国際社会は香港問題について、英国と約束した一国二制度を、中国に守らせるべき!
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今日は「国際社会は香港問題について、英国と約束した一国二制度を、中国に守らせるべき!」と題して論説します。
昨日も香港のデモをテーマとして論説しました。中国共産党政府は、あらゆる手を使い、国際社会との約束を少しずつ変えて反故にしていこうと画策していることがわかります。
5年前、2014年に発生した20万人規模で発生した雨傘運動のデモでは、デモを鎮圧して、選挙制度を変えることができました。
しかしながら今回は、香港市民側が改めて反撃に出てきていて、キャリー・ラム氏の辞任に加え、行政長官の選挙制度を普通選挙にすることを要求しています。
香港の市民たちは、自分たちで投票して自分たちの大統領にあたる行政長官を選出したいと思っているわけですが、日本人からみれば、既に中国の一部になっている香港で、そんなことができるわけがないと思っている人が多いのではないでしょうか?
実は、香港の憲法にあたる香港基本法という法律があります。正式名称は「香港特別行政区基本法」で、前文と第1章〜第9章と3つの付属文書で構成されています。
そして行政長官を選出する選挙について、付属文書一に香港特別行政区行政長官の選出方法についての記載があり、それによれば、香港の行政長官は選挙委員会によって選出されます。
立候補するためには100名以上の選挙委員からの推薦を得て、有効投票数の過半数を得たものが当選というルールです。しかしながら立候補するためには、中国共産党政府の同意が必要となってしまっているため、投票権は親中派の団体にのみ、与えられる構造になっています。そのため、香港人が不満に思うのは至極当然であり、デモが何回も発生しているのは当然のことと言えるでしょう。
また行政長官だけでなく、日本の国会議員にあたる立法会議員というのがあるのですが、これは普通選挙と各種団体を通じた間接選挙で選ばれる2種類の議員がいます。英国から香港が返還された1997年、香港基本法では、2007年以降(実際には2008年実施予定の第4回立法会議員の選挙から)に普通選挙に移行できる可能性を示していたのですが、中国の全国人民代表大会が「2007年以降」というのを必ずしも2007年に普通選挙に移行する必要はないと解釈し、それ以降もずっと普通選挙に移行してきませんでした。
このように香港行政長官の選挙、立法会議員の選挙、いずれも普通選挙に移行することを示しておきながら、中国共産党政府が一向に移行しないことについても、香港市民のデモが起きている大きな理由の一つです。
そして中国共産党政府は、この香港基本法の明記されている「2007年以降は普通選挙にする」というのを守らなければならず、抵抗することはできません。中国共産党政府は、普通選挙にすることを最も恐れ、解釈で2007年からずっと先送りにしてきました。
そのため、普通選挙に移行する前に、行政長官を選ぶ選挙で、自分たちの都合のいいように変えたのが2014年の雨傘運動が起きたきっかけです。
中国共産党政府と香港市民との戦いで何が起きているか?といえば、香港基本法で明記されている香港行政長官選挙、立法会議員選挙を普通選挙に実現することができるか?という戦いを争っているのです。
香港市民がそれを実現するためには、香港市民単独の力では困難であり、米国や欧州などの国際社会の力が必要であると、香港市民らは認識していて、実際にそうしようとしています。
香港市民は国際社会の力を欲しており、日本の力も欲しいと思っていることでしょう。
日本がアジアの責任を持つ立場として、日本が何らかの形で共に香港を守る姿勢を強く打ちだしたら、香港の人たちにとってはとても心強いと思うでしょう。そういう姿勢を日本が香港に対して示せば、台湾の人々らも心強く思うはずです。
なぜならば台湾も香港と同じような状況だからです。
ところが日本政府は香港問題に積極的ではありません。
前回、香港市民のデモの真の目的は、香港行政長官選挙と立法会議員選挙を普通選挙にすることと申し上げましたが、これが実現することこそ、香港が真の意味で一国二制度の完成といえるでしょう。
英国から香港が中国に返還されたとき、一国二制度は約束されていたものであり、香港基本法に明記されています。ところが中国共産党政府は、その約束を履行していません。一国二制度が完成するのは、香港行政長官選挙の普通選挙と、立法会議員選挙の完全普通選挙への移行であり、中国は約束していることになっています。
今こそ、国際社会は中国に約束を履行するよう香港市民の側に立つべきではないか?と私は思うのです。
というわけで今日は「国際社会は香港問題について、英国と約束した一国二制度を、中国に守らせるべき!」と題して論説しました。
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- 2019.07.09 Tuesday
- 世界経済(中国・韓国など東アジア)
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- by 杉っ子