”ダメな自民党”と”もっとダメな野党”の議論といえる対韓国輸出管理強化問題について
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私は、かつてNHKの番組の「日曜討論」という番組が好きで、欠かさず見ていたのですが、今はほとんど見なくなりました。理由は、与野党ともに”わかっていない人”と”もっとわかっていない人”が討論しているというのがその理由です。
昨日も韓国への半導体材料の特別措置を辞めたことについて取り上げましたが、7/14のNHK番組の「日曜討論」でも、この問題が取り上げられたと報じた新聞記事を見つけたため、今回も昨日に続き、韓国向けの半導体材料の輸出規制に関する問題を取り上げ、「日本の国会議員が全く仕事をしていないこと」と「米国のトランプ政権だったらどうするであろうか?」について私見を述べたく、「”ダメな自民党”と”もっとダメな野党”の議論といえる対韓国輸出管理強化問題について」と題して、昨日とは別の角度から下記の順で論説します。
1.日本政府の対応は禁輸でもなければ規制強化にも該当せず!
2.韓国との間に問題が山積しているのに何もしない日本政府と、関税を使って問題を解決する米国政府と米国議会
3.立憲民主党、共産党、社民党の反論は論外
まずは、産経新聞の記事をご紹介します。
『産経新聞 2019/07/14 11:45 立民や共産、対韓輸出管理強化を批判 自民「正しい措置」と反論
与野党の幹部は14日のNHK番組で、政府が半導体材料の韓国向け輸出管理を強化したことをめぐり論戦を交わした。立憲民主党の福山哲郎幹事長は「(いわゆる徴用工問題など)政治的問題に通商的な対抗措置を取ったと国際社会から見られるのは国益上マイナスだ」と政府の対応を批判した。自民党の萩生田光一幹事長代行は「直接の報復措置ではなく安全保障の問題で、政府の措置は正しい」と応戦した。
共産党の小池晃書記局長も「政治的紛争の解決に貿易問題を使うのは禁じ手だ」と政府を批判し、社民党の吉川元(はじめ)幹事長は「ナショナリズムをあおることはやめるべきだ」と福山氏に同調した。
一方、日本維新の会の馬場伸幸幹事長は政府の対応を評価した上で「韓国大統領の国内での立ち位置が日韓関係に影響を与えている。大統領が代わらないと改善の見込みはない」と主張。公明党の斉藤鉄夫幹事長は「安全保障上の必要な措置」と指摘しつつ「大切な隣人とはしっかりと意見交換していく」と強調した。
萩生田氏は福山氏らの批判に対し「日韓の信頼関係が崩れているのは徴用工問題だけではなく、(元慰安婦を支援する)財団の解散を含め、日韓間で積み上げてきた約束事ができていないからだ」と反論した。
国民民主党の平野博文幹事長は「わが国の措置は必要な措置だが、報復措置的に捉えることだけは避けるべきだ」と述べた。』
1.日本政府の対応は禁輸でもなければ規制強化にも該当せず!
昨日も取り上げておりますが、この記事は、日本政府が7/1、韓国向けの半導体材料の輸出規制を強化すると発表し、日本政府は元徴用工の訴訟に関する対抗措置ではないと説明する一方、韓国政府がWTOのルールに反するとして、在韓国日本大使を呼び出して抗議するなど、強く反発している問題です。
この問題に対して、韓国に対する輸出規制と日本のマスコミは、「事実上の禁輸」であるかの如く、輸出規制と勇ましく報道しています。これに対して、日経ビジネスに元経済産業省で貿易管理の責任者で、現在は中部大学特任教授の細川昌彦氏が、7/3面白い解説をしていました。
その解説を要約すると下記のとおりです。
●この問題は、そもそも韓国に対して新たに輸出規制を発動するものではない
●韓国向けの半導体材料の輸出について2004年から特別な優遇措置が取られていた
●日本から韓国などの海外に輸出する際は、政府の許可が必要だが、その許可を取る手続きを簡素化する手続きがある
●韓国はその簡素化する手続きが取れる優遇措置の対象になっていた
●今回、韓国をその対象から外し、普通の手続きが必要という形に戻すだけのこと
細川昌彦氏によれば、この簡素化した手続きは3年間有効な「包括許可」と呼ばれるものでして、包括的な許可を韓国が一回とれさえすれば、3年間は簡単に輸出がスムーズにできるようになります。
本来ならば輸出の許可は、「個別許可」が必要なのですが、契約ごとに個別に許可を取るのが普通であり、今回韓国はその普通の手続きが必要になっただけの話です。
包括許可の簡略化は、特別に信頼できる相手国のみ認められているものであり、そうした対象国のことをホワイト国と呼びます。
韓国は2004年からホワイト国だったのですが、今回外れました。だからこれは禁輸でもなければ規制強化にも該当しません。
「特別扱いをしない」は規制強化とは言いません。これは明らかに安倍政権を”ヨイショ”したいマスコミのミスリードではないでしょうか?
