米国による同盟国への中国ファーウェイ製品の使用中止要請について

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     今日は「米国による同盟国への中国ファーウェイ製品の使用中止要請について」と題して論説します。

     

     皆さんはファーウェイという会社をご存知でしょうか?

     

     ファーウェイといえば、昨年度日本における新卒募集で、初任給40万円で募集というのがリクルートに掲載されたことで有名です。その一方、上海や北京で中国人を初任給80万円で採用しており、日本人が中国人に安く使われるということで、デフレを放置した結果の極みと当時は胸を痛めておりました。

     

     私は中国製・韓国製の製品をなるべく購入しないように努力しているのですが、新宿東口のビックロに行きますと、エスカレーターがファーウェイのCMになっていまして、家電製品分野で中国製品が入ってきているということを改めて実感しますし、デフレ脱却を放置している政府の責任とも思ったりしています。

     

     かつて私は損害保険会社に在職中、会社でタブレットを有償でリースするというスキームがありまして、その時の機種がサムスン電子でした。もちろん私はサムスン電子がいい会社だとは思わなかったので、会社の方針に背き、富士通のARROWSタブを買いました。

     

     またプライベートのPCはデスクトップPCですが、日立Prius、SONYのVaioときて、今年6月に新しく買い換えたPCで今使っているのはNECのLAVIEです。

     

     少し値段が高くても、なるべく日本製品を買いたいと思っているわけですが、私個人の消費行動ではマクロではどうにもなりません。

     

     ファーウェイは、タブレット等で積極的に日本に進出し、ビックカメラでもものすごい宣伝をしています。と同時に、ビックカメラがなぜファーウェイを仕入れるのか?安いからという理由もそうですが、消費者の賃金の伸び悩みや先行き不安で、少しでも安いものを買いたいという消費者心理によって、日本製ではなく安いファーウェイが買われるものと思っております。

     

     そんなファーウェイですが、米国が西側諸国を主とした同盟国に対して、製品使用停止の要請をしたというニュースが報道されました。

     

     下記は時事通信のニュースです。

    『時事通信 2018/11/23 12:21 米国、同盟国に中国華為の製品使用停止を要請

     [22日 ロイター] - 米政府は同盟国のワイヤレス事業者やインターネットプロバイダーに対し、中国の華為技術(ファーウェイ)の通信機器を使用しないよう説得を試みている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が22日、匿名関係筋の話として報じた。

     報道によると、米国は華為の製品に絡むサイバーセキュリティー上のリスクについて、同社製品が既に広く使用されている友好国の政府と通信会社幹部に接触したという。 

     情報機関関係者らは華為など中国企業について、中国政府や共産党とつながりがあるとみており、スパイ活動のリスクを懸念している。

     WSJによると、米政府は中国製通信機器の使用を停止する国に対し通信インフラ整備の資金支援を拡大することを検討している。

     日本やドイツ、イタリアなど米軍が基地を置く国での中国製通信機器の使用が米政府の懸念の1つになっているという。

    米商務省の報道官は、米国の安全保障に対する脅威に引き続き警戒するとの声明を発表した。華為のコメントは現時点で得られていない。』

     

     

     このニュースは、先週金曜日のニュースですが、その前にも米国商務省が2018/04/16に通信大手で中国を代表する国有企業のZTE(中興通訊)に対して、米国企業による製品販売を7年間禁止する旨の命令を発しています。

     

     ZTEは、オバマ政権時の2015年7月に米英仏独中ロの六か国で合意されたイラン核合意後も、ダミー会社を使うなどして米国からイランへ通信機器の輸出をし、米国の輸出規制に違反していました。

     

     このとき、ZTEは不正行為を認め、2017年3月に11億9000万ドルの罰金を払いましたが、輸出違反に関わった社員の報酬減額という合意を守らず、虚偽報告を続けたために新たな制裁として米国企業によるZTEに対する製品供給を7年間禁止するという措置に踏み切ったのです。

     

     ZTEはスマートフォンが世界9位のシェアを誇る中国を代表する国有企業です。2017年12月期の売上高は1兆8500億円にも上りますが、中心的な技術のほとんどを米国のインテルやクアルコムから調達し、スマートフォン用の基本ソフト(OS)はグーグルの「アンドロイド」を採用しています。

     

     2018年4月の制裁は、すぐに7月に解除されましたが、ZTEは当初、営業活動が停止している旨の文書を発表しています。

     

     そもそも米国がZTEに制裁を科した理由は、次世代の高速通信の中核技術となる5G(第5世代移動通信システム)の規格を巡る争いがあり、この5G技術に関してZTEやファーウェイといった中国企業が協力して開発しようとしていました。

     

     米国は安全保障の問題から、5G技術という最新の通信技術を他国に握られることを嫌っているため、中国勢を米国から駆逐しようとしているのです。

     

     特にトランプ大統領がホワイトハウス国家通商会議のトップに起用したピーター・ナヴァロ氏は、米中が比較優位に基づいて自由に取引すれば、両国の生活が向上するはずなのですが、下記 銑┐砲茲辰董∨念彖蠎蟾颪砲魯哀蹇璽丱螢坤爐鰺弋瓩掘⊆国は非グローバリズム的な手法を推進してきたと述べています。

     

    |療財産権の侵害
    国内市場へのアクセスを交換条件とした外国企業に対する技術移転強要
    9發ご慇脳稱鼻蔽羚颪亮動車関税はアメリカの十倍)
    こ姐餞覿箸北餡陲併業免許要件や出資比率規制を課す
    ス駘企業や中国政府が資金支援する企業に土地や資本を助成
    国内企業に対する無数の輸出補助金や寛大な税制優遇措置
    О拌慍霪による人民元の為替レート調整
    ╂府系ファンドの活用

     

     上記 銑┐魍萢僂掘軍事先端につながる技術を盗み続けて、経済成長だけでなく軍事力が強化され、国際秩序を脅やかしかねない存在になっているのです。

     

     ピーター・ナヴァロ氏の主張の通り、2018年3月、トランプ政権はシンガポールに本拠を置く半導体メーカーのブロードコムが、米国のクアルコムを買収することを、大統領令によって禁止して破談に追い込んでいます。

     

     トランプ大統領は過激というマスコミの印象が強いのですが、ZTE問題についていえば、トランプ大統領よりも過激なのは上院です。

     

    『ブルームバーグ 2018/06/13 米上院、ZTE和解合意巡り米政権に抗戦 法案一本化難航も

     [ワシントン 13日 ロイター] - 中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)(000063.SZ)への制裁解除に関する米政府合意を阻止するために米上院が提出した法案が、議会規則により審議先延ばしあるいは廃止となる可能性があることが、米議員や議会関係者などの話で13日に明らかになった。

     トランプ米政権はZTEが10億ドルの罰金を支払い、経営陣を刷新することなどを条件に、米国のサプライヤーとの取引を禁止する措置を解除する和解に合意。

     これに対し、上院は早ければ今週中に、毎年審議される国防権限法(NDAA)案に盛り込む形で、和解合意の阻止に向けた法案の採決を行う計画。米政権はこの法案に強く反対している。(後略)』

     

     上記ブルームバーグの記事の通り、トランプ大統領はZTEに対して10億ドルの罰金と、4億ドルのエスクロー(預託金)を払って経営陣を維新すれば、取引禁止措置を解除して和解する旨の意向だったのですが、上院が和解阻止で反対したということです。

     

     ZTEと同様にファーウェイに対しても、米国は中国に大きなダメージを与えようとして、こうした企業を規制する動きに乗り出そうとしたというのが、今回のニュースの真相だと思われます。ZTEについては今年4月から米国の動きがあったのですが、ついにファーウェイにも手が伸びたというわけです。

     

     

     というわけで今日は「米国による同盟国への中国ファーウェイ製品の使用中止要請について」と題して論説しました。

     自国民保護を念頭に考えれば、安全保障を視野に通商政策は考えられるべきです。仮想敵国中国に対して、人件費が安いからという理由で中国で合弁会社を設立し、知らず知らずに技術移転されているという状態は、米中貿易戦争で中国に利する形になります。

     日本企業はデフレであるがゆえに、そうした考え方もできなくなっているため、政府が「国債増刷」と「内需拡大」の組み合わせによって、外需ではなく内需重視にシフトする必要があります。

     さもなければ米国を怒らせて、日米FTA(二国間協定)で例えば「コメの関税をゼロにしろ!」など、とんでもない要求を突きつけられるリスクがあるものと私は思うのです。

     

     

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    日産自動車のカルロス・ゴーン問題の先にあるものとは?

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       今日は、テレビ新聞でも大きく報じられている日産自動車のカルロス・ゴーン会長の役員報酬隠蔽事件を取り上げたいと思います。

       

       下記は朝日新聞の記事です。

      『朝日新聞 2018/11/24 05:03 退任後の報酬50億円隠蔽か 日産、ゴーン容疑者と契約

       日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)が役員報酬約50億円を有価証券報告書に記載しなかったとして逮捕された事件で、ゴーン前会長が退任後に報酬を受け取る契約書を日産と交わし、毎年約10億円、5年度分で約50億円が積み立てられていたことがわかった。東京地検特捜部はこの契約書を押収。将来の支払いが確定した報酬として開示義務があり、事実上の隠蔽(いんぺい)工作と判断した模様だ。

       ゴーン前会長は、側近で前代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)と共謀し、2010〜14年度の5年分の役員報酬について、実際は計約99億9800万円だったのに、有価証券報告書には約50億円少ない計約49億8700万円と記載したとする金融商品取引法違反の容疑で逮捕された。

       日産は08年、取締役の金銭報酬の総額について、上限を29億9千万円と決定。有価証券報告書に記載された08年度の報酬総額は約25億円だった。一方、上場会社の役員報酬は09年度の決算から、年1億円以上を受け取る役員の名前と金額の開示が義務づけられた。日産の09年度分の取締役報酬の総額は約16億円に減り、その後も15億円前後になった。このうち、ゴーン前会長分は10億円前後だった。

       関係者によると、ゴーン前会長は自分が受け取るべき報酬は約20億円と考えていたが、報酬の個別開示の義務化を受け、「高額だ」と批判されることを懸念。役員報酬は約10億円にとどめ、別の名目でさらに約10億円を受け取る仕組み作りが必要だと考えたという。』

       

       

       この朝日新聞の記事とあわせ、日産自動車のカルロス・ゴーン問題について下記の順で論説します。

       

      1.カルロス・ゴーン氏の役員報酬について

      2.有価証券報告書の虚偽記載は金融商品取引法違反

      3.日仏の政治問題に発展するだけでなく、日米の通商問題に発展する危険性も・・・!

       

       

       

      1.カルロス・ゴーン氏の役員報酬について

       

       日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン氏が、役員報酬を99億9800万円を得ていたにもかかわらず、そのうち50億円を記載せず、49億8700万円と記載し、隠蔽工作したと報じられました。

       

       日産自動車といえば、経営不振だったときにカルロス・ゴーン氏が徹底的にコストカッターで経費削減し、業績をV字回復させた立役者として、カルロス・ゴーン氏を英雄のようにマスコミは報じていました。

       

       いつの頃だったか、株主総会シーズンを取り上げていたTVのニュース番組で、カルロス・ゴーン氏の報酬が10億近いことについて、株主にインタビューをし、インタビューを受けた株主が「カルロス・ゴーンは、利益を急回復させたので、もっともらってもいい」などと発言していたのを見たことがあります。

       

       その一方で、2017年秋に、新車の無資格検査問題という不祥事が発覚しました。デフレが続く中での利益追求でコストカッターを継続したために、事件が発生したものと私は思っています。

       

       2018年3月期決算(2017年度決算)において、カルロス・ゴーン氏も西川社長も事件の責任を取って報酬を削減しています。

       

      <2017年度決算資料におけるカルロス・ゴーン氏の役員報酬>

      (出典:2017年度の日産自動車の有価証券報告書から引用)

       

       

       

      <2016年度決算資料におけるカルロス・ゴーン氏の役員報酬>

      (出典:2016年度の日産自動車の有価証券報告書から引用)

       

       

       上記は2017年度と2016年度の有価証券報告書から引用したものですが、2017年度は無資格検査問題が発覚したということで、役員報酬を減額していますが、2016年度はマスコミ報道の通り、10億9800万円の報酬を得たことになっています。

       

       

       

      2.有価証券報告書の虚偽記載は金融商品取引法違反

       

       有価証券報告書の虚偽記載は、金融商品取引法によって罰されます。投資家が有価証券報告書を信じてその企業の株式を買ったにもかかわらず、有価証券報告書の記載事項に虚偽があったことで株価が下落して損失を受けたとなれば、普通に金融商品取引法で訴えることができるのです。今回の虚偽記載によって、株主代表訴訟に発展するかはわかりません。

       

       通常の不法行為で、民法709条の不法行為責任で訴える場合、落ち度を被害者側が立証する必要があるのですが、金融商品取引法では投資家側が立証する必要はなく、企業側は提訴されますと応訴するのは大変なことです。

       

       また、株主代表訴訟だけではなく、他の役員も会社に損害を与えたということで、会社法423条1項の任務懈怠責任を問われる可能性もあります。

       

       仮にも株主代表訴訟に発展したとした場合、株主代表訴訟は会社が被った損失について役員らが会社に補てんするという立て付けで裁判になります。

       

       一方で最近は弁護士の訴訟戦術として、会社を訴えるだけでなく、役員も一緒に訴えた方がプレッシャーを与えられるということで、会社法423条1項の任務懈怠責任によって役員個人も訴えるという訴訟戦術をとることも考えられます。

       

       訴えられた役員個人は、会社の顧問弁護士を弁護人とすることができません。理由は利益相反になるからです。

       

       役員個人が会社法423条1項の任務懈怠責任で訴えられて敗訴した場合は、役員個人の財産で補てんするということになります。そのため、役員個人も訴えるという訴訟戦術によって、訴えられた役員個人は日産自動車の顧問弁護士を弁護人にできず、自分で弁護士を探し出す必要があることに加え、敗訴すれば個人の財産で補てんとなるため、大変なプレッシャーを感じることになることでしょう。

       

       

       

      3.日仏の政治問題に発展するだけでなく、日米の通商問題に発展する危険性も・・・!

