日欧EPA(経済連携協定)年内最終合意?

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     日本とEUによる経済連携協定(EPA)が年内に最終合意する見通しとなりました。今日はこのEPAをテーマとさせていただき、意見いたします。

     

     下記は日本経済新聞の記事です。

    『日本経済新聞 2017/11/11 日欧EPA 「クリスマスまでに」最終合意 欧州委員

    【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)で通商政策を担うマルムストローム欧州委員は10日、年内の最終合意を目指す日本とEUの経済連携協定(EPA)を巡って「クリスマスまでのとりまとめへ順調に進んでいる」と語った。ただ、日欧が対立している投資家と国家の紛争解決のルールを巡ってはなお溝があるとも認め、最終合意を急ぐためにEPAから切り離す「可能性もある」と指摘した。

     EUは10日、加盟国の貿易担当相による閣僚理事会を開き、EPAの最終合意に向けた交渉状況を協議した。終了後の記者会見で、マルムストローム委員は投資紛争の解決ルール以外は、ほぼ合意していると説明した。

     同ルールを巡っては、日本側が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉と同じ仕組みを提案。不当な扱いを受けた企業が進出先の政府を訴えることができる「ISDS」での対応を求めている。一方、EU側はISDSでは大企業による国家のルールへの干渉が防げないと懸念し、より手続きが厳格な常設の「投資裁判所」創設を提案して対立。最終合意へ最大のハードルとなっている。

     マルムストローム氏は投資裁判所を巡って「年末にかけて日本を説得することに全力を尽くす」と強調。そのうえで交渉を打開をできなかった場合には、EPAからの投資紛争解決ルールの切り離しも選択肢として「考えなければならないだろう」と語った。』

     

     上記記事の通り、EPAをクリスマスまでに年内合意するという記事です。もともと日本側とEU側とで、紛争解決分野がありましたが、それを棚上げし、合意を優先しようとしています。関税削減や関税撤廃をすすめ、ビジネスのルールを幅広く自由な取引ができるよう規定しようとしているのです。結果、ワインやチーズや豚肉など、暮らしに身近な食品が安く買えるようになります。

     

     このEPAにしてもTPPにしても、日本のワインやチーズや豚肉を生産する生産者は、間違いなく打撃を受けます。消費者は安くなるメリットがある点、生産者の所得は下がります。日本はデフレなのに、安くしてどうするのでしょうか?

     

     本ブログ読者の皆さんの中には、「安く買えるようになって何が悪いの?」と思われる人もいるでしょう。とはいえ、「安く買えればいいじゃないか!」では済まされないのです。

     

     例えば今後、日本国内で、チーズや豚肉の生産能力(畜産業)がなくなっていく可能性があります。そういう状況に対して、どう処置するのか?という議論が必要なのです。なぜならば、食料自給率が下がって、食料安全保障が弱体化するからです。

     

     仮に「自由だからいいでしょ!」で供給力を失った場合、一度滅失した供給力は一朝一夕に取り戻せません。日本国産のMRJのジェット機を見てもわかる通り、日本は第二次大戦後、GHQが再び日本がゼロ戦のような戦闘機を作れないようにするため、航空機の製造ができないようにしました。日本国産のMRJでいえば、一度供給力を失った航空機製造技術について、70年近く経ってやっと製造ができるようになったということなのです。一度失った供給力は、一朝一夕には取り戻せない。この事実を日本国民は十分に理解する必要があります。

     

     政府はEUの経済連携協定の年内合意をにらみ、2017年度の補正予算案で、農業支援策を盛り込む予定になっています。土地改良などの公共事業を盛り込み、農業関連で3000億円規模とすることで、与党自民党と調整しています。与党の農林の族議員は予算UPを求める声が当たり前ですが、強い。

     

     この3000億規模の対策費は必要か?といわれれば、供給力保持や食料安全保障の強化を考えれば絶対に必要です。というより、なぜ補正予算でやるんでしょう?なぜ通常の一般予算でやらないのでしょう?

     これもまた、プライマリーバランス黒字化目標があるため、通常の一般予算ではなく、補正予算でやることになってしまうのです。

     

     理由は、補正予算はあくまでも補正で、継続的な支出ではないからです。となれば、2017年度補正予算に盛り込むとして、2018年度はどうなるの?ということになります。

     食料安全保障について、日本の国会議員や霞が関の官僚らは、どのように思っているのでしょうか?食料安全保障について理解している国会議員がほとんどいない、というよりグローバリズムを是とする国会議員が多すぎて、また存在しない財政問題が気がかりで、補正予算でやることに何の問題点・課題認識も持てない議員しかいないのでは?と思わざるを得ません。

     

     日本は生産年齢人口の減少という人口問題がありますが、全体の人口減少は毎年22万人程度で、約1億3000万人の総人口から見れば▲0.16%という減少率で、これは誤差の世界です。

     ところが世界的には人口は増えており、干ばつや大雨といった自然災害もあります。通常平時のときには食物を輸出できる国が、突如輸出ができなくなるというケースは普通に起こり得ます。

     

     例えば、干ばつや大雨で不作だった場合、国民を飢えさせてまで日本に輸出してくれる国はありません。絶対に自国民が優先されます。お金をどれだけたくさん積んでも、日本に輸出することはないでしょう。これこそが、供給力喪失の怖さです。どれだけお金を持っていても、お金で解決できない可能性があるのです。

     

     因みに、現時点で日本の穀物自給率は20%で、この数値は先進国で下から2番目です。

     

    <諸外国の穀物自給率の一覧 1961年と2013年>

    (出典:農水省ホームページ)

     

    <諸外国の穀物自給率の推移 1961年と2013年(単位:「%」)>

    (出典:農水省ホームページ)

     

     

     というわけで、今日は日欧EPAについての記事を取り上げ、私見を述べさせていただきました。食料安全保障について日本はもっと真剣に考えるべきだと思います。畜産業という供給力を維持することが、結果的に畜産業に携わらない他の日本国民も必ず便益をうけます。即ち、どのような災害が発生しても、日本全国に畜産業を営む人がいてくれれば、災害を受けていない地域の畜産業者が、チーズやワインや豚肉を製造してくれるため、日本国内に安定的に供給できるようになるというわけです。