2.韓国との間に問題が山積しているのに何もしない日本政府と、関税を使って問題を解決する米国政府と米国議会
そんな中、日経ビジネスの細川義彦氏の解説は、韓国の問題になると嫌韓感情に反応するマスコミが多いのと比べて、極めて冷静な解説であるといえます。
しかしそれ以上に問題なのは、韓国との間に問題が山積しているにもかかわらず、日本政府が何もしていないという不作為があることです。
韓国人の元徴用工の訴訟問題では、実際に大変な問題が起きており、韓国への強硬措置を求める声も上がっています。
具体的には、今回のような貿易に関して韓国に対して輸出を許可しないという方針にして事実上の禁輸措置を取るという厳しい手段もあるはずという声があります。
ところが日本政府の考え方としては、日本は法治国家であるため、政治的な道具として恣意的に法律を利用するのはいかがなものか?という意見になっています。
だとすれば、トランプ政権の報復関税はどう考えるべきなのでしょうか?
恣意的な政治道具として法律を使っているとしか言いようがありません。ですが、トランプ政権は関税を政治的な道具として使うことによって実際に問題を解決しています。
その一方で、日本は韓国との問題を解決しようと何もしておらず、もし米国だったらどうなるのか?ここに真の問題があると私は考えます。
米国の議会であれば、この状況に遭遇した場合、おそらく韓国のような相手国に対して、輸出不許可にする新たな法律を作るでしょう。何しろ、中国から台湾を守るために、2018年3月16日に台湾旅行法(Taiwan Travel Act)を制定しました。それだけではなく、ウイグル問題で中国の人権侵害を阻止するため、ウイグルで顔認証システムを製造している企業を割り出し、経済制裁をかけようと、議会が法律を制定する動きもあります。議会は法律を作るのが仕事であり、米国の場合は対中国に対して、与野党の共和党・民主党を問わず、超党派で作ります。
ところが日本の国会議員は法律を作るのが自分たちの仕事と思っていないのか?日本政府が動くのをただ待っているだけで、議員立法で通商政策について韓国へ厳しい措置を取るなどの法律を作ろうとする動きはありません。
また米国政府は、2019/07/01に米国通商代表部のUSTRがEUに対して、エアバス社に対し、フランス政府が補助金をたくさん出していると指摘し、これがWTO違反であるとして約40億円相当の貿易について追加関税を課す可能性を発表しています。
これがまさに今のトランプ政権のやり方です。フランス政府の輸出補助金を問題にしているのですが、そういう意味でWTOのルールの範囲内で、トランプ政権はEUに対して戦いを挑んでいます。
政府の補助金というならば、サムスン電子に対して巨額の補助金を出している点で、韓国政府も同じです。韓国は国家を上げて国家の保護のもとで、巨大企業を作り上げてきました。
その結果、日本の民間企業は多大な損害をずっと被ってきたにもかかわらず、政府は何もしません。
もし米国政府だったら、すぐにWTOへ提訴していたであろうし、米国議会だったら輸出不許可の法律を作っていたことでしょうし、米国政府が補助金で韓国政府を追い詰めることもあり得たでしょう。
日本も同じようなことを検討すべきではないでしょうか?
3.立憲民主党、共産党、社民党の反論は論外
米国議会は与野党問わず、仕事をします。それに比べて日本の議会は全くダメだと思います。ご紹介した産経新聞の記事では色を付けさせていただきましたが、野党の反論についてみていきたいと思います。
●立憲民主党の福山哲郎幹事長
(徴用工問題など)政治的問題に通商的な対抗措置を取ったと国際社会から見られるのは国益上マイナスだ!
杉っ子の解説⇒国益が何なのか?理解をしていないのではないでしょうか?
●共産党の小池晃書記局長
政治的紛争の解決に貿易問題を使うのは禁じ手だ!
杉っ子の解説⇒「禁じ手」という語彙を使って何か日本政府が悪いことをやっているかの如く印象操作をする言説です。普通に米国は貿易問題を紛争解決手段として使って、実際に問題を解決しています。
●社民党の吉川元幹事長
ナショナリズムを煽ることはやめるべきだ!
杉っ子の解説⇒優遇措置を辞めただけの話が、なぜナショナリズムを煽ることになるのか?意味不明です。
このようにNHKの日曜討論の内容は、本当にレベルが低い。ダメな奴とダメダメな奴とダメダメダメな奴らが集まって話し合っているようなもので、はっきりいって時間の無駄です。貴重な公の電波を使って、このようなレベルの低すぎる議論を報じているNHKもはっきりいってダメダメだと私は思います。
というわけで今日は「”ダメな自民党”と”もっとダメな野党”の議論といえる対韓国輸出管理強化問題について」と題して論説しました。
3連休のとき、JR新宿駅近辺で、参議院選挙の候補者の宣伝カーが「○○候補です。私に仕事をさせてください!」と北海道出身の維新の会から出馬している旧自民党の超ベテランの議員と遭遇しましたが、その議員が仕事をさせてあげられるくらい真剣に国益を考えているか?といわれると、超ベテラン議員といえども、私は甚だ疑問に思います。
当選回数に関係なく、真の国益を理解し、そのために行動できる人を私たちは選ばなければ、日本は亡国に突き進むものと改めて思うのです。
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- 2019.07.17 Wednesday
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- by 杉っ子