医療サービスを自由化したらどうなるか?

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     グローバリズムは、日本を少しずつ壊していきます。日本の良さ、それは文化や風習などに限らず、日本の制度そのものまで破壊してしまいます。今日はそのうちの一つ、医療サービスについて取り上げ、グローバリズムに反対の意見を述べます。

     

     グローバリズムの下では、政府が関与することは「悪いこと」「良くないこと」として、産業分野やサービスの種類を問わず、全てを市場に委ねて、政府の役割を可能な限り小さくすることこそが善とされます。「小さな政府」という言葉も流行りました。日本は人口が減少するから「小さな政府」を目指すべきだ!と。何を根拠に「小さな政府」なのか?支出を削減して公務員を削減するなどすれば、支出削減自体でGDPが減少し、公務員削減となれば削減された人々は間違いなく個人消費を削減する。結果日本国民が巡り巡ってみんなが貧乏になるということなのに、「小さな政府」を目指すという。こうした人々はマクロ経済を正しく理解できていない人々です。

     

     現実的には利益追求をしないからこそできる存在である政府は国家の維持に必要です。どの国にも「市場」に委ねてはいけないサービスや分野、それは安全保障です。

     

     ここでいう「安全保障」とは防衛だけを意味していません。食料安全保障、医療安全保障、エネルギー安全保障、防災安全保障、流通、防犯・・・・など、日本国民が日本国内で安全に豊かに生きていくために必須のサービスが、安全保障に該当します。

     

     もし、医療サービスが「完全自由化」され、市場に全面的に委ねられた社会が、どのような社会か?みなさんは想像できるでしょうか?

     

     医師になるときに資格不要で、本人が「医師です!」といえば医療サービスを提供できちゃいます。政府が一切の関与(=規制)をしないため、医療費をどれだけ高額にしてもOKですし、薬も値上げし放題となります。

     

     医療が完全に自由化された場合、医療サービスの品質は間違いなく落ちるでしょう。医大で教育を受ける必要も、資格試験に合格する必要もありません。医療に関する知識や経験が不十分であったとしても、医療サービスを提供できる以上、品質は劣化の一途をたどるでしょう。

     

     市場原理主義の人に言わせれば、「品質が悪い医療サービスは、競争原理により、市場から退出させられる」ということになるのでしょうが、何しろ「医療サービス」です。品質が劣悪な医療サービスが市場から「退出」するまで、どれだけの人々が被害を受けることになるのか?と考えますと、大変恐ろしいことです。

     医療サービスの品質は人命にかかわります。政府が一切の規制をせず、資格などの参入障壁も設けないため、劣悪な医療サービス提供者が市場から退出したとしても、新たな低品質な提供者が参入してこないということを、誰も保証することができません。

     

     極端に言えば、一度退場したはずの劣悪な医師であっても、地域を変えたり、呼称を変えることで、再び劣悪な医療サービスを提供することも可能になってしまうのです。

     

     加えて、医療サービスの場合、患者側が「選択できない」ケースもあります。人間の生死にかかわるサービスのため、「この治療を受ければ、命が助かる。治療を受けなければ、助からない。」という状況の場合、患者側には選択肢がないも同然です。誰だって死ぬのはイヤなわけだから、医療サービスの価格がどうであれ、治療を受けることを望むことになるでしょう。

     

     薬についても同じで、「この薬を飲めば助かるが、飲まなければ助からない。」となれば、患者はどうしても薬を飲む選択をせざるを得ないでしょう。

     

     この手の消費者側に選択の余地がないもしくは選択の余地が少ないサービスについて市場原理に委ねた場合、何が起こるでしょうか?当たり前ですが、医療費や薬価が高騰していくことになります。消費者側に選択肢がない以上、市場原理も何もありません。

     

     実際に1980年代に米国国内では、レーガン政権発足以降、米国では医療サービスの自由化を進めました。現在、アメリカの医療費は完全に自由化されており、病院によって治療費が異なるのです。

     

     また米国政府は薬価規制をしていません。米国国内では医薬品の適正価格は「市場競争の下でもたらされる」という信念のもと、製薬会社が自由裁量で薬価を決定しているのです。

     

     医療費が自由化され、薬価制限がないため、当然米国国内では医療サービスの価格は高騰しました。

     

     OECDが加盟国で国民一人当たり年間医療費という統計をとっていまして、2015年の日本と米国の医療費は下記の通りです。

     