       

       カルロス・ゴーンが逮捕されて以降、日産自動車の株価はストップ安となり、1,000円以上を維持していた株価が、1,000円を割り込んで950円前後にまで下がりました。

       

       今回の事件で、フランスから「日本の恩知らず」などとする意見やら、日仏の外交問題にまで発展するとの見方が報じられています。しかしながら、そうした見方を否定するつもりはありませんが、もっと大きな問題に発展する可能性があります。

       

       それは「中国への1兆円の投資」です。

       

      『日本経済新聞 2018/02/05 11:30 日産、中国に1兆円投資 電動車20種以上投入     

      【北京=多部田俊輔】日産自動車と中国の東風汽車集団の合弁会社は5日、中国で2022年までに600億元(約1兆円)を投資すると発表した。22年までに電気自動車(EV)などの電動車を20車種以上投入し、同年に中国の総販売台数を17年実績比7割増の260万台に引き上げる。中国ではトヨタ自動車ホンダも販売や投資を拡大している。世界全体の3割を占める最大市場の開拓を日本各社が本格化する。(後略)』

       

       上記日本経済新聞の記事の通り、日産自動車は1兆円の投資をすると発表しました。東風汽車集団との合弁会社への1兆円投資は、2022年までとありますので、今もなお継続しているものと思われます。

       

       これは日産自動車としてというより、日本の自動車業界にとって、大変なリスクになりかねないのです。その理由は、今年2018/09/27に出された日米共同宣言です。

       

       この日米共同宣言において「WTO改革、電子商取引の議論を促進するとともに、知的財産の収奪、強制的技術移転、貿易歪曲的な産業補助金、国有企業によって創り出される歪曲化及び過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処するため、日米、また日米欧三極の協力を通じて、緊密に作業していく。」と宣言しました。(下方の全文の赤枠を参照)

       

      <2018年9月27日に行われた日米共同声明の全文>

      (出典:外務省ホームページ)

       

       

       上記の赤枠が何を指しているかといえば、中国のグローバリズムに対する徹底的な対処です。中国という国名を記載すれば、名指しで中国を批判することになるため、敢えてこのように表現したのでしょう。声明文には一切「中国」という記載はありません。

       

       有価証券報告書の虚偽記載は直接的に関係がありませんが、日産自動車がカネカネカネとやって利益追求を優先して、東風汽車集団への投資を継続した場合、日米の通商問題に発展する可能性があるのは、上記赤枠の部分が根拠です。

       

       2018/09/27に日米で厳密に対処すると日米共同声明で宣言したにもかかわらず、日産自動車が東風汽車集団への投資を継続されると、米国が日本は約束を破ったと判断する可能性があります。

       

       中国と米中貿易戦争を戦っている最中、米国に逆らったとみられる可能性がゼロではありません。そうなれば、日本の自動車業界に対して、報復として高関税を課されるというシナリオで、日本の自動車産業が大ダメージを被るリスクがあるのです。

       

       事実としてトランプ大統領は25%の自動車関税を示唆し、中国への投資を継続することが、そのトリガーとなるシナリオは十分にあり得るものと考えます。

       

       もしかしたら米国からの要請で、ルノーを通じた日本の最先端自動車技術の中国への流出を食い止めるため、日本政府が東京地検特捜部を動かして阻止したとも考えられます。自国民ファーストで反グローバルのトランプ大統領と、グローバル推進のマクロン大統領とでは、中国への技術流出についての懸念の温度差は歴然としています。グローバル推進であれば、たとえ中国が相手であったとしても、国防安全保障より優先してカネカネカネとなるからです。

       

       米国の要請で日本政府が東京地検特捜部を動かしたのが事実だとすれば、日米の二国間貿易協定でも借りを作るどころか、貸しを作ったとみることもできますし、日本の大切な技術の流出をルノー経由で中国に流れることを阻止した国益に適う行為ともいえます。いずれにしても憶測にすぎない部分もありますが、今後の行方を注視したいと思います。

       

       

       というわけで今日は「日産自動車のカルロス・ゴーン問題の先にあるものとは?」と題して論説しました。

       2018/09/27の日米首脳会談での日米共同声明の中身をみれば、政府も経団連も「対中国規制が必要!」と声を上げるべきなのは明らかです。にもかかわらず「今だけ、カネだけ、自分たちの代だけ」という経団連企業の幹部たちは、中国の企業や政府関係機関や経済団体と協力覚書を52件も締結しました。

       今回の有価証券報告書の虚偽記載事件によって、日産自動車のコーポレートガバナンスが見直され、日本を蔑ろにして中国への投資に傾注するという経営戦略をキャンセルするきっかけになればいいと思うのですが、米中貿易戦争の最中に、カネカネカネとやって中国への投資を継続した場合、日米通商問題に発展するというとんでもないシナリオもあり得るということを、日本人は知る必要があると私は思うのです。

       

       

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      TPPを導入するならば、保護主義のための国内制度を徹底的に強化すべき!

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         今日は「TPPを導入するならば、保護主義のための国内制度を徹底的に強化すべき!」と題して論説します。

         

         下記は産経新聞の記事です。

        『産経新聞 2018/10/31 18:35 日本への経済効果7・8兆円 牛肉など安く TPP

         11カ国によるTPP11の発効により関税が段階的に引き下げられ、貿易が活発になるほか、投資などに関するルールも明確になり企業はビジネスがしやすくなる。政府の試算によれば、貿易や投資の拡大によって、日本の国内総生産(GDP)が年7兆8千億円押し上げられ、雇用は約46万人増える見通しだ。恩恵は暮らしや企業活動の広い範囲に及びそうだ。

         家計で恩恵を実感しやすいのは、輸入食品や農林水産品の値下がりだ。例えば日本に輸入される牛肉の関税率は38・5%だが、発効16年目には9%に下がる。

         発効が12月30日に決まったことで、来年1月1日には早くも発効2年目に入る。発効からの年数によって関税は段階的に引き下げられるため、発効が早まった分、「消費者にとっては海外の商品がさらに安価で手に入る」(茂木敏充経済再生担当相)。

         日本企業にとっては輸出拡大が期待される。日本の代表的な輸出品である自動車は、カナダの関税が現在の6・1%から発効5年目に撤廃される。ベトナムは現在、大型車に70%の高関税を課しているが、発効10年目には撤廃される。(後略)』

         

         

         上記の通り、TPPは今年2018/12/30に発効されることになったというニュースです。茂木経済再生担当大臣が10/31に記者会見をしました。その中で、環太平洋経済連携協定について、日本時間の12/30AM00:00に発効すると発表。世界のGDPのおよそ13%を占め、総人口で5億人を抱える自由貿易圏が誕生するとして、ポジティブに報道しています。

         また茂木経済産業相は、保護主義が強まる中、自由で公正な21世紀型のルールが確立するという強いメッセージの発信になると意義を強調しました。

         

         日本の場合、自動車などの工業製品の輸出で追い風となる一方、牛肉などの安い農産品の流入で国内農業が打撃を受ける可能性があるというより、間違いなく打撃を受けることになるでしょう。

         

         なぜならばTPPの本質は、相手国に対して、「あなたの国の需要を、うちの国の供給力で供給させて欲しい!その結果、あなたの国のその産業が倒産しても仕方がない!そのために互いに関税をかけあわず、お互いに関税をなくして自由に交易ができるようにしましょう!」というのがTPPの本質。となれば自国の産業、とりわけ日本の場合は農業が間違いなく打撃を受け、影響を受けるのは当然の帰結といえます。

         

         日本にメリットはあるのか?となれば、TPPイレブン参加国の中で、日本は最大のGDPを占めており、他国の需要を供給できるということにもならず、非常に大きなリスクを抱え込むことになるでしょう。

         

         もう一つ重要なのは、保護主義が強まる中、自由で公正な21世紀型のルールが確立するというメッセージになるという点について、保護主義が何か悪しきものであるかのごとく、自由と公正の正反対なものが保護主義であるとでも言いたいのでしょうか?

         

         これは完全に間違っています。

         

         なぜならば、保護主義ということをやる自由が主権の中に日本国の主権にあるはずです。それぞれの国の保護主義を、それぞれの国としてやっていくことで、公正なルールが初めて成立することになります。主権がない中で多国籍企業にとって自由があるのはTPPでありグローバリズムです。

         

         そのグローバル市場の中で、多国籍企業が公正に競争するためのグローバリズムとしてTPPがあるわけで、自由と公正は誰のためにあるのか?となれば、結局は他国で商売ができるような人々にとって自由で公正になっただけで、それぞれの国民の自由と公正は著しく侵害されたことになります。

         

         もし、それが侵害されないようにするということになれば、TPPを導入すると同時に、保護主義のための国内制度を徹底的に強化する必要があります。

         

         牛肉などの安い農産品の流入されることになったとなれば、日本の農家を今と同じ水準に保障することが必要です。

         

        <諸外国の穀物自給率(%)の推移(1961年〜2013年)>

        (出典:農水省のホームページの資料から)

         

         

        (出典:経済評論家三橋貴明氏のブログ)

         

         

         上記資料は、いずれも日本の食料自給率が相対的に低いことと、農家に対する支援が欧米とははるかに比べ物にならないくらい支援がされていないということを言いたいために取り上げた資料です。

         

         食料自給率が100%超となっている米国をはじめ、他の欧州国では、多くの補助金を出しています。海外はそのくらい補助金を出したうえで、競争するにもかかわらず、日本の農家だけが国からの補助が他国と相対的に少なく、日本の農家は著しく不利益を被ることになるでしょう。

         

         これを解決するとすれば、TPPで関税はゼロになったとしても、補助金は山ほど出ます!という制度強化が必要です。上記資料の通り、日本は食料自給率が先進国の中でも低く、補助金は欧米が40%〜60%であるところ、日本は27%でしかありません。補助金でこれだけの差があれば、日本の農業は著しく不利な状況が現在進行形で続いているといえます。

         

         例えば街中のスーパーでも、日本産の牛肉は高く、アメリカンビーフやオーストラリア産のビーフは安いです。もし、日本の畜産農家が作る牛肉に対して、日本の政府が補助金を出してスーパーでも安く売ることができれば、価格対抗できて日本産の牛肉が売れやすくなります。そうすれば、日本の畜産農家も牛肉を頑張って数多く生産しようとするでしょう。

         

         食料安全保障の強化を考えるのであれば、むしろ農家の人々には余るくらい農産物を作ってもらい、それを政府が高値で買い取るべきです。その高値で買い取るということによって、日本の農家の所得が安定し、一生懸命数多く供給することに専念できます。余った農産品は、仮想敵国中国や韓国にダンピングして売れば、彼らの胃袋を日本がつかむこととなり、外交カードとなり得ます。

         

         農産物の価格の話に戻しますと、逆に市場価格で売買となれば、豊作のときは捨てることもあります。不作のときは市場に売るものが少ないため、農家の収入は伸び悩みます。農家の収入を安定させるためには、政府が農作物を高く買い取る、補助金を出す、こうした政策に尽きます。

         

         牛肉の場合、TPPによってオーストラリアやニュージーランドから安い牛肉がより入ってくることになることが予想されます。当然、市場価格では日本の牛肉も価格は下がる方向に働きます。どう考えてもTPPで関税が下がれば、畜産農家に対する影響は大きくなることは当然の帰結です。

         

         だからといって、農家に単にお金を配布するのは、よろしくありません。余ってもいいので作ってもらった農産品を政府が高値で買い取る、これに尽きます。お金とモノの対価こそGDP3面等価の原則により、「農家による農産物の生産=政府による農産物への支出=農家の所得」となり、GDP成長と税収増につながるからです。

         

         

         

         というわけで今日は今年2018/12/30に発効予定のTPPについて取り上げました。

         標題の「TPPを導入するならば、保護主義のための国内制度を徹底的に強化すべき!」ということが私の結論であることは、ご理解いただけたのではないでしょうか?

         もし欧米と同程度の農業保護政策をしなければ、ただでさえ低い食料自給率がもっと下がり、食料安全保障が弱体化することが目に見えているからです。

         それとも、そうした状態で食料が安定供給されなくなったとして、お金がある人が自由に高値で買い、お金がない人は飢えて死ぬしかない、それも自己責任なので仕方ないというのでしょうか?これでは、まるでジンバブエなどの発展途上国と同じです。

         むしろ欧米は農家に対する手厚い保護をしており、欧米と比較して日本の農家は保護されていないということを日本人は知るべきであると私は思うのであります。

         

         

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        トランプ大統領の通商政策に対抗する最適な解決策は、国内需要シフトです!

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          JUGEMテーマ:通商政策

           

           今日は「トランプ大統領の通商政策に対抗する最適な解決策は、国内需要シフトです!」と題し、日米の通商政策について論説します。

           

           まずは産経新聞の記事をご紹介します。

          『産経新聞 2018/07/25 23:39 日米新通商協議、8月開催へ 車輸入制限などで攻防

           米国発の貿易摩擦が激化する中、米欧首脳会談に続いて、日本は米国との新しい通商協議(FFR)の初会合を8月にも開催する方向で調整する。当初は7月下旬を予定していたが、米国が欧州や中国との通商問題の対応に追われ、事実上困難になったためだ。FFRで日本は、米国が検討する自動車輸入制限の翻意を促すほか、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への復帰を米国に求める方針だ。

           FFRは日本側が茂木敏充経済再生担当相、米国側はライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が交渉窓口となる。6月にワシントンで開かれた日米首脳会談でFFRの初会合を7月に開くことで一致。その後、日本側は国会の会期末(7月22日)以降の開催を米側に打診していた。

           しかし、米政府はUSTRが欧州や中国との通商問題のほか、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の対応にかかりきりで、FFRは事前の事務レベルでの調整も行われていないもようだ。開催日程も25日時点で「セットされていない」(政府高官)という。

           来週にも日米は日程などの調整を行う見通しだが、初会合は8月にずれ込む公算が大きい。

           FFRで焦点になるのは、米国が検討する自動車に高関税を課す輸入制限だ。日本は「いかなる貿易上の措置も世界貿易機関(WTO)協定と整合的であるべきだ」(政府関係者)とし、3月に発動された鉄鋼輸入制限も含め米国に反対の立場を訴える。

          米国側は農産品などでさらなる市場開放を日本に要求するとみられる。日本は米国が脱退したTPPで合意した内容よりも悪い条件は受け入れられないと主張する構えだ。

           さらに日本が警戒するのは、米国が求めるとみられる2国間の自由貿易協定(FTA)交渉だ。トランプ氏はTPPのような多国間交渉よりも、自らの主張を反映させやすい2国間交渉に持ち込み、日本に譲歩を迫る狙いだ。交渉にあたる茂木氏は「国益に反することは絶対に行わない」と強調するが、通商問題をめぐり日米がどこまで歩み寄れるかは見通せない。』

