役に立った公共事業がニュースに報じられることは、ほとんどありません
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今日は「役に立った公共事業がニュースに報じられることは、ほとんどありません」と題して論説します。
台風19号による被害は農業分野にまで被害が及んでいます。川の氾濫による果樹園や稲などの農地への浸水に加え、暴風によってハウスの破損・倒壊や、農業用のため池、水路の決壊など、数多くの被害が発生しているのはご承知の通りです。
こうした被害に対して福島県では被害総額が100億円を超える可能性があると指摘されていて、被害の全容は未だ掴みきれていない状況です。
台風被害によってもたらされた供給不足は食糧品の価格上昇につながる恐れがあります。何しろ農産物の被害は甚大です。
大災害が発生した際、通常発生直後では被害はわからないことが多いです。被害の全容が積み上がった時には、既に数カ月が経過しているということも普通にあって、多くの人々の心の中では既に忘れ去られ、場合によっては被害額総額を知らないまま生きているということもあり得ます。
例えば「100億超えるかも・・・」というのは断定できないからそう言っているだけであり、100億円超える可能性は高いと言えるでしょう。
1958年9月27日に関東や伊豆半島を襲った大型台風で、狩野川台風というのがあります。このときの雨量は739ミリだったのですが、今年の台風19号の雨量は778ミリであり、狩野川台風よりも雨量が多かったことになります。
その狩野川台風では、狩野川に放水路を作っていたことで、洪水被害から市民を守ることができたのですが、そのことを報じるニュースは私が確認したところでは見当たりませんでした。
<狩野川の大工事>
<大平地区江尻樋管改築工事 工期:平成28年10月28日〜令和元年6月27日>
(出典:国交省中部地方整備局のホームページ 写真は令和元年5月末の写真)
<狩野川下河原地区護岸整備工事 工期:平成31年2月20日〜令和元年9月30日>
(出典:国交省中部地方整備局のホームページ 写真は令和元年5月末の写真)
上記の通り、狩野川は樋管改築工事や護岸整備工事を行い、今年5月末までに完成したことで、洪水が発生しませんでした。その狩野川放水路によって洪水から守られた経済効果は、国交省によれば7,400億円に上ると推定されています。
逆に考えれば、放水路や樋管改築工事・護岸整備工事をやっていなかった場合、狩野川周辺の三島市、清水市、沼津市など、多くの住民が住むエリアが水浸しになっていたことでしょう。
このような話は、山ほどあって日本にはいろんな箇所に河川があります。東京でも荒川、利根川、多摩川などがあり、何十年もかけて行ってきた防災投資が機能してきたという実績があります。ところが、公共事業というのは役に立ったとしても、報じられることはほとんどありません。
一方で機能が不十分だったところ、投資が不十分だったところへは、容赦なく洪水などの被害に見舞われました。
日本には財源問題は存在しませんから、本来ならば躊躇なく建設国債を財源に公共事業として発注すればいいだけの話です。
今回の台風19号では、多くの堤防が決壊したことから、機能が不十分で投資が不十分な個所を中心に、現在各地で応急的な復旧工事がすすめられています。
その復旧工事は、堤防のかさ上げに限らず、新たな強化策も検討されているようなのですが、例のごとく、費用が高くなる可能性があって財政面でのハードルが予想されると言われています。
しかしながら日本には財政面のハードルなど、もともと存在しません。
だいたい日本が自然災害で死にかけているのに、”財政問題のハードル”とか言っている人は何なのでしょうか?
例えば子どもが死にそうというときに、「今、お金が25万しかないから、お医者さん!25万で何とかして!もし25万で死んだら仕方がない!」とでもいうのでしょうか?
確かにデフレ放置で貧困化が進んでいる今日、そんな話があり得ないとは言い切れませんが、そもそも親としてどうなの?というのが普通の感覚ではないでしょうか?
家計の場合は、通貨発行権を持たないため、確かに家計はハードルがあります。
とはいえ、日本の国家に、政府に、財政面のハードルなど存在しません。
普通にお金を借りればいいだけの話であり、財政法第4条に則って粛々と建設国債を発行して、政府支出をすればいいだけの話です。
ところが安倍政権が財政の骨太の方針でプライマリーバランス黒字化目標を入れてしまった。そのプライマリーバランス規律があるから、財政面にハードルがあると言っているに過ぎません。
プライマリーバランス規律というのが、どれだけ不道徳な規律であるか?理解している日本人も少ないのも残念な話です。
私に言わせれば、プライマリーバランスを守ろうとする人は人殺しと同じなのですが、ほとんどの日本国民にそれが見えていないことも大変残念に思います。
仮にも政府が国民の命を守らないとするならば、政府は何のために存在するのでしょうか?
1998年7月24日に米国で初公開された戦争映画で、アカデミー賞を受賞したスピルバーグ最高傑作作品の「プライベートブライアン」、あるいはソマリアで発生した「モガディッシュの戦闘」を舞台にした戦争映画で2001年12月18日に米国で初公開された「ブラックホークタウン」。この2つの映画で象徴的なのは、一人の人間を救うために、人・モノ・カネを政府がどんどん投入するのが特徴的です。
そしてそのようにさんざんお金をかけるというのが政府ではないでしょうか?
公共事業にどんどんお金を使う結果、確かにゼネコン業界が潤いますが、ゼネコン業界の人らは消費を増やしますので、間違いなく他業界の皆さんも恩恵を受けることになります。
それに加えて大災害が発生したとしても、公共事業によって多くの人々の命と財産が守られることになるでしょう。
私は、公共事業の結果、国民の命を守ったこと、財産を守ったこと、こうした事実についてもマスメディアの人らは積極的に報道すべきであると思います。
というわけで今日は「役に立った公共事業がニュースに報じられることは、ほとんどありません」と題して論説しました。
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- 2019.11.01 Friday
- 日本経済(公共事業)
- 06:33
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- by 杉っ子