     通商政策を考える上で、自国の供給力を弱体化するような通商政策はあり得ず、日本国民への背信行為であり、売国行為であるともいえます。どれだけ努力をしても、デフレ下で安いものを買おうとする人が多い状況、所得が伸び悩むために日本産を買いたくても買い控えする人が多い状況で、値段を下げないと売れない状況。それは結果的に畜産業に携わる人々が苦しい状況。このようなデフレの状況でなぜ、日本の畜産業にさらにダメージを与えることになるEPA締結を急ぐのか?私には全く理解ができないのです。


    米国産牛肉のセーフガード発動と外食チェーン店の対応

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       今日は2017/8/1付の産経新聞の記事について取り上げます。

       

      『産経新聞 2017.8.1 21:23 牛肉セーフガード発動も外食・小売り、価格転嫁に慎重

      米国産などの輸入冷凍牛肉へのセーフガードが発動されたことで、外食・小売り各社は今後、仕入れ価格の上昇に直面する。庶民の財布のひもは固く、直接的な価格転嫁には及び腰だ。

       内臓肉はセーフガードの対象に含まれないため、「ロースの代わりに、ハラミなどを中心に食べてもらえれば」(焼肉店)。

       一方、牛丼チェーンは切り替えが難しい。すき家を展開するゼンショーホールディングスは、価格転嫁について「為替や商品相場を含め総合的に判断する」と慎重。米国産牛肉にこだわる吉野家のダメージは大きいが、価格転嫁すれば客離れを招きかねない。

       小売り各社も対応に苦慮する。イトーヨーカ堂は「在庫が残っているうちは値上げしないが、その後については未定」という。

       日本スーパーマーケット協会など業界3団体は、機械的なセーフガード発動への反対を訴える。「米国産牛肉の多くは、販路も用途も国内産牛肉とほぼ明確な棲み分けができている」と主張。「消費者利益が損なわれ、国民の生活にも多大な影響を与えかねない」として7月27日、国民生活産業・消費者団体連合会と連名で山本有二農林水産相に柔軟な対応を要望した。

       イオンの岡田元也社長は「こうした事態を避けるための貿易協定が必要」と日米両政府に注文をつけた。』

       

       

       上記記事の通り、米国産の輸入冷凍牛肉について、セーフガードが発動され、牛肉の卸売値が高騰しているというニュースです。

       多寡になった関税が流通市場に転嫁されており、今後、外食産業や小売店の販売価格への転嫁や特売削減などを通じて、消費者の負担が増える可能性があります。

       一部の外食チェーン店にとっては、オーストラリア産、メキシコ産に切り替える動きも出ている模様です。

       

       もし、日本の実質賃金が上昇し、豊かになっている状況であれば、牛丼が値上げしたとしても、「まぁ仕方ないかぁー!」という話になりますが、おそらくできないのではないでしょうか?

       記事に掲載されている通り、価格転嫁すれば客離れをするとあります。即ち販売価格が上昇したとして、実質賃金が上昇しなければ、牛丼屋に行く回数を減らす、サイドメニューの注文を我慢する、という行動を消費者が取る可能性は高いのです。

       

       それでは、皆さんが牛丼店の社長だったらどうするでしょうか?おそらく価格を維持して人件費をカットすることになると思います。それはそれで、デフレが深刻化されるのです。

       

       政府の需要創出による実質賃金の拡大という政策がないことが、全て制約になっており、おそらく人件費カットという道を取らざるを得ないでしょう。吉野家ホールディングス、ゼンショーホールディングス、松屋フーズ、3社とも人件費カットで対応するものと予想します。

       

       また牛丼店からすれば、品質の問題もあり、米国産からオーストラリア産、メキシコ産に変えることはできないのではないかとも思っておりまして、経営から見れば、価格転嫁か?人件費カットか?という選択肢2つとなれば、後者となるような気がするのです。

       

       牛肉のセーフガード発動に反対する人もいるようですが、もしセーフガードを発動しなければ、日本の酪農家がつぶれます。普通にデフレ脱却するために政府がお金を使えば、全部解決できます。酪農家もそれ以外の国民もハッピーになれる唯一の政策が、国債増刷+政府支出増なのに、それをやらないから、このような話になるわけです。

       

       

       というわけで、私は煽る話は好きではありませんが、今回のニュースは、マクロ経済的には悪いニュースです。何しろ、価格転嫁ができるような状況でないので、結果コストカットするということ自体が、牛丼チェーン店で働く人たちの所得が減少し、彼らが消費者サイドになったときに購買力が下がるからです。

       ですが、セーフガード発動は、食料安全保障上重要です。何しろ、自国で何でもできることが強い国力であると考えるから。セーフガードを発動せず、酪農家を崩壊させ、牛肉を全て海外からの輸入に頼るとなれば、これは国力弱体化そのものです。

       緊縮財政でお金を使うのは無駄と考える発想を持つ人と、食料安全保障を理解しない人々が、セーフガード発動に反対しているものと理解します。

       このままだと、日本は発展途上国になっていきます。デフレであるがゆえに無駄が必要、もしくは安全保障にかかわる分野は経済状況がインフレデフレに関係なくコストを払い続ける必要があるということを、私たち国民は理解する必要があると思うのです。

       


      日欧EPA(経済連携協定)大枠合意について

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         今日は7/10に取り上げたEPAについて、「10%程度の自動車関税撤廃と引き換えにチーズ業者がつぶれて本当に良いのか?」という題で意見しましたが、今般、安倍首相がEU諸国首脳と、日欧EPA(経済連携協定)大枠を合意しましたので、改めてこの問題について、私見を述べます。

         

         

         

        1.特定の「誰か」を悪者にして、別の産業や国民が「得をしよう!」とする発想は、間違い

         