           

           

           上記記事の通りですが、米国発の貿易摩擦が激しさを増しています。日米新通商協議は、当初7月下旬に予定されていたのですが、米国が欧州や中国との通商問題の対応に追われて事実上7月中の実施が困難になり、8月になりました。

           

           通商協議で焦点となるのは、米国が検討する自動車に高い関税を課す輸入制限です。

           

           日本の立場は、いかなる貿易上の措置も世界貿易機関(WTO)協定と整合が取れているべきであるとし、今年3月に発動された鉄鋼輸入制限も含めて米国に反対の立場を訴えるとのことです。

           

           一方で米国側は、農産品でさらなる市場開放を日本に要求するとしており、油断はできず今後の展開は大変気になるところです。

           

           米国が検討する自動車輸入制限について、仮に今年8月の新通商協議の交渉で守ったとしても、これはずっと言われ続けるテーマとなるはずです。なぜならば、米国民ファーストを掲げるトランプ大統領にとって、米国の国益につながるからです。

           

           もちろん米国の国益は、日本の国益ではありませんし、そもそも他国からの輸入と制限し、自国の輸出を増やすという発想が、他国の雇用を奪っていると考えるべきです。そして雇用問題とは別に、食料安全保障をはじめとする安全保障問題も考慮する必要があります。

           

          <諸外国の穀物自給率(%)の推移(1961年〜2013年)>

          (出典:農水省のホームページの資料から)

           

           2013年度の穀物自給率の数値では、日本はオランダに次いで下から2番目の28%です。米国は127%と100%を超えており、穀物が余剰に生産されているので、輸出できるのです。

           日本は食料自給率が極めて低く、米国側の農産品の市場開放を求める声に対しては、断固として反対の姿勢を貫かなければなりません。

           

           かつて民主党の前原誠司氏が、農家を保護するのではなく、日本の輸出産業のためにもTPPに加盟するべきであるとして、2010年10月19日に次のように述べています。

          「日本の国内総生産(GDP)における第1次産業の割合は1.5%だ。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっているのではないか?」

           

           これは第一次産業=農業ということで、農業を守るために、自動車産業が犠牲になってもいいのか?と言っていることに等しい。大体、自動車は食べ物ではありません。自動車の産業規模と農業の産業規模を比較すること自体、食料自給率という安全保障問題が全く考慮されていません。

           

           仮に民主党の前原氏が「数値データ」を用いて、TPP推進や二国間貿易協定で、農産品の関税は引き下げるべきという主張をするのであれば、こちらも数値データを出さないわけにはいきません。

           

          <世界の貿易依存度 国別ランキングの抜粋 (2017/08/21)>

          (出典:グローバルノートから抜粋)

           

           

           具体的にいえば、日本の輸出依存度です。輸出依存度とは、財の輸出額÷名目GDPで算出されます。

           上表の通り、日本は191位で24.76%と決して高くはありません。主要国では198位の米国が19.66%、200位のブラジルが18.28%という状況で、日本よりも輸出依存度が低いです。

           

           さらにいえば、日本の輸出の主力は「資本財」です。日本人の多くは「主力輸出品」が自動車と思い込んでいるかもしれませんが、GDP輸出比率でみた場合で、乗用車は5兆円強の1%強で、家電はもっと低いです。乗用車・家電は「消費財」なのですが、日本の輸出の半分以上の50%強は、消費財ではなく資本財です。

           

           資本財は、電子部品(コンデンサー、セミコンダクター、シリコンウェハー、半導体チップなど)や工業用原料(25%程度)が該当します。一般的に個人が電子部品や工業用原料を買うことはありませんから、日本が輸出する75%は、海外の企業が購入する資本財なのです。

           

           前原氏は2010年10月19日に「日本の国内総生産(GDP)における第1次産業の割合は1.5%だ。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっているのではないか?」と述べているので、あえて2009年の数値を出すと、下記の通りです。

           

           日本の輸出依存度:約11.5%

           GDP比輸出比率(乗用車):1.23%

           GDP比輸出比率(家電):0.021%

           GDP比輸出比率(資本財合計):51.81%

           GDP比輸出比率(工業用原料):25.5%

           GDP比輸出比率(消費財合計):14.42%

           

           上記数値から「消費財の輸出対GDP比率」を算出しますと、下記の通り。

           

           消費財の輸出対GDP比率=14.42%×11.5%≒1.66%

           

           つまり前原氏の「日本の国内総生産(GDP)における第1次産業の割合は1.5%だ。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっているのではないか?」という主張は、「日本のGDP比第1次産業割合が1.5%である一方で、消費財は1.66%と0.16%上回っているから、農業は犠牲になっても関税引き下げを受け入れ、自動車の関税引き下げを米国に主張すべき!」と言っているに等しいのです。

           

           私は消費財の輸出メーカーである自動車産業を悪者にして、自由貿易に反対するつもりはありません。自由貿易などせずとも、日本の輸出産業を救う真っ当な手段があるということが言いたいのです。

           

           その真っ当な手段とは何か?

           

           それはデフレ脱却です。デフレが継続しているため、日本国内では過当競争を強いられています。そのために海外に目を向けるようになっているわけです。

           

           では、デフレ脱却のためにはどうすればいいか?

           

           答えは簡単で内需主導の日本を、より内需主導にシフトすることです。内需主導でデフレ脱却すれば、国内の経済成長率が高まることとなり、国内の自動車メーカーも米国市場を意識しなくても済みます。

           

           加えて、マイナス金利で名目金利が下がり、実質金利も下がっている状況ですので、日本円は為替レートが円安に振れがちですので、日本円の為替レートが下がれば、韓国の現代自動車など他国の自動車メーカーに対する競争力を獲得できるのです。

           

           さらには日本が内需主導で経済成長することで、輸入も増えます。そのとき、米国からの輸入も増える可能性があります。貿易赤字になったとしても、日本は圧倒的な金持ち大国で配当や金利が入る所得収支が大幅黒字の状況ですので、貿易赤字が続いても何ら心配は不要です。

           

           

           

           というわけで今日は「トランプ大統領の通商政策に対抗する最適な解決策は、国内需要シフトです!」と題し、内需拡大シフトこそ、最適解であることをお伝えしました。

           米国は中国、欧州には極めて強硬な態度をとる一方、日本に対しては、そこまで強硬ではありませんが、トレンドとしては強硬な姿勢を主張する流れとなっています。米国は今以上に激しく、自動車輸入制限などの日本にとって不利な条件を押し付けるのは必定といえます。

           日本がすべきことは、日本の国内産業を守るのと同時に、外需を掠め取って他国の雇用を奪うのではなく、自国の内需を拡大して自分たちの産業を食べさせるのは、自国国民の消費と投資であると認識して、内需主導により強くシフトしていくべきです。さもなければ、米国の強硬な態度に戦々恐々としていくこととなるでしょう。

           この流れは、当分変わることはないでしょうから、米国との交渉に一喜一憂するのではなく、自力で内需拡大する!この一手しかありません。

           だからデフレ脱却して日本人がたくさんお金を使えるようにして、日本で生産したものを買うだけでなく、貿易赤字になっても米国製品を買うというくらいに、日本が旺盛に消費できる環境を作るというのが、一番ベストな答えです。


          日本の技術を盗むために、日本企業のベテラン社員の定年退職者を厚遇雇用する中国と韓国!

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            JUGEMテーマ:通商政策

             

             今日は、2018/6/28に日本経済新聞で報道された米国のトランプ政権が海外への技術流出を防ぐために、米国への海外からの投資を調査している外国投資委員会の機能強化の決定のニュースに触れ、日本でも現在進行している中国・韓国への技術流出について論説したいと思います。

             

             

             下記は日本経済新聞の2018/06/28の記事です。

             

            『日本経済新聞 2018/06/28 米、外資規制を厳格化へ 中国念頭も狙い撃ちは回避 議会、CFIUS機能強化審議

            【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は中国企業の対米投資制限を巡り、既存の対米外国投資委員会(CFIUS)による審査厳格化で対応すると27日に正式表明した。中国を狙い撃つ真正面からの激突を避けたのは、米企業が中国で締め出される報復を懸念したからだ。ただ、米議会が審議するCFIUSの改革法案は強力で、中国勢の対米投資縮小は避けられない。

             トランプ氏は中国の知的財産権の侵害を制裁するため、500億ドル(約5兆5千億円)分の中国製品に追加関税を課すとしており、7月6日に第1弾を発動する。米財務省には6月末までに中国企業の対米投資の制限案を検討するよう指示していたが、27日にトランプ氏は既存組織であるCFIUSを投資制限に活用すると表明した。

             CFIUSは外資全般を対象とする。トランプ政権内には大統領権限で中国企業の投資を抜本的に差し止める強硬案もあった。具体的にはイランへの金融制裁などに用いてきた「国際緊急経済権限法」を発動して中国にも適用し、モノやマネーの流れを根本から止める仕組みだ。ナバロ大統領補佐官ら強硬派は、ホワイトハウスの裁量が大きい同法の発動を主張してきた。

             ただ、ムニューシン財務長官ら穏健派は投資分野での中国の報復措置を強く警戒した。米中関係をモノの貿易でみれば中国の対米輸出が圧倒的に多いが、直接投資は米国の対中投資額(ストック)が925億ドルと、中国の対米投資より3倍以上も大きい。成長市場の中国には金融や自動車、ハイテクなどあらゆる米企業が進出し、中国が米企業の投資を締め上げれば打撃が大きい。

             さらに、米企業が仕掛ける世界規模の大型M&A(合併・買収)は「巨大市場を持つ中国の競争当局の承認が今では欠かせない」(米中通商筋)。実際、半導体大手のクアルコムは中国当局の承認が得られず、車載半導体のNXPセミコンダクターズ(本社オランダ)を巨額で買収する構想が滞っている。

             もっとも、トランプ氏が追加制裁を見送っても、中国企業の対米投資が制限される流れが変わるわけではない。CFIUSは財務省や国防総省などが管轄する独立組織で、軍事転用が可能な技術が流出するなどして安全保障上で問題だと判断すれば、大統領に投資中止を勧告する。米議会は中国企業を念頭に、審査対象をさらに広げる法案を検討中だ。

             例えばCFIUSのこれまでの主な審査条件は「米企業の支配を目的とする海外企業による買収・合併」だったが、新法案では少額出資や合弁企業の設立も対象に加える。中国などを「特に懸念される国」と指定して審査をさらに厳格化する条項もある。新法案では国家安全保障というCFIUSの目的が拡大解釈され、人工知能(AI)など先端技術を持つ米企業への出資を幅広く制限することになる。

             米議会は中国製品の追加関税に異論を唱えてきたが、CFIUSの権限強化には与野党がそろって賛成する。下院は26日、CFIUS改革法案を400対2という圧倒的多数で可決した。中国の知財侵害や技術移転の強要、サイバー攻撃といった手法には、米議会のアレルギーが極めて強い。上院での審議を急ぎ、米議会は早期の法案成立を目指す。』

             

             

             上記の通り、トランプ大統領が海外の技術流出を防ぐため、米国への外国からの投資を調査している外国投資委員会の機能強化を決定しました。

             

             日本でもシャープが鴻海(鴻海は中国系台湾企業)に買収されるなど、特に家電メーカーの体力が弱まったのと同時に、中国系企業に買収されたり、韓国系の投資企業に投資先として狙われています。

             

             日本企業が持っている技術が、中国をはじめとした海外へ流出されてしまうことは、安全保障の面からも抑制する方法を検討すべきであると考えます。

             

             トランプ大統領は、直接的に中国からの投資を差し止めるのではなく、CFIUS(Committee on Foreign Investment in the United States=対米外国投資委員会)機能強化に変えたことで、表面的には中国への強硬な姿勢を崩した形になっていますが、軍事転用が可能な技術流出の恐れがあると判断される場合は、CFIUSは大統領に対して投資中止を勧告することになっています。

             

             また米議会が中国企業を念頭に、審査対象を広げる法案を検討していることからも、米国が中国への技術流出に対して、対策が必要と認識していることが十分にうかがえます。

             

             こうした米国の動きと比べますと、我が国日本は鈍い。はっきりいって、フラットパネルディスプレイの軍事技術を持つシャープ、原発や半導体の技術を持つ東芝が、海外企業に買収されようと経営危機に陥っても、”自己責任”の一言で片づけているのか?政府が支援するなどの声が一向に出てきません。

             

             自由主義で買収されようが”負けた人の自己責任”と一言で片づけていいのでしょうか?

             

             日本も中国をはじめとした海外へ技術流出に対して、これ以上は防ぐための政策をとれないのか?真剣に議論する必要があるものと考えます。この問題は、現在進行形で、今もなお日本企業の中国への技術流出が起きているのです。

             

             取れる方策としては2つあるといわれています。

             

             1つ目はスパイ防止法制定です。

             

             国連憲章51条では「自衛権」について記載があります。

            『国連憲章第51条
            この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。』

             

             上記は国連憲章51条の本文ですが、自衛権は、国際法で定められた独立国固有の権利であることがわかります。そのため、世界の各国は防諜機関を設立して取り締まりをしています。米国ではCIA・FBI、ロシアではKGBなどが防諜機関です。スパイ罪の最高刑は死刑や無期懲役といった重い刑罰を科していますが、国家の安全を脅かすことは公益の利害を損ねるため、当然と言えます。

             

             一方で、日本にはスパイ防止法がありません。1985年に自民党から起案されましたが廃案となっています。もともと公務員の守秘義務を定め、第三者への漏洩する行為を防止することを目的とした法案であったにもかかわらず、マスコミらが憲法が保障する表現の自由に抵触するとして批判の対象になってしまったのです。当時の野党も反対し、結果野党が審議拒否して、そのまま廃案となりました。

             

             2つ目は日本の特許法の欠陥です。

             

             最先端技術が特許になるならないは別として、特許出願しますと、日本では出願日から1年6か月後に、特許法第64条により、特許出願した内容が公開されます。

             一般的には出願日から1年3か月が経過する前に、特許出願を取り下げることで、出願公開を回避することは可能ですが、特許が認定されようと認定されなかろうと、18か月後に全部公開されるというのは、欠陥ではないかと思うのです。

             

             米国の場合、国家の防衛安全保障にかかわる特許は公開しなくてもいいことになっていまして。そうした公開されない特許のことをサブマリン特許と呼ばれています。

             

             日本は法律的にこうした欠陥があるため、これを変える必要があります。

             

             上記2つ以外に検討しなければならないのは、中国に進出していた日本企業のベテラン社員が定年退職をきっかけに、中国企業が厚遇スカウトするという手法があります。ベテラン社員を厚遇雇用するのは、日本の技術を盗み取るためです。

             

             福建省に福州と呼ばれる都市がありますが、成田空港との直行便があります。この福州ではリチウム電池の開発に携わった日本人が定年退職後に、中国企業に雇用されます。評論家の宮崎正弘氏によれば、月給30万円で社宅費用は全額会社負担に加え、月1回日本への帰国が認められるとのこと。

             

             月給30万円というのは、中国の購買力平価で考えた場合、130万〜140万円に相当します。一人当たりGDPで中国9,000ドル、日本45,000ドルですから、5倍弱の差はあります。何が言いたいかといえば、中国で月給30万もらうということは、毎月130万もらっているのと同じです。かなり贅沢ができます。

             

             そういう形でベテラン日本人エンジニアを再雇用して技術流出しているケースにも対策を考える必要があります。即ち、定年を延長してでも、ベテラン技術者は日本企業に残すべきです。

             

             

             

             というわけで、今日は「日本の技術を盗むために、日本企業のベテラン社員の定年退職者を厚遇雇用する中国と韓国!」と題し、論説しました。

             米国のトランプ政権は、技術流出について厳しい対応を検討していると思われるかもしれませんが、世界ではそれが当たり前。日本は、平和ボケで頭の中がお花畑になっている国会議員らが多い。その結果、日本の技術が掠め取られてもなんとも思わないのでしょうか?