    ●日本:4,149.76米ドル≒約44万円

    ●米国:9,451.34米ドル≒約101万円

     

     上記の通り、OECDの統計数値だけをみれば、日米の差は、米国の国民一人当たり年間医療費は日本の2倍強です。ところが、米国の場合、「公的保険」が65歳以上の高齢者と特定の重度障害者を対象にしたメディケアと、低所得者層が対象のメディケイドの2制度しかありません。日本の場合は国民皆保険であるため、すべての国民が健康保険に加入しています。それに対して、米国の場合は高齢者や低所得者層以外は「民間保険」に加入しなければなりません。民間の保険会社から保険金が支払われない場合、自己負担になってしまうのです。

     

     2015年における国民一人当たりの年間医療費について、個人負担分でみた場合、

    ●日本:626.6ドル≒約67,000円

    ●米国:4,779.2ドル≒約511,000円

    上記の通り、米国の個人負担分は日本の6.7倍です。

     

     米国では国民一人当たり50万円以上もする治療費を公的保険なしで負担させられているのです。もし、4人家族となれば、医療費は200万円を超えてしまうでしょう。

     

     もちろん、個人民間負担分は、加入している保険会社に払う保険料の負担もあります。とはいえ、米国の民間医療保険会社は株式会社組織であることもあり、可能か限り保険料を領収して、いざ保険金を払おうとするとあの手この手で回避することで有名です。

     

     米国では保険分野の自由化が進み、日本でいう健康保険制度の保険を、民間の株式会社が提供しています。株式会社は利益最大化を目的にビジネスをしているため、利益を膨らませるためには、保険金の支払いを抑制することが最も手っ取り早い。そのため、米国の個人破産の理由の半分が「医療費の未払い」という状況になっているのです。

     

     米国の医療費は2014年の数字で3兆ドル(日本円で約321兆円)に達し、GDPの17.5%を占めるに至っています。仮に世界の中でダントツに巨額の医療費を払わなければならない国だったとして、米国国民が相対的に健康に生きて長生きできるというのであれば、巨額の医療費自体は正当かもしれません。

     

     もし「米国の医療費は確かに高い。しかし高い医療費を払っているおかげで、米国国民は世界で最も健康で生きていける国民なのです。」というのであれば、米国国民は納得できるかもしれません。ところが現実は異なります。

     

    下記は世界保健機関(WTO)の統計数値で、主要国の健康寿命を上位順に並べたものです。

    (出典:WTO)

     

    日米では下記の通りです。

     

    日本   :01位 74.9歳

    チェコ  :33位 69.4歳

    クロアチア:33位 69.4歳

    キューバ :35位 69.2歳

    米国   :36位 69.1歳

     

     いかがでしょうか?現実は異なるのです。2015年の数値ですが、健康寿命が最長だったのは日本で74.9歳の堂々の1位。日本国民は世界で最も長期間健康状態で生きていくことが可能な国で生きていけるのです。

     それに対して、米国は70歳を下回っています。先進国の中では最低でキューバの一つ下の36位です。

     あれだけ巨額な医療費を払っていながら、米国の健康寿命は先進国最低なのです。

     

     医療技術の進歩により、米国の死亡率はさすがに低下傾向だったのですが、2016年6月米疾病予防管理センターが信じがたい事実を明らかにしました。

     

     下記はニューズウィークの記事です。

    『NewsWeek 2016年6月8日(水)17時35分 トランプ現象の背後に白人の絶望──死亡率上昇の深い闇

    米国の大統領選挙でドナルド・トランプの得票率が高い地域は、白人の死亡率(人口に対する死亡者の割合)が高い地域と一致しているという。その米国では、薬物・アルコール中毒や自殺など、白人を中心とした「絶望による死(プリンストン大学のアン・ケース教授による表現)」の増加が問題視されている。トランプ現象の背後には、死を招くほどの絶望が潜んでいるようだ。

    「絶望による死」で死亡率が上昇

     2016年6月1日、米疾病予防管理センター(CDC)が、衝撃的な統計を発表した。米国の死亡率が、10年ぶりに上昇したというのだ(図1)。大きな理由は、白人による薬物・アルコール中毒や自殺の増加である。「絶望による死」の増加が、米国全体の死亡率を上昇させた。

