中国共産党によって人権と民主主義が脅かされている香港を支援する米国と何もしない日本

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     今日は「中国共産党によって人権と民主主義が脅かされている香港を支援する米国と何もしない日本」と題して論説します。

     

     下記は時事通信のニュースです。

    『時事通信 2019/06/16 「完全撤回」求め再びデモ=逃亡犯条例改正、規模は縮小−香港

    【香港時事】香港で身柄を拘束した容疑者の中国本土への移送を可能にする「逃例」改正に関して、反対派の民主派団体が16日、香港で大規模デモを行った。香港政府は改正の無期限延期を決めたが、デモではあくまで「完全撤回」を主張。参加者数は未発表だが、9日の100万人デモからは大幅に縮小したとみられる。
     午後3時(日本時間同4時)に始まったデモでは、香港島中心部の公園から立法会(議会)前までの約4キロを「延期ではなく撤廃を」などと叫びながら行進。香港政府トップの林鄭月娥行政長官の辞任と、12日の大規模な抗議行動で警察が催涙弾などの武力を行使したことへの憤りも併せて訴えた。
     参加者の多くが黒い服を着用し、政府や警察への「怒り」を表現。友人と参加した女子学生(17)は「同じ学生に暴力を振るった警察が許せない。改正案も、完全撤廃されるまではまたいつ審議が始まるか分からず、今の状態では納得できない」と話した。』

     

     

     上記の記事は、前回も取り上げた”逃亡犯条例改正案”についての続報です。中国寄りの香港政府が、無期限延期としたものを、完全撤回を求めて再びデモが発生したと報じています。

     

     前回のデモでは103万人もの人が参加したと報じられましたが、今回は規模が縮小したとのこと。この”逃亡犯条例改正案”を起案した人は、林鄭月娥(キャリー・ラム)氏という方で、香港初の女性の行政長官です。林鄭月娥氏は、中国政府の後押しを受けて当選し、行政長官に就任しました。因みに今年2019年4月8日には、安倍総理とも表敬訪問で来日しています。

     

     この”逃亡犯条例改正案”のきっかけとして、香港人の男性が、恋人だった台湾人女性を殺害し、犯人の香港人男性が香港に逃げてしまった事件がきっかけであることを、前回ご説明させていただきました。そして、犯人引き渡し条例が香港と台湾で締結されていないため、台湾警察が逃げてしまった香港人男性を逮捕したくてもできないという状況になっていたということもお話しさせていただきました。

     

     林鄭月娥氏は「このままでは香港が世界の犯罪者の逃げ場になってしまう!香港をそんな街にしたくない!」と言い張って、103万人の反対デモがあっても関係なく”逃亡犯条例改正案”の成立をやり抜くと言っていました。

     

     しかしながら、デモ活動によって”逃亡犯条例改正案”の審議は、無期限延期となりました。

     

     ところが、香港の人々は無期限延期では納得せず、完全撤回を求めて再びデモ活動を再開したというのが今回のニュースです。

     

     この香港の状況に対して他国の反応はといえば、米国のポンペオ米国務長官は民主派リーダーと会談して条例改正に懸念を表明し、英国とカナダ政府は共同声明で反対を表明しました。EUも林鄭月娥氏に対して、懸念を申し入れしています。

     

     一方で日本はどうか?といえば、何もしていません。

     

     米国は香港に対して一番激しく動いているにとどまらず、台湾に対しても動いています。

     

     具体的には、香港の民主主義と言論の自由を守るため、そして台湾の独立を守るため、2019年3月25日に米国議会は、超党派で中国を監視する「危機委員会」というものを設立しました。

     

     米国では、浸透国策を行う中国共産党政権の戦略に対して、より強力な外交、防衛、経済措置を取らないと米国の存在の根幹を脅かすと宣言してしまうほど、米国の対中国に対する嫌悪感は増しているものと思われます。

     

     そして、この委員会では、次のような発言がなされています。

     

    一、通信機器大手・ファーウェイ(HUAWEI)による5G通信技術の拡大を通じた中国によるインターネットの占拠を見逃してはいけない。

    一、米国の国防省や大学、ハイテク企業は、中国政府の代理人による何らかの浸透工作を受けている。例えば、中国から派遣された研究員は、米国の技術を入手することに注力している。