             特にベテランエンジニアが中国や韓国に再雇用されるという事態は、デフレで生活しにくくなった日本の状況では、解決が難しい。家計にとってお金は大事だからです。とはいえ、外国人労働者を受け入れるくらいなら、ベテランの日本人を日本企業に残すほうが、よほどマシだと考えます。

             日本企業が厚遇でベテラン社員を定年延長できる制度にするためには、企業が十分に利益の確保ができるようにするため、デフレ脱却が必須です。加えて、受注企業が十分な利益を中長期的に安定的に得ることができるよう、自由主義による競争強化・一般競争入札ではなく、場合によっては供給力強化、品質向上のための政策に舵を切ってもいいのではないでしょうか?


            米中貿易戦争の報復関税合戦の行き着くところは、新たなリーマンショックの予兆か?

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              JUGEMテーマ:通商政策

               

               今日は、「米中貿易戦争の報復関税合戦の行き着くところは?」と題し、論説します。

               

               下記は朝日新聞の記事です。

               

              『朝日新聞 2018/07/11 13:17

              [ワシントン/北京 11日 ロイター] - トランプ米政権は10日、追加で2000億ドル相当の中国製品に10%の関税を適用する方針を明らかにし、新たな対象品目リストを公表した。

               発表を受け、中国株を中心に世界的に株価が下落。中国商務省の李成鋼次官補は11日、米国による追加の関税適用方針について、世界貿易機関(WTO)体制に打撃を与え、グローバル化を損なうものだと警告した。

               米株価指数先物もアジア時間で下落。オフショア人民元の軟調につれてオンショア人民元も下げている。

               リストには、食品やたばこ、石炭、化学品、鉄鋼、アルミニウムのほか、タイヤ、家具、ハンドバッグ、ペットフード、カーペット、自転車、スキー板、トイレットペーパーなど数千項目及ぶ消費財が含まれた。

               ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は「トランプ政権は1年以上にわたり中国に対し、不当な慣行をやめて市場を開放し、真の市場競争に参加するよう忍耐強く求めてきた」とし、「しかし、中国は米国の正当な懸念に対処するどころか、米国製品への報復措置に乗り出した。こうした行動に正当化の余地はない」と述べた。

               米政府は先週、340億ドル相当の中国製品に対し25%の関税を発動し、中国も直ちに同規模の関税措置で対抗した。また、トランプ大統領は最終的に5000億ドル余りに相当する中国製品に関税を課す可能性があると警告していた。

               新たなリストでは、先週発動された25%関税よりも多くの消費財が対象に挙げられており、消費者と小売業者への直接的な影響が大きいとみられる。

               トランプ政権の新たな関税リスト公表を受け、一部の経済団体や有力議員からは強い批判が出ている。

               上院財政委員会のハッチ委員長(共和党)は「無謀な措置に見え、的を絞ったアプローチではない」と述べた。

               また、米商工会議所は「単純に言って、関税は税金だ」とし、追加で2000億ドル相当の製品に税金を課せば、米国の家庭や農家、労働者、雇用主のコスト上昇につながるほか、報復関税を招き、米労働者にとって一段の痛手になると警告した。

               小売業リーダーズ協会(RILA)も「大統領は『中国に最大の打撃をもたらし、米消費者への痛手は最小にする』という約束を破った」と批判した。

               米当局者によると、新たな関税リストは2カ月間のパブリックコメント募集期間を経て最終決定される。

               中国の政府系英字紙チャイナ・デイリーは社説で、中国には、米国と同じ手段を用いて対抗する以外の選択肢はないと主張。「国内企業のコスト負担を最小限に抑え、世界の投資家に中国経済をさらに開放するための適切な措置を講じる一方で、断固として対抗する必要がある」と論じた。

               オックスフォード・エコノミクスのアジア経済部門トップ、Louis Kuijs氏は、中国は米国の今回の措置を強く非難するとみられるが、中国の政策対応は当面限定される可能性が高いと指摘。その理由として、報復手段が限られていること、追加関税導入に向けた米政府の手続きがまだ初期段階にあることを挙げた。』

               

               

               上記は米国が中国への制裁関税の対象に、新たに年間2000億ドル分の中国製品を加える方針を示したニュースですが、中国総務省は、報復措置を公表する意向を示しています。

               

               米国が「関税を高くするぞ!」とやれば、中国も報復する。中国は、そうせざるを得ないでしょう。

               

               グローバリズムの行き着く果てが、こうした報復合戦といえます。もし、グローバリズムの度合いが強くなければ、このような争いは発生しなかったか、激しくぶつかることはなかったと思います。

               

               両国が依存度を高めてしまっているために、米国国内では米国人労働者が不利益を被っているため、中間選挙のためにこうした措置を取らざるを得ません。グローバリゼーションは必然的にこうした事態を招きます。

               

               もう1つ注目すべきことは、リーマンショックから10年が経過しようとしておりまして、次のリーマンショックなるものがいつ来るか?と言われています。

               

               世界的に景気が良く、中国人や米国人の民間の負債が増えている状況で株価が高いという状況は、大恐慌が起きる典型的な構造です。政府の負債が増えならまだしも、民間の負債が増えて株価が高くて景気が良いというのは、負債でレバレッジを効かせて、株を買う、土地を買うという投機的な側面が強い可能性があるからです。

               

               投機とは、ビットコインもそうですが、上がると思うから買うということで、値段が吊り上がっていきます。もちろん、政府支出増によって需要が喚起されて、企業の利益が伸び、一株当たり利益の上昇を伴って株価が上昇しているならば、地に足がついた株価上昇といえるので問題ないでしょう。

               

               とはいえ、外需に依存しあう状況ですと、米中の貿易戦争における関税報復合戦だけでなく、輸出入禁止措置などによって一方的に供給・需要が削減されるということもあるわけで、油断できないのです。

               

               こうした大恐慌が起きる構造にある状況で、次の一押しは何かといえば、物価上昇で消費が縮小して、一気にバブル崩壊につながるというシナリオです。

               関税引き上げは、物価上昇します。原油高騰と合わせ、巨大経済大国の関税引き上げ競争が物価を押し上げて、消費が委縮することで、世界恐慌が起きる一歩前では?とみることもできるのです。

               

               世界恐慌が起きたとき、一番被害の度合いが小さい国とは、どういう国でしょうか?

               

               それは、いかに外需に頼らず、内需で経済成長する国家になっているか否か?にかかっています。国内需要の割合が大きければ大きいほど、世界恐慌による経済のダメージは小さくなります。何しろ、需要も供給も自国内に頼っているというのであれば、景気後退やデフレ脱却をすることが、自国の政策次第でなんとでも可能です。

               

               

               

               というわけで、今日は「米中貿易戦争の報復関税合戦の行き着くところは、新たなリーマンショックの予兆か?」と題し、私見を述べさせていただきました。

               株式投資をやっている方、引き続き要注意です。何しろ、日本国内では国債が尽きて金融緩和終了→超円高→株価大暴落というシナリオもあるからです。

               こうしたシナリオを回避するためには、外需に頼らない内需中心の経済政策が打たれるべきなのですが、安倍政権は内需中心ではなく、インバウンドなどの外需中心の経済政策をやっていますので、安心して株式投資ができるという状況ではないと、私は考えてります。


              米国の対中国貿易戦争は、トランプ大統領に勝算あり!

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                JUGEMテーマ:通商政策

                 

                 今日は「米国の対中国貿易戦争は、トランプ大統領に勝算あり!」と題し、貿易戦争について論説します。

                 

                 世界の株式市場は、貿易摩擦の行方を注目しており、特に日経平均・東証TOPIXは、一進一退の動きとなっています。中国はトランプ大統領の関税引き上げに対して、即座に報復関税で応じ、WTO(世界貿易機関)に提訴するとしています。

                 

                 トランプ大統領の関税引き上げによって、世界全体の貿易が停滞し、世界経済が大きく冷え込む可能性はあります。マスコミの報道では、米国が中国をターゲットにしていると考え、米中貿易戦争などと報じています。米国は中国との貿易額が大きいですが、日本やドイツとも貿易額は大きいため、実は中国だけをターゲットにしているわけではなく、日本もドイツもターゲットになっていると考えるべきです。

                 

                 そのため、今後は対日本、対ドイツでも中国と同じような貿易問題が生じるでしょう。

                 

                 トランプ大統領は、鉄鋼アルミニウム問題では、アルミニウムは10%、鉄鋼は25%の関税をかけるとしました。中国は相殺関税措置で報復関税をかけましたが、米国にとっては想定内といえるでしょう。

                 

                 なぜならば、困るのは中国だからです。

                 

                 米国にとっては、中国産の安い鉄鋼が入ってくるのは困るわけです。米国人の賃金が伸び悩み、雇用が奪われるためです。トランプ大統領は、中国産のアルミニウム、鉄鋼の輸入を減少させることが目的であり、関税によって中国産の安い鉄鋼が入って来なくなることは、米国にとって、むしろ歓迎すべきことです。

                 

                 逆に中国は、例えば小麦を大量輸入しています。2016年までは小麦輸出国でしたが、それ以降は一気に輸入国になった経緯があります。その小麦の輸入元はどこか?といえば、米国からも輸入しています。仮に中国が米国産の小麦に関税をかけたとしても、米国にとっては痛くもかゆくもなく、困ることはありません。

                 

                 困るのは輸入する側の中国です。突き詰めると、中国の消費者が小麦が高くなって困るだけです。

                 

                 トランプ大統領が仕掛ける関税引き上げに対抗しての中国の相殺関税措置に対して、マスコミが報じるほどトランプ大統領が怯むことはないと考えられます。トランプ大統領が怯まないからといって、中国が折れる可能性も少ないと思われますが、マスコミが言うほど、米国は困らないものと考えられます。

                 

                 日本は、これをどう見るべきか?といえば、米国の貿易政策で、為替や通商政策の直近の動向を把握するのに一番いいのは、米国の財務省が発表している為替報告書と呼ばれるものです。この報告書は、米国の貿易相手国が、自国の輸出に都合がいいように為替操作をしていないか?否か?を分析する報告書です。

                 

                 仮に為替操作国という一番重い認定をされてしまった場合、実際に報復関税をかけるという重い措置が出る可能性があります。そういう意味で、中国は言うまでもなく、日本もその一歩手前の要注意とみられているため、警戒が必要です。

                 

                 トランプ大統領の貿易戦争に対して、日本はどうするべきでしょうか?

                 

                 答えは簡単で、外需(対米輸出)に頼らず、内需拡大政策をすればいいだけです。内需中心の国家になれば、米国の関税引き上げも日本にとっては意に返しません。ついでにいえば、「国債増刷」と「政府支出増」の組み合わせでデフレ脱却を果たせば、日本の景気が良くなり、米国からの輸入が勝手に増える可能性があります。

                 

                 消費増税ではなく、消費減税もトランプ大統領には最高のお土産です。なぜならば、消費減税すれば、日本の国内消費だけでなく、日本が米国から輸入する輸入品にも消費税減税分の値段が下がることとなり、日本人が米国製品を買いやすくなって、輸入が増える可能性があるからです。

                 

                 

                 というわけで、今日は「米国の対中国貿易戦争は、トランプ大統領に勝算あり!」と題し、日本がとるべき方策も合わせて私見を述べさせていただきました。TPPやFTA(二国間貿易協定)を締結するのではなく、普通に内需拡大政策をとれば、米国との貿易摩擦は回避できます。日本は中国と違って先進国で、資源以外は他国から輸入しなければならないものは比較的少ないのですから、普通に「国債増刷」「政府支出増」の組み合わせの内需拡大政策をすればいいだけなのです。


                林業は、自由貿易の犠牲になった業者の一つです!