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    「絶望による死」は、白人に集中している。CDCによれば、2000年〜2014年のあいだに、米国民の平均寿命は2.0歳上昇した。しかし、白人に限れば、平均寿命は1.4歳の上昇にとどまっており、黒人(3.6歳)、ヒスパニック(2.6歳)に後れをとっている。白人に関しては、心臓病や癌による病死の減少が平均寿命を上昇させた一方で、薬物・アルコール中毒や自殺、さらには、薬物・アルコール中毒との関係が深い慢性的な肝臓病などが増加。平均寿命を押し下げたという。(後略)』

     

     

     記事に書いてある通り、米国の白人の「未来に対する絶望死」の増加が死亡率を上昇させてしまったという事実です。グローバル化の教義のもと、政府の役割を小さくされていった結果、所得再分配機能が低下し、国民の「最低限の生活」を守る規制までもが撤廃される。金持ちは所得や資産を増やす一方で、大多数の一般国民は実質所得が増えず、健康状態も悪化して、最後には自殺者の増加という事態をもたらしてしまったのです。

     

     グローバル化に嫌気がさしていた米国国民は、グローバリズム礼賛の大手メディア・マスコミに抗い、民主主義でトランプ大統領誕生という「史上最大の大逆転」を実現したと言えるのではないでしょうか?もちろん大逆転とは、グローバリズムからの視点でみれば大逆転ですが、米国国民にとっては米国民の国益を考えた選択として、当たり前ともいえるでしょう。

     

     

     というわけで、医療サービスを自由化したらどうなるか?米国の悲惨さと合わせ、トランプ大統領誕生までお伝えしました。散々バカにしてきたマスコミどもでは、認知的不協和に陥り、なぜトランプ大統領が台頭してきたのか?理解できないでしょう。

     今もなお、トランプは貧しい人々に支えられてきたというような論説があるほどです。実際は普通の白人が投票したというこの現実を知らない限り、間違った報道がされ、正しい政策が正しく報じられず、誤った情報が国民に刷り込まれて、政治家も間違った政策をしてしまう。

     これを是正するためには、トランプ大統領やバーニーサンダースらの登場、メイ首相のブレグジット、フランスにおけるメランションやマリーヌルペンの台頭といった事象について、私たち国民がもっと知る必要があります。そうやって知見を得た時に初めて、日本の国民皆保険のすばらしさを実感するとともに、グローバリズムという考え方の問題点について理解が深まるものと思うのです。


    配当を増やすことは滅びの道!株式の持ち合いを復活させ、グローバル投資家を規制すべき!

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       インドネシアから帰国後、体調を崩してしまいました。東南アジア旅行の際は、食事に気を遣うものの、どうしてもお腹を壊してしまうことがあります。今日から、また記事を連載掲載しますので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。

       

       今日は「配当を増やすことは滅びの道!株式の持ち合いを復活させ、グローバル投資家を規制すべき!」と題し、企業が配当を増やしていることについて、意見したいと思います。

       

       下記は日本経済新聞の記事です。

      『2017年12月8日(金) 日本経済新聞 朝刊

      好業績を裏づけに上場企業の配当が増えている。2017年度の配当総額は前年度比7%増の12兆8000億円と最高を更新する見通しだ。だが純利益に対する配当の比率を示す配当性向は3割強と過去5年はほぼ横ばいで推移し、欧米企業に見劣りする。個々の企業の配当性向も3割前後に集中し、それぞれの個性が見えづらい。投資か分配か。日本企業はどっちつかずの横並びの配当を脱し、余る資金の最適な使い道を探る局面に来ている。(中略)

       

      2017年12月8日(金) 配当性向

      株主への利益配分示す
       企業が最終的なもうけから、どのくらいの額を配当に回したかを示す。配当支払額を純利益で割って求める。配当性向が高いほど株主への利益配分が厚いといえ、投資家が重視する指標の一つだ。トヨタ自動車は2017年3月期の純利益1兆8311億円のうち6275億円を配当に回し、配当性向は34%だった。日本の上場企業の配当性向は過去5年間は30%前後で横ばい。利益じたいが伸びているため、配当性向が変わらなくても配当額は増えている。
       日本の上場企業は配当方針として「配当性向30%」と掲げている場合が多い。13日に新規上場予定で佐川急便を傘下に持つSGホールディングスも上場後の配当性向の目標を30%とした。多くの日本企業が目安として掲げる30%だが、その根拠は明確ではない。
       配当を払った後の残りは自己資本に積み上がるため、配当性向の低さは自己資本利益率(ROE)の低下要因になる。カーシェアリングを手掛けるパーク24は「必要性の低いお金はため込まない」(西川光一社長)として60%以上の配当性向を維持。ROEは20%前後と8%台の上場企業平均を上回る。』

