大規模停電の原因は、電力・土木建設業界と行政で”無駄を削る=余裕を削る”をやった結果です!

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     台風19号についての論説を中心に書いた記事が続きましたが、今日は少し戻しまして台風15号での千葉県で発生した大規模停電について論じたく「大規模停電の原因は、電力・土木建設業界と行政で”無駄を削る=余裕を削る”をやった結果です!」と題して論説します。

     

     台風19号は雨量で河川の決壊によって多くの甚大な被害をもたらしましたが、台風15号では風によって大規模な停電が発生しました。

     

     電力は、ガス・水道・電話などのインフラと異なり、インフラ中のインフラと言われています。電気が止まれば、ガスも水道も電話も止まってしまいます。その現代人の生活に必須ともいえる電力で、なぜこんなに大規模な停電になったのか?といえば、台風のせいで2000本にも上る電柱が倒れたということが原因であることはご承知のことと思います。

     

     一番衝撃的なのは、千葉県君津市で、1970年代に作られた高圧線の送電棟が2本倒れたことで、これが1つ目とすれば、2つ目は倒木です。倒木が停電の原因で、複合的な原因で停電となったため、東京電力としても対応に苦慮したことは間違いないでしょう。

     

     例えば東京電力の社員は、電柱を直すことはできると思いますが、倒木の撤去は土木建設の人でなければできません。しかし土木建設の人らは、電柱や電線を触ることはできません。

     

     あらかじめ、電力会社と建設会社で連携するシステムがあればよかったと思いますが、そうしたシステムはありませんでした。

     

     もっと重大な問題として、自治体の職員を減らしすぎたため、自治体の職員が現場に行くことができませんでした。

     

     仮にも電気が通じていれば、現地から情報が入ってきますが、停電で電気が通じず、情報が入ってこないため、現地に行くしか方法がないのですが、行く人もいない。

     

     ということで、デフレを放置してきた結果、電力サービス、土木建設サービス、行政サービスという供給力を削減しその弊害が一気に出たものといえるでしょう。

     

     このような国家を何と呼ぶか?皆さんご存知でしょうか?

     

     そうです!発展途上国といいます。

     

     日本は発展途上国になってしまっているのです。大災害で直接的な被害で命を落とすのみならず、その後の復興もままならない。「無駄を削れ!」とやって平時の無駄は削れたかもしれませんが、その代わり非常時には余裕がなくなってしまい、ここ一番の大事な災害時にサービスを供給できなくなってしまっているというのが今の日本の実情でしょう。

     

     デフレ放置に加え、無駄削減ということをやってきたいわば当然の帰結といえるのです。

     

     では2度と大規模停電を発生させない取り組みとして、日本がすべきことは何でしょうか?

     

     電力サービスでいえば、もうわかりきっていることなのですが、まずは電柱の地中化であり、送電網のメンテナンスです。

     

    <東京電力の設備投資額の推移(単位:億円)>

    (出典:東京電力のホームページ)

     

     

     上記グラフの通り、 東京電力は1991年がピークで、送電網に8,931億円も設備投資をしていました。今は2015年の数字で、2,097億円と4分の1以下に留まります。

     

     特に3.11で福島原発の事故が発生して以降、コストカットを開始し、しかも原発を止めていることで、鉱物性燃料の価格が値上がりして利益を圧迫し、投資を削減してきました。

     

     人員も3000人近く削減しました。

     

     こうして行政も電力業界も土木建設業界も、デフレ放置と無駄削減と自由化による利益圧迫で、投資ができなくなり、大規模停電が発生してしまったわけです。

     

     こうした事態を回避するためには、平時の時にお金を使って余裕をもって投資し、民間の会社に体力がない場合は、政府が財政拡大するなり、電力会社に資金を投入するなり、公共事業拡大をするなどして、土木建設の供給能力を拡大しなければならないのですが、それをせず”無駄を削減しろ”で、”無駄を削減=余裕を削減”であることに気付かなかった日本国民に、当然の帰結として大規模停電が襲ったといえるでしょう。

     

     1997年の構造改革基本法が制定以来、過去25年間、非常事態における余裕のことを、多くの日本国民が「無駄」と称して削ってきました。

     

     無駄=余裕であり、その考え方そのもの根本を見直さなければなりません。

     

     中身は同じでも呼び方は違います。無駄削減に邁進するということは余裕の削減に邁進してきたことに他なりません。

     

     そのため、日本はこれから大変なことになるのは目に見えて明らかです。

     

     それでも千葉県は東京都に近く、陸続きである点でまだましな方かもしれません。

     

     例えば東京都でも、式根島、新島などでは、1週間ぐらい経過しても事故の状況は全くわからなかったといわれています。

     

     電気が切れれば、そもそも連絡が取れず、そういう時に備えて非常用電源や無線などの準備が必要で、それは政府が財政支出する以外に方法はありません。

     

     ところがプライマリーバランス黒字化や緊縮財政をやっていると、それはできないでしょう。

     

     

     というわけで今日は「大規模停電の原因は、電力・土木建設業界と行政で”無駄を削る=余裕を削る”をやった結果です!」と題して論説しました。

     

     

    〜関連記事〜

    1995年から始まった電力自由化は正しかったのか?

    台風15号による千葉県の停電を引き起こした電力会社の電柱問題


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