればよいとも述べていますが、そもそも復興増税自体も間違いであり、そもそも東北地方の復興で用立てしたお金も返済は不要であるということです。

     

     

     

     というわけで今日は「池上彰の”一律支給された10万円は国民が後で税金で返さなければならない”という説明のウソ」と題して論説しました。

     政府と家計は全く別物であるということ、銀行が国債を買うのは国民の預金ではありませんし、コロナ対策で用立てしたお金も後で税金で返す必要は全くありません。

     経済や貨幣について正しい知識を持たない限り、正しい政治判断ができず、国民がますます苦しむことになってしまいます。

     私はたとえ憲法第21条で言論の自由、報道の自由、表現の自由が保障されているとはいえ、日本のマスメディアがウソ・デタラメを垂れ流すこと、池上彰氏のような著名人がウソ・デタラメの言説を公然とあたかも正しいかの如く振り撒くことは許されないことと思いますし、発言を訂正していただきたいものと思います。

     

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