         TPPが議論されるとき、私は同じ日本国民でありながら、日本国民の誰かを悪者にするという発想が嫌いです。

         とはいえ、日本国民には、この種の「誰かを悪者にする」という発想が好きな国民が多くいると思います。

         例えば、民進党の前原氏の下記の発言です。

         

        「日本国内のGDPにおける第1次産業の割合は、1.5%だ。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっているのではないか!」

         

         どうでしょうか?1.5%という数値を使い、見事なまでに農業などの第1次産業を悪者にした発言です。

         

         私は国内の「誰か」(特定産業や企業など)を「悪者化」し、別の産業や国民が「得をしよう」などという発想について、決して健全だとは思いません。

         何しろ、国民経済はつながっているから。特定産業や企業をことさらに叩いた結果、失業者が増え、国民経済全体の景気が悪化した結果、最終的には自分たちの産業がダメージを受けるケースはよくあります。

         具体的な例を1つ書いておくと、メディア業界。日本のメディア業界は、ひたすら企業を叩き、政府を叩き、官僚を叩き、政党を叩き、業界を叩き、国内のデフレが継続する方向に、国民の危機感を煽り続けている。結果、現在は大手新聞社やテレビ局の業績が悪化し、自分たちの職や給与が危なくなってきています。

         当たり前の話を1つ書いておくと、メディア企業に勤めている人々の給料を払っているのは、会社でもなければ社長でもない。購読者やスポンサー企業などの「顧客」です。日本のデフレ深刻化を煽り、経済全体が沈滞化した結果、結局はメディア企業に勤める日本人も損をするというわけです。

         

         

         

        2.日本は国内需要国であり、輸出依存度は低い

         

         前原氏の発言はともかく「数値データ」を用いて、「TPPを推進しよう」「関税撤廃して農家がダメージを受ける可能性があったとしても、EPAを評価しよう」とするのであれば、私は、日本のEPA大枠合意により「得する」側である輸出産業とGDPの比較数値を出さないわけにはいかないと考えます。

         

         そもそも、多くの日本国民が誤解していますが、日本の輸出依存度(=財の輸出額÷名目GDP=88兆円÷537兆円:内閣府の統計数字)は約16.3%(2016年)と、決して高くありません。というよりも、むしろ低い。主要国の中で、日本よりも輸出依存度が「低い」のは、アメリカとブラジルだけです。


         GDP比輸出、ジェトロの主要国・地域別商品別輸出のデータを見れば、乗用車・バス・トラックの日本の輸出額は11兆円くらい。二輪自動車や部品を入れて、15兆円くらいです。GDP比輸出率で言えば、11兆円÷530兆円=2% もし、2016年12月以前の研究開発費を除くGDP500兆円で見ても、11兆円÷500兆円=2.2%です。乗用車に限ってみた場合で、実額は10兆円前後です。

         さらに、日本の輸出の主力は「資本財」であり、多くの日本国民が「主力輸出品」と思い込んでいる自動車や家電製品といった耐久消費財ではありません。日本の輸出の半分以上(51.81%)は消費財ではなく、企業が購入する資本財です。

         

         ついでに言えば、日本からの工業用原料の輸出も、輸出全体の25.5%を占めています。一般人が工業用原料を購入するケースはないでしょうから、日本の輸出の77%以上は、消費者ではなく「企業」が購入する資本財です。

         バス・トラックを除いた自動車という耐久消費財が、日本の「輸出全体」に占める割合は、わずかに11,36%です。(10兆÷88兆円)。
        そもそも日本の輸出依存度が約16.3%(88兆円÷537兆円)に過ぎないため、「耐久消費財の輸出対GDP比率」は、1.851%ということになります。(数値はいずれも2016年)。

         日本のGDPにおける第1次産業の割合1.5%を、消費財の自動車の輸出が1.851%と、第1次産業より上回っている。その差は、対GDP比で0.351%もあるんだから、EUとの経済連携は評価すべきである、という話は、明らかに変じゃないでしょうか?

         

         たったの”0.351%”上回っているから、関税撤廃で農家が大打撃を受けても問題がないという考えは、私は賛同できません。

         

         

         

        3.食料安全保障を考えればEPA大枠合意は全く評価できず!

         国力というものは、自分の国ですべて賄えるという状態こそが、「国力が強い」という状態です。

         安全保障の考え方も同じ。安全保障も、食料安全保障・防衛安全保障・災害安全保障・エネルギー安全保障など、全て自国で賄えることこそが国力が強く、先進国であるといえます。

         

         したがって、食料安全保障を考えた場合、食料自給力を高めることこそが国力強化になります。農家なんて無くなってもイイという発想は、食料安全保障の弱体化につながるため、食料安全保障を理解すれば、そうした発想にならないはずです。

         自動車産業が輸出を伸ばすためには、普通にデフレ脱却すればOK。デフレで日本国内は過当競争になっているので、海外に目を向けるという話になるのは仕方がありません。

         

         デフレ脱却が果たせれば、適切なデフレ対策を打って物価上昇が果たせれば、日本の実質金利(=名目金利−インフレ率)が低くなり、円が選好されにくくなって、円安が進みます。デフレ脱却していれば、国内需要も増え、さらに円安で輸出も伸ばせます。

         

         

         というわけで、今日はEPA大枠合意について、私見を述べさせていただきました。輸出産業が輸出を伸ばすためには、貿易自由協定を締結するという発想、TPPやFTAやEPAの推進よりも、自国のデフレ脱却です。

         100歩譲ってTPPやFTAやEPAを締結するとすれば、国益を考えれば日本国内の関税撤廃は譲歩してはいけませんでした。日本国内の関税撤廃は明らかに撤廃する産業は大打撃となります。

         とはいえ、貿易協定を推進する通商政策を取らずとも、日本がデフレ脱却すれば、日本国内の過当競争を終焉に向かわせ、国内事業でも利益が出る環境に生まれ変わるだけではなく、通貨安で輸出も増やしやすくなる環境になります。

         デフレ脱却こそ、日本国民すべてがWIN-WINになれる最善の解決策だと私は思うのです。


        10%程度の自動車関税撤廃と引き換えにチーズ業者がつぶれて本当に良いのか?