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                   今日は日本の林業について述べたいと思います。林業と深い関係がある産業として真っ先に思い浮かぶのは住宅建設業です。近年は首都圏を中心に鉄骨造やRC造がほとんどとなっていますが、木造住宅こそ、日本の文化を受け継ぐ重要な建築物の一つと言っていいでしょう。もちろん鉄骨造、RC造の建物でも、中に入れば内装は木造を使っているという建物も多くあります。

                   

                   その住宅建設業に関連して、一般社団法人日本建築構造技術者協会というのがありまして、今日は、そのホームページのコラムの記事をご紹介し、意見したいと思います。

                   

                  『日本の林業と木造住宅 山辺豊彦(資格問題ワーキンググループ主査)

                   

                   わが国は緑の多い国です。森林面積は国土の67%もあり、世界でもトップレベルの森の国と言っても良いと思います。
                  ただ、この森の国にも大きな問題があります。太平洋戦争で荒廃した国土を元に戻そうと盛んに植林が行なわれ、何処も彼処も杉林だらけになりました。森林全体の4割が人工林であり、自然の森のような自活力が無い森ですので、人間が手を貸してやらなければならないのですが、とても十分な管理がなされているとは言いがたい状況にあるのです。

                   

                   日本の住宅は木造住宅が今でも過半を占めますし、コンクリート造や鐵骨造の家でも、一歩家の中に入ると、居間も廊下も何処も彼処も木の雰囲気で一杯です。こんなに木が使われるのですから、国産木材がどんどん活用されれば問題は無いのですが、外国産の木材が多く使われており、国産材のしめる割合はほんのわずかなものです。日本の木の成長具合に比べ、東南アジアやアメリカではずっと早く成長しますし、それを加工したりする費用も人件費も安い分だけ、輸送費を考えても日本で作るよりもずっと安いというのが主な理由です。

                   

                   このように外材にとって代わられると、日本の森林経営が立ちいかなくなり、いままで森を守り育ててきた人たちがやむなく山村を去らざるを得なくなり、その結果、森林はさらに荒廃するという悪循環に陥ってしまいかねません。    

                   木々がなくなり禿山になると、森の保水力が低下するので、雨が降ると一気に水が川を下ってしまい、雨が降らないと川はからから状態が続くことになり、町への水の定常供給も危うくなってしまいます。また、禿山ともなれば、単に土埃に悩まされて洗濯物も干せないと言うだけでなく、がけ崩れや鉄砲水・雪崩などが起きやすくなり、町全体が自然災害の危機にさらされるという事態にもなりかねません。しかも、木を使わなくなったのではなく、外材を輸入し続けるわけですから「日本は世界の緑を消滅させ、地球環境破壊に加担している」と言われそうです。

                  と言うわけで、このまま外材頼りでいくと、何か未来のない暗い暗い世界に入っていくのではないかと心配です。

                   

                   国土や地球環境保護の見地からみると、“国産材の優先活用”は私たち国民すべてに課せられた「社会的使命」と受け止めるべきではないでしょうか。

                   

                   つい先ごろ、木造建築を設計する機会に恵まれ、ぜひ地域に根ざした材料をおおいに使って、と、国産材活用に取り組んでみました。コストを考えると間伐材の活用しか出来ない事がわかりましたし、材のばらつきが大きくて品質確保が大問題である事もわかりました。又、均質なものをある一定量確保するのも難しいですし、仕口部のディテールも多種多様である事もわかりました。
                  鉄やコンクリートなどの材料と比べ、木材が建築材料として使いにくい面が多々あることを感じました。

                   

                   その反面、生産者の方々が下枝取りをはじめとした大変な苦労をされて、山や木を育て、伐採して調達してくださっていることも、加工業者の方々は、整備されていない工場の貧しい機械設備で加工して出荷されておられることもわかりました

                   

                    長い歴史をもつ、日本の林業は、今、あらゆる面で機能不全に陥っているということができます。「品質、量、価格の安定」という、本来、素材供給産業が果たすべき役割が果たせ無くなりつつあります。
                   この瀕死の日本林業を再建し、外材に対する競争力をつけていくためには、多くの課題を解決していく必要があります。問題の根は深く多岐に渡るので、川上(山側)の木の生産者と、川下(町側)の木の消費者との協力が欠かせません。
                  山側(生産者)と町側(消費者)が連携し、地域ネットワークを組んで「“国産材活用”による家づくり運動」が行なわれています。まだ町おこし運動に近い状況ですが、このネットワークを全国的に展開し、社会的な広がりを持った大きな流れになってほしいと思っています。

                   

                   木材は我々日本人の心に染み付いた建築材料です。使いづらい点があれば改善して使っていけばいいのです。誰もが国産材に目を向けてくれるようアピールする事も大事でしょうが、国産材でも外材でも木は木ですから、国産材が外材に比べて安く、良質で、使い易くなければなりません。
                  新しい品質基準をつくり、誰でもが使えるよう設計施工に関する基準類が整備される事が望まれます。伐採制度も確立しなければなりません。森林を持っている人が森林を管理していないケースが多いので、所有者に代わって地域の森林を運営していく仕組みを考える必要もあります。伐採から加工・流通までを一体として考えていくことで、コスト削減・合理化・体力増強を図る必要もあります。今までのように個々の会社がばらばらに活動するのではなく、「日本全体が外国に対抗できる社会システムの構築」に向けて踏み出すべき段階に来ているように思われます。(後略)』

                   

                   

                   上記の記事の通り、林業は瀕死の状態となっています。記事にある日本の森林率の67%という数字を見て、皆様はどうお考えでしょうか?

                   実に国土の2/3が森林ということになります。安倍政権のアベノミクス第二の矢で掲げた国土強靭化の国土とは何か?といえば、森林が該当するといってもいい状態です。森林をしっかり保全するということが国土強靭化につながるともいえます。

                   

                   その視点で林業をみますと、山辺さんのコメントは悲鳴に思えてきます。斜陽産業という状況を越えているひどい状況といえます。

                   

                   もともと林業従事者というのは、戦後がピークでした。一時的にピーク時に労働者が多過ぎたという状況はあったかもしれませんが、定量的にはピーク時の10分の一となり、90%が他産業にいってしまいました。

                   

                   それだけではありません。高齢化率も過去10年で急激に上昇しており、通常の高齢化率よりも3倍〜4倍のスピードで高齢化が進んでいます。若い人が林業の仕事をしないのです。

                   

                   近年では山が疲弊しているといわれ、誰も手入れをしておらず、間伐をしない山があるといわれています。そうした山では洪水が起きやすく、土砂崩れも起きやすいのです。このような災害から身を守るためには、林業を復活させるしかないのですが、実情はほったらかしに近い状況です。

                   

                   コラムの記事を書いておられる山辺さんの仰る通り、急速に日本の国土が病んでいるという状態です。

                   

                   なぜ放置されているのか?といえば、木材価格が低迷しているからです。

                   

                  <日本の木材価格の推移>

                  (出典:林野庁のホームページから)

                   

                   上記資料の通りですが、ヒノキ中丸太、スギ中丸太、カラマツ中丸太は1980年がピーク、ヒノキ正角(乾燥材)、スギ正角(乾燥材)は1998年がピークとなっています。

                   特にヒノキ中丸太は、屬△燭76,400円→17,600円と4分の1程度、スギ中丸太は、屬△燭39,600円→12,700円と3分の1程度と、大変な値崩れで価格が落ち込んでいます。これは林業が儲からないということです。

                   

                   林業が儲からなくなった原因としては、東南アジアの安い木材、チーク材などを大量に輸入していることが原因です。自給率が90%ぐらいあった昔の頃は、輸入はほとんどありませんでした。もともとそうやって輸入木材に頼らず、日本国は成り立っていたのです。

                   

                   日本の建築資材というより昔の日本の家屋は木と紙からできていたわけで、全部森林から取れるものでした。そのため、働く人もたくさんいて、日本の木を使って家を建てて暮らしていました。

                   

                   戦後急速に海外産の安い木材が入ってきたため、価格競争となって林業が儲からなくなったため、離職しているという構造があるわけです。

                   

                   山辺さんは「日本全体が外国に対抗できる社会システムの構築」が必要と訴えておられますが、自由貿易で関税なしでは不可能と言っていいでしょう。私は、森林保全・林業保全・国土保全のために、海外の木材に対して関税をかけるべきではないか?と思うのです。

                   

                   戦後の日本は経済合理至上主義で、中長期的に国益を考えず、とにかく儲かればいいということで、自由競争を是として、儲かりにくい安全保障にかかわる産業にまで関税を掛けず、自由競争の晒らしてきました。これでは価格が下がって儲かりにくくなって離職率が増大し、林業がダメになっていくのは誰が考えても当たり前です。

                   

                   木というのは間伐するという手入れが必要なのですが、理由は太陽の陽が当たらなくなったりして森林が保全できなくなるからです。私たちが地方の山々をみるときに、目で見ている森林はほとんど戦後植林されたものです。本当の自然林は北海道くらいです。本州の山々はほとんど林業の方が植えていってくださったものです。

                   

                   山辺さんのコラムにある通り、戦後直後、日本は森林政策に力を入れました。その結果、森林量は、ものすごく増えました。30年〜40年かかって出来上がったころに、安くなって売っても生活ができないから刈り取るのやめたということであり、めちゃくちゃであるといえます。

                   

                   今後、林業を活性化するためには、先ほど申し上げた通り、関税が一つ重要なポイントとして挙げられます。

                   

                   二つ目は森林の国内需要を増やしていくことです。もちろんRC造が増えていて、木材需要は減少していますが、森林の国内需要を増やすことを通じて、自給率が30%くらいまで減少しているのを、政府は50%にまで引き上げようとしています。過去数年間で少し改善してきているのですが、理由はCLTという間伐材を使って家を建てるという建築資材の技術開発があったからです。CLTはクロスラミネートティンバーの略で、中高層の建物にも使われています。

                   

                   安倍政権の第二の矢である国土強靭化政策の中で、強力に推進されたものでした。国土強靭化が始まったころは、CLTを取り扱う業者は2社程度だったのですが、今ではかなり業者が増えています。

                   

                   CLTの普及で間伐材を使い始めて捨てる物を安く使うことで、木材マーケットが一定程度持ち直していますが、それでもまだ目標まで到達していないというのが現状です。

                   

                   こうした技術開発はさらに続けることも重要ですし、できれば関税を高くするべきではないか?と思います。

                   

                   

                   というわけで、今日は林業が瀕死の状態に陥っている惨状と、その解決策を論説しました。「リカードの比較優位論」でも自由貿易について取り上げましたが、自由貿易を是とする人々からすれば、儲からない木材に従事する人々が悪く、自己責任と考える人もいるでしょう。

                   それは安全保障や国家の国力強化を理解していない人々です。儲かりにくいものこそ、国家が積極的に関与していく必要があり、具体的には財政出動すべきだと考えます。ところがプライマリーバランス黒字化があると、仮に林野政策に財政出動した場合は、他を削減するか増税という話になってしまいまして、他の産業が疲弊するか、増税で消費全体が落ち込んで全産業が疲弊するかということになるでしょう。

                   自由貿易の犠牲となった産業は、いろいろとありますが、特に林業は安全保障にかかわる重要な業種ですので、まずは関税をかけることから検討してもよいのでは?と思った次第です。関税をかけたうえで政府支出によって木材需要の創出と、技術開発に力を入れていくことで、林業が復活するものと、私は思うのであります。


                  日欧EPA(経済連携協定)年内最終合意?

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                     日本とEUによる経済連携協定(EPA)が年内に最終合意する見通しとなりました。今日はこのEPAをテーマとさせていただき、意見いたします。

                     

                     下記は日本経済新聞の記事です。

                    『日本経済新聞 2017/11/11 日欧EPA 「クリスマスまでに」最終合意 欧州委員

                    【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)で通商政策を担うマルムストローム欧州委員は10日、年内の最終合意を目指す日本とEUの経済連携協定(EPA)を巡って「クリスマスまでのとりまとめへ順調に進んでいる」と語った。ただ、日欧が対立している投資家と国家の紛争解決のルールを巡ってはなお溝があるとも認め、最終合意を急ぐためにEPAから切り離す「可能性もある」と指摘した。

                     EUは10日、加盟国の貿易担当相による閣僚理事会を開き、EPAの最終合意に向けた交渉状況を協議した。終了後の記者会見で、マルムストローム委員は投資紛争の解決ルール以外は、ほぼ合意していると説明した。

                     同ルールを巡っては、日本側が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉と同じ仕組みを提案。不当な扱いを受けた企業が進出先の政府を訴えることができる「ISDS」での対応を求めている。一方、EU側はISDSでは大企業による国家のルールへの干渉が防げないと懸念し、より手続きが厳格な常設の「投資裁判所」創設を提案して対立。最終合意へ最大のハードルとなっている。

                     マルムストローム氏は投資裁判所を巡って「年末にかけて日本を説得することに全力を尽くす」と強調。そのうえで交渉を打開をできなかった場合には、EPAからの投資紛争解決ルールの切り離しも選択肢として「考えなければならないだろう」と語った。』

                     

                     上記記事の通り、EPAをクリスマスまでに年内合意するという記事です。もともと日本側とEU側とで、紛争解決分野がありましたが、それを棚上げし、合意を優先しようとしています。関税削減や関税撤廃をすすめ、ビジネスのルールを幅広く自由な取引ができるよう規定しようとしているのです。結果、ワインやチーズや豚肉など、暮らしに身近な食品が安く買えるようになります。

                     

                     このEPAにしてもTPPにしても、日本のワインやチーズや豚肉を生産する生産者は、間違いなく打撃を受けます。消費者は安くなるメリットがある点、生産者の所得は下がります。日本はデフレなのに、安くしてどうするのでしょうか?

                     

                     本ブログ読者の皆さんの中には、「安く買えるようになって何が悪いの?」と思われる人もいるでしょう。とはいえ、「安く買えればいいじゃないか!」では済まされないのです。

                     

                     例えば今後、日本国内で、チーズや豚肉の生産能力(畜産業)がなくなっていく可能性があります。そういう状況に対して、どう処置するのか?という議論が必要なのです。なぜならば、食料自給率が下がって、食料安全保障が弱体化するからです。

                     

                     仮に「自由だからいいでしょ!」で供給力を失った場合、一度滅失した供給力は一朝一夕に取り戻せません。日本国産のMRJのジェット機を見てもわかる通り、日本は第二次大戦後、GHQが再び日本がゼロ戦のような戦闘機を作れないようにするため、航空機の製造ができないようにしました。日本国産のMRJでいえば、一度供給力を失った航空機製造技術について、70年近く経ってやっと製造ができるようになったということなのです。一度失った供給力は、一朝一夕には取り戻せない。この事実を日本国民は十分に理解する必要があります。

                     

                     政府はEUの経済連携協定の年内合意をにらみ、2017年度の補正予算案で、農業支援策を盛り込む予定になっています。土地改良などの公共事業を盛り込み、農業関連で3000億円規模とすることで、与党自民党と調整しています。与党の農林の族議員は予算UPを求める声が当たり前ですが、強い。

                     

                     この3000億規模の対策費は必要か?といわれれば、供給力保持や食料安全保障の強化を考えれば絶対に必要です。というより、なぜ補正予算でやるんでしょう?なぜ通常の一般予算でやらないのでしょう?