       

       記事に記載の通り、上場企業の業績がイイということで、上場企業の配当が増えています。2017年度の配当総額は、前年比7%増、12兆8000億円ということで過去最高を更新しています。

       私も日本の株式を2018/1/7時点で、31銘柄保有していまして、配当が増えているということを実感しているのですが、長期的に企業を応援したい私からすれば、配当なんて増やしていただかなくていいと考えておりまして、非常に複雑です。実際に無配当の企業も2銘柄(サイバーダイン「証券コード7779」とJIG−SAW「証券コード3914」)を保有しています。

       

       そもそも、これ株式投資家が潤っているとも言えますが、グローバル株主が潤っていると言っても過言ではありません。東京証券取引所の売買主体の60%超は外国人投資家です。(関連ブログ:「株価の上昇が安倍政権の成果だ!」に対する反論 )

       

       記事に配当性向というキーワードがありますが、配当性向=1株当り配当/1株当り利益 です。配当が多ければ多いほど、配当性向は高くなります。日本経済新聞の記事によれば、日本の上場企業の配当性向は30%強で過去5年でずっと横ばいであり、欧米企業に比べて見劣りするとしています。これは、配当性向をもっと上げるべき!という主張です。

       

       そして、記事では、2017年12月に上場した佐川急便こと、SGホールディングスとパーク24の2社を比較し、パーク24が「必要性の低いお金を貯め込まない」というコメントを取り上げて、配当性向30%程度のSGホールディングスに対して、あたかも配当性向60%以上を維持しているパーク24の方がROE20%以上で経営が優れているような印象操作をしています。

       ROEが高いことを称賛していること自体に、私は反対の立場でもあります。理由は以前に「信越化学工業(株) (証券コード:4063)について ”祝!上場来高値更新”」という記事の中で、信越化学工業(株)を取り上げ、「2.アナリストらが指摘するROEを改善すべきに対する反論 」「3.ROEを絶対視することの愚かさ」で論説しています。

       

       要は配当性向が低いことは悪のような記事の書きぶりについて、私は激しく反論したい。端的にいえば、人件費を削減し、投資を減らせば、配当性向を上げることはできます。自社株買いをして、その分をそっくりそのまま借入金を増やせば、ROEを引き上げることは簡単です。

       

      <イメージ図 

       

       上記は、資産1000の会社が、当期利益500で、配当性向20%とした企業の決算後の貸借対照表のイメージです。

      配当性向20%で、ROE42%です。

       仮に、自己資本800のうち300を自社株買いをして消却し、その分をそのまま銀行借入もしくは社債発行して資金調達した場合は、下記のイメージとなります。

       

      <イメージ図◆

       上記の通り、ROEを向上しようとするのであれば、自社株買いして償却すれば、ROEの分母の自己資本を減らせます。さらに配当性向を引き上げれば、剰余金が少なくなるので、自己資本への積み上げが減って、これまたROEを引き上げることになります。

       

       上記ケーススタディでは、当期利益500でしたが、仮に人件費50UPして、設備投資50UPした場合、当期利益400です。厳密には、設備投資は定率法・定額法を選択して減価償却しますので、費用50UPとはなりませんが、話を簡単にするために50全額一括償却したと考えれば、当期利益400となります。

       

       そうすると、ROEの分子を構成する配当の原資が少なくなるため、配当性向を一定にすれば配当は少なくなります。とはいえ、その分、人材への投資として能力開発・人材育成に投資している、生産性向上のための設備投資をしている、ということになるわけで、当然投資はすぐに結果が出るものではありませんが、中長期的に投資の成果が出て、かつ十分に長期に渡って名目需要・実質需要が伸びれば、この会社はめちゃくちゃ儲かり続けることになるのでしょう。

       

       私は、「配当金を出すな!」とか「配当性向を引き下げろ!」というつもりはありません。大企業がグローバル株主の顔色をうかがい、そこで従業員として働く日本人を軽視していませんか?という問題提起です。

       以前、会社といえば株主と従業員のものというイメージがあったと思います。今はどうでしょうか?株主のものとなっていないでしょうか?

