増税して政府の財政を健全化させることは憲法13条違反です!

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     今日は「増税して政府の財政を健全化させることは憲法13条違反です!」と題して論説します。


     よく憲法の議論をするとき、憲法9条については耳にされることも多いかと思います。憲法13条とは、どのような内容か?と言いますと、下記のとおりです。

     

    『憲法第13条 個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重

    すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする。』

     

     端的にいえば、政府は国民の幸福を実現する最大の手助けをしなければならないということです。そのため、立法行為によって政府が国民の幸福を毀損したらダメということになり、即ち憲法13条違反ということになります。

     

     例えば財務省はプライマリーバランス黒字化を掲げています。各省庁は設置法という法律に基づき、設置されていますが、財務省も財務省設置法という法律に基づいて存在します。財務省設置法では、健全な財政の確保に基づくという趣旨が書かれており、健全な財政とは政府の財政を指します。

     

     とはいえ、日本国家は政府だけが存在するのではありません。政府と民間が一緒になってできた国です。したがって政府の財政が豊かになったとしても、国民の財布が豊かでなければ、国民の幸福は毀損しているといえます。要は増税をたくさんやれば、政府の財政が健全化されるかもしれませんが、国民の財布が空っぽになって貧乏になって不幸になってしまいます。

     

     

    <財務省設置法における任務と所掌事務>

    (出典:財務省のホームページ)

     

     

     上記は財務省ホームページに記載されているものです。

     

     「適正かつ公平な課税の実現」でいう公平の定義は何か?とか、いろいろ突っ込みどころはあります。国民の幸福に資すると捉えることもできるでしょうし、公平の定義によっては、却って国民の幸福を毀損することもあり得るでしょう。「税関業務の運営」や「国庫の適正な管理」ほか、任務の記載がありますが、これらは国民の幸福ではなく、国民の幸福につながらないようなものもあります。

     

     その筆頭ともいえるのが「健全な財政の確保」です。私は、財務省設置法にある「健全な財政の確保」というのは憲法13条に抵触しているといえると考えます。

     

     他の省庁においても、国交省設置法、厚労省設置法、文科省設置法・・・とありますが、厚労省設置法は、国民の労働や福祉を保障するということで、国民の幸福につながります。国交省設置法にしても、国民生活がちゃんとできるように国土や交通網を整備しましょうということで、国民の幸福につながります。

     

     国土交通省でいえば、「国民が不幸になろうがならなかろうが、とにかく道路を作りまくる!」とはなっていません。国民の幸せのために道路を作ります。

     

     農林水産省も「国民の生活なんてどうでもよくて、とにかく農業を発展させるんだ!」ではないですし、「東京都のコンクリートを全部はがして農地にしてやるぞ!」とはなりません。

     

     ところが財務省の場合、「健全な財政の確保」という文言は、「国民の生活なんてどうでもよくて、とにかく財政の健全化をするんだ!」ということです。

     

     よくある言説で、消費増税反対論者に対して、わがままだとか、とにかく消費税を欧米並みにしなければならないとか、これらの言説は、国民の生活を考えているとは言い難く思います。とにかくカネカネカネで、国民のために金を使うのは悪、国民のために政府支出を増やすのは悪、国民のために円建て国債を発行するのは悪、ということであり、こうした言説は明確に憲法13条違反といえるのではないでしょうか。

     

     その大前提として政府の負債というものを間違って国民に伝えているマスコミや経済学者、経済評論家、エコノミスト、不勉強な国会議員ら、彼らを責めたくもありますが、記者クラブを使ってそうしたウソの情報をマスコミに垂れ流し、そこに加担する経済学者がいるというのは、少なくても財務省設置法第3条でいう「健全な財政の確保」という文言があるからとしか考えられません。

     

     一方で憲法13条によって、政府は国民の幸福を守る義務を負っています。プライマリーバランス黒字化の問題は、政府の財政の赤字を失くすという目標であり、2020年までに財政の収支を黒字化しましょう!赤字化を回避しましょう!予算を削減しましょう!増税しましょう!ということで、こうした考えのもと、政府は機械的に消費増税を敢行し、機械的に支出削減をやってきました。