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           今日は、「10%程度の自動車関税撤廃と引き換えにチーズ業者がつぶれて本当に良いのか?」と題し、日本政府がEUと協議している経済連携協定で、自動車関税を7年で撤廃するという動きが出ていることについて触れたいと思います。

           

           日本経済新聞の次の記事を見ておきましょう。

          『日本経済新聞 電子版2017/7/5 1:31 EU、自動車関税7年で撤廃 EPAあす首脳協議  

          日本政府と欧州連合(EU)は経済連携協定(EPA)交渉を巡り、欧州側が日本車にかける関税(最高10%)を協定発効後7年かけて撤廃する方針を固めた。日本は5年、欧州は10年超を主張したが、ほぼ中間点で折り合う方向。日本側はEU産チーズで低税率の輸入枠を数万トン分新設し、欧州の理解を得る考えだ。日欧は6日に首脳協議を開く予定で、残る懸案の決着をめざす。(後略)』

           

           上記記事の通り、欧州側が日本に課する自動車関税について、経済連携協定発効後、7年間かけて撤廃する方針を固めたとあります。欧州における日本に課する自動車関税は、どのくらいだと思われますでしょうか?

           正直、自動車で輸出を伸ばそうとした場合、為替の影響の方が圧倒的に大きいのです。

           なぜならば、欧州が日本に課している自動車関税は10%です。(米国の参考:自動車の関税2.5% 家電製品の関税5%)

          10%程度の為替相場のブレって普通にあること。例えば為替でいえば、今1ユーロ=130円程度ですが、これば120円とか円高ユーロ安になれば、10%程度の優位性は吹っ飛んでしまうのです。

           

           下方はユーロ円の10年チャートです。

           

           

           上記の通り、為替相場において10%程度の価格変動は普通にあります。

           

           私がこのニュースで気になること、それはチーズの輸入で日本側が譲歩していることです。そもそも、私の記憶では、TPPを国会で批准したのは、「そこから”譲らない”という宣言!」だったのではないでしょうか?

           TPPを批准に肯定的な論説をしていた政治家は、「最低限そこから譲らない!」なんて言っていましたが、その話ってどうなったのでしょう?

           

           案の定ですが、TPPがスタートラインで「そこからどう譲歩するの?」という交渉になることを懸念していましたが、「やっぱりね!」という感じです。

           この様子だと、きっと日米FTAも同じことになるでしょう。即ちTPPがスタートラインとなり、「日本の通商政策の代表者さん!そこからどこまで譲歩してくれるの?」という交渉になるに決まっています。

           日米FTAにしろ欧州とのEPAにしろ、TPPがスタートラインとなってそこからどう譲歩するのか?という交渉になってしまっているのです。

           

           今回のチーズに関して言えば、一部の品目について関税を下げていくとのこと。これ、チーズを作っている日本の酪農家の皆さんは、どう思われるでしょうか?せっかく、酪農業に若者が就業するという動きも出てきているですが、そういう人々は、このニュースをどう受け止めるでしょうか?どういう気持ちでしょうか?

           

           はっきり申し上げれば、普通に廃業です。安いチーズがガンガン日本に輸入されれば、日本の酪農家は太刀打ちできません。ましてや今デフレです。人々は少しでも安いものを買おうとする。

           「イイものを安く売る!」とは聞こえがいいですが、儲けを削って安く売っているに過ぎません。消費者はそれでいいかもしれませんが、生産者から見れば儲けが少なくなるだけの話。関税が無くなって安いチーズが入ってくるとなれば、酪農家自らも生き残るためにチーズを安売りするか?それでも資金力がなく(要はお金が続かず)耐えられなければ普通に廃業です。

           本来は自国のチーズ産業を国家が守らなければならないのに、こうした売国的な譲歩によって、日本のチーズ産業における供給力は破壊されるということになります。

           

           自由貿易協定は、そもそも何のためにやっているのか?私はメリットを全く感じません。もともとTPPも反対の立場です。自由貿易協定のメリットって何なんでしょうか?

           お互いに高関税がかかっているような状態、例えば自動車関税が200%とかだったら、まだ理解します。10%程度の関税を撤廃してもらうために、自国のチーズ産業がつぶれてもいいんですか?と問いたい。

           もし、このままチーズの関税を撤廃するとして、日本のチーズ産業という供給力を維持する、即ち酪農家を潰さないようにするためには、所得補償しか方法はないと思います。

           

           もともと関税というのは自国の産業を育成するため、保護するためにある制度です。自由貿易協定を推進すると、結果的にその国の産業が壊されていきます。「品質がよければ、安いチーズは売れず、高いままでも買う人が居るのでは?」という人もいるかもしれません。

           とはいえ、デフレで「いいものを安く買いたい!」という考えに洗脳された日本国民が、欧州のチーズがガンガン輸入されてスーパーの店頭で並べられるようになった状態で、果たして本当に日本産の高いチーズを買い続けるでしょうか?

           そもそも私たちは、今まで高い日本産の和牛を買ってきましたでしょうか?日本産の高い小麦のパスタを買ってきたでしょうか?ほとんどの人は、スーパーでオーストラリア産の牛肉を買い、安売りスーパーなどでパスタを買ったりしているのではないでしょうか?

