深刻な百貨店業界の売上高減少6兆円割れと免税店売上高2桁減少

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     今日は「深刻な百貨店業界の売上高減少6兆円割れと免税店売上高2桁減少」と題して論説します。

     

     産経新聞の記事と日本経済新聞の記事をご紹介します。

    『産経新聞 2020/01/22 15:54 昨年の百貨店売上高は4年連続6兆円割れ 天候不順や消費税増税響く

     日本百貨店協会が22日に発表した昨年の全国百貨店売上高は5兆7547億円となり、4年連続で6兆円を割り込んだ。既存店ベースでは前年比1・4%減と2年連続の前年割れ。天候不順で夏物や冬物の衣料品が振るわなかったほか、昨年10月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減が影響した。日韓関係の冷え込みになどよる訪日外国人客数の減少も響いた。

     同協会の山崎茂樹専務理事は「改元などによる盛り上がりがあった半面、中国の景気減速やインバウンド需要の減少、消費税増税などのマイナス要因が多かった」と総括した。

     商品別の売上高は、化粧品や美術・宝飾・貴金属などを含む雑貨が2・7%増と堅調に推移した一方、構成比率の高い衣料品が4・0%減、食料品が1・1%減、家庭用品も2・0%減と軒並み減少した。

     

    『日本経済新聞 2020/02/03 20:21 百貨店、春節の免税売上高2桁減 中国客の減少響く     

     新型コロナウイルス感染による肺炎が、訪日外国人(インバウンド)消費に影響を与え始めた。百貨店大手の2020年の春節期間(1月24〜30日)の免税売上高は前年比2桁マイナスが目立ち、他の小売業なども消費が落ち込んでいる。1月27日の中国当局による団体旅行の規制でキャンセルが増えた余波とみられる。影響が長引くと、増加基調だった免税売上高が前年を割り込む可能性もある。

     三越伊勢丹ではインバウンド比率が高い旗艦店3店舗(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)が昨年の春節期間(19年2月4〜10日)比で2割減と落ち込んだ。春節期間の前半では売上高が伸びていたが、中国で団体旅行が規制されてから来店客数が減少。品目別では時計・宝飾品などの高額品や化粧品が急減した。

     中国人観光客の落ち込みは航空便の旅客数から明らかだ。全日本空輸(ANA)は春節期間の中国路線の旅客数が前年の春節期間に比べ約10%落ち込んだ。日本航空(JAL)は1月22日から31日までの10日間で2月分の中国路線の予約のうち約25%がキャンセルになった。

     高島屋では、春節期間の免税売上高が昨年の春節期間比で15%下がった。期間の前半では前年並みで推移したが、「1月29日からの免税売上高は昨年の春節期間比で3〜4割減だった」(同社)。大丸松坂屋百貨店では春節期間中の免税売上高が約5%減。そごう・西武は約15%減だ。

     新型肺炎の影響は訪日客人気の高い関西にも及ぶ。阪急うめだ本店(大阪市)は春節期間の免税売上高が1割減った。高島屋大阪店(同)では8%減だ。「29日ごろから中国人客が3〜4割減った」(高島屋大阪店)という。関西の多くの百貨店では免税売上高の8〜9割を中国人客が占める。

     日本百貨店協会によると、19年の免税売上高は前年比2%増の3461億円。3年連続で過去最高を更新したが18年の伸び率(25.8%増)と比べ鈍化した。19年は中国当局が免税品の販売規制を強化し、中国の景気減退などで客数も伸び悩んだのが主因だ。団体旅行への規制が長引けば、年間の免税売上高の伸び率がマイナスになる可能性もある。

     一方、ある大手家電量販店では春節期間の免税売上高が前年同期(春節期間)の9割未満になったようだ。1月25〜26日は1割以上増えたが27日からの落ち込みが顕著だ。東京・池袋の大型ホテル、ホテルメトロポリタンでは春節期間中、中国人団体客のキャンセルが出た。通常は中国人の宿泊比率は3割を占める。

     地方経済にも影を落とす。札幌市の秋元克広市長は3日の記者会見で、新型コロナウイルスによる同市の観光業への影響を推計したところ、3月末までに宿泊キャンセルが延べ13万3000人、損失額が約64億円に上るとの試算を明らかにした。秋元市長は「春節と雪まつりという特に中国からの観光客が見込める時期だったため、非常に大きな影響が出ている」と述べた。

    秋元市長は「国内の方が出控えることも想定される。長期化のおそれも想定しながら、今後の経済対策を考えたい」と話した。』

     

     産経新聞、日本経済新聞と、いずれも百貨店の売上高減少というネガティブなニュースをご紹介しました。

     

     産経新聞の記事では、既存店の売上高2年連続マイナス、▲1.4%という数値が天候不順と消費増税に伴う駆け込み需要の反動減が理由だとしています。

     

     若年層の百貨店離れや地方経済の低迷という構造的な要因もあるという指摘はありますが、若年層が百貨店離れを起こすのは、単に所得が伸びていないから、安いものを求めているだけに過ぎません。地方経済の低迷は、地方創生といっておきながら、インフラ整備をせず、需要を喚起するための財政出動をするどころか、2014年4月の消費増税8%に始まる緊縮財政で、デフレを放置するどころかデフレを促進させる政策を行ってきたからに他なりません。

     

     だから安倍政権が政策転換しない限り、安倍政権が続く限り、今後も厳しい状況が続くでしょう。

     

     結局安倍総理は、「デフレ脱却を目指す!」と口では言っておきながら、本心からデフレ脱却を目指すべきであるとは思っていないのではないでしょうか?

