景気は世界中が悪いというわけではなく例外的に米国は景気がいいです!
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日本の国内景気の認識について、ようやく消費増税の影響による数字の悪さを認識する人が増えたと思われます。さらに新型コロナウイルスの影響で景気が悪くなると思われている方、当たっています。特に日本株に投資をしている読者の皆様におかれましては、速やかに売却をされた方がよろしいかと思っております。
こんな話をすると、中国発の新型コロナウイルスのせいで、世界中が景気が悪くなってひどい迷惑と思われている方、なぜか米国だけは例外的に経済が絶好調です。
そこで今日は、好調な数値をはじき出している米国経済について述べたく「景気は世界中が悪いというわけではなく例外的に米国は景気がいいです!」と題して、
1.新型コロナウイルス騒動でパウエル議長が緊急利下げへ!
2.トランプ大統領がパウエル議長に対して追加利下げを要求している理由について
3.世界中どの国も景気が悪いが米国だけは例外
4.米国の経済政策に日本政府も見習うべきでは?
上記の順で論説します。
1.新型コロナウイルス騒動でパウエル議長が緊急利下げへ!
新型コロナウイルスに始まった中国リスクによって、世界中の金融市場で株価が大暴落をしています。先週は3/3(火)に少し戻しましたが、まだどうなるか先行きが不透明な中で、世界中の金融政策担当者が動き出しました。
まず米国の中央銀行のFRBのパウエル議長が3/3(火)に緊急利下げを行いました。異例の緊急利下げといわれていますが、何が異例か?といえば、通常FRBが利下げをする場合、スケジュールで決められているFOMC(連邦公開市場委員会)という月1回開催される会議で決めます。
ところが今回はスケジュールで決められたFOMCではなく、会議がないにもかかわらず緊急招集してすぐに利下げを決めました。そしてその利下げ幅は、0.5%でした。米国の金融政策は、0.25%を上げたり下げたりしていましたが、今回は2倍の0.5%の利下げです。
私は、この状況下で利下げをするという判断は正しいと思いますが、トランプ大統領の評価は?といえば、全く評価しておらず、さらなる利下げを要求しています。
下記は時事通信の記事です。
『時事通信 2020/03/03 10:27 FRBに早期利下げ要求 「行動遅い」―トランプ氏
【ワシントン時事】新型コロナウイルス感染拡大の影響で金融市場が混乱する中、トランプ米大統領は2日、ツイッターに、米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長について「いつものように行動するのが遅い。他の中銀は、はるかに積極的だ」と投稿し、早期に追加利下げを行うよう促した。
トランプ氏は「ドイツなど他国は自国経済に資金を注入している」「米国の金利は最も低くすべきだ」と強調した。日米欧の先進7カ国(G7)財務相・中銀総裁は日本時間3日夜にも電話会議を行い、金融安定策を協議する。「われわれは追随でなく主導すべきだ!」とも述べ、今年のG7議長国として対応をせかした形だ。 』
上記記事の通り、トランプ大統領は早期に追加利下げを促していますが、ある意味で緊急で0.5%引き下げたのは当たり前であり、これで十分なわけではなく、さらなる利上げが必要とトランプ大統領は認識しているものと思われます。
この直近では、トランプ大統領とFRBのパウエル議長は、ずっと対立関係にあります。というよりトランプ大統領が一方的にパウエル議長を批判し続けています。
ではトランプ大統領が批判する一方で、金融市場やマーケットはどう評価しているか?といえば、トランプ大統領と同様に評価していません。その証拠に3/2(月)は爆上げしたのですが、これはFRBが0.5%の利下げすることを織り込んでの上昇だったと思われます。なのでその翌日、3/3(火)に0.5%利下げすると報道されても、マーケットはむしろ暴落してチャートではほぼ”寄り天”の形となりました。
<ダウ平均の株価のチャート>
(出典:SBI証券)
海外メディアでウォールストリートジャーナルは、緊急利下げでは限界があると社説で述べていますが、3/3(火)緊急利下げを発表しても、金融市場ではむしろ株価は下落。翌日再び上昇したものの、3/5(木)には再びほぼ”寄り天”で下落しました。
2.トランプ大統領がパウエル議長に対して追加利下げを要求している理由について