       

       R(投資によるリターン)>G(働くことによって得られる賃金)の場合、格差拡大が続くと、経済学者のトマ・ピケティが指摘しています。まさにその通りで、政府がそれなりの政策を打たない場合、給料は微増、下手すれば横ばいか微減です。総務省の公表データでみれば、実質賃金はマイナスが続く一方で、反対側で配当が7%も増えているわけです。

       

       当然、賃金を上げるためには、経営者に安心感を与える必要があります。この安心感とは、「仕事がある」「値下げしなくても物・サービスが売れる」という実質需要・名目需要に対する安心感です。

       

       経営上の不安の人手不足は、人口構造の問題で、生産年齢人口減少だから人手不足の環境には間違いなくなっています。あとは、日本政府が長期的に財政拡大します!というコミットメントをすれば、景気は良くならざるを得ません。

       

       株式投資をやっている私がこんなことをいうのも変ですが、グローバル株主に対して規制すべきでは?と考えます。例えば、キャピタルゲインには90%課税するとか、全然ありです。そういう規制をかけないために、グローバル株主に翻弄されて、人件費を引き下げ、投資を厳選して削減するなんてことを企業がやっている。こんなことをやっていては、最終的に企業の競争力は間違いなくグローバルで弱体化します。だいたい投資を厳選するとか、聞こえはいいですが、株式投資でもそうなんですけど、すぐに上がる株だけを選んで投資しろ!と言っているようなもんで、そんなことは私はもちろんですが、プロの機関投資家でさえ不可能です。

       

       私は、企業の中長期的な成長を応援する!という気持ちがあるから、配当がない会社でも応援しようと思うわけです。にもかかわらず、短期的な目先のことしか考えない投資家ばかりだと、人材は育たず、技術投資は削減され、設備投資もやらない。どうやって生産性を高めるのでしょうか?短期目線でしか見られないグローバル投資家を大切にするという発想は、長期的に企業の生産能力を落としていくことになり、まさに滅びの道といえます。

       

       もともと日本は逆でした。株式の持ち合いをして、モノ言う株主なんてのはいませんでした。ところがモノ言う株主というのが称賛され、「株主と対話ができる会社」が伸びるなどと、スチューワードシップコードの導入なんてのも始まっています。

       

       私は企業の株式の持ち合いを復活させ、日本の技術を海外に流出させずに守るため、また技術・ノウハウを将来世代に継承させるための投資資金を十分に蓄えられるようにするため、短期的目線で配当だけを要求する外国資本を排除すべきではないか?と思うのです。

       もしグローバル株主を気にしなければ、人材投資・技術投資にもっとふんだんにお金を使うことができます。間違いなく高度経済成長ができます。

       

       

       というわけで、今日は「配当を増やすことは滅びの道!株式の持ち合いを復活させ、グローバル投資家を規制すべき!」と題して意見しました。規制緩和すべき!という論説が蔓延って以来、持ち合い株式は解消すべき!とか、買収防衛策は経営の緊張感を失くす!とか、抽象的なスローガンがトレンドとなっています。だいたい経営の緊張感って何でしょうか?そういう抽象的な理由で、中長期的に企業を成長させていくという環境が壊されてしまったと考えます。そのため、改めて株式の持ち合いを復活させ、買収防衛策も認め、グローバル株主に対する規制を強化すべきでは?と考えます。

       そうすることで、日本は再び技術分野で世界の覇権を取り続けることができ、多くの日本国民が豊かさを取り戻すことができるものと思うのです。


      国家間・企業間における真の競争力とは?(「単位労働コスト」について)

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         今日は、国家間・企業間での真の競争力について意見します。

        表題の通り、真の競争力とは、「人件費が安い」ことではなく、「単位労働コストが安い」ことです。

         

         

         

        1.「単位労働コスト」とは?

         

        自動車製造を例にとって、下記のケーススタディを考えてみましょう!

         

        A国:労働者一人の人件費10万円、労働者の1日生産台数100台

        B国:労働者一人の人件費40万円、労働者の1日生産台数5000台

         

         読者の皆様にお聞きしますが、A国とB国、どちらが人件費が安いと思いますでしょうか?

