年金への根強い不信を露呈した老後2000万円不足問題
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今日は、老後2000万円不足問題について取り上げ、「年金への根強い不信を露呈した老後2000万円不足問題」と題して論説します。
この問題は、夫婦の老後年金とし年金以外に2000万円の蓄えが必要とした金融庁の報告書について、麻生太郎大臣が正式な報告書として受取を拒否したという問題で、夏の参議院選挙のダメージを回避するため、麻生大臣が報告書を事実上撤回することで、沈静化を図ったのでは?と報じられている問題です。野党側は、消えた報告書などとして安倍政権への批判を強めています。
金融庁が金融審議会でまとめた報告書によれば、夫が65歳以上、妻が60歳以上の無職世帯が年金に頼って暮らす場合、毎年5万円の赤字が出ると試算し、その後30年生きるには2000万円が不足すると試算しました。
あくまでも2000万円は平均値としていますが、普通の人が「2000万円貯金をしていなければ老後は生きていけないということなの?」と思っても仕方がない話です。
男性95歳、女性は90歳という試算ですが、国家が100年安心年金制度といっておきながら、実は制度が不十分で日本政府は2000万円支払えません!という話でもあります。
100歳生きても大丈夫という話が、60歳以上は生きることはできませんと言いたいのでしょうか?
この報告書を麻生大臣が受け取らなかったとしても、多くの国民は、「本当は60歳以上は生きていけないんでしょ?」と誰もが思うでしょう。
なぜこんな試算が出たのか?私の推測ですが、財務省が増税したいための論理として、この報告書を作成したのではないでしょうか?なぜならば金融庁は財務省の傘下の組織です。
毎月5万円不足する状況だから、消費増税で国民から広く安定的に集めて補填すれば、社会保障が充実して国民が生きていけるというシナリオがあり、それを財務省の職員が情宣したいためだったのでは?と私は疑っています。
要は、消費増税をやらなければ2000万円を自分で貯めなければならないが、消費増税をすれば2000万円自分で貯める必要はなくなるということでしょう。
この事件で多くの日本人が、「もっと貯金しなくては!」とか「もっと投資するために毎月の給料から投資信託を買うお金を捻出するために節約しなくては!」となって、貯金や節約をした分、消費減少=生産減少=所得減少となって、経済成長を抑制します。即ちデフレが促進されることになるでしょう。
もちろん金融庁は「貯金から証券へ!」と株式や投資信託の購入を促すため、資産運用を早めにした方がよいというメッセージでもあるという声もあります。
私こと、杉っ子は株式投資を長年やっていますが、国民が株式投資をしなければならないというのは、全くおかしな話です。普通に働き、働いたお金をちゃんと稼いで老後も安心して暮らせるというのが普通の社会です。何が言いたいかといえば、「年金が不足するから自助努力で資産運用してください!」というのは、全くをもって無責任なこと。
しかも消費増税をやるとなれば、GDPの伸びは抑制され、株式市場にも悪影響が出る可能性は大きいのです。既にトランプ政権が積極財政をやって米国の経済は絶好調であり、地に足が付いて株価が上昇する一方、日本の株式市場は残念ながら日経平均で23000円を超えることができずにいます。
GDPは会計学的には粗利益に相当するものであり、GDPが成長しない以上、株価が上昇したとしても、それは別の要因で一時的な要因での上昇といえます。
実際に東京の株式市場の売買の主体は、日銀が買い支えているにすぎず、買い手は不在の状況です。
この状況で日本株や投資信託に投資をしたとしても、運用はうまくいかないことが多いでしょう。仮に米国株などの外国株を買うにしても、消費増税と緊縮財政によって、超円高になるシナリオがあります。円高となれば外貨建て資産は価値が目減りします。
既に円高基調になっているにもかかわらず、負債を増やす国債増刷をやらないため、日銀が金融緩和をできなくなるXデーも近づいているのです。
負債を増やす国債増刷さえやれば、金融緩和が継続できるので、円高を回避できます。しかしながら負債を増やせば「将来世代にツケを残すのか?」と多くの国民が反対するでしょう。
結局国債増刷ができるのに国債増刷をせず、金融緩和ができなくなって円高になっているのを日銀がただ見守っている状況となる可能性が高く、消費増税で消費が減り、米中貿易戦争でスロートレードが加速する以上、株価が下落・暴落するシナリオこそあれど、上昇するシナリオは全くないというのが私の見解です。
というわけで今日は「年金への根強い不信を露呈した老後2000万円不足問題」と題して論説しました。
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- 2019.07.02 Tuesday
- 日本経済(デフレインフレ)
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- by 杉っ子