     

     デフレ脱却を目指すと標榜して、第2次安倍政権が発足しましたが、既に7年経過してもデフレ脱却できていません。雇用が改善したのは、生産年齢人口減少に起因するものであり、安倍首相が総理大臣をやらなかったとしても、全く関係がありません。アベノミクスとも関係がありません。

     

     ドイツの場合は、ドイツの失業率が43.4%と高かった1933年に、ナチスドイツ政権が誕生。ヒャルマル・シャハトを財務閣僚に就けて積極財政により、高速道路(アウトバーン)の新規インフラ整備、住宅建設の増加、軍事拡大に政府がお金を使ったことで、経済が瞬く間に立ち直り、失業率は2.0%にまで下がりました。ドイツ国民は当然ナチス政権を支持しました。

     

    (出典:「1933-38年におけるナチス期の経済構造」から引用)

     

     安倍政権になって雇用数が増えて失業率が下がったといっても、それはナチス政権のように財政出動をして積極財政をやったからではありません。何もしなくても生産年齢人口減少で失業率は低くなり、有効求人倍率は高くなるのは、アベノミクスとはほとんど関係がありません。

     

     むしろ外国人労働者受入や、消費に対する罰則課税である消費増税を2回もやったことで、正社員の賃金は伸び悩み、派遣労働者やアルバイトといった短期就労者の賃金が上昇しているというのが実情です。

     

     派遣労働者やアルバイトは雇用形態が不安定ですので、景気が悪くなれば雇用を打ち切られる可能性があります。そのような人々が、いくら時給が上昇したからといって消費を増やそうというのは、あり得ないことでしょう。

     

     政府は相変わらず「緩やかに景気は回復している」といっていますが、実際は景気は明らかに後退局面に明確に入ってきているといえます。そのうちの指標の1つが百貨店売上高6兆円割れというニュースで、2019年から縮小しているということです。

     

     消費増税による反動減の影響があったとしても、それを差し引いても反動減が大きく、それに加えて外需が冷え込み、2018年の下期から輸出も低迷。いろんな景気尺度を勘案したCIは2018年後半をピークに下落してきました。

     

     2018年10月の消費増税で東日本大震災級、リーマンショック級の落ち込みを示していて、その翌月11月も凹んでいる状況があり、景気動向指数DIは10月〜11月と2カ月連続でゼロが続き、12月も速報値では、7.1という低調な数値となりました。

     

    <景気動向指数DI(一致指数)の推移>

    (出典:内閣府のホームページ)

     

     因みに景気動向指数DIというのは、いろんな景気の尺度の中で、どのくらい景気が良くなっているかもしくは悪くなっているか?という指標で、最高が100、最低が0という指標です。

     

     上記グラフの通り、2019年9月こそ消費増税前の駆け込み需要でプラスになったものの、もともと数値が低調だったところに消費増税をやっているわけですから、10月〜12月と数値が低調なのも当然の帰結といえるでしょう。

     

     自然災害や天候不順を理由にする言説もありますが、どう見ても明らかに消費増税の影響で数値が落ち込んでいるというのは、このグラフを見れば、誰もが理性的にそう判断できるものと私は思います。

     

     12月の7.1という数値にしても、グラフに記載の直近2か年の最低値10.0にも到達していませんので、悪影響は12月も続いたということが言えると思います。

     

     そこに今回の新型コロナウイルスのニュースが出てきました。安倍政権がデフレ促進策しか経済政策を打たないために、経団連を中心とした大企業が中国に傾注していかざるを得ない中、中国に需要を依存したところに新型コロナウイルスの発生です。安倍政権が目指す観光立国というのも、現在においては多くは中国人の旅行者であり、そこに新型コロナウイルスのニュースです。

     

     どう考えても消費を増やそうという環境マインドになるわけがなく、2020年度も消費増税10%が続く限り、消費減税をしない限り、百貨店の売上高は減少をし続けることになるでしょう。

     

     特に地方都市を中心とした売上高が厳しい百貨店は、さらに閉店の憂き目に遭うことになるでしょう。

     

     政府は願望で「景気は緩やかに回復している」と大本営発表で大ウソを繰り返し、新聞もそれを垂れ流します。地獄と化した武漢のみならず、中国における経済の町の上海は今、交通渋滞や歩道の雑踏、職場に帰る会社員の姿がなくなり、不気味なほど閑散とした道路とシャッターが下りたバーや商店が取って代わり、ごくまれに見かける歩行者は、防護マスクを着けているという情景のようです。

     

     巨大都市を多数抱える中国でも上海は最多の人口を誇りますが、そんな上海ですら、新型コロナウイルスで経済が停止している状況であり、中国との交易やインバウンドに頼った商売をしている日本企業には、多大な影響が1月以降も続くことになるでしょう。

     

     

     

     というわけで今日は「深刻な百貨店業界の売上高減少6兆円割れと免税店売上高2桁減少」と題して論説しました。

     

     

    〜関連記事〜

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