         「A国の方が安いに決まっているでしょう!」と思われる方、絶対的な金額で考えれば、そういう見方もあります。では、仮にそう思われる方がいたとして、生産拠点としてA国か?B国か?どちらを選ぶかと聞かれたら、どちらを選びますか?

         

         これは価値観の問題抜きにして、生産性の高い国家という観点で考えれば、B国の方が生産性が高いといえます。理由は、1日当たりに生産する自動車の生産台数が多いからです。

         

         もっともB国がデフレなのに緊縮財政を継続している国家であれば、生産性が高かったとしても、自動車が安くたたき売られます。つまり名目の需要が十分でない(値下げしないと売れない)、実質の需要が十分でない(買い替えの時期が先延ばし傾向になるなど)という状況下では、B国は供給過剰とみることもできます。

         

         ビジネスの世界で、経営判断の第一に考えるべきことは、需要です。ここでいう需要とは実質需要(製品の需要個数・サービスの需要回数)だけでなく名目需要(値下げしなくても売れること)も含まれます。需要がなければ、B国の法人税がどれだけ安かろうと、B国の金利がどれだけ安かろうと、投資しません。

         逆に法人税が高かろうと、金利が高かろうと、需要があればビジネス参入の検討の余地があります。とにもかくにもまずは、需要があるか否か?です。

         

         仮にB国が、法人税が安く、金利が安いという状況だったとして、他国と相対的に、消費購買力、即ち所得が低く車が買えない年収しか稼げない国民が多いということであれば、B国は他国より自動車需要は少ない考えることもできます。いくら法人税が安かろうと金利が安かろうと、需要がない分野に投資をすることは経営者としては失格だと考えます。

         

         話を単位労働コストに戻しますが、需要を無視して生産性だけを見た場合、B国の方が生産性が高い。なぜ、そういえるでしょうか?

         

        【人件費1万円あたりの生産台数】

         A国:  100台÷10万= 10台  ⇒  10台/1万

         B国: 5000台÷40万=125台  ⇒ 125台/1万

         

         上記数式の通り、A国は人件費1万円あたり10台の生産量、B国は人件費1万円あたり125台の生産量です。つまりこのケースでは、生産性はB国はA国より人件費1万円あたりで12.5倍高いということになるわけです。

         

        【単位労働コスト】

         人件費1万円当たり10台、125台というのを、単位労働コストで考えると、

         A国: 10万÷ 10台=1.00万=10,000円

         B国: 40万÷125台=0.32万= 3,200円

         

         上記数式の通り、単位労働コストはB国の方がA国よりも安い。A国の3分の1以下です。なぜ、B国の方がA国よりも単位労働コストが安いのでしょうか?

         理由はB国がA国よりも、「資本」「労働」「技術」への投資が蓄積されているためです。そのため、人件費の絶対額では4倍高いですが、生産量は12.5倍となっているため、単位労働コストはB国の方が安いということになるのです。

         

         

         

        2.「単位労働コスト」を下げるためには、「資本」「労働」「技術」への投資が必要!

         

         私は常々思うことがありますが、従業員を「高く」雇い、生産性向上のための投資を蓄積することで利益を出すこと、これが本来の企業経営であると考えております。

         

         ところが、国境を越えた資本移動の自由化により、グローバリズムの世界では、国内の人件費上昇を受け、企業は「安い賃金」を求めて、資本(工場など)を海外に移転します。その結果、国内の雇用が失われます。これは、米国のトランプ大統領がNAFTA(北米貿易自由協定)を見直そうとしているその背景である問題と同じです。メキシコへの工場移転が進む結果、米国の雇用が失われるというわけです。

         

         とはいえ、国内の人件費が上昇したとしても、投資により生産性を向上させ、単位労働コストを引き下げれば「グローバル」に競争力を強化することは可能です。

         では?単位労働コストを引き下げる生産性向上を達成するためには、どうしたらよいでしょうか?