そもそもトランプ大統領とパウエル議長の関係は、なんとパウエル氏をFRB議長に任命したのはトランプ大統領自身です。トランプ大統領がパウエル氏を議長に選んだものの、パウエル議長が自分の期待通りに動かないため、トランプ大統領は失敗したと思っている節があります。事実、ここ数年でパウエル議長を解任することを検討するにまで至りました。
その理由は、米国の政策金利のFFレートです。
<米国の政策金利FFレートのチャート>
(出典:SBI証券)
上記チャートと見みてただきたいのは、パウエル議長の前のイエレン前議長が0.5%だった政策金利を、トランプ大統領が大統領になって以降、どんどん引き上げていきました。
トランプ大統領がイエレン議長を解任後に任命したパウエル議長が2018年2月就任以降も、政策金利を引き上げ続け、一時2.5%にまで上昇しました。
このFFレートが2.5%まで上昇するというのは、大変なことなのですが、なぜFFレートを引き上げていったか?といえば、その理由はニューヨークのダウ平均株価の上昇です。
<ダウ平均株価のチャート>
(出典:SBI証券)
トランプ氏が大統領選挙で当選してから、株価の上昇のスピードが増し、右肩上がりで上昇を続けていきました。
なぜ株価がトランプ大統領になってから上昇ピッチが増したか?というと、トランプ氏は公約で、大幅な減税、規制緩和を行うと述べていたからで、その公約が実行に移されれば景気が良くなって株価が上昇することは明白でした。そのため、トランプ氏が大統領に就任する前から株価は上昇しています。
その後、何度か株価が下がる局面がありますが、その要因こそが米国の政策金利FFレートです。
イエレン前議長が株価が上昇しているという理由でFF金利を引き上げ、トランプ大統領はそれが気に入らず、イエレン前議長が任期満了になった時点で続投をさせず、パウエル氏を任命してFRB議長に就かせました。
パウエル議長に対してトランプ大統領は金利を引き下げる期待をしていましたが、パウエル議長は就任後、少しずつFFレートを引き上げて1%程度上昇させました。
トランプ大統領がなぜパウエル議長に対して、FRBに対して金利引き下げを要求しているか?2つの理由があります。
それは米国の輸出業者が他国に比べて高い金利を払わされている点がフェアでないとしているということ。他国というのは具体的には日本や欧州の輸出業者は金利はほぼゼロの状況なのですが、米国の金利は上昇を続けてきたため、米国の製造業者はその分ハンディがあります。
さらにはドル高というハンディもあります。ドル高となれば米国の製造業が米国で製造して海外に輸出するときに、ドル高で苦しめられます。そのドル高の要因は、米国の金利が他国と比べて高いことがその要因の一つでもあります。
このようにして、高い金利とドル高の2つによって、米国の製造業は輸出でアンフェアな競争を強いられていると考えているのがトランプ大統領で、この2つの理由があるために、FRBに対して追加利下げを要求していると考えられます。
3.世界中どの国も景気が悪いが米国だけは例外
ニューヨークダウの株価の推移を見る限り、パウエル議長の緊急利下げは異例対応とはいえ、評価されておらず、トランプ大統領と同様に追加利下げを要求しています。
トランプ政権がやってきた減税、規制緩和などの経済政策は正しかったのですが、FRBが金利を引き上げて、経済成長を抑制しました。トランプ大統領は米中貿易戦争を戦うためにFFレートを見ながらFRBに利下げを要求し、2.5%まで上昇したFFレートは引き下げに転じました。
利下げを行うということは、米国の景気も相当悪くなっているのでは?と思われる方がいるかもしれません。確かに、日本、中国、欧州の経済はものすごく悪いのですが、米国経済は順調そのものといえます。
その理由は米国の住宅市場の上昇です。
<米国の住宅着工件数の推移>
(出典:みんかぶ)
住宅着工件数もまたニューヨークダウと同様に右肩上がりで推移。2020年1月は156.7万戸で、2007年以来の高水準になっています。2007年時上昇したのは、ちょうどサブプライムローンが盛況だった時期であって、良い理由で住宅価格が上昇したとはいえません。
しかしながら今回はトランプ大統領がFRBに圧力をかけ、住宅ローンが低くなったところに、堅調な労働市場が後押しをしています。
多くの米国人が新たに給料の良い仕事に就けるようになり、これはトランプ政権の大きな成果であって、その成果によって、米国人が住宅をどんどん買うようになりました。
米国経済にとって住宅市場はものすごく大きい市場で、住宅市場が上昇している状態は、米国国内の景気は良いといえるでしょう。
したがって景気は世界中全てが悪いというのではなく、例外的に米国だけが景気が良いのです。
4.米国の経済政策に日本政府も見習うべきでは?