           もちろん高いものを買い続けることができる人、ぜひそれを継続して欲しいですが、すべての人がそのような消費行動を取れるわけでもないですし、すべての日本国民に消費行動を強制することもできません。

           

           本来、自動車関税撤廃と引き換えにチーズ関税引き下げであれば、酪農家の所得をどう補てんしていくか?という議論も始める必要があるのですが、そうした声が出ないことに私は大変な懸念をしているのです。結局、関税という武器無しで丸裸で酪農家が放り出され、普通に廃業していく酪農家が増えるということを、大変懸念します。

           

           

           というわけで、今日は欧州とのEPAで自動車関税撤廃の動きと合わせ、チーズ業者に対する保護を検討する必要があるという私見を述べさせていただきました。

           

           


          TPP水準を巡る日本とEUのEPA(経済連携協定)の攻防

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             今日は「TPP水準を巡る日本とEUのEPA(経済連携協定)の攻防」と題し、TPPを批准してしまったことによる問題点を述べたいと思います。

             

             下記は読売新聞の記事です。

            「読売新聞2017年06月16日 09時56分 パスタ関税「TPP以下」調整…日欧EPA

             日本と欧州連合(EU)による経済連携協定(EPA)の交渉で、政府はスパゲティなどのパスタ類について、関税の大幅引き下げを容認する方向で調整に入った。

             環太平洋経済連携協定(TPP)での合意水準を超える引き下げを提案する。

             EUから輸入されるスパゲティやマカロニに対する関税は、現在1キロ・グラムあたり30円だが、TPPに盛り込んだ12円を下回る水準に引き下げる。交渉の焦点である自動車やチーズの関税などでEUに譲歩を求める狙いだ。国産パスタは原料のほとんどを輸入小麦に頼っており、関税引き下げでパスタの輸入が増えても、国内の農家への影響が少ないという事情もあるとみられる。(後略)」

             

             日本とEUで、EPA(経済連携協定)の交渉が続いており、日本がチーズや豚肉などの畜産品に課している関税についての議論が大きな焦点になっています。日本はTPPで合意済みの水準以上の譲歩をすることは難しいという立場ですが、EUがさらなる引き下げを求めていて、着地点が見えない状況となっています。

             日本とEUのEPAが実現すると、世界のGDPの27.8%、貿易総額38%という巨大な貿易協定になります。トランプがTPPを離脱表明したことで、EPAを取り巻く環境は一変し、EPAの外交的重要性が格段に高まってきていると記事では報道されています。

             

             EUが畜産物の市場開放に拘るのは、チーズ・ワイン・豚肉で高い国際競争力を持つ国が多いからです。逆に自動車の関税の早期撤廃を勝ち取りたい日本は、こうした畜産物の関税について、ある位程度譲歩する必要があるという構えを見せていて、その度合いをどこまで譲歩するか?ということになっています。

             

             はっきりいって、「こうなるに決まっているでしょ!」と言いたくなります。日本はTPPを国会で批准してしまっています。結果、そこから「少しオマケしてよ!」的な感じで、「どこまで譲歩するのですか?」という交渉になっちゃうのは必然です。

             

             TPPが「ここの水準までで、あとは妥協しませんよ!」というのは日本側から見た話ですが、反対側の相手国から見れば、日本がTPPを批准しているので、「少しオマケしてよ!」という交渉になるに決まっているのです。

             

             そもそも日本がTPPを批准した理由、それは自民党の政治家も安倍総理もそうですが、「ここまで譲らないという意思表示だ!」ということだったのではないでしょうか?そうだとすれば、「貿易交渉でTPP以上は絶対に譲らない!」と宣言するべきです。

             ですが、宣言しません。だからTPPは「ここまでは譲らないと意思表示だ!」というのはウソなんです。売国かレントシーキングによる働きかけか?と疑わざるをえません。

             もし、高らかに「貿易交渉でTPP以上は絶対に譲らない!」と宣言すれば、「あ、日本はそこまでなのね!」となるわけですが、それを言わないから、こうなるのは当たり前、必然なんです。

             

             

             というわけで、今日は「TPP水準を巡る日本とEUのEPA(経済連携協定)の攻防」と題し、TPPを批准してしまっていることによる日本の弱みを述べました。私はデフレであるがゆえに、そして食料安全保障、防衛安全保障などの日本国の安全保障の観点から、自国で自立していることが望ましいと考えているので、TPPで海外から安く物が手に入るとかメリットを感じません。むしろデフレの我が国において、他国からの安い製品が入ってくることは、デフレ脱却を遠のかせるだけ、デフレを促進するだけです。

             輸出を伸ばすにしても、為替が20%とか変動すれば吹っ飛ぶ水準。GDPで純輸出が50%超の輸出大国の韓国も関税でゴリゴリやるのではなく、自国通貨安を武器に輸出を伸ばしていきました。

             そうした世界の状況を見れば、私にはTPPのメリットは、微塵にも感じないのです。今回のニュースで言えば、酪農家と自動車産業で言えば、どっちも大事ですが、酪農家がつぶれて良くて自動車産業を伸ばすべきです!というのは、食料安全保障を考えた場合、私はどうしても賛成することができないのです。


            「TPPは中国包囲網だ!」と言っていた人たちの沈黙

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              JUGEMテーマ:TPP

               

               今日は、2017/5/22のロイター通信の記事、「TPP11カ国、米国抜きでの協定推進で合意 米代表は復帰否定」を取り上げます。

              記事の概要は下記の通りです。

               

              『2017/5/22 09:00[ハノイ 21日 ロイター]TPP11カ国、米国抜きでの協定推進で合意 米代表は復帰否定

               環太平洋連携協定(TPP)に参加する米国以外の11カ国は21日、ベトナムで閣僚会合を開催し、離脱した米国抜きで協定を前進させることで合意した。ただ、早期発効に向けた強い姿勢を打ち出すことはできなかった。

              会合はアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合に合わせて開かれた。

              ニュージーランドのマクレー貿易相は「11カ国でどのように協定を進めていくかに焦点を当てている」と述べた。

              最も困難な課題のひとつは、主に米国市場へのアクセス改善のため改革を行うと表明していたベトナムとマレーシアの参加を維持することだ。

              マレーシアのムスタパ貿易産業相は「われわれの利益が引き続き保護され、協定から得られる利益がコストを上回ることを確実にする必要がある」と述べた。

              米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、米国がTPPに復帰することはないと言明し、域内諸国との2国間貿易協定の締結を目指す考えを示した。

