政府の黒字は国民の赤字、政府の赤字は国民の黒字です!
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今日は「政府の黒字は国民の赤字、政府の赤字は国民の黒字です!」と題して論説します。
下記は産経新聞の記事です。
『産経新聞 2019/01/31 08:47 PB黒字化見通し、1年前倒し 経財諮問会議、中長期試算を提示
政府は30日の経済財政諮問会議で、経済財政に関する中長期試算を公表し、2025年度を目標とする基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化時期について、従来試算の27年度から26年度へ1年前倒しするとの見方を示した。社会保障費抑制など歳出改革の効果や最近の税収上積みが反映された。
試算によると、高成長ケースでは、消費税増税対策の影響により、昨年7月の従来試算で8兆9000億円と見込んでいた20年度のPB赤字が10兆1000億円に拡大。21年度以降は歳出改革の効果などで従来試算よりも財政状況は改善するとした。昨年6月の新財政健全化計画で設定された21年度の中間指標(1)国内総生産(GDP)比のPB赤字を1.5%程度(2)財政収支の赤字を3%以下(3)債務残高を180%台前半−はいずれも達成するとしている。
経済面では、従来試算に比べ足元の潜在成長率や物価上昇ペースが鈍化する一方、消費増税対策の効果で20年度の実質成長率が従来の1.4%から1.6%に上方修正。21年度は消費増税対策の終了で一時的に低下するが従来と同様に23年度には実質成長率2%を達成するとした。
名目成長率は従来は21年度に3%に達するとしていたが、1年後ずれして22年度になるとしたほか、名目GDP600兆円の達成時期も22年度と1年ずれ込むとしている。消費者物価上昇率の見通しは、22年度としていた2%の達成時期を23年度に後ずれさせた。』
産経新聞のこの記事ですが、もうめちゃくちゃすぎて突っ込みどころが多い記事です。
この記事はプライマリーバランスを黒字化にすることが良いことであり、目指すべき財政政策であるという前提で、記事が書かれています。すべてのフレーズが家計簿発想で、しかも財政収支の赤字が3%以下という、EUのマーストリヒト条約にもある「財政赤字対GDP比率3%以下」と同じ発想です。
財政収支の赤字が3%以下に納めなければならない、抑制しなければならないというのは、なぜなのでしょうか?また3%以下の3%とは、具体的にどのような学術的な根拠があるのでしょうか?
おそらく、エコノミスト、アナリスト、財政に詳しいとされる有識者ら、答えられないでしょう。そんな言説がマスコミを通じて垂れ流され、通説としてまかり通っているのです。
標題にも記載の通り、プライマリーバランス黒字は、国民が赤字になるということであり、景気が悪くなって国民が貧困化するということです。逆にプライマリーバランス赤字は、国民が黒字になるということであり、景気が良くなって国民が豊かになるということになります。
未だ日本はデフレ脱却できていない状況で、プライマリーバランスを改善するということは、お金を使わないということ、即ち緊縮財政をするということに他なりません。お金を使わない=支出削減ですが、これはGDP3面等価の原則で、支出削減=生産削減=所得削減 となるのでデフレ促進策です。要は緊縮した分だけ経済成長が抑制され、下手すれば経済成長がマイナスになってしまうということでもあります。
このような記事で、多くの人が誤解しがちと思いますが、プライマリーバランスが改善されるということは、完全に日本にとっては悪い話です。プライマリーバランスが黒字になるということは、日本人の暮らしがダメになり、かつデフレ脱却から遠のくということなのです。
仮にプライマリーバランスが赤字幅が拡大したとなれば、日本国民は黒字となって豊かになるため、いいニュースとなるのですが、この産経新聞の記事は完全に真逆に報じています。
こうした記事は産経新聞に限らず、新聞だけでなくテレビニュースも同様に、もうめちゃくちゃです。
というわけで今日は「政府の黒字は国民の赤字、政府の赤字は国民の黒字です!」と題して論説しました。
カナダのトルドー首相は、財政赤字1%拡大目標を掲げています。財政収支が赤字になることは、いいことだということを分かっていてやっているのです。
日本もそうした知識・見聞をもって、財政運営をしていただきたいと私は思います。
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