     

     その結果、大不況となって賃金は伸び悩み、貧困化が進み、格差が拡大している状況は、憲法13条違反になっているといえるでしょう。

     

     そう考えますと、プライマリーバランス黒字化目標達成に向けた行政そのものが憲法13条違反です。

     

     したがって私は、プライマリーバランス黒字化を緩和するか?撤回するか?事実上反故にすべきだと思います。なぜならばプライマリーバランス黒字化目標を達成するよりも、国民の幸福を達成することの方が大事だからですし、憲法13条にもそう謳われているからです。

     

     しかしながら現実の日本は、プライマリーバランス黒字化目標があるために、その目標にピッタリ沿う形で、財政支出が調整・操作されています。

     

     そのため、増税で経済が悪くなって自殺者が増えたとしても、財務省は「そんなの関係ねー!」とばかりに、「健全な財政の確保」という財務省設置法第3条に基づいて、増税や支出削減をやります。財務省職員が順守しようとしている財務省設置法は、国民の幸福に目を向けない反社会的な法律です。

     

     財務省の前は大蔵省だったわけですが、大蔵省もそうした考え方を引き継いでいる可能性があります。以前、財政法第4条について記事を書いたことがあります。

     

     この財政法第4条は、作家の佐藤健志氏によれば、GHQによって、日本が再軍備しないように作られた法律だとしています。

     

     財政法第4条には次のように書かれています。

    財政法第4条
     1.国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
     2.前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。
     3.第1項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。

    (出典:杉っ子の独り言「財政法第4条について(公共事業の費用は国債発行して何ら問題なし!)」から抜粋)

     

     佐藤健志氏は、上記の青字で書いてある部分が、問題だと指摘しています。この財政法第4条が問題と思えるのは、「1.国の歳出は公債または借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」という”くだり”です。

     

     憲法第85条では、「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする」とありますので、公共事業で国債を発行することは何ら問題がないのですが、「1.国の歳出は公債または借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」という”くだり”によって、借入金を禁止しているのです。

     

     これは憲法9条を守るためにあるものとも言われています。戦争するためには「国債発行」が必要です。1689年に勃発した第2次100年戦争において、英国が戦況を有利に進めた理由の一つとして、1694年にイングランド銀行という中央銀行を設立し、英国ポンドを発行しまくったからともいわれています。通貨発行するのに国債を発行して借り入れを増やしてでも軍事力を強化し、敵と戦わなければならないのが戦争というものだからです。

     

     例えば中国と日本とで戦争が始まったとして、「中国共産党の政府さん!今、お金がないから攻めるのを待って欲しいんだけど・・・!」といったところで中国共産党政府は、「そんなの関係ねー!」で待ってくれません。国債を発行してでも資金を調達して戦争に勝ち抜かなければ、日本は中国に蹂躙されてしまうだけです。

     

     「国債発行ができなければ戦争計画ができない、戦争遂行できない」ということで、戦争放棄のために憲法9条を守るために財政法第4条があると言われているのは、佐藤健志氏が述べられていました。

     

     こうして考えますと、財務省設置法や財政法第4条は、憲法13条と不整合となっており、国会で議論していただきたいと私は思います。憲法13条があるにもかかわらず、財務省設置法や財政法第4条がある理由で、プライマリーバランス黒字化目標行政が遂行されてしまっては、国民が幸福になれないからです。

     

     

     というわけで今日は「増税して政府の財政を健全化させることは憲法13条違反です!」と題して論説しました。

     財政法第4条をどう変えるか?アイデアが思いつきませんが、財務省設置法の場合ならば、他の省庁と同じように「国民の幸福のために」などという文言を一句加えるだけでもニュアンスが変わります。

     今の財務省は、プライマリーバランス黒字化目標にこだわるものの、債務対GDP比率にはこだわりません。債務対GDP比率で国家の財政を考えるのは世界標準であり、GDPは国民の幸せを指すともいえます。ところが債務対GDP比率にこだわらないという思考は、国民の幸福など考える必要がなく、財務省設置法に基づく財務省設置の意義だけを考えればよいとする考え方であり、極めて問題であると私は思うのです。

     

     

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