              ライトハイザー代表は声明で、米国に大幅な貿易不均衡をもたらした「貿易を歪める措置」に対処する必要があると指摘。「米国の輸出市場へのアクセス拡大や不公正な貿易慣行への対応で、貿易相手国と協力することを楽しみにしている」とした。

              APEC貿易相会合では、保護主義への対抗に関する文言について米国が反対姿勢を示し、共同声明の採択は見送られた。複数の当局者によると、米国以外の20カ国・地域は自由貿易を支持し、保護主義に反対するとの文言で合意していた。

              議長国のベトナムは声明で、会合では貿易と投資の自由化推進へのコミットメントが確認されたと表明。ただ、全加盟国としては「行動声明」を発表するにとどまり、こうしたコミットメントに関する文言は盛り込ます、持続的成長、中小企業、技術的協力などに言及した。

              ライトハイザー代表は、保護主義という言葉が自由貿易の促進に本当に必要な措置と混同されていると説明。「われわれの考えは、自由貿易、公正な貿易、世界で市場の効率性を高めるシステムが必要だということだ」とした。

              ライトハイザー氏はAPEC会合に合わせ、中国、カナダ、メキシコ、日本を含む貿易相手国と会談を行った。』

               

               

               上記の通り、5/22にベトナムのハノイで、TPPの閣僚会合が開かれました。

               記事の中で、マレーシアのムスタバ貿易産業相が、米国抜きでのTPP締結に慎重な姿勢を示している様子の発言を取り上げています。

               

               日本は米国抜きの11か国のTPPの早期発効を促していますが、もともと米国との商機拡大を期待していたマレーシアから見れば、米国抜きのTPPなんて意味がありません。ムスタバ貿易産業相の「協定から得られる利益がコストを上回ることを確実にする必要がある」という発言は、まさに米国との商機拡大を期待していたことの表れで、米国抜きでのTPPの参加には否定的であると言えるでしょう。マレーシアの国益を考えれば、至極全うな考えです。ベトナムも同様の理由で、参加に慎重な姿勢を崩していません。

               

               一方、中国は米国離脱のスキを突く形で、TPP参画を視野に入れ、この会合の行方に強い関心を寄せていたとされています。とはいえ、米国抜きで中国包囲網ってなんか意味あるのでしょうか? 表題では、「TPPは中国包囲網だ!と言っていた人たちの沈黙」としていますが、この人たち、今何か発言しているでしょうか?

               

               TPPが中国包囲網だという人たち、TPPの根本を全く理解していないと言わざるを得ません。そういうレトリックを使って意見していた人は、今後TPPについては発言をしないでいただきたいと思います。

               

               なぜならば、そもそもTPPはグローバリズム(人・物・カネの移動の自由を推進する)の国際協定であって、安全保障や中国包囲網と何の関係もありませんでした。米国は安全保障に利用して通商政策を自国に有利にしようとしていましたが、もともとはグローバリズムの国際協定なのです。

               現実、米国が抜けたら、アメリカという一番の大市場が無くなってしまうのでやる意味全くなくなります。

               

               また実際にTPPの閣僚会合参加の閣僚の中には、米国の欠落を他の国で埋めるかどうかという議論もあり、中国や韓国やロシアなどが挙げられていまして、中国を含めるという発想の時点で中国に対する包囲網とか関係がないわけです。

               即ちTPP参加協議中の国々から見れば、中国の包囲網なんてどうでもよくて、人件費が安い競争力がある自国の製品を米国市場で売るために、米国への輸出を伸ばすために、それには関税は障壁であってTPPは関税をゼロにする国際協定であるから、参加したい!これが、TPP参加する国の動機です。

               

               日本国内で、TPPが中国包囲網とか、いかにもそれっぽいレトリックを使ってTPP締結を賛成していた人たちは、何にも理解していなかったのです。

               

               私は、例えば関税は国家主権であり、自国の産業を守ることは国力の維持強化に必要であると考えていまして、日本国内がデフレギャップの状態であることも考えれば、供給力を増やすあるいは日本国内での日本製品の価格が値下げ圧力がかかる可能性が高いTPPへの参加は、大反対という考えでした。

               

               安倍総理はTPPの批准を急ぎました。それがどういう意味があるか?

               正解かどうかは別として、一つの指摘として、ここで一つのルールをしっかり作っておいて、そこからは譲りません!とするために、日米貿易協定でも「TPPをベースにそこから、びた一文譲歩しません!」みたいな考え方がありました。

               とはいえ、北朝鮮危機の問題を考えれば、米国に頼らないと日本は防衛できず、トランプ大統領に防衛安全保障に利用されてしまえば、突っぱねることはできないというのが、明々白々な現実です。

               

               結局、「TPPは自由だから良いものだ!」「米国に対して貿易交渉で勝てる!」「日本製品は品質がいいから売れる!」とか結論を勝手に決めていて、ストーリーを作っていくというやりかたで、間違った判断をしてしまっているのです。

               

               このTPP、はっきり言ってやりたがっているのは日本とオーストラリアとニュージーランドだけです。

               他国は「米国が抜けるならいいや!」となっているわけなので、どうしてもTPPをやるというのであれば、3か国貿易協定(もはや3か国のみでは環太平洋協定(=TPP)と言えないような気がしますが・・・)に換えた方が現実的です。

               

               というわけで、今日は5/22にベトナムのハノイで開催されたTPP閣僚会合について取り上げ、米国抜きのTPPに揺れているアジア諸国の現状をお伝えしました。

               実際に、マレーシアやベトナムは米国の市場を期待してTPP参加を検討したわけですが、米国抜きではTPPの意味はありません。カナダやメキシコは、NAFTA(北米貿易自由協定)の再交渉でトランプ大統領とバタバタしていますので、TPPなんてどうでもよくなっているという現状もあります。

               現実的にアジア諸国の中には、中国韓国ロシアを入れるべきであるという意見もあり、日本国内で中国包囲網とか言っていた人たちの沈黙は、TPPのことを全く理解せず論説していたことの証左であると言えるのです。


              トランプ大統領と日本経済(日米FTAは日本にメリット無し!)