                     これもまた、プライマリーバランス黒字化目標があるため、通常の一般予算ではなく、補正予算でやることになってしまうのです。

                     

                     理由は、補正予算はあくまでも補正で、継続的な支出ではないからです。となれば、2017年度補正予算に盛り込むとして、2018年度はどうなるの?ということになります。

                     食料安全保障について、日本の国会議員や霞が関の官僚らは、どのように思っているのでしょうか?食料安全保障について理解している国会議員がほとんどいない、というよりグローバリズムを是とする国会議員が多すぎて、また存在しない財政問題が気がかりで、補正予算でやることに何の問題点・課題認識も持てない議員しかいないのでは?と思わざるを得ません。

                     

                     日本は生産年齢人口の減少という人口問題がありますが、全体の人口減少は毎年22万人程度で、約1億3000万人の総人口から見れば▲0.16%という減少率で、これは誤差の世界です。

                     ところが世界的には人口は増えており、干ばつや大雨といった自然災害もあります。通常平時のときには食物を輸出できる国が、突如輸出ができなくなるというケースは普通に起こり得ます。

                     

                     例えば、干ばつや大雨で不作だった場合、国民を飢えさせてまで日本に輸出してくれる国はありません。絶対に自国民が優先されます。お金をどれだけたくさん積んでも、日本に輸出することはないでしょう。これこそが、供給力喪失の怖さです。どれだけお金を持っていても、お金で解決できない可能性があるのです。

                     

                     因みに、現時点で日本の穀物自給率は20%で、この数値は先進国で下から2番目です。

                     

                    <諸外国の穀物自給率の一覧 1961年と2013年>

                    (出典:農水省ホームページ)

                     

                    <諸外国の穀物自給率の推移 1961年と2013年(単位:「%」)>

                    (出典:農水省ホームページ)

                     

                     

                     というわけで、今日は日欧EPAについての記事を取り上げ、私見を述べさせていただきました。食料安全保障について日本はもっと真剣に考えるべきだと思います。畜産業という供給力を維持することが、結果的に畜産業に携わらない他の日本国民も必ず便益をうけます。即ち、どのような災害が発生しても、日本全国に畜産業を営む人がいてくれれば、災害を受けていない地域の畜産業者が、チーズやワインや豚肉を製造してくれるため、日本国内に安定的に供給できるようになるというわけです。

                     通商政策を考える上で、自国の供給力を弱体化するような通商政策はあり得ず、日本国民への背信行為であり、売国行為であるともいえます。どれだけ努力をしても、デフレ下で安いものを買おうとする人が多い状況、所得が伸び悩むために日本産を買いたくても買い控えする人が多い状況で、値段を下げないと売れない状況。それは結果的に畜産業に携わる人々が苦しい状況。このようなデフレの状況でなぜ、日本の畜産業にさらにダメージを与えることになるEPA締結を急ぐのか?私には全く理解ができないのです。


                    米国産牛肉のセーフガード発動と外食チェーン店の対応

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                       今日は2017/8/1付の産経新聞の記事について取り上げます。

                       

                      『産経新聞 2017.8.1 21:23 牛肉セーフガード発動も外食・小売り、価格転嫁に慎重

                      米国産などの輸入冷凍牛肉へのセーフガードが発動されたことで、外食・小売り各社は今後、仕入れ価格の上昇に直面する。庶民の財布のひもは固く、直接的な価格転嫁には及び腰だ。

                       内臓肉はセーフガードの対象に含まれないため、「ロースの代わりに、ハラミなどを中心に食べてもらえれば」(焼肉店)。

                       一方、牛丼チェーンは切り替えが難しい。すき家を展開するゼンショーホールディングスは、価格転嫁について「為替や商品相場を含め総合的に判断する」と慎重。米国産牛肉にこだわる吉野家のダメージは大きいが、価格転嫁すれば客離れを招きかねない。

                       小売り各社も対応に苦慮する。イトーヨーカ堂は「在庫が残っているうちは値上げしないが、その後については未定」という。

                       日本スーパーマーケット協会など業界3団体は、機械的なセーフガード発動への反対を訴える。「米国産牛肉の多くは、販路も用途も国内産牛肉とほぼ明確な棲み分けができている」と主張。「消費者利益が損なわれ、国民の生活にも多大な影響を与えかねない」として7月27日、国民生活産業・消費者団体連合会と連名で山本有二農林水産相に柔軟な対応を要望した。

                       イオンの岡田元也社長は「こうした事態を避けるための貿易協定が必要」と日米両政府に注文をつけた。』

                       

                       

                       上記記事の通り、米国産の輸入冷凍牛肉について、セーフガードが発動され、牛肉の卸売値が高騰しているというニュースです。

                       多寡になった関税が流通市場に転嫁されており、今後、外食産業や小売店の販売価格への転嫁や特売削減などを通じて、消費者の負担が増える可能性があります。

                       一部の外食チェーン店にとっては、オーストラリア産、メキシコ産に切り替える動きも出ている模様です。

                       

                       もし、日本の実質賃金が上昇し、豊かになっている状況であれば、牛丼が値上げしたとしても、「まぁ仕方ないかぁー!」という話になりますが、おそらくできないのではないでしょうか?

                       記事に掲載されている通り、価格転嫁すれば客離れをするとあります。即ち販売価格が上昇したとして、実質賃金が上昇しなければ、牛丼屋に行く回数を減らす、サイドメニューの注文を我慢する、という行動を消費者が取る可能性は高いのです。

                       

                       それでは、皆さんが牛丼店の社長だったらどうするでしょうか?おそらく価格を維持して人件費をカットすることになると思います。それはそれで、デフレが深刻化されるのです。

                       

                       政府の需要創出による実質賃金の拡大という政策がないことが、全て制約になっており、おそらく人件費カットという道を取らざるを得ないでしょう。吉野家ホールディングス、ゼンショーホールディングス、松屋フーズ、3社とも人件費カットで対応するものと予想します。

                       

                       また牛丼店からすれば、品質の問題もあり、米国産からオーストラリア産、メキシコ産に変えることはできないのではないかとも思っておりまして、経営から見れば、価格転嫁か?人件費カットか?という選択肢2つとなれば、後者となるような気がするのです。

                       

                       牛肉のセーフガード発動に反対する人もいるようですが、もしセーフガードを発動しなければ、日本の酪農家がつぶれます。普通にデフレ脱却するために政府がお金を使えば、全部解決できます。酪農家もそれ以外の国民もハッピーになれる唯一の政策が、国債増刷+政府支出増なのに、それをやらないから、このような話になるわけです。

                       

                       

                       というわけで、私は煽る話は好きではありませんが、今回のニュースは、マクロ経済的には悪いニュースです。何しろ、価格転嫁ができるような状況でないので、結果コストカットするということ自体が、牛丼チェーン店で働く人たちの所得が減少し、彼らが消費者サイドになったときに購買力が下がるからです。

                       ですが、セーフガード発動は、食料安全保障上重要です。何しろ、自国で何でもできることが強い国力であると考えるから。セーフガードを発動せず、酪農家を崩壊させ、牛肉を全て海外からの輸入に頼るとなれば、これは国力弱体化そのものです。

                       緊縮財政でお金を使うのは無駄と考える発想を持つ人と、食料安全保障を理解しない人々が、セーフガード発動に反対しているものと理解します。

                       このままだと、日本は発展途上国になっていきます。デフレであるがゆえに無駄が必要、もしくは安全保障にかかわる分野は経済状況がインフレデフレに関係なくコストを払い続ける必要があるということを、私たち国民は理解する必要があると思うのです。

                       


                      日欧EPA(経済連携協定)大枠合意について

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                        JUGEMテーマ:通商政策

                         

                         今日は7/10に取り上げたEPAについて、「10%程度の自動車関税撤廃と引き換えにチーズ業者がつぶれて本当に良いのか?」という題で意見しましたが、今般、安倍首相がEU諸国首脳と、日欧EPA(経済連携協定)大枠を合意しましたので、改めてこの問題について、私見を述べます。

                         

                         

                         

                        1.特定の「誰か」を悪者にして、別の産業や国民が「得をしよう!」とする発想は、間違い

                         

                         TPPが議論されるとき、私は同じ日本国民でありながら、日本国民の誰かを悪者にするという発想が嫌いです。

                         とはいえ、日本国民には、この種の「誰かを悪者にする」という発想が好きな国民が多くいると思います。

                         例えば、民進党の前原氏の下記の発言です。

                         

                        「日本国内のGDPにおける第1次産業の割合は、1.5%だ。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっているのではないか!」

                         

                         どうでしょうか?1.5%という数値を使い、見事なまでに農業などの第1次産業を悪者にした発言です。

                         

                         私は国内の「誰か」(特定産業や企業など)を「悪者化」し、別の産業や国民が「得をしよう」などという発想について、決して健全だとは思いません。

                         何しろ、国民経済はつながっているから。特定産業や企業をことさらに叩いた結果、失業者が増え、国民経済全体の景気が悪化した結果、最終的には自分たちの産業がダメージを受けるケースはよくあります。

                         具体的な例を1つ書いておくと、メディア業界。日本のメディア業界は、ひたすら企業を叩き、政府を叩き、官僚を叩き、政党を叩き、業界を叩き、国内のデフレが継続する方向に、国民の危機感を煽り続けている。結果、現在は大手新聞社やテレビ局の業績が悪化し、自分たちの職や給与が危なくなってきています。

                         当たり前の話を1つ書いておくと、メディア企業に勤めている人々の給料を払っているのは、会社でもなければ社長でもない。購読者やスポンサー企業などの「顧客」です。日本のデフレ深刻化を煽り、経済全体が沈滞化した結果、結局はメディア企業に勤める日本人も損をするというわけです。

                         

                         

                         

                        2.日本は国内需要国であり、輸出依存度は低い

                         

                         前原氏の発言はともかく「数値データ」を用いて、「TPPを推進しよう」「関税撤廃して農家がダメージを受ける可能性があったとしても、EPAを評価しよう」とするのであれば、私は、日本のEPA大枠合意により「得する」側である輸出産業とGDPの比較数値を出さないわけにはいかないと考えます。

                         

                         そもそも、多くの日本国民が誤解していますが、日本の輸出依存度(=財の輸出額÷名目GDP=88兆円÷537兆円:内閣府の統計数字)は約16.3%(2016年)と、決して高くありません。というよりも、むしろ低い。主要国の中で、日本よりも輸出依存度が「低い」のは、アメリカとブラジルだけです。


                         GDP比輸出、ジェトロの主要国・地域別商品別輸出のデータを見れば、乗用車・バス・トラックの日本の輸出額は11兆円くらい。二輪自動車や部品を入れて、15兆円くらいです。GDP比輸出率で言えば、11兆円÷530兆円=2% もし、2016年12月以前の研究開発費を除くGDP500兆円で見ても、11兆円÷500兆円=2.2%です。乗用車に限ってみた場合で、実額は10兆円前後です。

                         さらに、日本の輸出の主力は「資本財」であり、多くの日本国民が「主力輸出品」と思い込んでいる自動車や家電製品といった耐久消費財ではありません。日本の輸出の半分以上(51.81%)は消費財ではなく、企業が購入する資本財です。

                         

                         ついでに言えば、日本からの工業用原料の輸出も、輸出全体の25.5%を占めています。一般人が工業用原料を購入するケースはないでしょうから、日本の輸出の77%以上は、消費者ではなく「企業」が購入する資本財です。

                         バス・トラックを除いた自動車という耐久消費財が、日本の「輸出全体」に占める割合は、わずかに11,36%です。(10兆÷88兆円)。
                        そもそも日本の輸出依存度が約16.3%(88兆円÷537兆円)に過ぎないため、「耐久消費財の輸出対GDP比率」は、1.851%ということになります。(数値はいずれも2016年)。

                         日本のGDPにおける第1次産業の割合1.5%を、消費財の自動車の輸出が1.851%と、第1次産業より上回っている。その差は、対GDP比で0.351%もあるんだから、EUとの経済連携は評価すべきである、という話は、明らかに変じゃないでしょうか?

                         

                         たったの”0.351%”上回っているから、関税撤廃で農家が大打撃を受けても問題がないという考えは、私は賛同できません。

                         

                         

                         

                        3.食料安全保障を考えればEPA大枠合意は全く評価できず!

                         国力というものは、自分の国ですべて賄えるという状態こそが、「国力が強い」という状態です。

                         安全保障の考え方も同じ。安全保障も、食料安全保障・防衛安全保障・災害安全保障・エネルギー安全保障など、全て自国で賄えることこそが国力が強く、先進国であるといえます。

                         

                         したがって、食料安全保障を考えた場合、食料自給力を高めることこそが国力強化になります。農家なんて無くなってもイイという発想は、食料安全保障の弱体化につながるため、食料安全保障を理解すれば、そうした発想にならないはずです。

                         自動車産業が輸出を伸ばすためには、普通にデフレ脱却すればOK。デフレで日本国内は過当競争になっているので、海外に目を向けるという話になるのは仕方がありません。

                         

                         デフレ脱却が果たせれば、適切なデフレ対策を打って物価上昇が果たせれば、日本の実質金利(=名目金利−インフレ率)が低くなり、円が選好されにくくなって、円安が進みます。デフレ脱却していれば、国内需要も増え、さらに円安で輸出も伸ばせます。

                         

                         

                         というわけで、今日はEPA大枠合意について、私見を述べさせていただきました。輸出産業が輸出を伸ばすためには、貿易自由協定を締結するという発想、TPPやFTAやEPAの推進よりも、自国のデフレ脱却です。

                         100歩譲ってTPPやFTAやEPAを締結するとすれば、国益を考えれば日本国内の関税撤廃は譲歩してはいけませんでした。日本国内の関税撤廃は明らかに撤廃する産業は大打撃となります。

                         とはいえ、貿易協定を推進する通商政策を取らずとも、日本がデフレ脱却すれば、日本国内の過当競争を終焉に向かわせ、国内事業でも利益が出る環境に生まれ変わるだけではなく、通貨安で輸出も増やしやすくなる環境になります。

                         デフレ脱却こそ、日本国民すべてがWIN-WINになれる最善の解決策だと私は思うのです。


                        10%程度の自動車関税撤廃と引き換えにチーズ業者がつぶれて本当に良いのか?

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                          JUGEMテーマ:通商政策

                           

                           今日は、「10%程度の自動車関税撤廃と引き換えにチーズ業者がつぶれて本当に良いのか?」と題し、日本政府がEUと協議している経済連携協定で、自動車関税を7年で撤廃するという動きが出ていることについて触れたいと思います。

                           

                           日本経済新聞の次の記事を見ておきましょう。

                          『日本経済新聞 電子版2017/7/5 1:31 EU、自動車関税7年で撤廃 EPAあす首脳協議  

                          日本政府と欧州連合(EU)は経済連携協定(EPA)交渉を巡り、欧州側が日本車にかける関税(最高10%)を協定発効後7年かけて撤廃する方針を固めた。日本は5年、欧州は10年超を主張したが、ほぼ中間点で折り合う方向。日本側はEU産チーズで低税率の輸入枠を数万トン分新設し、欧州の理解を得る考えだ。日欧は6日に首脳協議を開く予定で、残る懸案の決着をめざす。(後略)』

                           

                           上記記事の通り、欧州側が日本に課する自動車関税について、経済連携協定発効後、7年間かけて撤廃する方針を固めたとあります。欧州における日本に課する自動車関税は、どのくらいだと思われますでしょうか?