例外的に景気が良かった米国にも、中国の新型コロナウイルスに発して、中国リスクが台頭しました。
FRBは金利をやっと0.5%引き下げましたが、トランプ大統領はそれだけでは不足していると認識しているでしょう。
というのも1年間の給与税の減税を示唆しています。日本と同様に米国のサラリーマンも所得税や住民税に変わる州税や健康保険など、源泉徴収されていますが、トランプ大統領は1年間限定で減税すべきでは?と述べ、米国議会に対してトランプ大統領が提案をしている模様です。
これは所得中間層を中心に大変な恩恵があり政策となる可能性があり、経済対策としては即効性があると思われます。
それに対して日本はどうすべきでしょうか?
本来であれば安倍政権は、即効性のある経済対策を打たなければならないにもかかわらず、日銀が株をたくさん買って株価を買い支えるとか、意味のないことしか思い付いてないと考えられます。
下記は日本経済新聞の記事です。
『日本経済新聞 2020/03/03 12:00 首相「予備費2700億円超、フル活用」 新型コロナの緊急対応策で
安倍晋三首相は3日の参院予算委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための第2弾の緊急対応策について「2700億円を超える2019年度(予算)の予備費を活用したい。全部使うかどうかなども含めて10日に取りまとめる。できるだけフルに活用したい」と述べた。国民民主党の浜口誠氏への答弁。
対応策に盛り込む内容について「臨時休校により休みを取らざるを得なくなった保護者への助成金創設や医療体制強化、中小・小規模事業者への強力な資金繰り支援などを具体化する」と改めて述べた。』
コロナウイルスに関連して予備費2,700億円をフル活用するとしています。
この安倍首相の答弁でいえることとして、予備費はあくまでも2019年度の予算に遭ったものを使うだけの話であり、新たな財政出動ではないことに加え、2,700憶円の全部を使うか否か・・・といっている時点で、新たに支出を増やす発想が頭の中にないということです。
消費増税による需給ギャップは15兆円〜20兆円と言われていまして、もともと6.6兆円の消費増税対策では全く歯が立たず、10月〜12月とコロナウイルス騒動以前から日本は不景気のどん底に叩き落されました。
ここで論じているのも”兆円”単位の話であり、予備費などもともとあった予算である上に、かつ2,700億円では20兆円のギャップを埋められるはずがありません。
さらにそこにコロナウイルスの影響が来るというのに、なんと呑気な発想か?と失望せざるを得ません。
例えば緊急的に消費減税5%にするとか、思い切って恒久的に消費税を5%もしくは廃止するなどの案が普通にあります。何しろ消費は今日も明日も毎日していくものであり、日本においても中間層にメリットがあります。
税収60兆円のうち20兆円を占めている消費税が無くなれば、国家の財政はどうなるか?という人は、MMT理論を知らない白痴の人です。そもそもスペンディングファーストを理解すれば、20兆円の消費税がなくなろうと関係ありません。
いま日本が行うべきことは、トランプ大統領と同様に即効性のある経済政策が必要であって、それは消費減税やウイルス対策のための公共事業、平時の公共事業によって、縮小する需要を穴埋めすることをやるべきであると私は思います。
というわけで今日は「景気は世界中が悪いというわけではなく例外的に米国は景気がいいです!」と題して論説しました。
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- 2020.03.09 Monday
- 世界経済(米国)
- 00:54
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- by 杉っ子