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                JUGEMテーマ:経済全般

                 

                 さて、今日4/25(火)は、北朝鮮の朝鮮人民軍創設記念85周年です。核実験やらICBM実験やら、何も起きないことを願っておりますが、掲題のテーマで意見したいと思います。

                 

                 2017年4月18日総理官邸で、麻生太郎財務大臣とペンス副大統領で、日米経済対話の初会合が行われました。貿易や投資のルール作りを含む3つの分野で議論を進めていくことで一致しましたが、米国側は日本と二国間通商交渉を開始する可能性を示唆しました。今日は、米国側が仕掛けてくるであろう二国間協定締結について、日本にメリットがないと同時に、安全保障と絡めることについての警戒も必要である旨を意見させていただきます。

                 

                 麻生財務大臣とペンス副大統領の会合では、「貿易・投資のルール作り」「経済や構造政策分野での協力」「高速鉄道をはじめとするインフラ整備などの分野別の協力」の3本柱で議論を開始するとしています。

                 ペンス副大統領は、TPPに関しては過去のものだと強調する一方、二国間の自由貿易協定の交渉になるかもしれないとして協議次第で日本が警戒する二国間の通商交渉に踏み出すかもしれないとしています。

                 

                 TPPの代わりに日米FTAという戦略について、「あぁ、やっぱりね!」というのが私の感想です。

                 はっきり言って日米FTAは、米国には利益がありますが、日本には利益がありません。米国にはどのような利益があるか?と言えば、よくあるのは「アメリカ車を買え!」「米の関税を撤廃しろ!」の2つです。   

                 とはいえ、この2つ日本で譲歩できるものがありません。

                 ●米国の自動車が売れないのは、米国の自動車メーカーの問題であり、日本でできることはない

                 ●コメは日本の主食なので、我が国の食料安全保障上守るのは当然であり、関税で保護するのは当たり前

                 

                 でも米国側は要求してきます。安全保障の問題を絡めてきます。この動きには警戒が必要です。

                 

                 ところが日本では、「北朝鮮からのミサイルから米国に守ってもらわないと困るから、貿易協定くらい仕方がないのでは?」とする考え方があるようです。これは、おかしい話であって、本来は突っぱねることができます。

                 

                 日本にとって米国とFTAを締結する必要性を考えた場合、少なくても自動車と農業を中心に議論されるのであれば、日本には全くメリットがありません。

                 一方では米国にはメリットがあります。「コメの関税を失くしなさい」「アメ車をもっと買いなさい!」で日米FTAと言われても、「やりません!」と突っぱねて終わりです。

                 ところが北朝鮮危機がこれだけ深刻になっており、アメリカ様に頼らないと我が国は防衛ができないという状況がネックです。

                 米国側は防衛問題と絡めてきます。表では出なくても裏で絡めてくる。その時にちゃんと突っぱねることができるのか?私は不安です。

                 

                 北朝鮮が韓国の延坪島を砲撃した事件の時、一気に米韓FTAが進みました。米韓FTAでは、韓国牛を育てる酪農家ら、日本で言えば農協に値する組織が完全に崩壊し、自動車分野では環境の規制がかけられないなど、まさに主権が無くなってしまったのです。米韓FTAでは、ラチェット規定(いったん規制緩和をしたものについて、改めて規制を強化することは投資家が損をするので許されない)、ISD条項(投資家が損を免れたか?否か?だけが判決を決める要素になっており、米国で裁判してほぼ米国が勝訴している)で、韓国は正に、アメリカとの自由なルールと引き換えに、自らの主権で韓国国民を守るための規制強化や保護政策が打てなくなってしまっているのです。

                 

                 いったん締結してしまうと後戻りが困難。逆にトランプ大統領はNAFTAの見直しをすると言っていますが、米韓FTAを見直すということはないでしょう。なぜならば米国の農産物が韓国で売れ、環境規制に弱いアメ車が韓国で売れるのですから。マクロ経済的に見れば、NAFTAは国益を損ねるから辞め、米韓FTAはGDPでプラスになるから継続となるわけです。

                 

                 延坪島砲撃事件後の米韓FTA締結という過去の歴史を見て、日本はどうすべきか?

                 安全保障は安全保障、経済は経済で分けて交渉していく必要があります。

                 

                 米国側は表でなく裏でやってくる可能性は高い。先に行われた米中首脳会談でも、朝鮮半島の安全保障について協力するのであれば、為替操作国の認定はしないようにする!中国の有利にする!など、このように露骨にやってきました。これはトランプが実際にツイッターに書いてあったことです。

                 

                 米国が今後の出方として、どうするか?米国側から見れば、自動車市場、農産物市場について、日本市場に参入したいわけですが、これを許してはいけません。米韓FTAの歴史を知れば、誰もがそう思うでしょう。

                 とはいえ、この2点、どうやって米国をはぐらかしていくか?

                 

                 既に日本国内で批准したTPPがあります。これを生かして、米国に「アメリカさん!TPPやるんで、TPPでやりましょうよ!TPPに入ってくださいよ!」と言い続けてうまくはぐらかす方法があります。

                 

                 米国側の朝鮮半島情勢で裏で安全保障を絡めて日米FTAで攻めてくるという戦略を想定すると、TPPの批准は役に立たなかったことはなかったかもしれないのです。なぜならば、米国は絶対にTPPプラスαの譲歩を求めてくるはずです。日米FTAの交渉に入らないように、絶対に入りたがらないTPPに誘ってはぐらかすというやり方、そういうやり方をする必要があると思います。

                 

                 日本としては「TPPで批准したルールから譲歩することはあり得ません。アメリカさんTPPに入ってきてくださいよ!もともとアメリカさんがTPPをやろうって言ってきたんじゃないですか!」といって逃げる。TPPの条約の中には、署名から2年以内にGDPの80%を占めなければ効力を発しないことになっていますので、米国が入らなければGDP80%を占めることはないので、署名のやり直しとなります。やり直しは時間がかかりますので、その間もペンス副大統領が過去のものとしているTPPに、「アメリカさん!TPPに入ってよ!」ということで時間稼ぎをするしかないと思うのです。

                 

                 そんなわけで、今日は米国側から誘いのある日米FTAについて、日本にメリットがないことをお伝えしました。米韓FTAを見れば、韓国が悲惨な状態になっている有様を知れば、日米FTAが全くメリットがないことが理解できるはずです。ぜひ、今後も日米の通商政策に関するニュースを注視していただければと思います。


                締結を急ぐ必要がなかったTPP!