                           正直、自動車で輸出を伸ばそうとした場合、為替の影響の方が圧倒的に大きいのです。

                           なぜならば、欧州が日本に課している自動車関税は10%です。(米国の参考:自動車の関税2.5% 家電製品の関税5%)

                          10%程度の為替相場のブレって普通にあること。例えば為替でいえば、今1ユーロ=130円程度ですが、これば120円とか円高ユーロ安になれば、10%程度の優位性は吹っ飛んでしまうのです。

                           

                           下方はユーロ円の10年チャートです。

                           

                           

                           上記の通り、為替相場において10%程度の価格変動は普通にあります。

                           

                           私がこのニュースで気になること、それはチーズの輸入で日本側が譲歩していることです。そもそも、私の記憶では、TPPを国会で批准したのは、「そこから”譲らない”という宣言!」だったのではないでしょうか?

                           TPPを批准に肯定的な論説をしていた政治家は、「最低限そこから譲らない!」なんて言っていましたが、その話ってどうなったのでしょう?

                           

                           案の定ですが、TPPがスタートラインで「そこからどう譲歩するの?」という交渉になることを懸念していましたが、「やっぱりね!」という感じです。

                           この様子だと、きっと日米FTAも同じことになるでしょう。即ちTPPがスタートラインとなり、「日本の通商政策の代表者さん!そこからどこまで譲歩してくれるの?」という交渉になるに決まっています。

                           日米FTAにしろ欧州とのEPAにしろ、TPPがスタートラインとなってそこからどう譲歩するのか?という交渉になってしまっているのです。

                           

                           今回のチーズに関して言えば、一部の品目について関税を下げていくとのこと。これ、チーズを作っている日本の酪農家の皆さんは、どう思われるでしょうか?せっかく、酪農業に若者が就業するという動きも出てきているですが、そういう人々は、このニュースをどう受け止めるでしょうか?どういう気持ちでしょうか?

                           

                           はっきり申し上げれば、普通に廃業です。安いチーズがガンガン日本に輸入されれば、日本の酪農家は太刀打ちできません。ましてや今デフレです。人々は少しでも安いものを買おうとする。

                           「イイものを安く売る!」とは聞こえがいいですが、儲けを削って安く売っているに過ぎません。消費者はそれでいいかもしれませんが、生産者から見れば儲けが少なくなるだけの話。関税が無くなって安いチーズが入ってくるとなれば、酪農家自らも生き残るためにチーズを安売りするか?それでも資金力がなく(要はお金が続かず)耐えられなければ普通に廃業です。

                           本来は自国のチーズ産業を国家が守らなければならないのに、こうした売国的な譲歩によって、日本のチーズ産業における供給力は破壊されるということになります。

                           

                           自由貿易協定は、そもそも何のためにやっているのか?私はメリットを全く感じません。もともとTPPも反対の立場です。自由貿易協定のメリットって何なんでしょうか?

                           お互いに高関税がかかっているような状態、例えば自動車関税が200%とかだったら、まだ理解します。10%程度の関税を撤廃してもらうために、自国のチーズ産業がつぶれてもいいんですか?と問いたい。

                           もし、このままチーズの関税を撤廃するとして、日本のチーズ産業という供給力を維持する、即ち酪農家を潰さないようにするためには、所得補償しか方法はないと思います。

                           

                           もともと関税というのは自国の産業を育成するため、保護するためにある制度です。自由貿易協定を推進すると、結果的にその国の産業が壊されていきます。「品質がよければ、安いチーズは売れず、高いままでも買う人が居るのでは?」という人もいるかもしれません。

                           とはいえ、デフレで「いいものを安く買いたい!」という考えに洗脳された日本国民が、欧州のチーズがガンガン輸入されてスーパーの店頭で並べられるようになった状態で、果たして本当に日本産の高いチーズを買い続けるでしょうか?

                           そもそも私たちは、今まで高い日本産の和牛を買ってきましたでしょうか?日本産の高い小麦のパスタを買ってきたでしょうか?ほとんどの人は、スーパーでオーストラリア産の牛肉を買い、安売りスーパーなどでパスタを買ったりしているのではないでしょうか?

                           もちろん高いものを買い続けることができる人、ぜひそれを継続して欲しいですが、すべての人がそのような消費行動を取れるわけでもないですし、すべての日本国民に消費行動を強制することもできません。

                           

                           本来、自動車関税撤廃と引き換えにチーズ関税引き下げであれば、酪農家の所得をどう補てんしていくか?という議論も始める必要があるのですが、そうした声が出ないことに私は大変な懸念をしているのです。結局、関税という武器無しで丸裸で酪農家が放り出され、普通に廃業していく酪農家が増えるということを、大変懸念します。

                           

                           

                           というわけで、今日は欧州とのEPAで自動車関税撤廃の動きと合わせ、チーズ業者に対する保護を検討する必要があるという私見を述べさせていただきました。

                           

                           


                          TPP水準を巡る日本とEUのEPA(経済連携協定)の攻防

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                            JUGEMテーマ:TPP

                             

                             今日は「TPP水準を巡る日本とEUのEPA(経済連携協定)の攻防」と題し、TPPを批准してしまったことによる問題点を述べたいと思います。

                             

                             下記は読売新聞の記事です。

                            「読売新聞2017年06月16日 09時56分 パスタ関税「TPP以下」調整…日欧EPA

                             日本と欧州連合(EU)による経済連携協定(EPA)の交渉で、政府はスパゲティなどのパスタ類について、関税の大幅引き下げを容認する方向で調整に入った。

                             環太平洋経済連携協定(TPP)での合意水準を超える引き下げを提案する。

                             EUから輸入されるスパゲティやマカロニに対する関税は、現在1キロ・グラムあたり30円だが、TPPに盛り込んだ12円を下回る水準に引き下げる。交渉の焦点である自動車やチーズの関税などでEUに譲歩を求める狙いだ。国産パスタは原料のほとんどを輸入小麦に頼っており、関税引き下げでパスタの輸入が増えても、国内の農家への影響が少ないという事情もあるとみられる。(後略)」

                             

                             日本とEUで、EPA(経済連携協定)の交渉が続いており、日本がチーズや豚肉などの畜産品に課している関税についての議論が大きな焦点になっています。日本はTPPで合意済みの水準以上の譲歩をすることは難しいという立場ですが、EUがさらなる引き下げを求めていて、着地点が見えない状況となっています。

                             日本とEUのEPAが実現すると、世界のGDPの27.8%、貿易総額38%という巨大な貿易協定になります。トランプがTPPを離脱表明したことで、EPAを取り巻く環境は一変し、EPAの外交的重要性が格段に高まってきていると記事では報道されています。

                             

                             EUが畜産物の市場開放に拘るのは、チーズ・ワイン・豚肉で高い国際競争力を持つ国が多いからです。逆に自動車の関税の早期撤廃を勝ち取りたい日本は、こうした畜産物の関税について、ある位程度譲歩する必要があるという構えを見せていて、その度合いをどこまで譲歩するか?ということになっています。

                             

                             はっきりいって、「こうなるに決まっているでしょ!」と言いたくなります。日本はTPPを国会で批准してしまっています。結果、そこから「少しオマケしてよ!」的な感じで、「どこまで譲歩するのですか?」という交渉になっちゃうのは必然です。

                             

                             TPPが「ここの水準までで、あとは妥協しませんよ!」というのは日本側から見た話ですが、反対側の相手国から見れば、日本がTPPを批准しているので、「少しオマケしてよ!」という交渉になるに決まっているのです。

                             

                             そもそも日本がTPPを批准した理由、それは自民党の政治家も安倍総理もそうですが、「ここまで譲らないという意思表示だ!」ということだったのではないでしょうか?そうだとすれば、「貿易交渉でTPP以上は絶対に譲らない!」と宣言するべきです。

                             ですが、宣言しません。だからTPPは「ここまでは譲らないと意思表示だ!」というのはウソなんです。売国かレントシーキングによる働きかけか?と疑わざるをえません。

                             もし、高らかに「貿易交渉でTPP以上は絶対に譲らない!」と宣言すれば、「あ、日本はそこまでなのね!」となるわけですが、それを言わないから、こうなるのは当たり前、必然なんです。

                             

                             

                             というわけで、今日は「TPP水準を巡る日本とEUのEPA(経済連携協定)の攻防」と題し、TPPを批准してしまっていることによる日本の弱みを述べました。私はデフレであるがゆえに、そして食料安全保障、防衛安全保障などの日本国の安全保障の観点から、自国で自立していることが望ましいと考えているので、TPPで海外から安く物が手に入るとかメリットを感じません。むしろデフレの我が国において、他国からの安い製品が入ってくることは、デフレ脱却を遠のかせるだけ、デフレを促進するだけです。

                             輸出を伸ばすにしても、為替が20%とか変動すれば吹っ飛ぶ水準。GDPで純輸出が50%超の輸出大国の韓国も関税でゴリゴリやるのではなく、自国通貨安を武器に輸出を伸ばしていきました。

                             そうした世界の状況を見れば、私にはTPPのメリットは、微塵にも感じないのです。今回のニュースで言えば、酪農家と自動車産業で言えば、どっちも大事ですが、酪農家がつぶれて良くて自動車産業を伸ばすべきです!というのは、食料安全保障を考えた場合、私はどうしても賛成することができないのです。


                            「TPPは中国包囲網だ!」と言っていた人たちの沈黙

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                              JUGEMテーマ:TPP

                               

                               今日は、2017/5/22のロイター通信の記事、「TPP11カ国、米国抜きでの協定推進で合意 米代表は復帰否定」を取り上げます。

                              記事の概要は下記の通りです。

                               

                              『2017/5/22 09:00[ハノイ 21日 ロイター]TPP11カ国、米国抜きでの協定推進で合意 米代表は復帰否定

                               環太平洋連携協定(TPP)に参加する米国以外の11カ国は21日、ベトナムで閣僚会合を開催し、離脱した米国抜きで協定を前進させることで合意した。ただ、早期発効に向けた強い姿勢を打ち出すことはできなかった。

                              会合はアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合に合わせて開かれた。

                              ニュージーランドのマクレー貿易相は「11カ国でどのように協定を進めていくかに焦点を当てている」と述べた。

                              最も困難な課題のひとつは、主に米国市場へのアクセス改善のため改革を行うと表明していたベトナムとマレーシアの参加を維持することだ。

                              マレーシアのムスタパ貿易産業相は「われわれの利益が引き続き保護され、協定から得られる利益がコストを上回ることを確実にする必要がある」と述べた。

                              米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、米国がTPPに復帰することはないと言明し、域内諸国との2国間貿易協定の締結を目指す考えを示した。

                              ライトハイザー代表は声明で、米国に大幅な貿易不均衡をもたらした「貿易を歪める措置」に対処する必要があると指摘。「米国の輸出市場へのアクセス拡大や不公正な貿易慣行への対応で、貿易相手国と協力することを楽しみにしている」とした。

                              APEC貿易相会合では、保護主義への対抗に関する文言について米国が反対姿勢を示し、共同声明の採択は見送られた。複数の当局者によると、米国以外の20カ国・地域は自由貿易を支持し、保護主義に反対するとの文言で合意していた。

                              議長国のベトナムは声明で、会合では貿易と投資の自由化推進へのコミットメントが確認されたと表明。ただ、全加盟国としては「行動声明」を発表するにとどまり、こうしたコミットメントに関する文言は盛り込ます、持続的成長、中小企業、技術的協力などに言及した。

                              ライトハイザー代表は、保護主義という言葉が自由貿易の促進に本当に必要な措置と混同されていると説明。「われわれの考えは、自由貿易、公正な貿易、世界で市場の効率性を高めるシステムが必要だということだ」とした。

                              ライトハイザー氏はAPEC会合に合わせ、中国、カナダ、メキシコ、日本を含む貿易相手国と会談を行った。』

                               

                               

                               上記の通り、5/22にベトナムのハノイで、TPPの閣僚会合が開かれました。

                               記事の中で、マレーシアのムスタバ貿易産業相が、米国抜きでのTPP締結に慎重な姿勢を示している様子の発言を取り上げています。

                               

                               日本は米国抜きの11か国のTPPの早期発効を促していますが、もともと米国との商機拡大を期待していたマレーシアから見れば、米国抜きのTPPなんて意味がありません。ムスタバ貿易産業相の「協定から得られる利益がコストを上回ることを確実にする必要がある」という発言は、まさに米国との商機拡大を期待していたことの表れで、米国抜きでのTPPの参加には否定的であると言えるでしょう。マレーシアの国益を考えれば、至極全うな考えです。ベトナムも同様の理由で、参加に慎重な姿勢を崩していません。

                               

                               一方、中国は米国離脱のスキを突く形で、TPP参画を視野に入れ、この会合の行方に強い関心を寄せていたとされています。とはいえ、米国抜きで中国包囲網ってなんか意味あるのでしょうか? 表題では、「TPPは中国包囲網だ!と言っていた人たちの沈黙」としていますが、この人たち、今何か発言しているでしょうか?

                               

                               TPPが中国包囲網だという人たち、TPPの根本を全く理解していないと言わざるを得ません。そういうレトリックを使って意見していた人は、今後TPPについては発言をしないでいただきたいと思います。

                               

                               なぜならば、そもそもTPPはグローバリズム(人・物・カネの移動の自由を推進する)の国際協定であって、安全保障や中国包囲網と何の関係もありませんでした。米国は安全保障に利用して通商政策を自国に有利にしようとしていましたが、もともとはグローバリズムの国際協定なのです。

                               現実、米国が抜けたら、アメリカという一番の大市場が無くなってしまうのでやる意味全くなくなります。

                               

                               また実際にTPPの閣僚会合参加の閣僚の中には、米国の欠落を他の国で埋めるかどうかという議論もあり、中国や韓国やロシアなどが挙げられていまして、中国を含めるという発想の時点で中国に対する包囲網とか関係がないわけです。

                               即ちTPP参加協議中の国々から見れば、中国の包囲網なんてどうでもよくて、人件費が安い競争力がある自国の製品を米国市場で売るために、米国への輸出を伸ばすために、それには関税は障壁であってTPPは関税をゼロにする国際協定であるから、参加したい!これが、TPP参加する国の動機です。

                               

                               日本国内で、TPPが中国包囲網とか、いかにもそれっぽいレトリックを使ってTPP締結を賛成していた人たちは、何にも理解していなかったのです。

                               

                               私は、例えば関税は国家主権であり、自国の産業を守ることは国力の維持強化に必要であると考えていまして、日本国内がデフレギャップの状態であることも考えれば、供給力を増やすあるいは日本国内での日本製品の価格が値下げ圧力がかかる可能性が高いTPPへの参加は、大反対という考えでした。

                               

                               安倍総理はTPPの批准を急ぎました。それがどういう意味があるか?