         

         その答えは、「資本」「労働」「技術」への投資を継続することです。

         ”「資本」への投資”とは、最新鋭の機械・設備を購入して継続的に更新することです。

         ”「労働」への投資”とは、能力開発や人材教育に力を入れることです。

         ”「技術」への投資”とは、品質を維持しながらスピーディーに生産性できるよう技術開発に力を入れることです。

         

         このように、「資本」「労働」「技術」への蓄積量を増大させれば、生産性を高めることができます。結果、こうした生産性向上のための投資を実行することで、単位労働コストを引き下げれば、絶対額で「人件費」が高い国であっても、価格競争力を保つことは決して不可能ではなく、「グローバル」に戦うことは可能です。

         

         トランプ大統領のNAFTA見直しは、「資本」「労働」「技術」の蓄積量を、メキシコではなく、米国の企業が国内に蓄積量を仕向けるよう環境を作っていると見ることもできます。1兆ドル(≒110兆円)のインフラ整備という需要創出をすること自体、米国国内に「資本」「労働」「技術」の蓄積量を仕向けやすくする環境を作っていると見ることもできるのです。

         

         

         

        3.「外国人労働者を安く雇う」ことについて

         

         これまで述べてきた通り、国内の人件費が上昇したとしても、投資により生産性を向上させ、単位労働コストを引き下げれば「グローバル」に戦うことは可能です。

         しかし、グローバル投資家が蔓延るグローバリズムの世界では、「中長期的に生産性を向上させる投資」について、経営資源を投入することは難しいのです。なぜならば、グローバル投資家「短期の利益」を求めるからです。

         

         このブログで私も株式ネタを記事に掲載しますが、私の投資スタンスの中で、ネガティブな会社は「(中長期的な投資をしないで)株主還元に積極的な会社」「配当をたくさん出そうとしている会社(配当性向が高い会社)」です。株主優待による株主還元は、ポジティブです。理由はまた別記事書きます。

         

         私はグローバリズムに否定的な立場です。なぜならば、グローバリストは短期的な「株価上昇」を求めるからです。短期の利益拡大や株価上昇を求められた経営者は、人件費を引き下げるか?資本を外国に移動せざるを得ません。というよりも、グローバル株主資本主義の下では、人件費カットや「人件費が安い国」に資本を移した経営者の方が優秀であると称賛されます。

         

         だから自国の国民を「高く雇う」経営者は悪となるわけです。その結果「単位労働コスト」を下げるための投資よりも、手っ取り早く「外国人労働者を安く雇う」という発想になりがちなのです。

         

         ここからは価値観の問題なので押し付けるつもりありませんが、皆さんが経営者になったつもりでぜひお考え下さい。

         「政府が外国人労働者の受入を緩和してくれれば、私は外国人労働者を大勢を受け入れて稼せぐことができます。だから、規制を緩和してください。」

         この意見について、皆さんどう思われるでしょうか?仮に景気が悪くなって仕事が無くなったら、皆さんはどうされるでしょうか?おそらく解雇することになりませんでしょうか?仕事がない=需要がないのに、外国人労働者がいくら安かろうとも、雇用を継続するでしょうか?おそらく解雇するとお考えの方が多いと思います。

         外国人労働者について、日本の社会保障制度(政府労災・雇用保険・年金保険・健康保険)は、その労働者の方が日本に滞在することが、不法違法であるかを問わず適用されます。

         一旦、外国人労働者を採用した後、景気が悪いからといって解雇したら、彼らは日本国の社会保障にぶら下がることになるのです。

         「外国人労働者を安く雇う」とは、正にそういうことなのです。

         

         

         というわけで真の競争力について述べてきましたが、”需要がある”という環境が前提にあれば、国家間も企業間も同じことがいえます。

         企業間でいえば、「外国人労働者を安く雇う」という経営者の方に問いたい。「一時的な短期的な利益を追求して外国人労働者を雇用し、将来の負担を日本社会全体に押し付けることになるということを理解していますか?」ということです。

         私は「一時的な利益のために外国人を雇い、将来の負担を日本社会全体に押し付けることになっても構わない!」という考え方には、とても賛同できません。

         普通にデフレ脱却して、需要を創出し、グローバル化を辞めて規制強化に動くということを、米国や英国がやっているからです。フランスやギリシャやイタリアのように、EUに加盟している限り、自国の主権でそうしたことができない国と比べて、我が国は主権で自国で解決できるのです。

         ぜひ、多くの方に気付いていただき、政府の方々には、我が国の真の競争力を高めるために、米国や英国に見習って、自国民ファーストとなる政策が打たれるよう、望みます。

         

        ※関連ブログ:

        日本の労働単位コストを2013年以降上回ってしまった中国の供給能力過剰問題

        金利が下がれば設備投資が増えるは本当か?(魚の仲買人さんのビジネスモデル)


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