米国株と日本株が堅調な理由について
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11/04(月)は祝日で日本の株式市場はお休みでしたが、米国市場は始まっており、ダウ平均、ナスダック、S&P50の指標がいずれも過去最高値更新ということで、米国株は依然絶好調のようです。
そこで今日は「米国株と日本株が堅調な理由について」と題し、株式市場について論説します。
私は今年、いろんな理由を考え、為替相場は円高となり、米国株と英国株は高くなり、日本株は株安になる予想をしていました。
金融緩和ができなくなることや、世界中がスロートレードで円が買われやすくなる環境であること、香港デモなどを中心にキャピタルフライトの発生や、米国の経済が好調であることなどがその理由です。
しかしながら、私の予想は見事に外れました。
思ったほど円高にならず、英国株はブレグジットの延期でそれほど高くならず、日本株は下がるどころか年初来高値をうかがう動きとなっていて、米国の株高だけが当たって、それ以外は外れました。
<ニューヨークダウのチャート>
(出典:ヤフーファイナンス)
上記のチャートの通り、ニューヨークダウは、トランプ大統領就任以降、上昇を続けました。日経平均も上昇を続けていますが、米国株は、GDP成長を伴い、実質賃金も上昇していて足腰が強く上昇しているといえます。
今後、一つの見方として、ウクライナ疑惑が今、”マスごみ”によって大きなニュースとして取り上げられています。米国の市場関係者は、米国のトランプ大統領の弾劾については、ワシントンの民主党と反マスコミのフェイクニュースであると思っているかもしれません。
しかしながら株価が上昇を続けている状況であるため、トランプ弾劾のニュースが、株価の調整に使われる可能性はあります。
なぜ米国株も日本株も上昇しているのでしょうか?
今年前半を振り返りますと、米中貿易戦争の影響で、株価は全世界的に下落傾向でしたが、10月に入ってから米国株も日本株も上昇しています。
特に米国では6月に入ってから、FRBは3回利下げをしており、3カ月間で0.75%の政策金利を引き下げています。
その結果、日米の金利差は1%近くも縮まりました。普通は金利差が縮小すると、円高ドル安になります。ところがそれでもドルや下がりませんでした。
日米の金利差が縮小すれば円高になるという従来の発想が、今のマーケットでは通用しなくなっています。考えられることは、日本の債券がマイナス金利で、日本の債券を買おうにも、買える債券がないということ。
スイスやドイツもマイナス金利になっており、世界中で債券市場が機能していないということで、株式を買うしかないのでは?というのが私の見立てです。
仮に株式を買おうとするならば、経済が絶好調な米国株にお金が流れるというシナリオは普通にあり得るでしょう。
一方で為替は大きな円高にならず、ドル円相場でいえば104円以下になりませんでした。
これも超低金利が原因なのかもしれません。何しろ買う債券がないので、ドルで保有するとすれば、米国株にお金が行くことは当然考えられます。
その結果、ドルが買われているということで、円高になりそうでならないのは、世界的な超低金利、とりわけ日本のマイナス金利が理由なのかもしれないと私は思っています。
もし、米国株が下がらず、上昇を続けるならば、トランプ大統領の再選に有利な展開といえるでしょう。
米中貿易戦争も、第一段階として部分合意に至ろうとしており、この材料もまたトランプ大統領の再選に有利といえるでしょう。
では、なぜ日経平均までもが上昇するのでしょうか?
10/1から消費増税10%というネガティブな状況にありながら、株価が上昇する理由は何なのでしょうか?
現在、3月期決算企業の中間決算の発表が相次いでますが、業績はマチマチです。東京エレクトロンなどが上方修正する一方、ファナックや小松製作所などが下方修正しています。
特にファナックは、製造するNC装置が工作機械の頭脳部分に該当し、世界中の向上で使われ、グローバル企業の優等生とされてきました。
そのファナックの第2四半期(7月〜9月)の受注は、NC装置などのファクトリーオートメーション部門は前年同期比35%減少、工作機械のロボマシン部門は30%減少で、営業利益は6割も減少するとの決算発表をしています。
いずれも米中貿易摩擦が響き、スロートレードなどから輸出関連企業の中でも海外売上高比率の高い企業は苦戦しています。
フォークリフトで有名な小松製作所も通期業績見通しを下方修正し、営業利益予想は3,370億円→2,790億円で前年比29.9%減と、3割近く減少する見込みです。
いずれも決算は悪いにもかかわらず、少し下がっただけでした。
米中貿易戦争の影響を長らく指摘され、株は売られ続けていた感があります。
そこに米中貿易戦争の一部合意というポジティブな要因が出てきたため、決算が多少悪くても株価が下げすぎていたということで、それほど下がらないのかもしれません。
そういう意味では米国株の上昇と、日本株の上昇は、若干意味が違うと思われ、特に米国株は経済が絶好調で株価が高いという意味で、望ましい状況といえます。
しかしその一方で、気になることがあるとすれば、金価格の相場です。
<金地金のチャート>
(出典:楽天証券)
1グラム5300円という水準は、かなり高い水準といえます。通常株価が高い場合、金は売られるのですが、むしろ金は買われています。
そういう意味では投資家は慎重であり、米国株も買い、日本株も買うが、金地金も買っておこうということで、慎重な姿勢であるともいえるのです。
つい先日、10/30から2日間、金融政策決定会合が開かれましたが、金融政策については現状維持でした。10/01消費増税という状況にありながらも金融政策は現状維持ということは、日銀は消費増税の悪影響が出ていないと判断しているのかもしれません。
とはいえマイナス金利に突入してかつ日銀の金融緩和をやろうにも買える国債が品薄の状況では、打つべき手は限られていると思われます。「国債増刷」を日本政府が決断してくれれば、状況は変わってくると思いますが、現時点では、追加利下げやマイナス金利の更なる引き下げしかない状況で、そうしたカードを温存したのかもしれません。
というわけで今日は「米国株と日本株が堅調な理由について」と題して論説しました。
消費増税の影響による景気後退は、これから起こり得ることです。
上昇を続ける日本株は、米国株と異なり、足腰が弱いと私は思っています。日本株を保有される投資家の皆さんのおかれましては、国内外のニュースに注視していただきたいと思います。
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- 2019.11.05 Tuesday
- 世界経済(米国)
- 00:22
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- by 杉っ子