                               正解かどうかは別として、一つの指摘として、ここで一つのルールをしっかり作っておいて、そこからは譲りません!とするために、日米貿易協定でも「TPPをベースにそこから、びた一文譲歩しません!」みたいな考え方がありました。

                               とはいえ、北朝鮮危機の問題を考えれば、米国に頼らないと日本は防衛できず、トランプ大統領に防衛安全保障に利用されてしまえば、突っぱねることはできないというのが、明々白々な現実です。

                               

                               結局、「TPPは自由だから良いものだ!」「米国に対して貿易交渉で勝てる!」「日本製品は品質がいいから売れる!」とか結論を勝手に決めていて、ストーリーを作っていくというやりかたで、間違った判断をしてしまっているのです。

                               

                               このTPP、はっきり言ってやりたがっているのは日本とオーストラリアとニュージーランドだけです。

                               他国は「米国が抜けるならいいや!」となっているわけなので、どうしてもTPPをやるというのであれば、3か国貿易協定(もはや3か国のみでは環太平洋協定(=TPP)と言えないような気がしますが・・・)に換えた方が現実的です。

                               

                               というわけで、今日は5/22にベトナムのハノイで開催されたTPP閣僚会合について取り上げ、米国抜きのTPPに揺れているアジア諸国の現状をお伝えしました。

                               実際に、マレーシアやベトナムは米国の市場を期待してTPP参加を検討したわけですが、米国抜きではTPPの意味はありません。カナダやメキシコは、NAFTA(北米貿易自由協定)の再交渉でトランプ大統領とバタバタしていますので、TPPなんてどうでもよくなっているという現状もあります。

                               現実的にアジア諸国の中には、中国韓国ロシアを入れるべきであるという意見もあり、日本国内で中国包囲網とか言っていた人たちの沈黙は、TPPのことを全く理解せず論説していたことの証左であると言えるのです。


                              トランプ大統領と日本経済(日米FTAは日本にメリット無し!)

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                                JUGEMテーマ:経済全般

                                 

                                 さて、今日4/25(火)は、北朝鮮の朝鮮人民軍創設記念85周年です。核実験やらICBM実験やら、何も起きないことを願っておりますが、掲題のテーマで意見したいと思います。

                                 

                                 2017年4月18日総理官邸で、麻生太郎財務大臣とペンス副大統領で、日米経済対話の初会合が行われました。貿易や投資のルール作りを含む3つの分野で議論を進めていくことで一致しましたが、米国側は日本と二国間通商交渉を開始する可能性を示唆しました。今日は、米国側が仕掛けてくるであろう二国間協定締結について、日本にメリットがないと同時に、安全保障と絡めることについての警戒も必要である旨を意見させていただきます。

                                 

                                 麻生財務大臣とペンス副大統領の会合では、「貿易・投資のルール作り」「経済や構造政策分野での協力」「高速鉄道をはじめとするインフラ整備などの分野別の協力」の3本柱で議論を開始するとしています。

                                 ペンス副大統領は、TPPに関しては過去のものだと強調する一方、二国間の自由貿易協定の交渉になるかもしれないとして協議次第で日本が警戒する二国間の通商交渉に踏み出すかもしれないとしています。

                                 

                                 TPPの代わりに日米FTAという戦略について、「あぁ、やっぱりね!」というのが私の感想です。

                                 はっきり言って日米FTAは、米国には利益がありますが、日本には利益がありません。米国にはどのような利益があるか?と言えば、よくあるのは「アメリカ車を買え!」「米の関税を撤廃しろ!」の2つです。   

                                 とはいえ、この2つ日本で譲歩できるものがありません。

                                 ●米国の自動車が売れないのは、米国の自動車メーカーの問題であり、日本でできることはない

                                 ●コメは日本の主食なので、我が国の食料安全保障上守るのは当然であり、関税で保護するのは当たり前

                                 

                                 でも米国側は要求してきます。安全保障の問題を絡めてきます。この動きには警戒が必要です。

                                 

                                 ところが日本では、「北朝鮮からのミサイルから米国に守ってもらわないと困るから、貿易協定くらい仕方がないのでは?」とする考え方があるようです。これは、おかしい話であって、本来は突っぱねることができます。

                                 

                                 日本にとって米国とFTAを締結する必要性を考えた場合、少なくても自動車と農業を中心に議論されるのであれば、日本には全くメリットがありません。

                                 一方では米国にはメリットがあります。「コメの関税を失くしなさい」「アメ車をもっと買いなさい!」で日米FTAと言われても、「やりません!」と突っぱねて終わりです。

                                 ところが北朝鮮危機がこれだけ深刻になっており、アメリカ様に頼らないと我が国は防衛ができないという状況がネックです。

                                 米国側は防衛問題と絡めてきます。表では出なくても裏で絡めてくる。その時にちゃんと突っぱねることができるのか?私は不安です。

                                 

                                 北朝鮮が韓国の延坪島を砲撃した事件の時、一気に米韓FTAが進みました。米韓FTAでは、韓国牛を育てる酪農家ら、日本で言えば農協に値する組織が完全に崩壊し、自動車分野では環境の規制がかけられないなど、まさに主権が無くなってしまったのです。米韓FTAでは、ラチェット規定(いったん規制緩和をしたものについて、改めて規制を強化することは投資家が損をするので許されない)、ISD条項(投資家が損を免れたか?否か?だけが判決を決める要素になっており、米国で裁判してほぼ米国が勝訴している)で、韓国は正に、アメリカとの自由なルールと引き換えに、自らの主権で韓国国民を守るための規制強化や保護政策が打てなくなってしまっているのです。

                                 

                                 いったん締結してしまうと後戻りが困難。逆にトランプ大統領はNAFTAの見直しをすると言っていますが、米韓FTAを見直すということはないでしょう。なぜならば米国の農産物が韓国で売れ、環境規制に弱いアメ車が韓国で売れるのですから。マクロ経済的に見れば、NAFTAは国益を損ねるから辞め、米韓FTAはGDPでプラスになるから継続となるわけです。

                                 

                                 延坪島砲撃事件後の米韓FTA締結という過去の歴史を見て、日本はどうすべきか?

                                 安全保障は安全保障、経済は経済で分けて交渉していく必要があります。

                                 

                                 米国側は表でなく裏でやってくる可能性は高い。先に行われた米中首脳会談でも、朝鮮半島の安全保障について協力するのであれば、為替操作国の認定はしないようにする!中国の有利にする!など、このように露骨にやってきました。これはトランプが実際にツイッターに書いてあったことです。

                                 

                                 米国が今後の出方として、どうするか?米国側から見れば、自動車市場、農産物市場について、日本市場に参入したいわけですが、これを許してはいけません。米韓FTAの歴史を知れば、誰もがそう思うでしょう。

                                 とはいえ、この2点、どうやって米国をはぐらかしていくか?

                                 

                                 既に日本国内で批准したTPPがあります。これを生かして、米国に「アメリカさん!TPPやるんで、TPPでやりましょうよ!TPPに入ってくださいよ!」と言い続けてうまくはぐらかす方法があります。

                                 

                                 米国側の朝鮮半島情勢で裏で安全保障を絡めて日米FTAで攻めてくるという戦略を想定すると、TPPの批准は役に立たなかったことはなかったかもしれないのです。なぜならば、米国は絶対にTPPプラスαの譲歩を求めてくるはずです。日米FTAの交渉に入らないように、絶対に入りたがらないTPPに誘ってはぐらかすというやり方、そういうやり方をする必要があると思います。

                                 

                                 日本としては「TPPで批准したルールから譲歩することはあり得ません。アメリカさんTPPに入ってきてくださいよ!もともとアメリカさんがTPPをやろうって言ってきたんじゃないですか!」といって逃げる。TPPの条約の中には、署名から2年以内にGDPの80%を占めなければ効力を発しないことになっていますので、米国が入らなければGDP80%を占めることはないので、署名のやり直しとなります。やり直しは時間がかかりますので、その間もペンス副大統領が過去のものとしているTPPに、「アメリカさん!TPPに入ってよ!」ということで時間稼ぎをするしかないと思うのです。

                                 

                                 そんなわけで、今日は米国側から誘いのある日米FTAについて、日本にメリットがないことをお伝えしました。米韓FTAを見れば、韓国が悲惨な状態になっている有様を知れば、日米FTAが全くメリットがないことが理解できるはずです。ぜひ、今後も日米の通商政策に関するニュースを注視していただければと思います。


                                締結を急ぐ必要がなかったTPP!

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                                  JUGEMテーマ:TPP

                                   

                                   デフレの今日、TPPに急いで加盟する必要はありませんでした。トランプはTPPは参加せずと表明しました。代わりに日米二国間貿易協定の締結をしようとしています。

                                   今日は、これまで再三にわたって識者と呼ばれる人々が、日本は人口減少するから経済成長しないからなどといってTPPへの参加の必要性を訴えておりました。日本にTPPが本当に必要だったのか?を考えたいと思います。

                                   

                                   TPPのメリットを言う人々は、抽象的にしか説明できません。TPPでアジアの成長を取り込むなどと言うのは意味不明。米韓FTANAFTA(北米貿易自由協定)と同様、実質的には日米FTAです。

                                   

                                  まず、データを見てみましょう。

                                  201624日にニュージーランドで署名した参加国のGDPは以下の通りです。

                                  日本:    46,023億ドル

                                  米国:   173,480億ドル

                                  オーストラリア:  14,427億ドル

                                  ブルネイ:      171億ドル

                                  カナダ:   17,853億ドル

                                  チリ:      2,580億ドル

                                  マレーシア:     3,381億ドル

                                   

                                  メキシコ:   12,910億ドル

                                  ニュージーランド:  1,975億ドル

                                  ペルー:     2,026億ドル

                                  シンガポール:   3,078億ドル

                                  ベトナム:     1,858億ドル     (出典:JETRO

                                   

                                   上記数値の通り、日米でTPP加盟予定国のGDP80%弱を占めます。実質日米貿易二国間協定であると言えます。

                                   

                                   マスコミに登場するTPP推進派は、上記の類のデータを全く示さず、「時代はグローバリズムです。アジアの成長を取り込むのです。自由貿易は自由だからやるのです。米国との関係強化です。対中国包囲網です。TPP加盟国間で自由に貿易やサービスの輸出入をすれば、物価が下がりますよ!素晴らしいでしょう。」というように、ひたすら「抽象論」で日本のTPP参加を煽ってくるのが問題です。

                                   

                                   上記数値を見れば、一目瞭然ですが、国民経済の規模で見た場合、TPPに「アジア」などありません。一応、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、ベトナムの4か国は名を連ねていますが、これら4か国と我が国は既に経済連携協定を結んでいます。TPPに加盟せずとも、アジア4か国の成長は取り込めるのです。

                                   

                                   さらに、「自由貿易」「米国との関係強化」「対中包囲網」などと抽象的用語ばかり並べ立てるのでは、TPPが何を目的にしているのかさっぱり不明です。米国との関係を強化し、対中包囲網を構築するためのTPPというのであれば、これは自由貿易というよりは経済のブロック化です。というよりもTPPはユーロ同様に加盟条件が極めてきつい(敷居が高い)ため、もともと「ブロック経済」の要素を多数含んでいます。私はTPPが「自由貿易」でも「経済のブロック化」でどちらでも構わないですが、推進派の論説を見てきた限りで言えば概念が統一されておらず、参加すべきとする主張する人たちは何も理解していないのでは?と思わざるを得ません。

                                   

                                   私が日本のTPP参加に反対する最大の理由は、現在が「デフレ期」であるためです。確かにTPP推進派の言う通り、日本がTPPに参加すると、市場競争がさらに激化し、物価・サービス価格が下がっていくでしょう。というわけでTPP推進派は、「デフレ(物価下落)に苦しむ日本は、物価下落を促進するTPPに参加すべき」と言っているに等しく、この時点でTPP推進派がTPPやデフレについて真剣に考えていないことが丸分かりになってしまうのです。

                                   

                                   既に話題にもならなくなったTPPですが、改めてマスコミ業界が「●●すべき!」という論説を振り返り、間違っていることが多いなと感じております。米国は日本と二国間貿易協定を締結しようとしていますが、米国の国益、米国第一を標榜するトランプ大統領の登場の経緯を考えれば、自然の流れです。なぜならば米国製品の日本への輸出が伸びれば米国のGDPが増えます。米国民の所得が増えます。米国の国益を考えれば、当然の主張です。

                                   

                                   だからといって米国に迎合する必要はなく、日本は日本の国益を考えればよい。そもそもTPPを締結すれば輸出が増えるので日本の国益になるという主張は本当でしょうか? 世界的にスロートレードで貿易が減少している状況で本当に輸出実需は増えるのでしょうか?直近で言えば、為替は円高ドル安に振れています。実需が増えたとしても米国が日本製品にかける関税である自動車の関税2.5%、家電製品の関税5%など、為替が5%上下することは普通にあることで、名目GDPに置き換えれば伸び悩むことは普通に想像できます。

                                   

                                   端的に言えば実需の伸び以上に円高になってしまえば、輸出企業の円建てで見た売上高は減少して、実需の伸びが相殺されてしまうわけです。要は為替の変動が5%円高に振れれば、自動車の関税、家電製品の関税のメリットなど、簡単に吹っ飛んでしまうのです。だからといって為替を自国通貨を切り下げるをした場合、トランプ大統領から為替操作国の認定を受けるリスクもあります。

                                   

                                   デフレ脱却には、国内需要を増やすことが一番手っ取り早い。にもかかわらず日本は経済成長しないと勝手に思い込んで輸出で伸ばそう、TPPの締結を急ごうなどというのは、マクロ経済を何も理解していない論説なのです。

                                   

                                   そんなわけで、今日はTPPの締結は急ぐ必要はなかったと改めて述べさせていただきました。


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