日本政府は韓国に対して、半導体材料の輸出を規制したのではなく、特別扱いを辞めただけです!
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今日は「日本政府は韓国に対して、半導体材料の輸出を規制したのではなく、特別扱いを辞めただけです!」と題して論説します。
下記はブルームバーグの記事です。
『2019/07/12 10:13 半導体材料の輸出規制で日韓会合、「予防的な措置」と経産省幹部
日韓両政府は12日午後、軍事転用も可能な半導体材料を対象とした日本の韓国への輸出規制を巡り、初の事務レベル会合を都内で開いた。経済産業省幹部によると、日本側は韓国の貿易管理体制がぜい弱だと指摘し、「予防的な措置」として実施したなどと説明。韓国側から撤回を求めるとの発言はなかったという。
元経産省貿易管理部長の細川昌彦中部大特任教授は日本側の措置について、「当然やるべきことをやった」と指摘する。韓国に輸出管理を教え、国際的な枠組みに韓国が参加できるよう国際社会に働き掛けたのは日本であり、こうした事態は「恩をあだで返されている」と話す。日本が韓国をホワイト国としたのは「緊密に意見交換をすることを前提」としたもので、今回その前提が「裏切られた」と指摘した。細川氏は1990年代から輸出管理分野を担当し、韓国側とも協議を行ってきた。
個別許可制
韓国側は日本の措置は不当な輸出制限措置であると批判。文在寅大統領は10日に開いた財閥トップらとの懇談会で、日本が政治的な目的で韓国経済に打撃を与える措置を取っているとの見解を示した。
細川氏は日本の対応は禁輸措置ではなく、「許可のスタンダードを変えたわけではない」ことから、資料提出などを円滑に行えば、韓国企業側に大きな打撃はないとの見方を示す。個別許可制は原則として審査には90日以内の時間を要するとしているが、実際には「平均で4−5週間」であり、「問題のない場合はもっと早い」とした。
日本側は措置発動の理由とする不適切事案の具体的内容については明らかにしていない。韓国の産業通商資源省は10日、15−19年に戦略物資の違法輸出を156件摘発したが、日本から輸入されたフッ化水素が他国に不正輸出された例はないと発表した。
細川氏は、輸出管理分野での不適切事案について「日本から韓国に輸出したものが韓国側で軍事用途に使われたか、韓国から第三国に流失したかのいずれか」であると指摘。韓国が発表した摘発数について「相場観からすると非常に多い」として、「その中に日本から輸出されたものが含まれていてもおかしくない」との認識を示した。』
上記の産経新聞の記事は、日本政府が韓国に対して、半導体材料の輸出を「包括許可」という優遇措置が受けられるホワイト国から外したとされるニュースです。
半導体材料の3品目(フッ化水素、フッ化ポリイミド、レジスト)の輸出に際して、今まで韓国はホワイト国と日本に認定され、一定期間を定めて包括的に輸出許可をもらっていました。しかしながら、今後は出荷ごとに日本政府への申請が必要となり、個別に審査をすることとなります。
一般的には、個別許可となると、審査に90日以上かかるといわれており、在庫が1カ月程度しかないとされる韓国の半導体メーカーの生産が滞る可能性があるという指摘があります。
とはいえ、私はこの日本のマスコミの報道には違和感を持ちます。日本のマスコミもそうですが、このブルームバーグでも「輸出規制」という言葉が使われています。ひょっとすると多くの日本国民が輸出規制を発動したと思いかねないのですが、実際は輸出規制を発動したのではなく、これまでの優遇措置を取りやめたというだけのことであって、規制を発動したわけではなく優遇を取りやめたという話です。
「優遇を取りやめた」ということについて、普通は規制を発動したとは言いません。日本語がおかしいのですが、おそらくマスコミが安倍政権を「ヨイショ!」して、規制を発動したと報じているのでしょう。
なぜならば「規制をした!」と報じれば、「韓国に対して厳しい対応をした!安倍政権は、すごいな!」となるわけです。
ところが実際は何もすごいことはしていません。普通の国と同じ扱いにしたというだけなので、規制しているわけではないのです。
確かに韓国にとって厳しい措置であることに違いありませんが、日本にとっては単に優遇措置を辞めただけに過ぎません。
韓国からは、日本政府の措置についてWTOの協定違反で訴えるとしていますが、安全保障上の重大な利益を保護するために各国は必要な措置がとれると定められており、安倍総理はWTOに反している措置ではないと主張しています。
仮にWTOに反している措置とするならば、優遇措置をしていない他国のすべての国から訴えられることとなり、韓国にとっては今までの優遇措置とは何なの?ということにならないでしょうか。
普通の状態がWTO違反という状況を主張すればするほど、今までの優遇措置を認めたことになるわけで、なんでこんな言い方をするのか?私には理解ができません。
にもかかわらず、康京和外相は、「徴用工問題に対する不合理で常識に反する報復措置だ!」と主張しており、なぜ優遇措置を辞めたというだけでそのような言われ方をされなければならないのか?腹立たしく思います。
その一方で、日本の経済界の中には貿易で影響を受ける可能性があると指摘する声があるのですが、こうした声は何が基本なのか?勘違いしているとしか言わざるを得ません。
安全に貿易できるのが当たり前というのは、普通に間違っています。輸出にしても輸入にしても、国家間では何が起きるかわからないのが常であり、戦争になったり契約上でもめることなど、普通に起こり得る話です。
「輸出入が普通にできるのが当たり前」という言説は、「何を甘えたこと言っているんだ!」という話であって、「普通に貿易ができる状況の方が、ありがたいと思っておけ!」ということです。
というわけで今日は「日本政府は韓国に対して、半導体材料の輸出を規制したのではなく、特別扱いを辞めただけです!」と題して論説しました。
例えば家族の場合、他人はどうなるのかわかりませんが、家族は仲良くしておこうとなります。何しろ何年も一緒に暮らしているわけですから、当然そうなります。そしてこれを経済で当てはめれば、外需に依存するのではなく、内需を大切にすることに他なりません。
韓国のこの問題に対して、マスコミの報道の仕方に問題があるとは思うものの、その一方で経済界の人々らに対しても「国家間の付き合い方の認識が甘い!」と指摘したいと、私は思うのです。
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- 2019.07.16 Tuesday
- 世界経済(中国・韓国など東アジア)
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- by 杉っ子