日本における科学技術の衰退(このままだとノーベル賞受賞者が出なくなります!)

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     今日は、「日本における科学技術の衰退(このままだとノーベル賞受賞者が出なくなります!)」と題して論説します。

     

     人口当たりの修士・博士号の取得者について、近年主要国だけ、日本が減少しているのをご存知でしょうか?

     下表は、主要国における博士号・修士号の取得者数の2008年と2014年の比較です。

    (出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所、「科学技術指標2018」を基に、杉っ子が加工・作成。)

     

     

     上記の通り、近年主要国では、日本だけが減少しています。日本の研究論文の質、量も低下していることも問題になっているのですが、大学院に進む若者の数でも一人負けの状態であり、研究力の衰退を示す結果が出ているといえるでしょう。

     

     今、大学はボロボロになっています。なぜならば、研究費が大幅に削減されているからです。

     

     その結果、ポジションも削減される一方で「改革しろ!」の掛け声のもと、研究に充てるべき大切な時間を、「改革」の対応のために時間が割かれてしまっているのです。

     

     

     毎日新聞の記事をご紹介します。

    『毎日新聞 2018/08/22 19:49 日本だけ減少…研究力衰退あらわ 7カ国調査

     人口当たりの修士・博士号取得者が近年、主要国で日本だけ減ったことが、文部科学省科学技術・学術政策研究所の調査で判明した。日本の研究論文の質や量の低下が問題になっているが、大学院に進む若者の数でも「独り負け」で、研究力の衰退を示す結果といえる。

     比較可能な日米英独仏中韓の7カ国で修士・博士号の人口100万人当たり取得者数を、2014〜17年度と08年度で比べた。

     その結果、最新の修士号の取得者数は、中国が08年度比1.55倍の350人▽フランスが1.27倍の1976人−−などで、日本以外で増加。日本だけが08年度比0.97倍の570人と微減だった。

     博士号も同じ傾向で、韓国は1.46倍の279人▽英国は1.23倍の353人−−などと増える中、日本だけが0.90倍の118人と減った。内訳が明らかでない中国を除く6カ国で自然科学で比較しても、日本だけが修士・博士号取得者は横ばい、または減少していた。

     研究所によると、日本の取得者は自然科学に偏るが、他国では特に修士で人文・社会科学の取得者が多く、全体の取得者数に影響しているという。

     日本の博士号取得者は、06年度をピークに減少に転じた。取得後も多くが雇用が不安定な任期付き研究員にならざるを得ず、敬遠されたことも背景にあるとみられている。【酒造唯】』

     

     

     記事に記載の通り、2006年をピークに減少し、2008年との比較で一人負けとのこと。博士号を取得しても、多くが雇用が不安定な任期付き研究員にならざるを得ず、敬遠されていることが背景と報道されています。

     

     要は、博士号を取得しても、多くが派遣社員などの短期雇用者として就業するということ。これ、不安定な雇用ばかりでは、博士号を取ろうとする人など、減少して当たり前です。

     

     安倍政権は雇用が回復したと述べていますが、不安定な雇用が増えているというのが実態であり、こうした研究の職場においても不安定な雇用が多いということの現れです。

     

     なぜ、不安定な雇用形態なのか?といえば、緊縮財政をやっているからです。科学技術予算を増やしていないからです。それどころか緊縮財政で「無駄を削減しろ!」とやっているわけですから、こうした結果になったのは、もはや必然といえるでしょう。

     

     お金を削減するだけではありません。大学として十分な研究費を割り当ててもらえるようにするために、文理融合をやれということで分離融合学部を作ることを指示されます。本当は、作りたくもないのに、そうした学部を作らざるを得ません。

     

     例えば、九州大学では「共創学部」、横浜国立大学では「都市科学部」、滋賀大学では「データサイエンス学部」、宮崎大学では「地域資源創成学部」といった具合です。

     

     緊縮財政でなく、積極財政で支出増の中で、上記のような各部を作るならまだいいのですが、緊縮財政でもともとお金を削られている中で、こうした文理融合の各部を作るのは、大変な事務量やロードがかかり、大学の現場は疲弊するだけでしょう。

     

     上述の例は文科省が主導しているのですが、大阪では大阪府立大学と大阪市立大学を一緒にしろと、大阪府と大阪市の命令でやらされ、そこに大変な時間とロードが費やされているのです。

     

     それだけではありません。先進国の中で、GDPに対する大学にかけるお金はダントツに低く、他国が1.0%〜2.0%のところ、日本では0.6%程度です。

     

     そもそも橋本政権の構造改革基本法制定後の1997年以降、緊縮財政によってGDPが成長せず、その中で予算を削減しています。緊縮財政で予算を削減しているがゆえに、大学がダメになっているといえるでしょう。

     

     統計的にいえば、論文数の世界シェアは、GDPシェアと相関関係があります。経済成長しないということは、論文が書けず、ノーベル賞が出ないということ。今、ノーベル賞が出ている研究領域であっても、今後はネタが尽き、やがて日本からノーベル賞受賞者が出なくなってしまうことでしょう。

     

     今のノーベル賞受賞者は、20年以上前の研究の成果です。1997年の構造改革基本法から20年以上経過し、緊縮財政を継続しているため、今後はノーベル賞がほとんど出ない国になる可能性は大です。

     

     日本は資源がない国であるため、科学技術費・研究費を削減している現状では、未来は暗いといえます。このままだと日本は東南アジアや南アメリカやアフリカのように途上国と化していくことでしょう。

     

     そのための解決策は、緊縮財政を止めることです。建設国債でなくても教育国債でも何でもいいので、国債発行してそれを財源に科学技術予算をしっかり付けることです。負債を増やしていくことで経済成長するのが資本主義であり、国債発行を否定する輩は資本主義を否定することと同じなのです。

     

     もちろん経済成長は科学技術予算を付すだけでなく、インフラ投資でも構いません。生産年齢人口減少の日本は、将来の生産性向上のためのインフラ投資や、自然災害の安全保障強化のためのインフラ投資など、需要は山ほどあります。その需要に政府が負債を増やしてお金を付ければ、支出増=生産増=所得増 となってGDPが成長するのです。

     

     

     というわけで今日は、「日本における科学技術の衰退(このままだとノーベル賞受賞者が出なくなります!)」と題して論説しました。

     「国債発行」「政府支出増」を組み合わせれば、普通に経済成長できます。幸いにも日本はデフレでマイナス金利です。インフレですと「政府支出増」ができないことがあり得るのですが、デフレであるがゆえにインフラ投資や科学技術投資に、多額の政府支出ができる環境です。あとは資本主義とは、負債を増やして経済成長するということが理解できれば、国債発行を躊躇することもなくなるでしょう。

     その結果、年率で2〜3%GDPが増えれば、研究費も2〜3%伸びていくでしょう。予算が増えると思えば、やる気が出るはずです。今は「削減しろ!」「改革しろ!」という緊縮思考であるため、修士・博士になりたいと思う若者がいないのだと思うのです。

     日本は科学技術振興があってこそ、「資源がない」という弱点を克服し、先進国であり続けることが可能な国であると私は考えます。

     しかしながら、借金=悪という家計簿発想が、科学技術分野においても足枷となっているわけです。この状況を打破するためにも、無駄削減、借金=悪、という発想を持つ国民の誤解を解き、少しでも早く緊縮財政から積極財政に転じれるように知見を高めていかなければならないと、改めて思いました。


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