    一、中国共産党は、すでに冷戦を始めている。号砲などはない。すでに(冷戦は)始まっており、米国社会に工作は浸透している。米国は立ち上がって戦わなければならない。

    一、中国共産党による実際的な脅威は、最終的に、全世界を支配する野心的な計画の一つだ。

    一、過去のソビエト連邦と同様に、共産主義の中国は、米国と自由主義に対するイデオロギーの脅威がある。我々は、最終的に共産主義体制の性格から生じるこれらの問題に対処しなければならない。

    一、中国は、古代中国の戦略家・孫子の理論に基づいて、大きな紛争を発生させることなく、米国を敗北させようとしている。

    一、中国の核兵器は、新型ミサイル、爆撃機、潜水艦など急速に最新化している。中国の核兵器は「地下の万里の長城」と呼ばれる長さ3万6000キロのトンネル複合施設に建設され、保管されている。実際の兵器庫内の弾頭数はわかっていない。

     

     

     以上の発言から、この委員会は、中国の脅威を政府の政策策定者と米国国民に認識させることを目的とし、中国を監視・調査しているのです。

     

     また、2015年には香港にある書店の「銅鑼湾書店(どらわんしょてん)」の店主が何者かに誘拐されたという事件が発生しました。この書店は、習近平に批判的な本が置かれていたため、反政府分子として中国の特殊部隊によって誘拐されたとされる事件です。

     

     この店主は林栄基氏という方ですが、中国当局に身柄を拘束された後、釈放されました。

     

     釈放された林栄基氏氏は、もし「逃亡犯条例」が香港議会で成立してしまえば、再び中国に送還される恐れがあるとして、2019/04/25に台湾に亡命しています。

     

     この事件で米国は、自由と民主主義が守られているはずの一国二制度で、中国と違って香港は自由で民主主義のはずなのに、どうもそうでなくなってきていると考え、米国政府、特に米国議会が動き、中国を監視するための委員会を作って、香港の自由と民主主義が中国共産党政府によって奪われていないだろうか?という調査をしています。

     

     さらに委員会は、香港人権民主主義法という法律まで作ろうとしています。

     

     この法律の趣旨は、香港において香港の人権と民主主義が守られていること自体が香港・米国両国の国益に叶うとして、米国が香港のためにもっと強力にコミットしろ!というものです。

     

     そこまでして香港の人権と民主主義を守ろうと激しく動く米国に比べ、日本はどうかといえば、日本は何もしていません。

     

     私は、香港のために日本は米国よりも激しく動くべきでは?と思います。なぜならば香港には外資系企業がたくさんありますが、一番数が多いのは日系企業で、次に多いのは米国企業であって、一番多いのは日系企業なのです。

     

    <在香港外国企業数(国・類別、2017年)>

    (出典:みずほ銀行 香港特別行政区投資環境資料 2018年9月 より)

     

     

     上記の通り、在香港海外企業数は日本が一番多い。そのため、香港には日本人関係者がたくさんいます。

     

     香港在留の日本人、ビジネスマン、ジャーナリスト、観光客、出張している人など、このような日本人が香港に数多くいる一方で、仮にも”逃亡犯改正条例案”がいつの日か可決されるとなれば、そうした日本人の身の安全が危うくなります。

     

     本来ならば、日本も米国と同じことができるはずなのに、日本の国会は何もしていないというのが現状です。

     

     

     というわけで今日は「中国共産党によって人権と民主主義が脅かされている香港を支援する米国と何もしない日本」と題して論説しました。

     米国の議会は委員会を作り、香港の人権民主主義法という法律を作って香港のために米国が動くということを法律で表明している一方、日本は何もしていません。

     台湾に対しても、台湾旅行法を成立させ、台湾を国家として認めた米国ですが、日本は台湾に対しても中国から守ろうという動きを全くしていません。

     日本はアジアの中で何をしているのか?と、経済分野だけでなく国家の安全保障に対しても、その存在価値を問われるようになってしまうものとと、私は現況を憂うばかりです。

     日本の国会議員も、中国に毒されていない議員らが超党派で立法するなどして、香港と台湾を中国から守って欲しいと、私は強く思います。

     

     

    〜関連記事〜

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