香港で起きているデモの本当の狙いとは?

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     今日は「香港で起きているデモの本当の狙いとは?」と題して論説します。

     

     まずはAFP通信とブルームバーグの記事をご紹介します。

     

     最初はAFP通信の記事です。

    『AFP通信 2017/07/02 13:09 香港行政長官、デモ隊の「暴力行使」批判 議会突入で

    【7月2日 AFP】中国・香港行政トップで親中派の林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官は2日、立法会(議会)に突入した覆面のデモ隊による「過度な暴力行使」を厳しく非難した。

     香港では、中国本土への容疑者引き渡しを可能とする「逃亡犯条例」に反対する大規模なデモが、過去3週間にわたって続けられてきた。

     そうした中、英国による中国への香港返還から22年を迎えた1日には、民主派による大規模なデモが実施され、参加者らが林鄭長官の辞任を平和的に要求した。しかし同日夜になり、デモ隊の中でも若者が多い強硬派が怒りを爆発させ、立法会議事堂に突入。市章にスプレーで落書きをしたり、英統治時代の香港旗を掲げて「香港は中国ではない」と殴り書きしたりしたが、2日未明、警察当局によって強制排除された。

     デモ隊による議会突入は、一連の抗議デモの対処を林鄭長官に任せてきた中国の習近平(Xi Jinping)国家主席に対し、前代未聞の挑戦を突きつける格好となった。

     林鄭長官は2日未明、香港警察トップの盧偉聡(Stephen Lo)警務処処長と共に行った記者会見で、破壊された現場について「悲しく、がくぜんとするような」光景だったと話し、「われわれは真剣にこの行為を非難しなければならない。なぜなら香港で何よりも順守すべきは法の支配だからだ」と続けた。また盧処長は「デモ参加者の暴力行為は、平和的な要求表現の一線をはるかに越えている」と述べた。

     2日、立法会は閉鎖され、警察が内部の損傷を検証した。建物の外では、片付けのために集まった作業員が捜査が終わるのを待っていた。

     一方、米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は1日、香港のデモの参加者らは「民主主義を求めている」と発言。新条例反対派を支持する姿勢を示し、「残念なことに、民主主義を望んでいない政府もある」と、中国を皮肉った。

     また英国のジェレミー・ハント(Jeremy Hunt)外相は、英政府は香港とその「揺るぎない自由」を支持すると表明。同時にデモの参加者らに自制を求めた。

     

     

     次にブルームバーグの記事です。

    『ブルームバーグ 2017/07/06 00:16 香港の学生、行政長官との会合拒否−混乱収拾めど立たず

     香港の学生らは林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官と会合を持つことを拒否した。大規模な抗議デモの再発を避けたい香港当局が、またもつまずいた形だ。

     香港科技大学の学生リーダーらは、林鄭行政長官との非公開会合への参加を要請されたが拒否したことを明らかにした。非公開での会合に関心はなく、同長官が自分たちの要求に応じるまで話し合いの席には着かないとしている。この学生らは最近のデモに関わった他の複数のグループと同様に、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の完全撤回、および行政長官を直接選挙で選べるよう制度改革を要求している。
     林鄭行政長官側は「多様なバックグラウンドを持った若者たち」との会合を模索していたことを認め、学生らに決定の再考を促した。同長官側はブルームバーグに対し、こうした会合は「小規模かつ非公開で行われる」だろうと電子メールで回答した。』
     上記の2つの記事、AFP通信とブルームバーグの記事をご紹介しました。
     香港のデモについては、テレビやインターネットを通じ、大変なことが起きていると思われている日本人の方も多いと存じます。しかしながら香港の人々の本当の想いと、日本人の私たちが理解できるレベルでは、大きな温度差があると思ったため、この話題をテーマに取り上げました。
     この香港のデモについて、Jimmy Lai(以下「ジミー・ライ」)氏という香港の有名な企業家でかつ民主運動の中心的支援者がいるのですが、ニューヨークタイムズの論説で次のように論説しています。
     その論説によれば、中国共産党政府は、香港のデモを単なる市民デモでなく、中国共産党政府に対する市民の一斉射撃であるとみているとのこと。一斉射撃で使っている武器とは何か?といえば、Moralforceといっておりまして、和訳すれば「精神の力」「道徳の力」などとなるかと。そして中国共産党政府は、「精神の力」を最も恐れているとのこと。
     中国共産党政府はローマ法王やダライ・ラマを正式に招待することがないのが、その証左であるとし、そのような宗教的指導者が中国共産党の隣に立つと、自分たちが比較されてモラルがないことがばれてしまうからだと述べています。そして「精神の力」がないことが中国共産党の最大の弱点であるとも、ジミー・ライ氏は述べています。
     香港で発生している激しいデモは、いったい何が目的で起きているのでしょうか?
     表面的には「逃亡犯条例改正案の関税撤回」というのが目立っていますが、本当の目的は、香港の行政長官のキャリー・ラム氏を変えるです。
     キャリー・ラム氏の前は、Leung Chun-ying(以下「リョウ・シンエイ」)という方なのですが、現在の行政長官と比較した場合、キャリー・ラム氏の邪悪さが際立つとしています。
     なぜならば、キャリー・ラムが香港の行政長官になった選挙は、中国共産党政府によって新しく変えられた選挙制度で選ばれた初の行政長官であり、キャリー・ラムが選ばれた選挙から、選挙制度が変わったのです。
     キャリー・ラムはブルームバーグの記事に記載の通り、デモ活動の中心的な大学生らに対して、対話をしようと声をかけ続けてきましたが、大学生グループはキャリー・ラム氏との非公開協議を拒否しました。
     大学生グループが要求しているのは、逃亡犯防止条例の完全なる撤回とキャリー・ラム氏の辞任です。彼らもジミー・ライ氏と同様にキャリー・ラム氏が邪悪な人物に見えているのです。
     なぜなのか?一体香港の何が問題なのでしょうか?
     それは行政長官を選ぶ選挙制度が問題なのです。
     5年前にも20万人規模のデモ運動の雨傘運動で香港の学生たちが立ち上がりました。それは香港の行政長官を選ぶ選挙制度が北京政府に捻じ曲げられるような改正案が出てきたからです。
     それまでは曲がりなりにも、香港市民の意向が入る形での選挙が行われましたが、ちょうど5年前に、中国共産党政府によって香港政府が出してきた行政長官選挙制度改正案というのが出てきて、行政長官に立候補できるのは、北京政府に許可を得た人しか立候補ができないという形になってしまったのです。
     そのため、候補者の段階で、香港のためを考えている人は立候補できず、中国共産党政府の意向を受けた人しか立候補ができなくなってしまいました。
     それに反対して抵抗したのが、香港の当時の学生たちが行った20万人規模のデモ運動である雨傘運動。ところが雨傘運動は敗れ去り、香港の選挙制度が変えられてしまい、その選挙制度で選ばれたのが、初の女性行政長官のキャリー・ラム氏です。
     いわば中国共産党政府によって作られた傀儡政権であるといえるのです。
     そこで逃亡犯条例改正をきっかけとして、今回、香港市民が要求しているのは、キャリー・ラム氏の辞任であり、行政長官を選ぶ選挙を普通の選挙制度にするということ、即ち普通選挙の実現を目指してデモをやっているのです。
     というわけで今日は「香港で起きているデモの本当の狙いとは?」と題して論説しました。

     

     

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