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                  JUGEMテーマ:TPP

                   

                   デフレの今日、TPPに急いで加盟する必要はありませんでした。トランプはTPPは参加せずと表明しました。代わりに日米二国間貿易協定の締結をしようとしています。

                   今日は、これまで再三にわたって識者と呼ばれる人々が、日本は人口減少するから経済成長しないからなどといってTPPへの参加の必要性を訴えておりました。日本にTPPが本当に必要だったのか?を考えたいと思います。

                   

                   TPPのメリットを言う人々は、抽象的にしか説明できません。TPPでアジアの成長を取り込むなどと言うのは意味不明。米韓FTANAFTA(北米貿易自由協定)と同様、実質的には日米FTAです。

                   

                  まず、データを見てみましょう。

                  201624日にニュージーランドで署名した参加国のGDPは以下の通りです。

                  日本:    46,023億ドル

                  米国:   173,480億ドル

                  オーストラリア:  14,427億ドル

                  ブルネイ:      171億ドル

                  カナダ:   17,853億ドル

                  チリ:      2,580億ドル

                  マレーシア:     3,381億ドル

                   

                  メキシコ:   12,910億ドル

                  ニュージーランド:  1,975億ドル

                  ペルー:     2,026億ドル

                  シンガポール:   3,078億ドル

                  ベトナム:     1,858億ドル     (出典:JETRO

                   

                   上記数値の通り、日米でTPP加盟予定国のGDP80%弱を占めます。実質日米貿易二国間協定であると言えます。

                   

                   マスコミに登場するTPP推進派は、上記の類のデータを全く示さず、「時代はグローバリズムです。アジアの成長を取り込むのです。自由貿易は自由だからやるのです。米国との関係強化です。対中国包囲網です。TPP加盟国間で自由に貿易やサービスの輸出入をすれば、物価が下がりますよ!素晴らしいでしょう。」というように、ひたすら「抽象論」で日本のTPP参加を煽ってくるのが問題です。

                   

                   上記数値を見れば、一目瞭然ですが、国民経済の規模で見た場合、TPPに「アジア」などありません。一応、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、ベトナムの4か国は名を連ねていますが、これら4か国と我が国は既に経済連携協定を結んでいます。TPPに加盟せずとも、アジア4か国の成長は取り込めるのです。

                   

                   さらに、「自由貿易」「米国との関係強化」「対中包囲網」などと抽象的用語ばかり並べ立てるのでは、TPPが何を目的にしているのかさっぱり不明です。米国との関係を強化し、対中包囲網を構築するためのTPPというのであれば、これは自由貿易というよりは経済のブロック化です。というよりもTPPはユーロ同様に加盟条件が極めてきつい(敷居が高い)ため、もともと「ブロック経済」の要素を多数含んでいます。私はTPPが「自由貿易」でも「経済のブロック化」でどちらでも構わないですが、推進派の論説を見てきた限りで言えば概念が統一されておらず、参加すべきとする主張する人たちは何も理解していないのでは?と思わざるを得ません。

                   

                   私が日本のTPP参加に反対する最大の理由は、現在が「デフレ期」であるためです。確かにTPP推進派の言う通り、日本がTPPに参加すると、市場競争がさらに激化し、物価・サービス価格が下がっていくでしょう。というわけでTPP推進派は、「デフレ(物価下落)に苦しむ日本は、物価下落を促進するTPPに参加すべき」と言っているに等しく、この時点でTPP推進派がTPPやデフレについて真剣に考えていないことが丸分かりになってしまうのです。

                   

                   既に話題にもならなくなったTPPですが、改めてマスコミ業界が「●●すべき!」という論説を振り返り、間違っていることが多いなと感じております。米国は日本と二国間貿易協定を締結しようとしていますが、米国の国益、米国第一を標榜するトランプ大統領の登場の経緯を考えれば、自然の流れです。なぜならば米国製品の日本への輸出が伸びれば米国のGDPが増えます。米国民の所得が増えます。米国の国益を考えれば、当然の主張です。

                   

                   だからといって米国に迎合する必要はなく、日本は日本の国益を考えればよい。そもそもTPPを締結すれば輸出が増えるので日本の国益になるという主張は本当でしょうか? 世界的にスロートレードで貿易が減少している状況で本当に輸出実需は増えるのでしょうか?直近で言えば、為替は円高ドル安に振れています。実需が増えたとしても米国が日本製品にかける関税である自動車の関税2.5%、家電製品の関税5%など、為替が5%上下することは普通にあることで、名目GDPに置き換えれば伸び悩むことは普通に想像できます。

                   

                   端的に言えば実需の伸び以上に円高になってしまえば、輸出企業の円建てで見た売上高は減少して、実需の伸びが相殺されてしまうわけです。要は為替の変動が5%円高に振れれば、自動車の関税、家電製品の関税のメリットなど、簡単に吹っ飛んでしまうのです。だからといって為替を自国通貨を切り下げるをした場合、トランプ大統領から為替操作国の認定を受けるリスクもあります。

                   

                   デフレ脱却には、国内需要を増やすことが一番手っ取り早い。にもかかわらず日本は経済成長しないと勝手に思い込んで輸出で伸ばそう、TPPの締結を急ごうなどというのは、マクロ経済を何も理解していない論説なのです。

                   

                   そんなわけで、今日はTPPの締結は急ぐ必要はなかったと改めて述べさせていただきました。


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